バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー/9

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー 9
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
f:id:OirenW:20201229140236p:plain
 
 フォビドンを通りすがるように出て          BGM:ワールドマップ1
 かなりの日付が立ち、
 俺たちはようやくその都市に到着する・・・    SE:ワールドマップから移動
 先に逆しずくのような形状の屋根が付いたいくつもの塔が形成する白い城が円形に囲うようにしてできた都市、
 中央には大きな川が流れ都市を二分している、
 砂漠の中とは思えない場所だ・・・       BGM:魔法の魔術都市サンダー
 「ここが、魔術都市サンダーだよ、それじゃ、一緒に俺の所属してる大学にいこっか」
 そうして、マユーカに導かれ、俺たちは歩き出す・・・
 「凄いな、砂漠の真ん中なのに大きな川がある・・・」   お前レポートやった?
 「この辺りは帝国領との境目が近いから、そこから地下水が来るんだよ」   まだ
 「へぇ・・・」             あの教授のレポート調べなきゃならない
 周りを見ると、長いローブを着た人間が       こと多いから厄介なんだよな
 そこらで話し合ったりしていた・・・              まったく・・・
 「にしても、聴いてた通りの場所だな、遊んでるって感じの奴が一人もいない・・・」
 「あはは・・・ここは日々勉強で勉強してないやつは裏で色々何言われるか分かったもんじゃないからね」
 「遊んでる人とかいないの?」 仮定アルファの事情に関して仮定ベータとの関連は
 「遊びだって勉強だよ、ドッチボールした後にそれに関する   仮定アクリアズム
  論文書けって言われたときは嫌になった・・・」            では?
 ああ、なるほど・・・                      確かに・・・
 そのまま、一番大きな城の門前まで来る
 「ここが俺の所属している主格サンダー魔術大学」
 「一番デカいように見えるけど?」
 マユーカが丸く回って振り返り右口目端上げた得意げな顔を見せる
 「一番大きなところだよ!学問レベルもね!!」
 へぇ~、意外とインテリなのか、マユーカって・・・
 しかし、俺達の足取りは門の両端にいた顔が見えづらくなるぐらい白いローブを深くかぶったやせと筋肉質の中間な体格の男たちに体ごと門の前まで移動され阻まれ止められる
 「お待ちなさい」
 「あなた方は入る許可を持っていません」              SE:驚き
 マユーカが慌てて見上げる
 「ちょっと!僕だよ、マユーカ!」
 門番たちの目線がマユーカに行く
 「あなたは当学院の生徒」
 「ゆえに問題はありません」
 続けて俺達の方に目線が来る
 「しかし、後ろの人達が問題なのです」
 「私達は出力は弱いですが数素武具を持ちます」
 「ゆえに、何か問題を起こせば容赦はしたしません」
 「ううう・・・しょうがないな・・・」
 マユーカが振り返って顔を俺達に向け・・・
 「少し、手続きしてくるから待っててよ・・・」
 そうして、踵を返し門を開けて入っていく・・・
 俺達は周りの邪魔にならないよう左右に分かれて待機することとなった・・・
 門の左右に分かれて立ち、行きかうローブの人々が俺達を好奇と嫌悪の眼差しで見る中、割とすぐにマユーカが出てきた、
 マユーカは門から出て開口一番
 「お待たせ!事情を話したらすぐに許可くれた!」
 俺は気になることがありすぐに問う
 「鍵のことも話したの?」
 マユーカが俺を見返し
 「仕方ないじゃない、さ、行こう!」
 そうして中に入る、
 中は重厚な茶檀色に囲まれ、奥にカウンターがあり、塔の内部のような四隅より壁はすべて本棚となっていて、所せましと本が並び、
 挙句、時々上の本棚から本を取るためのはしごが思い出したように並んでおり、本棚の上の塔の頂上付近からは太陽の光が漏れ出ている・・・
 「すげーっ・・・」
 皆が周りを見ている中で
 「それじゃあこっちに・・・」
 マユーカが右奥の出入り口まで歩き、俺達もそれについて
 「お待ちください」
 と、カウンター奥の頭から薄紫のローブを着た冷たい雰囲気の女性が声を上げた
 「この先には代表者のみ許可を出すと言付かっております」
 「なんで?」
