バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

策謀の中の少女/12 カードゲーム小説WカードFu

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カードゲームライトノベル Wカードフュージョン11話 策謀の中の少女12
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 おっし、それじゃあ、まずは、何のカードも置かれていない右手側のチャージゾーンに向かって、
 「リチャージ!」
 「どおりゃああ!」
 ガガガガ・・・
 今だにあの牛野郎のガトリング砲が火を噴いている、今はうかつにカーディンの後ろから離れるわけにはいかないな・・・なら!
 右手を山札の一番上のカードにかけつつ、引くっ!
 「ドロー!」
 「どうしたぁああ!」
 ガトリングの弾丸がカーディンの体に弾かれていく!
 「ぬぅううう!」カーディンがつらそうな声を上げた
 「カーディン、大丈夫?」
 「今は問題ない、だが、このままだと・・・」
 「その前にあの砲撃が終わってくれればいいけど・・・カーディン、いざって時は僕の事は無視して突っ込んで!」
 「だが、それでは・・・」
 「たぶん、行けると思う、ガトリングをずっと乱射してるとも思えないし、他の人達もそれでいいよね!」
 「え・・・?」
 「仕方がないのう・・・」
 「長老!?」僕が声を聞き一瞬だけ後ろを見ると、ナユタさんがあわてて長老の方を向いている所だった
 「ナユタ、この二人、ずいぶん自信満々じゃ、何か確証があるんじゃろう、そうじゃな?」
 「はい」
 「ああ」
 カーディンと共に答え、僕はあの牛者の方に向き直る
 「は・・・はぁ・・・」後ろからナユタさんが思わず出したであろう呆れた声が聞こえた、
 さて、今引いたのはバトルマシンズ カーディン カーモード、
 で、残りの手札はバトルマシンズブースト、バトルマシンズ スケルトンキューブ、バトルマシンズ ライフブレイカーS・L、バトルマシンズ カーディン ロボモード Vol2、バトルマシンズフルブースト、
 よし、この手札なら、まず、今引いたばかりのバトルマシンズ カーディン カーモードを1番に裏側で置き、
 続けて、こいつを左手の手札から右の手で引きチャージゾーンに裏側表示で置いてっと、
 「セット!」
 「ちぃ!らちが明かねぇな!」
 牛の奴がガトリングを止めて周りを見渡す、と、何かを見つけたように右手の方で視線を止め
 「お!あいつらから、殺りゃいいんじゃねぇか?」
 「父さん!母さん!」
 牛の奴が見た方にいたのは、ボロボロのマントを羽織った筋肉質の男性とお腹の膨らんだ長髪の女性、あれは、ナユタさんの両親!?
 ちぃい!間に合え!
 右手で1番に裏で置いたカードを表に!
 「オープン!」
 「まずはてめぇらからだ!」
 銃牛男がガトリング銃をナユタさんの父母に向ける!ナユタさんの父親が母親をかばい、前に出て両腕を大外に広げる!
 「行って!カーディン!」「任せろ!!」
 カーディンがガトリン牛に向かって走り込む、同時に、ガトリン牛の右手人差し指がガトリングのトリガーに掛かる!
 が、銃弾が発射される前にカーディンがガトリン牛にぶつかる!間に合った!!
 「ぐはっ!な、なぜ俺を吹っ飛ばせているっ!?」
 表にしたのはバトルマシンズ カーディン カーモードだっ!車状態のカーディンの推力も上がっている、はずっ!
 「うぉおおおおお!!」
 カーディンがそのままガトリン牛を坂道を上って外に向かって押し出す!よし、僕も!
 「待って!」
 ん、ナユタさん?
