バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー/8

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー 8
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 俺達は、ロサミを追って           BGM:砂漠の商業都市フォビドン
 街中をゆっくりと歩いていた・・・
 裏路地から奥の方へと入っていく・・・
 昼間、熱いが、だんだんと夕暮れ時になり気温が下がっていく、
 そして、街はずれ、それも宮殿より離れた路地の方に入り込んでいき、不意に広い場所に出た、
 そこに、黒い鎧を着た大剣二本背に持つ青年が現れる・・・あれは・・・コウ!
 コウがロサミを見据え
 「遅かったな・・・」
 「まぁね、もっとも・・・」                      ドン!
 いきなり背中の鞄を下に置き、振り返りつつ鞄のレバーを上に引くと、鞄のなかの絵柄が
 下に回って上から出てくるように変わっていく!?   ティラティラティラ・・・
 「さて、何が出るかなっ!!」               テン!テン!テン!
 ロサミが上から覗き込む中で出た絵柄はスイカが三つ
 「それなら、ちょっと工夫してこれだ!!」
 ロサミが元気いっぱいに背を伸ばしながら右手を振り上げる!・・・すると、周りを緑と黒の歪んだ縞々の結界が覆う!
 そして、ロサミの視線が物陰に隠れてるはずの俺達の方に
 「さぁ出てきてごらんよ!この結界でもうあなたたちは逃げられない、それとも、私達の方から行っちゃおうかな!?」
 右手の人差し指を上に気持ちよく立て、俺達に口端を上げた楽しそうな笑顔見せつつ突きつけてくる少女・・・
 ・・・仕方が無い・・・
 「ほぅ、どうやら雑魚共の集まりのようだ」             SE:驚き
 「きゃーっ!あの黒髪ロングの人、かっこいいーっ!!」
 黒髪ロング・・・?あ、俺のことか・・・
 それを証明するかのようにロサミは俺の方に目を大きく見開き見ていた・・・
 「確かにかっこいいよねぇ・・・」
 なぜかメイダも顔を赤らめこちらを見る、別にいいけど・・・
 「まさか、コウがかかるとは・・・」
 今の俺は全身を覆うフードとマント、その下に黒の長髪ウィッグ、要はかつらだけど、それを付け、マントの下に緑の薄い上着を羽織り、それに背には大剣を背負っているように見えるはずだ、
 時計を鞘に納めて大剣のように見せているだけなのだが、鞘の刃の根元右に鞘に鞘内部から白銀の刃が見えるような鉄パーツをくっつけてあるおかげではたから見るとただの大剣にしか見えない
 メイダさんは青い布でフードのように体全体を覆い、
 ジンガさんも俺と同じくフードとマント、白長髪のウィッグだが、大剣の刃の一方をマントの内側にいれ、
 俺と同じような鞘を使うことでこちらもただの大剣に見せかけている、
 マユーカはローブではなく貫頭衣にズボン、肩上までの金髪のウィッグを付け、杖はデカイ杖型のケースに入れており、
 リリサもメイダさんと同じような衣装だが色は緑だ、         SE:疑問
 と、コウが疑問を抱くように俺達を見下ろす
 「ん?俺のことを知っている、それにその声・・・」
 俺達は変装を投げ捨てる!                   SE:驚き二連
 次の瞬間にはコウの目つきが鋭く変わり、武器を取らないまでも構える!
 「やはり・・・時計の!」
 「えぇええええ!?」
 コウが言い切る中で、ロサミが大げさに右手を口にかざしつつ大口開け驚いている・・・
 「久しぶりだね、まさか、君がかかるとは思わなかったよ!」
 「って、ことは、時計みたく大事なもんがあるか?それとも別の目的か・・・?」
 「いずれにしても、帝国軍が関わってるなら見過ごすわけにはいかない!洗いざらいはいてもらう!」
 俺とジンガさんの威圧の言葉にも、コウは冷静にロサミを横目で見る
 「ロサミ、失態だったな・・・」                 SE:戸惑い
 「う・・・」
 ロサミは動揺して右口端上げながら少し後ずさる、それにしても
 「でも、尾行してるってよく気付いたね・・・」
 「そりゃそんなに大人数ならね、でも、あのかっこいいのがあんなだったなんて・・・」
 一体どう見えてたっていうんだ・・・
 「ロサミ、失態は失態だった、だが・・・」
 コウが右手の剣を突きつけてくる・・・
 「こいつらを引き寄せたのは上出来だ!