 「皆さま、武器をお持ちとのこと、当学院内で暴れられては困りますので、事情を話す代表者様のみ、他の方はこのロビーでお待ちください、このロビーの本は貸し出しはできませんが自由に読めますので」
 俺達は互いに顔を見合わせ
 「行って来いクルーダ」
 「クルーダが一番事情説明に適してそうだし」
 「あたし、事情を深くは知らないし!」
 あ・・・そうなるか・・・
 ジンガさん、メイダさん、リリサからそうして推薦をもらう
 元はと言えば俺の村を帝国軍が襲ったことから始まったんだ、仕方無い・・・
 クルーダに連れられ、一番奥へと行く、
 長い廊下を右左と曲がりその間にも幾度も階段を上り、その先にあった木でできた重厚な扉を開くと
 「教授~依頼されてたレポート持ってきましたよ~」
 「うむ、入りたまえ・・・」
 その先には左右に本棚並び、奥に3を基調とした紋章付き緑の正方形を基調とした逆五角形金縁布が掲げられた部屋の中の紋章の前にあるやはり重厚な机の先に、一人の老人が座っていた、
 長い金の鬚に白いローブからは貧弱な体が見て取れる、
 「教授!例のレポート、持ってきました!」
 マユーカが紙を取り出し、手渡す、
 「御苦労」
 教授と呼ばれた人物がそれをめくり見始め、手を止め、紙の一点を注視する
 「やはり、動物たちが凶暴化しているようだ」           SE:驚き
 「え!?凶暴化!?どういうことですか!?」
 「数素の乱れがあることから、ただの暴走ではない・・・このままだと人も・・・」
 てっきり、あの鍵を飲み込んでたから凶暴化していたと思っていたけどそうじゃない・・・?
 と、不意に老人の目線が俺の方に来る
 「ああ、君が鍵を持っているという一団かね?」
 「そうですけど・・・?」
 抑揚の無い声、本心は捉えづらい・・・
 「それでは、その鍵を見せてくれまいか?なに、渡さなくてもいい、見せてくれるだけでいいのだ・・・」
 「はぁ・・・」
 言われて鍵を取り出す、確か、10、9、8、7、6・・・      SE:驚き
 手の中に取った鍵を見て老人の目が見開かれる
 「五つも鍵が集まっているのか!?半数・・・」
 「え?」
 思わず老人の方に目が行く、今、半数って・・・?
 「いいや、何でもない、」
 しかし、老人はすぐに落ち着きを取り戻し、マユーカの方に目線を戻す
 「さて、レポート御苦労だった・・・」
 「はい!」
 マユーカの嬉しそうな元気な返事
 「では、さらばだ」
 教授がそう言ったとたん、床がいきなり開く!?
 「うわぁああああ!!」
 「あぁああああ」
 そして、空いた穴にマユーカと共に落ちていくのだった・・・
 ・・・
 気が付いた先にあったのは、涼し気な洞窟だった・・・
 どこかから光が漏れているのか、周りが青く光っている・・・    SE:気付き
 「そうだ!マユーカ!?」
 周りを見ると、すぐそばにマユーカが倒れていた!
 思わず駆け寄り
 「マユーカ、大丈夫!?」
 「いちち・・・なんだってんだよ・・・」
 そう言って、マユーカも周りを見渡す・・・
 「おいおい・・・ここは・・・」
 「どこかわかる?」
 マユーカは周りを警戒しつつ口を開く
 「多分、サンダーの地下を流れる地下水脈の洞窟だと思う・・・」
 「地下水脈の洞窟!?っていうことは・・・」
 首一つ縦に振るマユーカ
 「うん、水源を追って行けば、街の方に出られるはずだ!!」
 そうして俺たちは歩き出した・・・
 「教授、どうしてこんなこと・・・」
 と、マユーカが俯いている・・・
 「どうしたのマユーカ?」
 「僕さ、数素術の素質があるって、教授に言われて・・・それで学校から飛び級で大学に入ったんだ・・・」
 「そうなの?」
 「元々、数素術の研究が好きだったんだ・・・数素武器を使って数素術を駆使して戦う魔術師の戦場を見たことがあって、それでかっこいいって思ってさ、僕でも使えるようにならないかなって・・・」
 「そうだったんだ・・・」
 「なのに、なんでいきなりこんなこと・・・」
 「ともかく、ここから脱出しよう!そして、教授に真意を確かめるんだ!」
 「・・・うん、そうだね!!」
 決意のうなずきと共に、俺たちは前に進む、
 すると、岩壁から水が流れ出しているのを見つけた!
 思わず近づき顔を寄せる俺とマユーカ、
 水は全く濁っていない綺麗なものだ
 「これだ!これをたどれば地下の川にたどり着くはず・・・」
 「とりあえず、それを下流まで追って行って、ダメだったら上流の方に行こう!」
 「そうだね、そうしよう!」
 そうして、歩いていった先、
 いきなり壁から人型の岩が出てきた!?
