カードゲームライトノベル Wカードフュージョン15話 戦獅との決着6
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ふぅむ・・・」
奥に進むほど、まわりの光量が減っている感じがする、
周りの景色も、クリーム色のそれではなく、重く白い、灰色の感じがしてくる、
と、いきなり壁の方も、壁紙っぽいのから、中世の城壁のように、石材が積み上げられた物になる、
どうやら、やわらかい雰囲気とかはこの城の城主の趣味ではないようだ・・・
あ!先の方に人だかり・・・というかロボットだよね、あそこに集まって何してるんだ・・・?
「カーディン!急いで!!」
「わかった!」
カーディンがスピードを上げ一気に走り、近づく、
近づくにつれ、状況がよく見えるようになってきた、
まずは手前の人だかり、
これは予想した通り、ここに乗り込んできた人たちだ、一様に濃い色の汚いフードつきのマントを着て、その手にサブマシンガンや拳銃など、様々な銃を持っている、
フードでよくは見えないが、身長や体系がバラバラな事を察するに、老若男女がいるに違いない、中身も前見た通り、体のどこかに機械のような特徴をそれそれ持つのだろう、
さらに、そのすぐ前、人だかりを統率する場所にはジャルーソがいた、
サングラスをかけた筋骨隆々大男であり、逆立った砂漠色の髪を持ち、体には緑のタンクトップを着、
下の方には迷彩色のズボンをはき、肩から腕の筋肉には内部の機械を露出させるような線が九十度ずつ前後と外側を向いて付いていて、
その右手には、周りよりも若干大型なマシンガンを持っている、
が、問題はその前で彼らと相対している一対の存在、
そこにいたのは金銀の逆立つ髪持つ少年と鋼の白獅子、
その少年は目つきは悪く、金と銀が混ざったような瞳で上面のジャルーソを見据えており、
羽織ったボロボロのマントの下には、まるで青い布かビニールのような上下一体型の袖なしで長ズボンの衣を着、
両手には人間の骨格を意図して作ったであろうメタリックな鉄の小手を付け、
両足にはやはり、小手と同じように人間の骨格を意図して造ったであろうごとき鉄のブーツを履いており、
腰には皮のベルトを巻いている、
一方の、その少年の後ろに控えてジャルーソ以下の集団をにらむ鋼の獅子は、
その身を白い鋼の外骨格で覆われていて、黄金に煌めくたてがみに、同じく黄金の色をした爪を持ち、
口元には鋼の牙を備え、さらに、爪やたてがみと同じ黄金のようなパーツを先端に持つ尾、
それに、その両眼には赤い機瞳を持っており、両前肢付け根から同じく両後足の付け根にかけ、それぞれ、金の翼が描かれている
間違いない、獅子堂 レオンとレオリング・メタルだ、やっぱりこの城にいた!
「お前達は手を出すな!」
ジャルーソの声が響き渡り、そのジャルーソが左肩の方からチラリと後ろの皆の方を見る
「こいつは俺がやる」そして、正面に向き直った
「ずいぶんと余裕だな」今度はレオン君の声
「一人で僕達と殺り合えると?」
「無論だ」ジャルーソが両手の銃を間断無くレオン君に向ける!
「貴様を倒し、皆の悲願を達成する」
「おもしろい」レオン君がゆっくりと一歩前に出た
「レオリング、こいつは僕一人でやる」
「グルォォオオオ・・・」レオリングがどこか心配そうな声を上げながら慎重に後ろに下がった
「なめるな!!」ジャルーソが銃の引き金を引き、マシンガンの先から火が噴く!
ダダダ・・・
対して、レオン君は左手をなぜか素早く様々な場所に動かすのみ、一体・・・
と、そんなこんなしている間にジャルーソが銃のトリガーを引くのを戻し、銃を撃つのをやめ
「ど・・・どうだ・・・?」
半信半疑のままレオン君に問う、
いくらレオン君に装甲があろうとも、ジャルーソの銃はその装甲を貫通する、が、レオン君には全く効いている様子が無い、
変に問うような格好になるのも無理からぬことだろう、が
「それだけか?」
レオン君は無感情にそう言ってのけ、左手のその握った拳をジャルーソ達に見せつけるように突き出し、開く、
そこから、幾多の小粒の鉛玉が床に落ち、弾けた
バラララ・・・
「ば・・・馬鹿な・・・」
鉛の弾の軽い音が引き渡る中、ジャルーソの驚愕の声が聞こえた、
そりゃそうだ、あの鉛玉は、恐らく、今さっき、ジャルーソが撃っていた弾丸そのもの、
それを全て、あの手の平で受け止めたのである、
が、全く効いていないわけではない、
現に、その左手の平に付けた小手の、手の平をガードするための鉄板部分はボロボロになり、中をかなり露出させるほどの大きな穴まで開いてしまっている、
もっとも、問題なのはその先の手の平がまったく傷ついていないことなのだが・・・
「今度はこっちの番だ」
レオン君が声を発した次の瞬間
「なっ・・・」
すでにレオン君はジャルーソの前にいた、ジャルーソが驚嘆の声を上げたのも無理からぬことだろう
そして、
「ぐほぉっ・・・」
レオン君の右手は、ジャルーソの胴の中央を貫いていた
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――