 聞こえた声に思わず立ち止まる
 「なんで、助けてくれるんだ?私達は、人間じゃないのに・・・」
 「人間じゃないとか関係無い」
 「え・・・?」
 声が聞こえた方に振り返ると、ナユタさんが驚いて戸惑ったように口がほんの少し開き、目が見開かれていた、
 「僕がさっきここから出て行くって言ったのは、嘘をついて自分たちの素性を隠す、もしくは、自分たちの素性を認識できない存在なら、何らかの悪意があったり、誰かが僕達を罠にはめようとしているかもしれないからだ、そんな手合いは、人間であろうとお断りだ」
 「じゃあ、今は・・・?」
 「悪意が無いと、罠じゃないと、少なくとも僕は思った、ま、まだ何か隠されてるかもしれないけどね、とりあえず、ここは守るよ、何かあったら、その時はその時さ」
 「あ・・・」
 「ふむ・・・それならば・・・皆の者!地下じゃ!地下に通路がある!非戦闘員から走れ!」
 長老が中に響くように、しかし、外には聞こえないような絶妙な音量で叫ぶ!
 「さ・・・ナユタも・・・」ナユタさんが気が付いたように長老の方に向く
 「わかったよ、長老・・・」
 「じゃ、僕は行くね!」カーディンの所に向かうため、後ろを向いて走り出す!
 「双歩・・・双歩!絶対戻ってこいよ!」
 言われなくとも!
 急いでカーディンが出て行った天井の穴に向かって走る!
 天井穴から顔を出したところ、カーディンが車形態のまま、ガトリン牛を遠くまで押している所だった、
 恐らく、アジトから少しでも遠くに離すためだろう、ガトリン牛も両足を地面に付け抵抗しているが、カーディンの車の勢いに押し負けている!
 別に遠くまで押すのは構わないけど僕の事も考えてよ、本当にもう・・・
 「ぐ!俺一人じゃだめか、だがな!!」
 ガトリン牛が右手でガトリングごとガトリングの砲身を上に上げ、いきなり真上にぶっ放す!
 ガガガガ・・・
 「来い!蒸気牛 スチームブモーッ! ギュッシャ!!」
 向こうの方から鋼の牛車を引く機械の牛が走ってきた!
 全身が鉄でできておりところどころにつなぎ目のような物が見えていて、頭の上の左右の角の中央に煙突が生えていてそれが黒い煙をはいている、
 が、後ろの牛車は不思議と煙が周りに流れ、中に煙が入って行ってはいかない、風の流れを操作する装置でも付いてんだろうか、扇風機とか・・・
 あと、牛車には下の方に機関車のような車輪が付いている、
 そのままそのギュッシャが正面からカーディンとぶつかり左半身側のガトリン牛と共にカーディンを押す!
 「ぬうりゃあぁあああ!!」
 「なに!?ぐはぁああ!!」
 カーディンが吹っ飛ばされた!って、こっちに向かって飛んでくる!
 っちぃ、しょうがない!右手でチャージゾーンのカードを一枚表に!
 「僕はバトルマシンズ カーディン カーモードのコストに、バトルマシンズ カーディン ロボモード Vol2を指定!」
 さて、緑の画面に映る向こうのコストは・・・スチームブモーッ! タックルダッシュ!!?戦闘前タイミングのリサイクルカードだ!よし、これならこっちのが発動出来る!
 「さらに、僕はバトルマシンズ カーディン ロボモード Vol2を1番に召喚!コストにはバトルマシンズ カーディン カーモードを指定!」
 右手にチャージゾーンのバトルマシンズ カーディン ロボモード Vol2のカードを持ち、
 左手にバトルマシンズ カーディン カーモードのカードを持って、
 バトルマシンズ カーディン カーモードのカードを裏側にしつつチャージゾーンに置いて、
 同時に、バトルマシンズ カーディン ロボモード Vol2を1番に置く!
 「プログレス、チェーンジ!!」
 カーディンの前部が扇状に開き、両肩となりながらその間から先の切れた三角頭の鋼の顔が出て、そこに額に付けたパトライトと羽のエンブレムがきらりと光りを放つ!
 さらに、開いた方から脇を閉めるように両腕が飛び出してその両の腕がタイヤが外側に出るように180度回転し、腕としてきちんとした形となり、
 今度は後部が曲げていた足を外装ごと伸ばすように伸びつつ腰が180度反転、腰と両足を形成し
 胸の部分となったX字のパトライトが、上の部分二つを残しつつ下の部分二つが根元から体側にふりこを上げるように回転、収納され、緩いV字のパトライトとなり、パーポーパーポーと音を出しつつ光る!!
