バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー/7

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー 7
 
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 「そういえばさ?」                 BGM:ワールドマップ1
 「何?」                         ザッザッザッ・・・
 砂漠を歩く中後ろからリリサとメイダの声がする       ザッザッザッ・・・    
 「メイダって、回復系の術が使えるんだよね?」
 「そういうリリサは補助と攻撃一度に使える術があるじゃない・・・」
 「あれって、そんなに珍しいの?」
 「珍しいっていうか、私はあんまり聞いたことない・・・どうやって使ってるの」
 「どうやってって・・・私は思いついた呪文をどーって・・・」
 「そうじゃなくて、術ってさ、イメージのコントロールが必要じゃない?どうやってイメージしてるのかってさ・・・私、補助系はどうしても無理で・・・」
 「うーん、リスナーファイアを使う時は、味方も敵も一気に熱くなっちゃえ~って、そういう感じ」
 「え・・・?どういう感じだって・・・?」
 「そういうメイダは回復術ってどういう感じで使ってるの?私、回復術って使えないんだよね~」
 「ええ、そうなの?意外・・・私がヒールを唱える時は、そりゃあ、あの人を助けたいとか、このまま別れたくないとか、そんな感じ・・・」
 「ふうん、なんかトラウマ持ち?」
 「そんなわけではないけど・・・」
 「まぁいいや、つまり誰かを助けたいとか奉仕したいとかっていう意思が大切なのかな・・・?」
 「補助系の場合はどういう感じに変えたいとかかな・・・?今度やってみようかな・・・」
 「ねぇねぇ、にぃちゃん」
 「にぃちゃんって俺のこと?」
 いきなり後ろから話しかけてきたのはマユーカだ、思わず目線をそちらに向ける
 「数素秘奥義って使える?」
 「唐突質問だけど、それっぽいのなら使えるよ」           SE:驚き
 マユーカの目が少し驚いたように見開かれる
 「ど・・・どうやって?」
 「どうやってって言われても・・・こう、感情を全部ガーッとぶつける感じ」
 「ううん・・・やっぱりそんな感じかぁ・・・」
 マユーカがなぜか残念そうに目線を伏せ逸らす
 「やっぱり?」
 「僕も先生にそう教わったんだよ、全部の感情と数素を全てぶつけろってさ」
 「へぇ・・・」
 「やっぱり駄目なのかな?何がダメなんだろう・・・?迷いや戸惑いがあったらダメなのかな・・・?」
 迷いや戸惑い?                          SE:疑問
 「ううん、よくわかんないな・・・初めて出した時は、出さなきゃやられるって状況だったし・・・」
 「ううう・・・」
 とまぁ、そんなこんなで目線を少し戻すと、先の方にフォビドンと思わしき街が見えてきた・・・
 砂色の四角い家々が立ち並ぶさまは        SE:ワールドマップから移動
 先ほどの村と同じだが、
 その規模が決定的なまでに大きく、たくさんの人がいて、
 一番最奥の階段で登る高い台の上には家の様式は同じなれど
 左右に塀の様な廊下が付いた大きな家がつながったそれよりも大きな宮殿が
 存在しているのだった・・・         BGM:砂漠の商業都市フォビドン
 その入口で俺達は横並びで街を見渡す・・・
 「ここが、フォビドン?」              いらっしゃいいらっしゃい
 「そうだよ~」         おおお客さんカコイイねドウこの壺安くしとくよ
 リリサの呑気な声が響く、しかし・・・         ただの安壺だな、いらん
 「さて、これからどうしようか・・・?」            ああ、それじゃ
 「ここの長にでも直談判に行くか?」        10個セットでこのお値段ね
 左手からのジンガさんの声に俺は口に手を当てて頭をひねる   ぬ・・・これなら
 「う~ん、でも、当てもないし・・・           ご近所にも配れる!!
  確かにそれができれば一番いいんだろうけど・・・」
 「前みたいに利用されてここまで戦争に巻き込んじまうかもしれないかもな、なら、情報収集と行こうか?」
 と、右手側に嬉しそうに顔をこちらに向けるリリサが見えた
 「なら、酒場とか?あ!食事処と両立してるところなら知ってるよ!もちろん、掲示板のあるとこ!」
 ・・・他に行くとこも無いか・・・俺はリリサに顔を向け、声を発する
 「案内してくれる?」
 「もちろん!」
 「でも、俺達と一緒にいたら危険かもしれないよ?」
 「平気平気!私、そんなに弱い女じゃないもん!」
 リリサの自信と楽しさ垣間見える笑顔、でも・・・
 「そういう意味じゃないんだけどな・・・」
 「ほらほら、こっちこっち!」                  ザザザ・・・
 リリサが町に向かって走り出す!
 俺達は顔を見合わせ、互いの呆れ顔から何の案も無いことを察すると、仕方無くリリサについていく・・・
 そうして左手の大通りから一本入った通り、右手に少しずれたところ、大通りの方を向く店の前でリリサが待っていた、
