ハーフビースト:ハーフヒューマン 20
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20
「ったく・・・」
体中に火傷が、ひどいな・・・
「医者に行きたいけど、そうも言ってられないか・・・」
幸い、怪我はひどいが体力は余り消耗していない、
すーはー・・・よし!
深呼吸して部屋中央の階段の前まで歩き、階段をゆっくり上り始める、
その内、床が小さくなってきた・・・
まったく、どこまで行くんだよ、高所恐怖症なら死ぬぞ、これ・・・
と、その先に誰かが見えてきた・・・
「よく来たな、半狼、狼居、真斗よ・・・」
そこにいたのは、赤クッションの黄金の玉座に座る半竜の全裸の男、
半身は灰銀竜になっており、腹から首にかけての部分は白銀、それ以外は灰銀の鱗と甲殻に覆われ、
竜独自の角や甲殻が鋭く後方に伸びた爬虫類の入った迫力のある顔、背中から伸びる片翼、
もう一方はスマートさすら感じる筋骨隆々の肉体に、凶器すら感じる顔立ち、白眼の男・・・
「あんたがここのボスか?俺に付きまとうのやめて欲しいんだけど?」
「断る」
なんでだよ・・・
重厚で威厳のある声に思わず気圧されそうになるが・・・それでも反論する!
「俺はたとえここの兵士になっても真面目には働かないぞ?俺の迷惑にならない限りはあんたらの邪魔もしない、それなのに嫌なのか?」
「そうだ」
竜の男は不気味に左口端上げ笑う、
「どうして・・・」
「俺は神になる男だ・・・」
言っている意味が分からない・・・
「まさか、世界征服して神になるとでも?」
「そうだ、わかっているではないか・・・」
当たってしまった・・・
「だが、神になることと俺を狙うことにどのような関係がある」
「私は選ばれこの半身を持つにいたった・・・」
ええ、自分語り・・・
「私は格闘技界で圧倒的な実力を持ち、チャンピオンの地位をほしいままにしていた・・・しか~ぁし」
・・・
「私は対戦で人を殺し、周りから蔑まれ、格闘技界を追放された」
追放された時もこんな態度だったんだろうなぁ・・・
「そんな時だ、私はこの半身を手に入れた!!」
竜の半身の手を思い切り握り込む!!
追放された時辺りに半人半獣になったと・・・
・・・男の顔から笑みがこぼれていく・・・
「私は歓喜した!神は私を見捨てていなかった!この半身を持って神となれと言っているのだ!私のやり方、即ち、世界の全てをなぎ倒してでも!!」
「それと世界征服に何の関係がある!!」
「私は、相手と、最大の力量で持って戦いたい、今までは格闘技の範疇だったがこれからは違う!!」
笑みこぼれる顔から目力籠る威圧的な顔へと変わる・・・
どういうことだ・・・?
「相手の最大の力量、即ち!相手が戦車だろうが戦闘機だろうが核だろうが持って来ても私は戦う、そして、そうさせるための世界征服だ!!」
え???
「私が世界征服すると言い、それにたる力を示せば、相手は私に本気でかかってこざるを得ない!!」
・・・なるほど・・・
「つまり、俺に最大の力を出させるためなら、付きまといもじさないと・・・」
「その通り・・・」
くそったれ!!
竜の男の笑みすら浮かべる威圧ある言葉に、俺は憤る・・・
その間にも竜の男は威厳たっぷりにゆっくりと立ち上がり
「では、行くぞぉ!!」
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