 そして、そこから両足を地に出し、着地!
 地面を抉って岩を足元に隆起させつつ何とか僕の前で動きを止めた!
 「大丈夫か双歩!?」
 「大丈夫だよ、カーディン!!」
 「ん、お前ら・・・?」
 いきなり、ガトリン牛がこっちの方を目を細くし、じろじろ見てくる、何だ、一体・・・?
 「まさか、リュッケンの野郎が言っていたカーディンか!!」
 へ?
 「お前、リュッケンの知り合いか・・・?」
 「知り合いも何も、俺の直属の上司だ」
 「え」「え」
 「えええ~」「えええ~」
 リュッケンの、部下っ!?っていうかあいつ、狼以外の部下がいたのか、牛だけど!!
 「そうか・・・お前がカーディンか・・・」
 ガトリン牛が納得するように首を縦に振りつつこちらをチラリと見てくる
 「あ、違う、私はカーディンでは無い」
 「嘘をつくなっ!!」
 ガトリン牛がまたも目を細め、今度はこちらをいぶかしむ目で見てくる
 「ブースターや装甲無しで装甲持ちをふっとばし、白と黒のボディで胸部に赤い装飾、そして何より・・・」
 ガトリン牛が今度は僕の方を凝視する
 「何より、人間の子供を連れてんじゃねぇか!あ、どうなんだ!!」
 ううむ、偽装を解いたのが裏目に・・・いや、どの道ばれてた気がするけど・・・
 「ナンノコトヤラサッパリダー」
 カーディン、声、裏返ってるよ・・・
 「とにかくだ!!」
 今度はガトリン牛がガトリングをこちらに素早くまっすぐ向けてきた
 「てめぇらは殺させてもらうぜぇ、人間がいるなら殺すし、人間に味方するてめぇもカーディンであろうとなかろうと倒す!それに・・・」ガトリン牛が目じりを上げた凶悪な目つきで口を丹念になめまわすように舌なめずりする!「てめぇがカーディンなら、リュッケンもレオンの野郎も敗北した奴を倒した、よって、俺の昇進が確定だぁあああ!!」
 ガトリン牛が自身のガトリングガンの引き金を引く!
 「はぁあ!!」
 そこにカーディンが走り込んで行く!
 ガトリングから弾が発射されるもののカーディンは全て弾き一気にガトリン牛と距離を詰めた!
 「なっ!?」
 ガトリン牛が驚きの声を上げればこそ、
 次の瞬間、伸びやかなカーディンの右足蹴りがガトリングの砲塔を上に蹴り上げ、そのままガトリン牛の腹に足を振り下ろした反動を加えた右拳が叩き込まれる!
 「ぐほぉ!!」
 ガトリン牛が後ろに吹っ飛ばされ、膝をつく
 「何してやがる!行け、ギュッシャ!!」
 しかし、ここでギュッシャがカーディンに向かって突撃してきた!
 「甘い!」
 ガトリン牛の言葉で来るのを察したか、突進してきたギュッシャに向かってカーディンが左裏拳を叩き付けた!ひるむギュッシャ、そこにカーディンが角を両手で持っての左ひざ蹴りをギュッシャの顎に決め、そのままギュッシャを後ろの車ごと力ずくでガトリン牛の方に放り投げる!
 「ぬん!」
 「なにっ!?グハッ!!」
 ギュッシャの下敷きになるガトリン牛、そこにカーディンが跳躍、その右ひじをギュッシャごとガトリン牛に叩き付けた!!
 「ぐへぇ!!」
 この一撃が決め手となったか、ギュッシャが爆発!消滅した!!
 だが、ガトリン牛には右ひじでのダイビングエルボードロップが決まったまま、そこに追撃とばかりにカーディンが左拳を振り上げ
 「まだ終わってねぇぞゴラァ!!」
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 

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策謀の中の少女/11 カードゲーム小説WカードFu

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カードゲームライトノベル Wカードフュージョン11話 策謀の中の少女11
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 「何だっ!?」
 銃撃音が聞こえた後ろの方を見ると、そこでは、上方のシャッターにいくつもの穴が開き、今にも破られそうになっている所だった!
