忍者マウンテンサイクリングレース 4
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「さすがだな・・・輪蔵・・・」
「はっ!ありがたき幸せ!!」
片膝をついた姿勢より、前で座布団の上で正座しているちょっと髭の生えた袴和服姿の上忍に頭を下げる、
下と壁が濃い色の木の板の和室である
「正体も悟らせずに任務を達成するとは・・・」
「これも上忍様と情報を集めてくれたお館様と里の仲間のおかげ・・・」
「うむ、その謙虚な心、これからも忘れるでないぞ、では、報酬はあとできちんと振り込んでおく」
会話を終え、立ち上がって振り返り、歩き出し木のドアから出ていく、
右手のロッカールームより自分のロッカーに忍者装束を入れ、シャツとジーパンの恰好に着替え、
ロッカールームを出て廊下の先にあるもう暗くなったカウンター付きの広い事務室よりガラス戸を開け出ていく、
背後を振り返る、大きめで白い漆喰で出来た四角い建物、
各階に一定間隔で窓の付いた建物、
そして、建物の上左角に着いた縦長方形の看板には「一閃林業」と書かれている、
そう、忍びの組織は都合上、表向きは林業の業者ということになっている、
森の中に忍びの訓練場があってもきちんとした理由で森一帯を私有地として立ち入り禁止区域に出来るし、
トラックや様々な機器があっても怪しまれない、
報酬なども給料やボーナスとして振り込めば怪しまれることもない
国側も依頼主の一部なので隠蔽にも協力的だ
「あら、久しぶりね」
ぬ・・・背後より聞き覚えのある女の声・・・?
振り返ると、そこには茶に染めた長い髪の女性が立っていた、
緑のセーターを着こみ、長ズボンをはいている、どこかファジーな雰囲気の女性
「大人気グラビアアイドル様がこんなところで何をしている、丹」
「つれないわね、せっかく帰って来たのに」
「お前の故郷はここの県庁所在地だろう」
「それは偽装した生まれだって知ってるでしょうに・・・」
その声には少々の呆れが混じっているように聞こえた、
こいつは丹、今や大人気グラビアアイドルでここの生まれ、
生まれを偽装しているのは芸能人のここが生まれだと知れると人が来るかもしれないからだ、
この村は山奥であまり交通もよくなく人も少ないが現代では隠れ里など作りづらいので
普段は普通の村を装っているのだ
「悪いが、次のレースの応募締め切りが迫っている、ネットで登録できるが、確か日をまたぐぐらいの時間だったはずだ」
「相変わらずの自転車馬鹿ね」
「何?」
丹の後ろから両手を後ろで結び前かがみで顔をのぞかせたのは、青みがかったような黒髪のツインテールで青いサイズが大きめのパーカーと長ズボンを着た可愛げのある雰囲気の年下の女、
「大人気アイドルまで里帰りか?」
「そうだよ、輪蔵」
彼女の名は藍、アイドルをしている女子高生だ
「有名人が二人して帰省か・・・」
頭が痛い、目立たないようスケジュールをちゃんと管理しているのだろうか・・・?
「なによ!せっかく帰って来たってのに!!」
「この里が目立つような真似をするなということだ」
「それは・・・わかってるけど・・・」
何故か言葉が詰まる藍、
その表情はどういうわけは心配するかのように目と眉が曲がっている
「済まないが俺は帰って次のレースに応募せねばならんいつまでいるかつもりかわからんが、任務に支障はきたさぬことだ、いいな」
言って、俺は自転車置き場に走り、自転車のチェーン式の錠を鍵で外し自転車に乗ってに乗って家路を急ぐのだった・・・
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