カードゲームライトノベル Wカードフュージョン11話 策謀の中の少女11
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「何だっ!?」
銃撃音が聞こえた後ろの方を見ると、そこでは、上方のシャッターにいくつもの穴が開き、今にも破られそうになっている所だった!
「双歩、どうやら敵が来たようだ」
「うん、そうだね、カーディン、で、頼みがあるんだけど・・・」
「なんだ?」
「そのカモフラージュ、解いてくれない、どうせ戦うとなると、正体見破られるだろうし、カモフラージュ機能だけでも隠しておきたい」
「ふむ・・・確かにな、了解した!」
カーディンの姿が変わって行く、緑色のボディから上白下黒のパトカーカラーに、上の麦わら帽子がX字のパトライトに!
「双歩、それは」ズガァン!
ナユタが何か言いかけた瞬間、遮蔽天井に大穴が空き、誰かが降りてきた!
それは、牛頭をした筋骨隆々の大男!
大きな角を持つ頭に下半身に青いジーパンを履きながら、腰に革のベルトを巻き、左肩から左胸部に左腰にかけてところどころ光を放つ機械の鎧に覆われ、その右手には巨大なガトリングを持っている、円状に銃身が並ぶかなり大きめのガトリングだ!
ただ、この地下駐車場に対しすこし体は大き目なのか腰をかがめて頭と角を天井に引っ掛からないようにしつつ天井に視界を遮られないようにしている
「よう、任務放棄に付き、ここにいる奴らを皆殺しにさせてもらうぜ」その牛頭が豪々しい声を張り上げた!
長老が驚き、その右目をカッと開く
「なぜじゃ、なぜ任務放棄の事が」
「胎児や予備パーツの部屋にちょっとしたトラップを仕掛けておいたのさ、胎児に気付いて意識的にその部屋に入り込んだら警告するような装置をちょちょいとな、前々から長老、あんたは過去の経歴から警戒対象だと思っていたんだが、どうやら、俺の感は外れていなかったようだぜ、もっとも・・・」
牛頭が両手でガトリングを前に構える!
「この計画には最初から俺は気にくわなかったがなぁ!こんなまどろっこしい、人間を擬似的に増やすような方法なんざ、最初からお断りだぁ!!」
ガトリングの銃身が円状に回り始めた!
「危ない!」
カーディンが急いで僕達の前に回り込む!
ガガガガ・・・
多量の発射音が鳴り響く中、銃弾がカーディンに体に弾かれていく!
「大丈夫、カーディン?」
「ああ、これくらいなら何とか」
「皆の者、敵襲じゃぁああ!」
長老の叫びと共に右手側の方から大量の靴音が鳴り響き、向こうの方から銃士たちが出現する!
あれは、地下二階の前や中で待機していた人たちか!
「ほう、面白れぇ・・・」
牛顔が口右端をゆがませ不敵な笑顔を浮かべる中、
銃を持った大人たちが左右に散らばり、アサルトライフルの狙いを絞り、一斉に牛男に銃撃を仕掛ける!
が、銃弾は全て弾かれた!これはっ・・・
「驚いたか、俺様は装甲持ちなんだよ!俺様を倒したいなら、デッキケースとブースター持ちでも連れてきやがれっ!」
牛男がまたもガトリングをカーディンの方に向け、発砲!
周りの銃持つ人達は銃撃を避けるためか左右の壁に向かって走り、同時に、僕達はカーディンの後ろで伏せる!
ガガガガ・・・
多重の銃声音が響き渡る、ううむ、装甲持ちか、それなら・・・
「カーディン、行ける?」
「ああ、まかせろ」
よし、向こうが人質とか全方位攻撃とかやり始めないうちに、
右手でジャケット左内ポケットからデッキケースを取り出し、あの牛に向かって構える!
すると、デッキケースから一瞬光が放たれ、目の前に緑で角の丸い半透明の板と緑の画面が現れた!
そこの中央にデッキケースを置くと、デッキケースが左手の方に移動し、中からデッキがシャッフルされつつ外れて山札となり
デッキケースが上下反転しつつさらに外側に移動し置かれ、そのデッキケースのあった場所に山札が置かれた!
「おい、何してんだ?」
ナユタさんが疑問の声を上げるが無視、
ええっと、緑の画面にはライフカードを五枚置けっと表示が、通常ルールだな!ずいぶんとひさしぶりな気がするけど・・・
とにかく、山札から右手で一枚カードを引いて手前の方に置きライフカードにし、それを計五回繰り返して五枚のカードをライフカードにして、
次は、緑の画面に手札を五枚引けと出たな、
右手で山札の一番上のカードを引きつつチラリと見ながら左手に移して手札にし、
それを今度も五回繰り返して五枚のカードを手札にする、っと
「それ、Wカードのカードバトルだろ、見たことないけど長老に聞いた、こんなところでそんなもん始めてどうする気」
「邪魔になるから黙ってて」
「う・・・はい・・・」ナユタさんが押し黙り、後ろに引く、
さて、これで向こうに動きが知られる可能性は減ったと、
んじゃ、僕とここの人たちの命運をかけたカードバトル、始めますか!!
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