 「双歩、どうやら敵が来たようだ」
 「うん、そうだね、カーディン、で、頼みがあるんだけど・・・」
 「なんだ?」
 「そのカモフラージュ、解いてくれない、どうせ戦うとなると、正体見破られるだろうし、カモフラージュ機能だけでも隠しておきたい」
 「ふむ・・・確かにな、了解した!」
 カーディンの姿が変わって行く、緑色のボディから上白下黒のパトカーカラーに、上の麦わら帽子がX字のパトライトに!
 「双歩、それは」ズガァン!
 ナユタが何か言いかけた瞬間、遮蔽天井に大穴が空き、誰かが降りてきた!
 それは、牛頭をした筋骨隆々の大男!
 大きな角を持つ頭に下半身に青いジーパンを履きながら、腰に革のベルトを巻き、左肩から左胸部に左腰にかけてところどころ光を放つ機械の鎧に覆われ、その右手には巨大なガトリングを持っている、円状に銃身が並ぶかなり大きめのガトリングだ!
 ただ、この地下駐車場に対しすこし体は大き目なのか腰をかがめて頭と角を天井に引っ掛からないようにしつつ天井に視界を遮られないようにしている
 「よう、任務放棄に付き、ここにいる奴らを皆殺しにさせてもらうぜ」その牛頭が豪々しい声を張り上げた!
 長老が驚き、その右目をカッと開く
 「なぜじゃ、なぜ任務放棄の事が」
 「胎児や予備パーツの部屋にちょっとしたトラップを仕掛けておいたのさ、胎児に気付いて意識的にその部屋に入り込んだら警告するような装置をちょちょいとな、前々から長老、あんたは過去の経歴から警戒対象だと思っていたんだが、どうやら、俺の感は外れていなかったようだぜ、もっとも・・・」
 牛頭が両手でガトリングを前に構える!
 「この計画には最初から俺は気にくわなかったがなぁ!こんなまどろっこしい、人間を擬似的に増やすような方法なんざ、最初からお断りだぁ!!」
 ガトリングの銃身が円状に回り始めた!
 「危ない!」
 カーディンが急いで僕達の前に回り込む!
 ガガガガ・・・
 多量の発射音が鳴り響く中、銃弾がカーディンに体に弾かれていく!
 「大丈夫、カーディン?」
 「ああ、これくらいなら何とか」
 「皆の者、敵襲じゃぁああ!」
 長老の叫びと共に右手側の方から大量の靴音が鳴り響き、向こうの方から銃士たちが出現する!
 あれは、地下二階の前や中で待機していた人たちか!
 「ほう、面白れぇ・・・」
 牛顔が口右端をゆがませ不敵な笑顔を浮かべる中、
 銃を持った大人たちが左右に散らばり、アサルトライフルの狙いを絞り、一斉に牛男に銃撃を仕掛ける!
 が、銃弾は全て弾かれた!これはっ・・・
 「驚いたか、俺様は装甲持ちなんだよ!俺様を倒したいなら、デッキケースとブースター持ちでも連れてきやがれっ!」
 牛男がまたもガトリングをカーディンの方に向け、発砲!
 周りの銃持つ人達は銃撃を避けるためか左右の壁に向かって走り、同時に、僕達はカーディンの後ろで伏せる!
 ガガガガ・・・
 多重の銃声音が響き渡る、ううむ、装甲持ちか、それなら・・・
 「カーディン、行ける?」
 「ああ、まかせろ」
 よし、向こうが人質とか全方位攻撃とかやり始めないうちに、
 右手でジャケット左内ポケットからデッキケースを取り出し、あの牛に向かって構える!
 すると、デッキケースから一瞬光が放たれ、目の前に緑で角の丸い半透明の板と緑の画面が現れた!
 そこの中央にデッキケースを置くと、デッキケースが左手の方に移動し、中からデッキがシャッフルされつつ外れて山札となり
 デッキケースが上下反転しつつさらに外側に移動し置かれ、そのデッキケースのあった場所に山札が置かれた!
