バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

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策謀の中の少女/10 カードゲーム小説WカードFu

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カードゲームライトノベル Wカードフュージョン11話 策謀の中の少女10
 
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 「ガイキシン!!」「ガイキシン!!」
 「おお、さすがにその名は知っておったか」
 なるほど、通りで人間を殲滅した英雄だのなんだの呼ばれるわけだよ、人間を滅ぼした戦争、その先頭に立った者だったとは・・・
 「メインサーバーは世界の全てが記憶されている、そこまで知っていたのは一部の者だけじゃったが、公開された時は物議を呼んだ、戦争が起こるしばらく前、わしがNaeの開発に関わる少し前の事じゃったがな」
 「ええっと、どういうこと?」
 「順を追って説明しようか、まず、メインサーバーがあった、当時はそのメインサーバーを有する国の幹部のみがそのメインサーバーの真実を知っておった」
 「ふむふむ」
 「しかし、メインサーバーを知った他国の人間がこれを世間一般に公表、その国は当時の国際連合に調査され、メインサーバーの情報は真実ということにされた」
 「ん、どういうこと?」
 「実はな、メインサーバーの情報はその告発した人間の知る部分をはるかに超えた代物で、これを知った国際連合は当時のメインサーバーのエンジニアの他に、幾人もの研究者を投入したのじゃ」
 「その・・・メインサーバーのエンジニアって・・・?」
 「それはまた後にしよう、さて、新たなるメインサーバーの守護者は、メインサーバーの情報を使い、瞬く間に国々を制圧、人類を無き者としていった・・・」
 「ごくっ・・・」思わず息をのんでしまったが、少し気がかりなことができた、
 「ええっと、そのガイキシンの部下とかに、リュッケンとかアリスとかジョーカーとかレオンって名前の部下はいなかった?」
 「リュッケンとレオンはよく聞いたのう、どちらもいくつも国を滅ぼした猛者じゃ、人間同士で戦争をしていた時分からな、アリスは聞いたことはあるが、裏工作が主だったらしくそこまで聞く機会があったわけではない、ジョーカーは・・・はて、初耳じゃ、誰じゃそいつは?」
 「いや、さぁ、僕もよく・・・」
 ジョーカーを聞いたことが無い?新参なのか?ジョーカー・・・一体何者なんだろう・・・?
 「でも、人間同士でも戦争を・・・」
 「うむ、新しい技術が悲しいことに軍事技術を発展させ、戦争を起こしたんじゃ、もしかしたらそれが無ければ人類は、いや、これ以上は言うまい・・・」
 ・・・
 「話を戻すぞ、それで、人類をあらかた殲滅し終わった後、ここからわし達の出番が始まるわけじゃな、じゃが、その前に、エメラルディアの情報を整理しておこう」
 「エメラルディアの情報、ですか?そういえば、機械の反乱が起こった時、そのエメラルディアは一体何をしていたのですか?Naeの開発者だったのでしょう?対策を取っていたのですか?それとも、責任を取らされたとか?もしかして、いの一番に殺された・・・?」
 「それがわからんのじゃよ、なんせ」
 「なんせ?」
 「行方不明になっとったのじゃ、戦争が起こる二年ほど前、十五年ほど前にな」
 「な・・・?!」行方不明に?!