 壁に同化していたのがいきなり動き出したのだ!?
 「何だあれ!?」
 「まさか・・・岩熊!?」
 「岩熊!?」
 「簡単に言うと、岩に擬態している熊だよ!でも、この辺りにはいなかったはず・・・」
 そんな生物いるのか、でも!
 「何でもいい、熊なら故郷で狩りなれてる!」
 マユーカの前に出る!                   SE:剣抜き長め
 「気を付けてください!物理攻撃はあまり利かないはず!」
 「わかったよ!」
 そう言って俺は駆けだす!               SE:エンカウント!!
 そして、剣を縦に振り回すも、外皮に当たって弾かれた!?  BGM:凡庸ボス1
 なるほど、岩に擬態しているのみならず、岩の様な固い外皮を形成している、といった感じか、
 だが!               水よ・・・空より集まり降り注ぎ我らの敵を
 「空裂牙走閃!」      ビュォオオオオ!!ザシュザシュザシュザシュザシュ
 竜巻で吹き飛ばせはしなかったものの、さすがに足は止まる!
 「今だ!」                              潰せ!
 「ウォータープレス!」               ダァン!ダァン!ダァン!
 「グゥォオオオオ!!」
 強烈な水流を受け、岩熊は慌てて逃げて行った・・・        BGM:無音
 「?なんだ、拍子抜けだな・・・」
 「とにかく、今のうちに進もうよ!仲間でも連れてこられたら面倒だよ」
 「ああ、そうだな!!」
 そうして、流れる水に沿って
 進み、俺たちは地下の大河にたどり着く・・・         BGM:大激川音
 「凄い、端が見えないよ・・・地下にこんな川があったなんて・・・」
 サンダーの川よりもずっと大きい
 「サンダー学院はこの川から生活用水なんかを取り入れてるから、地上に見える川はごく一部でしかないのさ」
 なるほど・・・
 じゃあ、ここを右手の下流に、幸い川沿いは進めるからそこを歩いて ザザァ・・・
 「きしゃああああ!!」              ザパァアアア!!ドゥン!!
 でかい魚が飛び出し、俺達の道を防ぐ!?
 「何だこいつ!?」
 「地下大魚!?まさか、うわさに聞いたこの川の主!?」
 「そんな奴がいたの!?」
 「う・・・うん、僕も始めて実物を見た・・・うわさでしかないと思ってたんだけど・・・気を付けて!強靭なヒレを使って地上でも移動できるんだ!!」
 「とにかく、倒さないと先に進めないようだな・・・
  よし、やってやろう!!」              SE:エンカウント!!
 先程と同じく前衛として前に出る!             BGM:凡庸ボス2
 さらに剣を鱗に叩きつけていくが、さっきの岩熊より硬い!岩じゃなくて鉄のようだ・・・
 大魚の尾の大回りの一撃             炎よ・・・我が眼前の敵を狙え
 を何とか盾を使って受け流す!        一筋の炎に我が意思を込め燃やせ!
 「ホーミングフレイム!」
 炎の一撃が当たるも対して効いている様子はない・・・
 「くそ!火力が足りないのか、炎自体が効かないのか!?」
 なら、新技・・・試してみるか・・・!
 「大牙豪炎剣!!」                 (タイガゴウエンケン!)
 跳躍しつつ回転蹴りの二撃を放って相手に隙を生ませつつ剣と盾を一体化して大剣とし、
 大剣に炎を纏わせつつ一気に振り下ろす!!     ゴッゴッ、ボオォォォ・・・
 火柱が豪快に上がり炎の勢いで                 ゴォオオオ!!
 連続して衝撃を与えつつ魚を一気に焼き焦がす!!  ガスガスガスガス・・・!!
 すると、魚が後ろに跳ね水中に逃げる・・・
 「やった・・・」
 本当にやったのか・・・
 マユーカの言葉に疑問が浮かぶ
 すると、途端に魚が飛びあがってきて横回転!その尾で俺を叩き飛ばす!
 「がはっ!?」
 途端に岩壁に背より叩きつけられる俺!
 「お兄ちゃん!」
 走ってくるマユーカ!
 「ぐっ・・・」
 ダメだ・・・声が・・・出ない・・・
 涙目のマユーカが俺を心配してかしゃがみ込む
 「くそっくそっ、どうすれば・・・」
 マユーカ・・・
 魚が大口開け警戒しながら迫ってくる・・・
 その気配を察知したか、マユーカが気が付いたように目を開き、振り返る
 「炎よ・・・我が眼前の敵を狙え一筋の炎に我が意思を込め燃やせ!