 「おい、何してんだ?」
 ナユタさんが疑問の声を上げるが無視、
 ええっと、緑の画面にはライフカードを五枚置けっと表示が、通常ルールだな!ずいぶんとひさしぶりな気がするけど・・・
 とにかく、山札から右手で一枚カードを引いて手前の方に置きライフカードにし、それを計五回繰り返して五枚のカードをライフカードにして、
 次は、緑の画面に手札を五枚引けと出たな、
 右手で山札の一番上のカードを引きつつチラリと見ながら左手に移して手札にし、
 それを今度も五回繰り返して五枚のカードを手札にする、っと
 「それ、Wカードのカードバトルだろ、見たことないけど長老に聞いた、こんなところでそんなもん始めてどうする気」
 「邪魔になるから黙ってて」
 「う・・・はい・・・」ナユタさんが押し黙り、後ろに引く、
 さて、これで向こうに動きが知られる可能性は減ったと、
 んじゃ、僕とここの人たちの命運をかけたカードバトル、始めますか!!
 
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策謀の中の少女/10 カードゲーム小説WカードFu

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カードゲームライトノベル Wカードフュージョン11話 策謀の中の少女10
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 「ガイキシン!!」「ガイキシン!!」
 「おお、さすがにその名は知っておったか」
 なるほど、通りで人間を殲滅した英雄だのなんだの呼ばれるわけだよ、人間を滅ぼした戦争、その先頭に立った者だったとは・・・
 「メインサーバーは世界の全てが記憶されている、そこまで知っていたのは一部の者だけじゃったが、公開された時は物議を呼んだ、戦争が起こるしばらく前、わしがNaeの開発に関わる少し前の事じゃったがな」
 「ええっと、どういうこと?」
 「順を追って説明しようか、まず、メインサーバーがあった、当時はそのメインサーバーを有する国の幹部のみがそのメインサーバーの真実を知っておった」
 「ふむふむ」
 「しかし、メインサーバーを知った他国の人間がこれを世間一般に公表、その国は当時の国際連合に調査され、メインサーバーの情報は真実ということにされた」
 「ん、どういうこと?」
 「実はな、メインサーバーの情報はその告発した人間の知る部分をはるかに超えた代物で、これを知った国際連合は当時のメインサーバーのエンジニアの他に、幾人もの研究者を投入したのじゃ」
 「その・・・メインサーバーのエンジニアって・・・?」
 「それはまた後にしよう、さて、新たなるメインサーバーの守護者は、メインサーバーの情報を使い、瞬く間に国々を制圧、人類を無き者としていった・・・」
 「ごくっ・・・」思わず息をのんでしまったが、少し気がかりなことができた、
 「ええっと、そのガイキシンの部下とかに、リュッケンとかアリスとかジョーカーとかレオンって名前の部下はいなかった?」
 「リュッケンとレオンはよく聞いたのう、どちらもいくつも国を滅ぼした猛者じゃ、人間同士で戦争をしていた時分からな、アリスは聞いたことはあるが、裏工作が主だったらしくそこまで聞く機会があったわけではない、ジョーカーは・・・はて、初耳じゃ、誰じゃそいつは?」
 「いや、さぁ、僕もよく・・・」
 ジョーカーを聞いたことが無い?新参なのか?ジョーカー・・・一体何者なんだろう・・・?
 「でも、人間同士でも戦争を・・・」
 「うむ、新しい技術が悲しいことに軍事技術を発展させ、戦争を起こしたんじゃ、もしかしたらそれが無ければ人類は、いや、これ以上は言うまい・・・」
 ・・・
 「話を戻すぞ、それで、人類をあらかた殲滅し終わった後、ここからわし達の出番が始まるわけじゃな、じゃが、その前に、エメラルディアの情報を整理しておこう」
 「エメラルディアの情報、ですか?そういえば、機械の反乱が起こった時、そのエメラルディアは一体何をしていたのですか?Naeの開発者だったのでしょう?対策を取っていたのですか?それとも、責任を取らされたとか?もしかして、いの一番に殺された・・・?」
 「それがわからんのじゃよ、なんせ」
 「なんせ?」
 「行方不明になっとったのじゃ、戦争が起こる二年ほど前、十五年ほど前にな」
 「な・・・?!」行方不明に?!