 「ちょっとまってください!十五年前、つまり、エメラルディアが現れたその時ではありませんか!」
 「そうじゃ、Naeを開発したまま忽然と姿を消したエメラルディアがなぜかおぬしたちの世界にその名を表した、この先はカーディン殿、あなたが話した方がいい様じゃのう・・・」
 「わかりました、話しましょう」
 今度はカーディンか・・・
 全員の視線がカーディンへと向く
 「といっても、私も多くは知りません、十五年前、エメラルディアが突然その歴史に名を表したこと、過去の経歴が不明になっていること、そして、今までのAIの超発展形のAI、Naeを開発し、未完成のまま、注意事項のみ残して病気で一年足らずで死んだこと」
 「そうか、死んだか・・・ん?」
 突如、長老が左目をピクリと動かしカーディンを見る
 「今、Naeが未完成じゃといったか?」
 「はい」
 「未完成ならばなぜおぬしたちは使っておる、いや、もし未完成が本当ならわしたちも・・・」
 「先ほどの注意事項が影響しているのです、内部データの混乱浸食を防ぐために膨大なデータベースやインターネットに繋いではならない、作り上げられた感情を考えること、そのほかにも、そのメモに書かれていたとされていますが、他のは重要事項ではないようで、前述のに比べ、割と細かく書いてあったと言われています・・・」
 「なるほど・・・」
 「感情を考えることはもとより、インターネットも危険です、あれは人の悪意の他に、機械にとっては悪意のような、人間にとっては善意の物に満ちている、しかし、機械はそれを判断する事は出来ない、ニュースの事件の記事があった場合、機械はそれを悪意ある者、人間が犯罪を犯したと認識する、しかし、ニュースが書かれたのは善意からです、事件から人々を遠ざけるため、注意喚起を促すためです、例えばどこかで赤ん坊が生まれたとする、しかし、それよりも人がどこかで殺されたというニュースの方が重要なのです、赤ん坊が生まれたことは当人たちにとっては重要ですが、それ以外の人達には自分たちの周りで殺人事件が起き、その事件に巻き込まれないように行動するための情報の方が重要で、そちらの方が報道する価値が高いのです」
 「ふむ・・・」
 「注意事項を犯した場合、Naeを搭載した機械の自我が混濁し、暴走する例も見られており、現在、Naeを使える場面は多くありません、政府関連や政府に認められたごく一部の企業のみが使うことを許されています」
 「そうやってNaeの拡散を抑え、注意深く使っているのか」
 「そうです」
 「膨大なデータベースはメインサーバに似ているかもしれんな、メインサーバに接続したNae付きの機械は暴走すると言われておる、暴走しなかったからガイキシンが守護者になったとも・・・」
 「他にも、Naeの改良はうちの研究所を含めてやっていますがいかんせん・・・」
 「そう簡単に改良できはしない、か」
 「はい」
 「ふむ、よくわかった」長老が胡坐を組み直し、再度僕達を見据える「さて、エメラルディアに関しては他にも言っておかねばならんことがあるのう、エメラルディアがそもそも何者なのか、そして、エメラルディアに付き添った二人の天才じゃ」
 言われてみれば、エメラルディアって何者なんだろう?、
 この世界と僕達の世界、二つの世界にかけて、Naeをばらまいた張本人、それに、そのエメラルディアに付き添った二人の天才、か・・・、
 「エメラルディアが何者なのかって?それに、二人の天才?」
 「うむ、」長老がまたも少しうなずき僕達の方に視線を戻す「まずは、エメラルディアが何者なのか・・・そもそも、エメラルディアはメインサーバのエンジニアなのじゃよ」
 「な・・・メインサーバのエンジニア!?」
 まさか、ガイキシンの前任者だったのか!!
 「そうじゃ、それが行方不明になったから、新たな守護者としてガイキシンが名乗りを上げたと、そういうことでもあるんじゃ」
 なるほど、その人が僕達の世界に来たから、この世界がこうなったかもしれないのか・・・
 でも、その人が僕達の世界に来なかったら、カーディン達が生まれることも無かったんだろうな・・・
 ううむ、とにかく、今は話を先に進めよう、エメラルディアについて他にないかな・・・?
 「他に、エメラルディアについては?」
 「今のところ、他に有益そうな話は無いかのう・・・」
 「それじゃ、一緒に話した、二人の天才っていうのは・・・?」
 「ああ、年若き二人の天才じゃよ、エメラルディアよりも若い、当時は子供と言っていい年齢じゃった」
 「一体、どんな・・・?」
 「一人は軍事専門、ブースターや装甲を開発したと言われておる」
 「え・・・?」
 あの厄介な装甲の開発者!?それにブースターって・・・
 「もっとも、もうこの世にはいないがな、戦争で殺されたといわれておる」
 「ねぇ!ブースターって何?装甲の事も教えて!」
 「ブースターと装甲を知らんのか?」
 「まぁ、うん・・・」
 今までところどころで聞いたんだけど、結局ここまで知らずに来ちゃったからなぁ・・・
 「まぁいいわい、装甲は原理はよく知らんが、相手の攻撃の情報を瞬時に読み取り、それよりも強い防御か、対となる衝撃を用いて完全に攻撃を無効化する装置じゃそうじゃ」
 なるほど、瞬時に辺りの情報を・・・
 「もっとも、これはデッキケースで召喚されたものでどうにかできるといわれておるが・・・、デッキケースで召喚された存在は情報が劣化しており、装甲では情報を読み取ることができなくなるそうじゃ、もっとも、そのデッキケースをわしらは持っていないのじゃがな・・・」
 ほうほう、つまり、装甲に攻撃が効いたのはデッキケースで召喚したからというからでもあるわけか、
 もっとも、Wカードで強化したカーディンの攻撃も効いてたけど、デッキケースを利用して、劣化した情報でカーディンを包んで読み取り不可の状態にし、さらに幻影のエネルギーを取り込まさせてパワーアップしたとか、そんな感じだろうか?