  今ここで始末してくれる!!」              BGM:五芒星戦1
 コウが剣を背後に六本出現させ、走り込んでくる!
 「一刀黒曜斬!」                  (イットウコクヨウザン)
 振り上げた二刀の剣、それと連動するように残りの全ての剣も振り下ろされてくる!
 何とか盾で防ぐも、足腰が防ぎきれずに吹っ飛ばされた!?
 「敵も味方もすべて熱く!リスナーファイア!!」       ゴォオオオ・・・
 辺り全てが火の粉に覆われ、相手の足が止まり、俺の腕の力が増す!
 そのまま一気に斬り込んでいく!
 「おっと、黒曜防返壁!」              (コクヨウボウヘンヘキ)
 一本を除き宙飛ぶ剣が円状に集まり盾と化して俺の剣を受け止める!
 「しまっ・・・」
 そこで残った剣が振り下ろされ、俺は何とか盾で弾きつつも後ろに下がる
 「くそっ!」
 「スロット、スロット、何が出るかな・・・」      輝きの星よ・・・今こそ
 と、ロサミが目の前に降ろしていたマシンのレバーを引き、マシンが一つの絵柄をそろえる!
 「出ました!ベル3っつ!ベルミッツ!!」       水よ・・・空より集まり
 一気に大きなベルが降ってくる!                  我が意思に
 「うわわわ・・・!」                        ゴーン!
 思わず後ろに下がると、そのベルは地面を大きくバウンドし、 降り注ぎ我らの敵を
 空中に制止した後、三度ほど大きな音を鳴らす!    ゴーン!ゴーン!ゴーン!
 それに俺が足を止めている間にコウが走り込んでくる! 従い・・・瞬け! 潰せ!
 「スターシャイン!」    キラキラキラ・・・ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!
 「ウォータープレス!」               ダァン!ダァン!ダァン!
 星と水が足止めし、
 「鍾乳石落とし!!」
 ジンガさんが上より追撃する!
 「っち!黒曜防返壁!」                       ガァン!
 コウが防ぎつつ反撃するも、とっさに剣で受け流し避けるジンガさん!
 「スロット、スロット、何が出るかな・・・出ました!バー3っつ!」
 「バーミッツ!!」
 突如、上よりBARと書かれた黒い板がジンガさんの上から降ってきて、ジンガさんを取りかこむ!
 「ちょ、出られねぇ!!」
 「シンガさん!」
 「これは俺がどうにかするから、お前らは正面の敵に集中しろ!!」
 そう言って、ジンガさんは剣を板に振るい始めた!       ガシン!ガシン!
 「敵も味方もすべて・・・」
 「うっとぉしい!楊舞黒曜剣!!」
 剣がロサミに向かって行き、ロサミは詠唱を中断、何とか避ける!   炎よ・・・
 「スロット、スロット、何が出るかな・・・出ました!ベル3っつ!ベルミッツ!!」
 「うどわわわ・・・」
 さらに、マユーカの上よりベルが降ってきて、その音波にマユーカが吹き飛ばされる!
 「この!」
 俺はロサミに向かって走り込むが、
 「黒曜防返壁!」
 コウに入り込まれ、壁になり防がれる、 我が願いよ意志よ、その者に息吹を与える
 咄嗟に剣を振り上げ、叩きつけるが、俺の剣じゃ届かない! 我がために命じる!!
 「パワーアタッカー!」
 これは・・・メイダさんの声が響いた瞬間、力があふれる、
 「はぁあああ!!」
 そして、気合の裂ぱくと共に防壁を剣が突破する!
 「馬鹿な!?」
 後ろを反撃の大剣が通過する気配を感じつつ、俺はコウにひっ迫し、
 「空裂牙走閃!」      ビュォオオオオ!!ザシュザシュザシュザシュザシュ
 一気に上に吹っ飛ばす!
 「グォオオオ!」
 「まだだ!数素・・・「私がいるっ!!数素解放!!」
 ロサミの数素開放!?