 「ちょっとまってください!十五年前、つまり、エメラルディアが現れたその時ではありませんか!」
 「そうじゃ、Naeを開発したまま忽然と姿を消したエメラルディアがなぜかおぬしたちの世界にその名を表した、この先はカーディン殿、あなたが話した方がいい様じゃのう・・・」
 「わかりました、話しましょう」
 今度はカーディンか・・・
 全員の視線がカーディンへと向く
 「といっても、私も多くは知りません、十五年前、エメラルディアが突然その歴史に名を表したこと、過去の経歴が不明になっていること、そして、今までのAIの超発展形のAI、Naeを開発し、未完成のまま、注意事項のみ残して病気で一年足らずで死んだこと」
 「そうか、死んだか・・・ん?」
 突如、長老が左目をピクリと動かしカーディンを見る
 「今、Naeが未完成じゃといったか?」
 「はい」
 「未完成ならばなぜおぬしたちは使っておる、いや、もし未完成が本当ならわしたちも・・・」
 「先ほどの注意事項が影響しているのです、内部データの混乱浸食を防ぐために膨大なデータベースやインターネットに繋いではならない、作り上げられた感情を考えること、そのほかにも、そのメモに書かれていたとされていますが、他のは重要事項ではないようで、前述のに比べ、割と細かく書いてあったと言われています・・・」
 「なるほど・・・」
 「感情を考えることはもとより、インターネットも危険です、あれは人の悪意の他に、機械にとっては悪意のような、人間にとっては善意の物に満ちている、しかし、機械はそれを判断する事は出来ない、ニュースの事件の記事があった場合、機械はそれを悪意ある者、人間が犯罪を犯したと認識する、しかし、ニュースが書かれたのは善意からです、事件から人々を遠ざけるため、注意喚起を促すためです、例えばどこかで赤ん坊が生まれたとする、しかし、それよりも人がどこかで殺されたというニュースの方が重要なのです、赤ん坊が生まれたことは当人たちにとっては重要ですが、それ以外の人達には自分たちの周りで殺人事件が起き、その事件に巻き込まれないように行動するための情報の方が重要で、そちらの方が報道する価値が高いのです」
 「ふむ・・・」
 「注意事項を犯した場合、Naeを搭載した機械の自我が混濁し、暴走する例も見られており、現在、Naeを使える場面は多くありません、政府関連や政府に認められたごく一部の企業のみが使うことを許されています」
 「そうやってNaeの拡散を抑え、注意深く使っているのか」
 「そうです」
 「膨大なデータベースはメインサーバに似ているかもしれんな、メインサーバに接続したNae付きの機械は暴走すると言われておる、暴走しなかったからガイキシンが守護者になったとも・・・」
 「他にも、Naeの改良はうちの研究所を含めてやっていますがいかんせん・・・」
 「そう簡単に改良できはしない、か」
 「はい」
 「ふむ、よくわかった」長老が胡坐を組み直し、再度僕達を見据える「さて、エメラルディアに関しては他にも言っておかねばならんことがあるのう、エメラルディアがそもそも何者なのか、そして、エメラルディアに付き添った二人の天才じゃ」
 言われてみれば、エメラルディアって何者なんだろう?、
 この世界と僕達の世界、二つの世界にかけて、Naeをばらまいた張本人、それに、そのエメラルディアに付き添った二人の天才、か・・・、
 「エメラルディアが何者なのかって?それに、二人の天才?」
 「うむ、」長老がまたも少しうなずき僕達の方に視線を戻す「まずは、エメラルディアが何者なのか・・・そもそも、エメラルディアはメインサーバのエンジニアなのじゃよ」
 「な・・・メインサーバのエンジニア!?」
 まさか、ガイキシンの前任者だったのか!!
 「そうじゃ、それが行方不明になったから、新たな守護者としてガイキシンが名乗りを上げたと、そういうことでもあるんじゃ」
 なるほど、その人が僕達の世界に来たから、この世界がこうなったかもしれないのか・・・
 でも、その人が僕達の世界に来なかったら、カーディン達が生まれることも無かったんだろうな・・・
 ううむ、とにかく、今は話を先に進めよう、エメラルディアについて他にないかな・・・?
