バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

戦獅との決着/5 カードゲーム小説WカードFu

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カードゲームライトノベル Wカードフュージョン15話 戦獅との決着5
 
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 「にしても、遠い・・・」
 ロボット達の会話に見切りをつけ、数十分、
 一様に入口側に向かって走っているのだが、一向にそれっぽいところに到達する気配は無い、
 というか、他のゲリラの姿も一向に見えない、散っているのか、集まっているのか、
 どっちにしたって危ない状況じゃ無ければいいんだけど・・・
 「中央に向かっているのは、私の機器からでもわかるんだが・・・」
 と、今度はカーディン
 「こうも変わり映えの無い景色だとな・・・」
 確かに、もしかしたらそういう目立つものは閉まってしまっているのかもしれないけど・・・
 「中世の時代、城というものは共同生活の場でもあったという、城主の王や殿はもとより、その家族、それに使えた貴族や家臣や大臣、その生活を助ける給仕や女中、それらを守るための軍人、兵士、武士などが一つの場に住み、それぞれが部屋を持って生活していたと言われる、だが、これは・・・」
 「ほとんどもう、街だよね・・・」
 「都市と言ってもいいかもしれない・・・」
 外から見てもそれぐらいあった、とてつもない大きさである、カーディンがいるのならともかく、歩きで一周するとかになったらどれくらいかかったのやら・・・殺風景なのもあるかもしれないが・・・
 非戦闘員はここの規則正しく建っている部屋の中に避難していると分かったが、戦闘員たる見張りにも一体たりとて会わないとは、それだけ戦闘を行っている場所に集まっているという事だろうが・・・
 あれ・・・?
 先の方、左右に向かう通路が妙に広い場所がある、今まであんな場所なかったのに・・・まさか!
 「カーディン、あの通路・・・」
 「どうやら、あのあたりが入り口から通じている場所だな、もしかしたら敵がいるかもしれない・・・」
 「ちょっとスピード落として、先の方を見てみよっか・・・?」
 「そうだな、そうしてみよう」
 そのまま、先の方に進み、角の所まで来る、
 そこは、大きな通路、恐らく、巨大なロボットでも行き来できるようにだろう、車なら三十台は、人にいたっては百人は横に並んで歩けるような通路だ、
 上を見ると天井が見えないほど高いのがわかる、ちょっと高すぎる気すらする、
 黒を基調とした左右の通路とは違い、全体的にクリーム色がかっていて光にあふれ、やわらかい印象を受ける、通路の造形も、シンプルな同じ色の壁紙に、一定間隔で壁に埋められている薄灰色の柱、
 床は高級感ある黒目の石材と、入口に当たる場所だからなのか印象が大分優しい、
 もっとも、この印象はここだけかもしれないし、もしかしたらここにはもっと違う印象の場所もあるのかもしれない・・・
 右手の方を見ると、遠くの方にちょびっとの扉が見えた、入口の黒金の扉、たくさんの渦の模様があったアレである、その裏側だろうが・・・門番は今何してるのか?出撃してるのか門番してるのか・・・
 もっとも、その扉よりもこの通路の方が広い印象も受けるけど・・・
 そして、左手の方、先の方に何があるのかは見えない、なぜか、単純明快、僕の視力じゃ先が見えないから、
 延々と壁と壁に埋められた柱とここと同じ左右への分岐路が見えるだけである、一体どんだけ広いんだよここは・・・
 でも、前に見えてた背景壁も見えないが・・・光のせいで見えづらくなっているか、壁以外の物になってるせいでそう認識できないだけな気もする、でも、壁じゃないということは、少なくとも先に行けるかもしれないという事でもある、
 ん~?でも、何か、それ以外の違和感を感じる、気のせいだろうか・・・?
 「カーディン、ちょっとカードの整理していい?」
 「しておいた方がいいだろう、奥の方から銃声らしきものが聞こえる」
 「銃声!?」
 「あくまでらしきもの、だ、本当に銃声かどうかはわからんし、それに・・・」
 「それに・・・?」
 「デッキをきちんと整え、勝率を1%でも上げることこそ、皆への貢献になるのではないか?」
 「確かに・・・そうか、じゃあ、ちゃっちゃとやっちゃおう!」
 右手でジャケットの左内ポケットからデッキケースを取り出し膝の上に置き、
 後ろの後部座席の足元にある鉄色のショルダーバックを静かにひっぱり出して、
 上のチャックを右手で左手側から反対側に開けて、その手でショルダーバックの中から鉄色のカードアルバムを取り出し、
 ショルダーバックはとりあえず足元の床の方に置いて、右手にデッキケースを取りつつ左手でカードアルバムを開き、
 その左手の親指をデッキケース前部横に入れ、デッキケースを開き、デッキケースを左手に持ち直しつつ中のデッキを右手で持って取り出し、デッキのカードとカードアルバムのカードを見比べ始める、
 えっと、このカードは要らないよね、こっちは要るけど、このカードはこのカードと組み合わせて使うから入れといて・・・
 ・・・そうやって、カードをデッキケースとカードアルバムから入れ替えたり、どちらか一方から抜いてもう一方に入れたりしてデッキを組み上げて行く・・・
 この先、どんなのが出てくるのかわからない、一番怖いのはやはり・・・
 出来れば、会わずに済ますのが一番いいんだけど・・・いや・・・
 そんなことを考えつつデッキを組み上げて行き、自然と、そのデッキは完成した、
 「よし!」
 右手に持ったそのデッキを、左手に持ったデッキケースに入れ、右手親指でデッキケースのふたを閉じてデッキケースを右手に持ち替え、ジャケットの左内ポケットに戻す、
 そして、カードを入れ替え抜き取ったり追加したりしたカードアルバムを両手で持って閉じ、ショルダーバックに入れ直して、
 ショルダーバックのチャックを右手で閉じてそのままバックを両手で持って後ろに戻し、正面に向き直る、と
 「行っていいか、双歩?」
 「いいよ、行こう」
 「それと、ここからはカラーリングをといても?」
 「わかってる、味方に狙われるわけにはいかないからね・・・」
 かくて、カーディンは自身をパトカーカラーに戻しながら直進し、助手席側に曲がり、この城の中心に向かって、一直線に走って行くのだった・・・
 
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