御前教会の真実 ダブモン！！２話／０８
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ところ変わって教会の居間だ、中央を縦奥に貫く礼拝堂の左手側にあたる、この部屋は礼拝堂に沿う様に存在し、奥側にある扉の無い通路、壁一枚隔てた先には礼拝堂に通じる扉と通用口のあるキッチンもあり、左手には上に行く巻き階段があって、その先の二階は住込みのシスターの住居になっており、礼拝堂を挟んで反対側は資料室や教職者長の住居となっている、
その煉瓦の壁と、木の床と天井の空間の中、木で出来た簡素な机と椅子、
私とマリアナはその椅子礼拝堂側に並んで座り、リビエーラ教職者長と向かい合う、
私はおもむろに鞄の中から封蝋の手紙を取り出し、教職者長に差し出す
「どうぞ」
「拝見いたします」
赤い蝋溜まりに私の以前の上司の名と年月日が版で押された手紙を取り、
それを慎重に開け外すと、中にある手紙を右手で取って開け、一読し
「確かに、辞令を受け取りました」
「わぁあ～」
いきなりキッチンの方から湧いた声に、思わず全員の視線がそちらの方に向く、
すると、いつの間にか複数人のシスターがこちらの方を覗き込んでいるのが見えた
「こら！あなたたち、持ち場に戻りなさい！」
教職者長の一喝に、残念そうに戻るシスター達、
「すみませんね、騒がしくて」
「いえいえ・・・」
神職の婚姻などさしてめずらしくも無いのだが、やはり、このような田舎の村ではこれ一つでも娯楽なのだろう、
この村は一見すると教会と民家が神殿の前の道沿いにあるだけに見えるが、
それはやはり女神の神殿の前にある村というので見栄えを重視しているためであり、実際には森の中にいくつもの畑が存在し、そこで農業を行っているものがほとんどだ、
現にこの教会もそうである、真後ろの木々の奥に畑がある、そして、人口ゆえかシスターや神職も数えるほどしかいない、
では、村や教会に不自由がないのかと問われればそんなには無い、
降りればすぐに大きな町があり、運び賃が要るものの荷馬車が一日に一つ定期で往復していて、
教会の方では、村に信心深い者が多く、読み書きのみならず聖書の空読みが行えるものも少なくないため、
そのような信心深い人に肉体労働やシスターとしての仕事を手伝ってもらっているのだ、現に今の子たちの中には村の少女もかなりの数混じっていた、
都会の方では文字の読み書きすらおぼつかない人間もいるというのに・・・
と、そんな村においてマリアナはこの教会の数少ない正式なシスターである、故に私は彼女に近づく必要があったのだが・・・
「さて、これからどうしますか？結婚式の打ち合わせでもしますかね？」
「きょ、教職者長・・・」
「ハハハ・・・それもいいですが・・・」
私はここで切り出す、正直、他の事の方が気になるが・・・
「私は明日からでもこの教会で教えを説きたいと考えています、改めてこの教会独自のしきたりを教えてもらい、それと、教会の内部と敷地を一通り見て回りたいと、見識が足りなくてもいけませんので・・・」
「もう何度も回ったのでは・・・？」
「心配性でしてね、それに、回ったと言っても、せいぜい礼拝堂と、後はマリアナと逢引き・・・あ、いえ、ははは」
「まったくもう・・・」
またもマリアナが顔を赤くする
「わかりました、しきたりの方はあまり思いつきませんので、とりあえず明日まで整理いたします、まず案内を先に、案内は・・・マリアナでいいですね？」
「はい」
「わかりました」
思わずマリアナと見つめ合い
「そうだ、アントイワン、君はどうする？」
ここで今まで壁に背負もたれかけ黙っていたアントイワンにようやく声をかける、
が、アントイワンは興味なさげに、キッチンの通用口の方に向かって行き、ガチャと、扉の開く音が響いた
「ハハハ・・・興味なかったみたいですね、それとも、気を効かせてくれたのかな？」
「フフフ、そうかもしれませんね」
そうして、僕とマリアナは笑いあった・・・
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