 「他に、エメラルディアについては?」
 「今のところ、他に有益そうな話は無いかのう・・・」
 「それじゃ、一緒に話した、二人の天才っていうのは・・・?」
 「ああ、年若き二人の天才じゃよ、エメラルディアよりも若い、当時は子供と言っていい年齢じゃった」
 「一体、どんな・・・?」
 「一人は軍事専門、ブースターや装甲を開発したと言われておる」
 「え・・・?」
 あの厄介な装甲の開発者!?それにブースターって・・・
 「もっとも、もうこの世にはいないがな、戦争で殺されたといわれておる」
 「ねぇ!ブースターって何?装甲の事も教えて!」
 「ブースターと装甲を知らんのか?」
 「まぁ、うん・・・」
 今までところどころで聞いたんだけど、結局ここまで知らずに来ちゃったからなぁ・・・
 「まぁいいわい、装甲は原理はよく知らんが、相手の攻撃の情報を瞬時に読み取り、それよりも強い防御か、対となる衝撃を用いて完全に攻撃を無効化する装置じゃそうじゃ」
 なるほど、瞬時に辺りの情報を・・・
 「もっとも、これはデッキケースで召喚されたものでどうにかできるといわれておるが・・・、デッキケースで召喚された存在は情報が劣化しており、装甲では情報を読み取ることができなくなるそうじゃ、もっとも、そのデッキケースをわしらは持っていないのじゃがな・・・」
 ほうほう、つまり、装甲に攻撃が効いたのはデッキケースで召喚したからというからでもあるわけか、
 もっとも、Wカードで強化したカーディンの攻撃も効いてたけど、デッキケースを利用して、劣化した情報でカーディンを包んで読み取り不可の状態にし、さらに幻影のエネルギーを取り込まさせてパワーアップしたとか、そんな感じだろうか?
 「続けてブースター、これは機械でもデッキケースを使えるようにし、更に、回数や時間の上限をかなり伸ばすというものじゃ」
 え・・・?
 「ええっと、デッキケースって機械じゃ使えないの?それに、回数や時間の上限って・・・」
 「デッキケースにはかなりきつい回数や時間の上限があるようじゃ、よくは知らんがな、それに本来デッキケースは機械は使えん、使えたとしてもせいぜい、カードバトルができる程度で召喚までは出来んのじゃ」
 な、なるほど・・・
 「で、もう一人じゃが、これは生命の研究をしていたといわれておる」
 「生命の・・・研究・・・?」
 よく似た研究をしている人物を僕は一人知っている、嫌な予感がしつつも、目的が目的なので訊かなければならない・・・
 「それって、もしかして、赤い髪をした、女性・・・?」
 「おおよく知っておるの、確かに赤い髪をしておったといわれておるな」
 「それ!その人、どこにいるか知ってますか!?」おもわず長老に詰め寄る!、が、長老は慌てず何の表情も変えず数度首を横に振り
 「いいや、知らんのう、戦争の折り、行方不明になったという話じゃからな」
 行方不明・・・
 「どうしたんじゃ、いきなりいきり立って・・・」
 「僕とカーディンは、とある人を探しに来たんです、友達を救うために・・・」
 「そうか、わしの話した人間がそうじゃと」
 「もしかしたら」「ですが・・・」
 「ふむ、そうか、しかし、さっき言ったようにわしは行方不明としか聞いておらん、力になれなくて済まんな」
 「いえ、いいです、それなら、その人の名前とか、研究内容とかはわかりますか?」
 「名前はミエーリと聞いているな、研究内容は生命の研究以外はよく知らん」
 「よく知らない?」どういう・・・
 「どうやら、ほとんどエメラルディアの補助を担当しておったようじゃ、個人の研究内容はほとんどない、しかし、それでも何かあると思うのじゃが・・・」
 なるほど、他人の補助ばかりしてたから当人の功績がほとんどないと、でも、僕は確かに、あの人がいろんなものを無尽蔵に作った成果である発明品を見ている、ただ、その見た目故に、評価されなかったのかもしれない、実際には次元の歪みを正したり、半身しかない人間を蘇生させたりととんでもない物を作ったりするのだが・・・
 「さて、ここから本題に行こうかの、それは、ここにいる機械達が作られた理由じゃ」
 ナユタさんが口元を引き締めた真剣な表情をして長老に向かい、一歩踏み出す
 「教えてくれ、長老」
 「いいじゃろう、わしたちが作られた本当の理由は、残った人類の残党狩りじゃ」
 「っつ!」ナユタさんの顔がひどく歪む
 「でも、私達は人を殺したことなんて!大体、私達の仲間を殺していくのはあいつらじゃないかっ!」
 「それには方法が関係しているのじゃよ、まず、第一にわしらは五感を通じて、人間にわしたちが人間であると誤認させるように作られておる」
 「なっ!?」ナユタさんが動揺を隠しきれずにうめく、
 なるほど、それでナユタさんを一目見た時、はっきりと人間だとわかったと誤った認識を持ったわけか
 「そして、その後、生き残るという理由で集落、つまり、ここに落ち着かせ、そのうちに誰かと結婚させる、むろん、そう仕向けて、じゃ、」
 結婚させる?機械と?