  ホーミングフレイム!」             ヒュゥウウ・・・・ボウッ!
 が、震える声で出された炎はまるで効かない
 「水よ・・・空より集まり降り注ぎ我らの敵を潰せ!
  ウォータープレス!」               ダァン!ダァン!ダァン!
 杖を強く握って生み出した水も全く効いている様子はない・・・
 「兄ちゃんを助けたい助けたい助けたい・・・いいや・・・」
 マユーカ?
 「助けるんだぁあああああ!!」
 マユーカの大声と共に魚の動きが止まる・・・これは・・・数素開放・・・!?
 「いかづちよ!我が志学の場よ!その知識を持って我にあだなすものに天罰を!!ゴッドアンドデスサンダー!!」
 杖が振り上げられた刹那、
 天井より降り注いだ光と闇のいかづちは、         ズゴォオオオオン!!
 周辺の大地を砕きながら文字通り、あだなすものを炭と変えたのだった・・・
 そして、その大魚の口より転がってくる金色の4・・・
 やっぱり、こいつも鍵を・・・                SE:戦闘勝利!
 「あぁああ!?」                          リザルト
 と、マユーカの悲鳴が響き渡った!?              1120EXP
 「どうした、マユーカ!?」                   仮0ゴールド
 急いでマユーカの方を見る、と、             4の鍵を入手しました
 「ぼ・・・僕の杖が・・・」
 と、俺を背にしたマユーカの両手に抱え持たれた三つにまとまった杖が黒ずんで崩壊し、とうとう塵となって風に乗り消えてしまった・・・
 そして、涙目のまま上半身振り返りつつ俺の方を見る・・・
 「どどどど・・・どうしよう!?学園からの借り物なのに!?」
 「事情を説明すれば許してくれるさ、それより、さっきはありがとう」
 「ど・・・どういたしまして・・・」
 あ、いつの間にか声が出るようになってるや・・・
 「ともかく、早くここから出よう、さっきの魚や、岩熊みたいなやつが出てきたら厄介だ」
 「そ・・・そうだね・・・」
 まったく、俺を救ってくれた恩人なのに・・・
 立ち上がった俺と共に涙目でうつむいたまま進むマユーカ、
 しかし、その顔は自然を顔を上げ、先へと進んでいくのだった・・・
 ・・・                    BGM:魔法の魔術都市サンダー
 「よう、お前ら、学園の奥に行ったのに出入り口から戻ってくるとはどういう要件だ?」
 再開したジンガさんの第一声がこれ、まったく、こっちは大変だったってのに・・・
 あの後、俺たちは大河を下り続けいくつかの岩が倒れて自然にできた岩の橋を渡るなどして日の光を見つけ、その先に無事サンダーの都市の中央の川に出て、
 こうして魔術大学に戻ってきたところである
 「そうだね?どうしたの?」
 「何かあったの?」
 と、リリサとメイダもこっちを向いて同調する
 「二人とも戻ってきたようじゃの」
 「あ~!」
 「あ~!」
 俺達が部屋に向かった出入口より出てきた人物に、俺とマユーカは叫びながら思わず右人差し指を突き出していた、
 そう、俺達を洞窟に落とした教授ジジイだ!!