 「スロット、スロット、何が出るかな・・・出ました!チェリー3つ!」
 サクランボが大量に振ってきて、爆発を起こす!        ドドドドド・・・
 「ベル3っつ!」
 ベルが降ってきて、地面をバウンド!                 ゴィン!
 あたりに響き渡る大音量を出す!!          ゴーン!ゴーン!ゴーン!
 「バー3っつ!」
 BARと書かれた板が大量に降ってきて
 俺たちを斬り裂く!                 ザシュザシュザシュ・・・
 「そして・・・スリー・・・セブーン!!」
 スロットマシンより赤ふち金の7が3つ飛び出してきて、あたりを光で満たしていき、その光が俺達を焦がす!
                                 ボボボ・・・
 そして7が大爆発!                       ボガーン!!
 俺達は吹き飛ばされ、倒れ伏す!
 「よくやったぞ!ロサミ!」
 「へへへ・・・」
 コウが着地しロサミの照れ笑いの声が響き、コウは俺に向かってきて両手の大剣を振り下ろす!
 俺はなんとか立ち上がり、コウの剣を盾で受け止める!
 何とか防ごうとするも足に力が入らなくなっていく・・・
 コウはテンションが上がって見開いた眼を持つその顔を俺に寄せてきて
 「フラフラじゃないか!このまま勝負を「勝負を決めさせてもらおうか?」
 聞こえたのはロサミの方、聞こえた声はジンガさんのもの!
 見ると、ジンガさんがいつの間にかロサミの裏に回り込み、その剣をロサミの首に突きつけていた・・・
 「ひっ・・・」
 気付いたのか、いつの間にか涙目になってるロサミ
 「なっ!?いつの間に!?」
 コウの問いかけが響く
 「さっきの大爆発の爆煙に紛れてな、あのBAR板、何度も呼び出せるものじゃなく、呼び出したら前の奴は消えちまうみたいだな・・・」
 コウが気を取られてる間に、コウの剣を盾で押し返す!
 「ロサミ!レバーを引け!」
 ロサミが無理矢理レバーを引く!
 「ス・・・スロット、スロット、何が出るかな・・・・・・」「おい!下手な真似したら首を」「出ました!チェリー3つ!!」
 辺りをサクランボ型の大量の爆弾が降り注ぎ、
 その爆煙が消えたころには、コウとロサミは消えていたのだった・・・
 「逃げられた・・・」                      BGM:無音
 「やぁやぁ、よくぞ彼女の正体を暴いてくれました・・・」
 と、いきなり物陰より一人の人間が出てくる、
 肌が黒く、この地方特有の格好をして髭を長く伸ばした青年・・・?
 口元を白い布で覆ったその顔は好意的かつ俺達のことを油断無く見て目を閉じかけるほどの顔を浮かべ
 「私、ディバーソンルと申します、主に命じられ、あのロサミの身辺調査をしておりました・・・」
 「は・・・はぁ・・・」
 「あなた方がいなければ、私の尾行も見破られ、危うくあの数素武器で殺されるところでした・・・」
 「え・・・えぇ・・・」
 いきなりの展開に曖昧な言葉しか出ない俺
 「つきましては、我が主と会ってもらってもよろしいですか?」
 どうすべきか、皆に目線を送る・・・
 「俺は構わねぇよ」
 ジンガさんがいつもの調子で返す
 「私も・・・」
 メイダさんは少し不安そうな声
 「ぼ・・・僕も・・・」
 マユーカは戸惑い気味の調子
 「私も私も!」
 リリサは右手を上げながら上下させるぐらい元気よく・・・か
 俺は皆に向かって一つうなずき返し、ディバーソンルさんの方に目線を戻す
 「構いませんが・・・その前に・・・」
 「その前に?」
 「その前に・・・レンタルしてた衣装、返してこないと・・・リリサと懇意にしてた店から借りて変装してたもんですから・・・あとそれから・・・」
 「それから?」
 これだけは言っておかないと・・・
 俺は決意で持って、先を言う・・・
 「約束してください、戦争を起こさない方向で話を進めるって・・・」
 「・・・それは主次第ですね、今ここで約束はできません、それでも?」
 「わかりました、主さんと直接話します」
 「ではこちらに・・・」
 そう言って、右手を案内するかのように上げて振り返るディバーソンルさんに、
 俺達は付いて行ったのだった・・・