 「人間と誤認しているから恋愛などもできるというわけじゃな、人間は生存本能から子供を作ろうという意識が強くなる、そして、おあつらえ向きに相手を出すと、そういうわけじゃ」
 は、はぁ・・・
 「で、人間側が男の時は女の腹を自動でふくらませ、ある程度膨らんだところで体内に子供を入れる、人間の女の時は相手の腹を膨らませて本体は胎児の形に膨らんでいく機械を仕込み、胎児を出産後におりを見てすり替えるのじゃ」
 長老はさらりと言ってのけたが、意味は理解できていないにも関わらず背中に冷たいものが一瞬走る、おそらく、ここにいる僕と機械達、カーディンと長老を除いてそうだろう
 「そして、子供を作らせた後はその子供を守らせる形で・・・」
 「嘘だっ!」ナユタさんの悲痛な叫びが響く
 「嘘ではない、その両手に抱えるものが証拠じゃ」
 「嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ・・・うそ・・・だ・・・」
 ナユタさんの目から涙があふれ、両手の胎児に落ちる
 その様子を長老がしっかりと見
 「ずっと、迷っておったんじゃ、人間が誰もいないのだから、このままこの生活を続ける方が平穏なのではないか、とな・・・」
 長老・・・
 「仕込みは完了しておった、当初、わしはこの任務を与えられた時、人間を探して保護するためにあえて受けたのじゃ、わし一体ではこの世界とこの世界の支配者に対峙するようなことは無謀な真似は出来んかったからのう、だが、同じ任務を受けたまわりはわしと同じ考えではなかった、命令を知らずにそう作られたものが大半じゃったから、人間を殺してしまうやもしれん、人間を保護することもおぼつかんと、そう言うわけじゃな、そこで、わしはこの人間を殺すという命令に対抗するプログラムを作り、皆に投与していった・・・」
 「じゃあ、ナユタがあの扉に気付けたのは・・・」
 「わしのプログラムが効いたのじゃろう、本来なら、その胎児が入っている扉は深夜に必要になった時に誰かが無意識に使うものじゃ、無論、そのものは記憶も残らんがな、別の場所の倉庫にはわしたちが大けがをした時用の予備パーツもあるはずじゃ、そして、平穏な生活をしていた時に、、おぬし達が現れた・・・」
 「僕達が?」思わず、右手人差し指を自分に向ける、
 僕と、カーディンが?
 「そう、」長老が、これ以上ないぐらいに重々しく首を縦に振る「やはり、真実から目を背け続けることは許されんのじゃろう、本物の人間が現れた、じゃから、わしは意を決し、ナユタにそれを取りに行かせたというわけじゃ」
 皆の視線がナユタさんに向く、当のナユタさんは顔をうつむかせ
 「ううっ・・・う・・・ううっ・・・」
 泣いている、目から涙を流し、こう見ると、ショックを受けて泣いている人間にしか見えない
 ナユタさん・・・
 ガガガガッ!
 これは、銃撃音!?
 
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