忍者マウンテンサイクリングレース 15
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
15
「おい!まだ見つからんのか!!」
「はっ!どういうわけか影も形も見当たらず・・・」
白電球1つの暗い地下室で白シャツにズボン、金に宝石のアクセサリをいくつも着飾った金の口髭に禿げ上がった太ったおっさんが
頭を下げる軍服を着た男を怒鳴り散らしている・・・
「くそっ!計画が台無しではないか!!こうなれば死んだことにしてそれを理由にわしにたてつく者たちを一掃してくれる!!」
「やはり」
「裏があったか・・・」
「誰だっ!」
ドア一枚分の出入口より忍び装束纏う我ら、俺は自転車に乗って、転五は駆けて突入し、おっさんと軍人と対峙する
「忍びを図るとは、どうやら恐れを知らぬ様子」
「その傲慢、ここで裁いてくれよう」
男が大声で我らに叫ぶ
「忍びだと!?護衛を依頼したくせに姿を消した奴らか!?娘と一緒に死んでいればいいものを!!まぁいい、貴様らを捕らえ、娘の居所を吐かせてくれる!!出会え出会え~!!」
「時代劇か・・・?」
「だが、我らも忍びたれば忍びの掟に従わねばならぬ・・・」
出入り口より軍人が殺到しこちらに銃を向け撃つ!
「甘い」
俺は自転車を振り回し弾丸をはじき返す、
それだけで軍人が倒れて行き肉壁となり通路を塞ぐ
「ば、馬鹿な!?」
「簡単な跳弾だ、現代兵器の対策が無いとでも思っていたのか?」
目を見開き驚く男に俺がご丁寧に説明する、と、男が歯を食いしばり
「ぐ・・・」
「なれば私が・・・」
おっさんのそばにいた軍人が軍用ナイフを持ち襲い掛かってくる、
しかし、
「遅い」
転五のサバイバルナイフを使った一撃に、倒れる
「なに、強力な麻酔薬を塗ったものだ、そう簡単には起きん」
「おのれ!」
俺はおっさんに向かって宣告する
「貴様の失策は我らに策を伝えなかったこと、そして、規約にある我らにむやみな危害を加えない、及び、危険性がある場合はその可能性を事前に伝えることという規約に違反したこと、さらに、前科の存在から悪質性があり里に仇なす可能性が高いと判断、里はおぬしに死の刑罰を与えることに決定した、これは決定事項であり覆ることは無い、行くぞ転五」
「わかった、輪蔵」
俺と転五の拳銃の連射、
さらに倒れる中でサバイバルナイフを俺が心臓に、転五が頭に突き刺し、
心臓が止まったことを確認、
さらに持って来た懐に入る大きさの鉄缶を取り出し鉄缶の蓋を回し開け中の油をかけ鉄缶を閉め、木箱の見た目の木と発火剤の仕掛けを置き、
俺達は出入り口に走り一気に走り拳に思いっきり力を込め真っ直ぐに古い
死体の肉壁を吹っ飛ばし
俺は持ってきた自転車に乗り、背に立った転五を乗せその場を高速で去っていくのだった・・・
出てきたところで出て来た深夜の城と館の中間あたりの大きさの家の右側に一角で大きな火が燃え上がる、
むろん、さっきの証拠隠滅のための仕掛けである
数日後、我らは変装用の普段着のような恰好で空港に来ていた・・・
真っ白な待合いの大きな窓ガラスの向こうには青空の下たくさんの飛行機が飛び立ったり降り立ったりしており、
この国にしては珍しく白く清潔感のある空間だ
「護衛の期間が伸びたが大丈夫か、転五?」
「問題無い」
正面の転五の側にはあのお姫様がロングスカートと上着というごく普通のいで立ちでいる、
何故か転五のズボンを強く握っている
「我らが父親を殺したというに、よくわれらの護衛を受け入れたものだ」
お姫様は顔を俯かせ
「問題は・・・ありません、父様が悪かったのですから」
彼女はこれから亡命同然に他国に留学という形でこの国から逃げる、
そして、転五はその護衛というわけだ、
護衛費用は彼女の兄からもらっている、
父親の行動に彼なりに妹の身を案じていたようだ、
彼の行動でこれからこの国も良くなっていけばいいのだが・・・
と、転五がお姫様を見降ろし
「さっきも言ったと思うが、怖いのであれば我でなくてもいいのだぞ?護衛対象に怖がられる趣味は無い」
「怖くはありません!」お姫様は転五のズボンをさらに強く握る
まぁ、護衛対象がそう言うのだ、問題あるまい
「では転五、俺は国に戻る」
転五が俺の方を目に力込め真正面より見る
「ああ、大会には誰かに交代してもらう、大会以外ではお前に交代してもらうこともあるだろう」
「ではその時まで」
「ああ、さらばだ!」
こうして、転五はお姫様と共に飛行機に乗って行く、
さて、俺も飛行機に乗り国に帰らねば・・・
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――