 ・・・                  BGM:砂漠の商業都市フォビドン
 俺達は砂の宮殿の内部に案内されていた、
 その最上にある金のような色をした左右にバルコニーの付いた真四角な部屋の少し奥では、長く真白い装束に体を包み、床に紫を主軸とした鳥の羽のような金細工の模様入りのカーペットを敷いて座り、
 頭の巻き布に根元に赤い楕円の宝石を付けた羽毛を模した金細工を付けた老人がいた・・・
 そこでディバーソンルが部屋中ほどでその人に向かって頭を下げ
 「ロサミは帝国軍と通じておりました」
 老人の目線がディバーソンルに注がれる
 「ふむ、良い者を見つけたと思ったが残念だ・・・して、その者たちは?」
 言いながらこちらを見渡す老人・・・
 「ロサミが帝国軍と通じていた場面に居合わせたものです、どうやら、その者達と対立しているらしく、事情をある程度把握してそうでしたので・・・ほら、お前達、座れ!!」
 俺達はおとなしく座る、胡坐をかいたりペタン座りしたり・・・
 でも、事情を知っていると言われてもな・・・ここは訂正しないと・・・
 俺は改めて老人の方を見て声を発する
 「ロサミが会っていたのは帝国軍特殊部隊のコウというものです、数素武器を集めている、ということぐらいしか俺たちは知りません」
 と、一気に老人の細めた目の目線が俺達に向けられる
 「ほう・・・では、おぬしたちの数素武具も奪われそうになったと?」
 「はい、正確にはその時には俺しかいなかったので、俺の数素武具だけですが、俺はなんとかその場は逃げだしたのです」
 「ふむ・・・」
 黙って目を伏せ何かを考えかけてるな、迷惑かもしれないけど、訊けるときに訊かないと・・・
 「あの・・・?」
 考えかけ伏せかけた目線が俺達に戻る
 「なにかな?」
 「まさか、戦争に加担しようなどとは・・・」
 「噂になっている、王国軍と帝国軍の・・・かね?」
 さらに目線が細まり、厳しいものになる
 「はい」
 「いいや、わしは加担せぬよ・・・止めるために尽力しよう、ただし・・・」
 「ただし?」
 「その過程でわしが何をしようとも、わしを信じること・・・」
 「ええっと・・・そう軽々しくは・・・信じかねます」
 そう言った瞬間、ディバーソンルさんが一気にこちらに振り返り、その強め細めた目から非難の目線を見せる
 「おまえ!フィローゲル様に向かって!」               バサッ!
 しかし、その老人は右手を大きく開いて前に出しディバーソンルさんを制し、ディバーソンルさんが気付いたように目を見開き動きを止める
 老人はディバーソンルさんと俺たち全員を見るように目線を向け
 「よいよい、そう簡単に信頼できるわけもない、しかし、これだけは覚えておいてほしい・・・」
 俺は老人、フィローゲルさんの方を真正に見る
 「・・・なんですか・・・?」
 フィローゲルさんも視線を真正に返してきた
 「戦争はそう簡単に止められるものではない・・・とだけな・・・」
 「・・・わかりました・・・」
 「では、話はこれでいいかな?これでも忙しい身でね・・・」
 「はい・・・」
 俺達は苦々しい思いを抱えたまま・・・宮殿を出る・・・
 「で、これからどうするの?ここにいる?」
 街中で左手の方から来たリリサの問いにそちらを見て答える
 「いや、その前にマユーカが言う魔術大学に付き合おうと思う・・・」 SE:疑問
 見上げる視線、不思議そうに見開いた目を瞬きし
 「どうして?」
 「鍵と時計が何の意味を持つのかを知りたい、それによってこの旅の意味も変わってくると思う・・・」
 「ま、あの爺さんが信頼できるかは知らんが、少なくとも知識が必要なのは確かだな・・・」
 ジンガさんの声を聴きつつ右手のメイダさんの方を向く
 「メイダさんもそれでいい?」
 メイダさんは特に変わらぬ調子だ
 「私もそれでいいわ、鍵がデカいお宝になるなら、これ以上のものはないもの」
 「決まりだね、それじゃ、一路魔術学院へ!!」
 おーっ!
 皆で右こぶしを振り上げ、
 魔術学園を目指すことになったのだった・・・    SE:ワールドマップへ移動
 
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