 「教授!どうしてあんなことをしたのか説明してください!!」
 マユーカの声にジジイは訳知り顔といった風に渋い顔すらせず
 「うむ、済まなかった、だが、資質を見ておきたかったのじゃ・・・」
 資質って・・・
 「先程、岩熊に変装した別の先生からの報告を聴いたぞ、戦闘能力は申し分ないようじゃったな、それに洞窟から脱出できたということは探索能力も申し分ないと・・・」
 「ちょっと待ってくださいよ教授!おかげで兄ちゃんは魚に殺されかけて大変だったんですよ!!」
 「魚?何のことじゃ」
 「へ・・・?」
 マユーカの力の無い顔の左口端が衝撃でか幾度も上がる
 やっぱり、あの魚は・・・
 事情を説明しよう・・・
 「俺達、鍵を飲み込んで暴走した地下の川の主に襲われたんです」
 ここでジジイの顔がようやく目を見開いた驚愕の物に変わる
 「なんと!それは大変じゃったのう・・・」
 「そうだ!その主との戦いで杖が・・・」
 「杖・・・?」
 「そうだよ教授!数素秘奥義を使ったらいきなり杖が崩壊して・・・」
 今度はマユーカが教授に言い募る                  SE:驚き
 と、教授が先ほどより軽度の驚き顔でマユーカを見る
 「数素秘奥義を!?おぬしそこまで・・・」
 「え?」
 教授が拳を親指側から口に当て一つ咳をして表情と姿勢もろとも立てなおす
 「なるほど、そりゃ杖が耐えられなかったんじゃ!」
 「耐えられなかった・・・?」
 「あれは数素武具を使って無理矢理作ったレプリカじゃからのう、あまり強くないんじゃよ」
 そうだったのか・・・
 「それなら・・・少し待っておれ」
 教授が奥に行き、そして、戻ってくる
 その右手に、三つの杖がまとまったような杖を持って・・・
 「これをおぬしに託そう」
 さらに、マユーカにその杖を差し出した、
 マユーカがその杖を一直線に見る・・・
 「これは・・・俺の杖と同じもの・・・」
 「おぬしの持ってた杖のオリジナルじゃよ、無論、数素秘奥義にも耐えられるぞ」
 「教授・・・」
 マユーカの目が見開かれ、教授を尊敬のまなざしで見てる・・・
 「ただし、それはレンタルじゃ」
 「ええ?!」
 しかし、それはすぐに両手と右足を右後ろに後ずさせる驚きで崩れ
 「だから、生きて必ずここに戻ってくるのじゃぞ」
 マユーカが姿勢を戻し、再度教授を尊敬のまなざしで見て涙目になりながら
 「は・・・はい!」
 うなずく
 と、教授が今度は俺達の方に視線を向ける
 「さて、主たちにはこれを託そうかの・・・」
 教授が右手で差し出してきたのは、なんと、5の形をした金色の鍵だった!
 教授はなぜか5の鍵を見据え
 「それだけの鍵が一堂に集うことは歴史上無かった・・・」
 「そうなんですか?」
 教授が一つうなずく
 「うむ、どういうわけだがな、磁石のように互いを引き離していたという説もあるほど・・・」
 「だけど、それが俺たちの手には集まっている・・・」
 教授が何か納得するように一瞬のみ目をつぶる
 「そうじゃ、何かが起こっているに違いない・・・」
 「はぁ・・・ですが・・・」
 俺のため息にか、教授が俺に目線を戻ず
 「わかっておる、この街には3の鍵があるはずだと言いたいのじゃろう・・・」
 「はい・・・」
 「生憎と、3の鍵は行方不明なのじゃ、我が大学もずっと探しているのじゃが見つからん・・・だが、おぬしたちの行き先にきっと現れるじゃろう・・・」
 「きっと・・・」
 「なに、そのために我が大学きっての優秀な生徒であるマユーカを付けてやろう、おぬしたちもきっと生きて帰れるぞ!なんせ、我が優秀な学生が付いているのじゃからな、のう、マユーカ」
 言いながら視線をマユーカに向ける教授
 「はい!教授!!」
 大変元気よく答えるマユーカ                    バタン!!
 「大変です、教授!」
 「何事じゃ!?」
 盛大な扉を開ける音ともに飛び込んで来た青フードの男が教授を含めた部屋中の皆が注目する中で教授の前まで来て体の前に両手を持ってきての慌てての身振り手振りで何かを話し出す!
 「王国領と帝国領で小競り合いが、そして、王国側、帝国側より、通告が・・・」
 「どちらに着くか・・・ということじゃな・・・」
 「そんな、もうすでに戦争が・・・」
 「どうするんだ?リーダー?」
 ジンガさん、リーダーって俺の事?ま、仕方ないけどさ・・・
 「・・・フォビドン側がどうにかするって言っても、そこまで待ってはいられない・・・」
 「ふむ・・・」
 振り返り仲間皆を見渡す
 「帝国領に行って、情報を収集しよう、邪魔にならないように気を付けつつ、僕たちにできることを探そう!」
 「フォビドンのやることの成功率も、100%とはいえんだろうしな・・・」
 「なら、私も付き合う!」
 「わ・・・私も」
 「僕も当然行くよ!」
 リリサ、メイダさん、マユーカが同意してくれる
 「ジンガさんは?」
 皆の左端の方で斜に構えきっていないジンガさんが俺をいつも通りの姿勢と表情で見る
 「ま、乗り掛かった舟だ、俺も行くさ」
 「ありがとう、ジンガさん!」
 こうして、俺たちは帝国領の領境へと赴いていく・・・
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――