バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

魔石物語/3

魔石物語 3
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 

 
3 堕天使のブローチ1
 
 「すみません、天使のブローチ下さい」
 「はいはい」
 私がカウンターの中端っこで見守る中、茶色のツインテールの女の子に、
 木彫りで天使が描かれたブローチを渡す店主、女の子が朗らかな笑顔に変わる
 「ありがとう!はい、代金です!」
 右手に握っていたお金を手渡し、店主も受け取りながら穏やかな笑顔を浮かべる
 「毎度!またいらっしゃい!」
 「はぁ~い!」
 少女が元気と幼げの混じった返事を返すと振り返り、出入り口に向かって走り、ドアを押し開け、去っていく・・・
 「天使のブローチですか、懐かしいですね・・・」
 そのままドアが閉まる中で私は店主に懐かしさで穏やかな気持ちで問いかける
 と、店主がどこか得意気に右口端を少し上げながら私の方を見る
 「あら、あなたもあれを付けてた時期があったの?」
 私ははっきりと返す
 「いいえ、木片に天使の絵を彫って道具屋に売りつけてました」
 店主は少し面食らったのか少し目が泳ぐ
 「まぁ、それだけでも一応天使のブローチなんだけど、一応私の所は知り合いの聖職者や審問官に防御の祝福の一つも付けてもらってるわよ」
 「へ!?そうなんですか!?」
 あれってそういうまじないを付ける物だったのか!
 「それでも誰かが天使の絵を彫らなきゃいけないのは事実だからいいんだけどね・・・」
 店主は目が泳いだまま少しあきれ気味だ
 私は店主を見つめたまま少し納得し声を発す
 「そうなんですね・・・」
 すると、店主が何かを思いついたのか私を真正面、から少し斜めに見つつ目を見開き得意気に
 「そうだ、一つ小話をしてやろう、お前が天使のブローチと間違えて人に売らんようにな・・・」
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――