 外観は他の家よりも大きく、入口の左上には大きな鉄の棒を刺しその下にベッドと皿に盛ったご飯を模して打った角の丸い逆三角の鉄のプレートがつるされていた
 「ここ、ここ!」
 リリサに促され俺達がドアの無い扉を通ると、   BGM:食器をこする音が続く
 その先では石製の丸い机を並べた店、
 奥には陶器の器を並べた棚、その先には木製のカウンター、
 机の周りとカウンターの前には石製のイスが椅子二つ分程間隔を開け並べられ、8から9割ほどは人が入っている
 奥には頭に布を巻きシャツを着た少し年の行った日焼け肌のガタイの良い店主がいた・・・
 「いらっしゃい」
 重苦しい声・・・
 「店主!リリサだよ!」
 リリサが右手を上げ挨拶すると途端に店主の顔から力が抜け、警戒が薄れる
 「おっ!リリサちゃん!また来てくれたのかい!」
 重い声のまま、眉を上げて笑う店主
 「うん!この人たちと一緒にご飯!今席空いてる!?」
 「ああ、あっちの方に空いてるから、座ってくんな」
 俺達から見て右手の方に差した先の中央付近に、確かに誰もいない席があった・・・
 「俺はカウンターでマスターと適当に会話してみるわ、お前ら、お金はあるな?」
 「あるよ、一応」
 「じゃ、そういうことで」
 ジンガさんはマスターの前の席の一つに歩いていき、俺達は指定された席に向かう
 リリサがいることで周りが俺達を見るのが分かる、好奇や嫌悪が主だが、羨望の眼差しも見える、
 しかし、誰もそのことを口に出すことはなく食事を進めている、真昼間、酒はあるが飲む時間帯ではない、ということは、皆静かに食事がしたいのだろう、裏通りにある重苦しい雰囲気の店だから、なおさらそう見えるのかもしれない、俺達としてはそちらの方が好都合だ、
 俺達は椅子を一周するように座る
 「こちらどうぞ~」
 マスターとは違う髭の濃い男性が木の板に張り付けた紙のメニューを持ってきた、
 幸い、所持金に不具合が出るような値段ではない、
 俺達はそれぞれ適当に食事を頼むと、男性はそれを手に持った本の様な黒板にメモして奥の方に去っていった・・・
 そうして出てきた料理、
 俺は黄色く炒めた米と骨付き鳥、
 メイダさんは薄いパンのようなものに鶏肉とトマトのスープ、
 マユーカは黄色い煮豆と赤い炒め米、
 リリサは緑色のスープに四角く切った炒め鶏肉が乗った米だ
 そして、皆で食事を進めていく・・・
 ジンガさんも向こうでマスターといろいろ話してるようだし      バァン!!
 いきなり上より扉を開く大きな音がする・・・           BGM:無音
 なんだ・・・?
 見上げると、カウンター横、壁一枚を隔てて二階への階段が存在しており、
 食堂エリアの真上にある壁沿いの通路を右に進んだ先に扉が二枚並んでいて、
 その奥の方の扉が開き、誰かが出てきていた、
 出てきたのは、緑のローブで全身を覆って顔だけ出す、
 はつらつな顔をした少年・・・いや、少女か・・・ BGM:名前はロサミだよん!
 年は幼いと言ってもいいそれで、ローブには下がった犬の耳のようなものが付いているが、特に目を引いたのは両肩に掛けたベルトより背中に背負った物、
 てっきり硬質の縦長方形の背負い鞄かと思ったら違う、
 降りてきたときにそれを見たが、横にレバーがあり、なぜか中央上に小窓があり、横に三つ並ぶサクランボの絵が付いていた、
 まるでおじさんが旅行から帰ってきたときに訊いたスロットマシンのような機械だ、
 しかし、スロットマシンはカジノという所(おじさんがそこがどういう場所なのかはおじさんの奥さんのおばさんに話を中断されて結局教えてもらえなかった)にしかないと聴いたのだが・・・?
 「おい、あれ、ロサミじゃねぇか?」
 「ああ、間違いねぇ・・・」
 お客たちが一斉に見るも、それは嫌悪の目一色、俺達の時とは違い、そこに好意的なものは存在しなかった・・・
 「フィローゲル様に取り入って、何かやらせようとしているとか・・・」
 「王国と帝国の戦争に介入させようとしているって噂も聞いたぜ?」
 「新参者が・・・」
 「俺達は商売をしたいだけだ、命のやり取りも誰かを死なすのもごめんなのによ・・・」
 ロサミと呼ばれた少女は、俺達を含めた皆を一瞥するも、
 何も気にすることなく去っていく・・・      BGM:食器をこする音が続く
 「あの子・・・」
 「怪しい・・・」
 「前来た時、あんな子がいたなんて知らなかったけど・・・」
 知らなかった・・・か・・・
 俺とマユーカが放った言葉に続くリリサ、
 そこにジンガさんが口端を少々上げた少し得意顔で戻ってきた、
 「マスターからたっぷり話は聴けたよ」
 「どうだった?」
 ジンガさんは横目でさっきロサミが去っていった出入り口を見た
 「やっぱり、あのロサミって子が怪しいらしいな・・・
  さて、どうするか・・・」                    SE:閃き
 唐突にリリサが身を乗り出すほどの勢いで元気よく右手を上げ二度ほど上下に揺らし
 「はいはい!いっそのこと尾行してみるってのは!?」
 「でも、私達の姿、知られちゃったんじゃないかな・・・?」
 俺達皆が一気に注目したリリサの意見をメイダさんがごもっともな意見否定する、しかし、リリサは右手を下げながらめげずにいたずらっ子のような笑みを浮かべ、
 「それについては、案がありま~す!」
 
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