 「続けてブースター、これは機械でもデッキケースを使えるようにし、更に、回数や時間の上限をかなり伸ばすというものじゃ」
 え・・・?
 「ええっと、デッキケースって機械じゃ使えないの?それに、回数や時間の上限って・・・」
 「デッキケースにはかなりきつい回数や時間の上限があるようじゃ、よくは知らんがな、それに本来デッキケースは機械は使えん、使えたとしてもせいぜい、カードバトルができる程度で召喚までは出来んのじゃ」
 な、なるほど・・・
 「で、もう一人じゃが、これは生命の研究をしていたといわれておる」
 「生命の・・・研究・・・?」
 よく似た研究をしている人物を僕は一人知っている、嫌な予感がしつつも、目的が目的なので訊かなければならない・・・
 「それって、もしかして、赤い髪をした、女性・・・?」
 「おおよく知っておるの、確かに赤い髪をしておったといわれておるな」
 「それ!その人、どこにいるか知ってますか!?」おもわず長老に詰め寄る!、が、長老は慌てず何の表情も変えず数度首を横に振り
 「いいや、知らんのう、戦争の折り、行方不明になったという話じゃからな」
 行方不明・・・
 「どうしたんじゃ、いきなりいきり立って・・・」
 「僕とカーディンは、とある人を探しに来たんです、友達を救うために・・・」
 「そうか、わしの話した人間がそうじゃと」
 「もしかしたら」「ですが・・・」
 「ふむ、そうか、しかし、さっき言ったようにわしは行方不明としか聞いておらん、力になれなくて済まんな」
 「いえ、いいです、それなら、その人の名前とか、研究内容とかはわかりますか?」
 「名前はミエーリと聞いているな、研究内容は生命の研究以外はよく知らん」
 「よく知らない?」どういう・・・
 「どうやら、ほとんどエメラルディアの補助を担当しておったようじゃ、個人の研究内容はほとんどない、しかし、それでも何かあると思うのじゃが・・・」
 なるほど、他人の補助ばかりしてたから当人の功績がほとんどないと、でも、僕は確かに、あの人がいろんなものを無尽蔵に作った成果である発明品を見ている、ただ、その見た目故に、評価されなかったのかもしれない、実際には次元の歪みを正したり、半身しかない人間を蘇生させたりととんでもない物を作ったりするのだが・・・
 「さて、ここから本題に行こうかの、それは、ここにいる機械達が作られた理由じゃ」
 ナユタさんが口元を引き締めた真剣な表情をして長老に向かい、一歩踏み出す
 「教えてくれ、長老」
 「いいじゃろう、わしたちが作られた本当の理由は、残った人類の残党狩りじゃ」
 「っつ!」ナユタさんの顔がひどく歪む
 「でも、私達は人を殺したことなんて!大体、私達の仲間を殺していくのはあいつらじゃないかっ!」
 「それには方法が関係しているのじゃよ、まず、第一にわしらは五感を通じて、人間にわしたちが人間であると誤認させるように作られておる」
 「なっ!?」ナユタさんが動揺を隠しきれずにうめく、
 なるほど、それでナユタさんを一目見た時、はっきりと人間だとわかったと誤った認識を持ったわけか
 「そして、その後、生き残るという理由で集落、つまり、ここに落ち着かせ、そのうちに誰かと結婚させる、むろん、そう仕向けて、じゃ、」
 結婚させる?機械と?
 「人間と誤認しているから恋愛などもできるというわけじゃな、人間は生存本能から子供を作ろうという意識が強くなる、そして、おあつらえ向きに相手を出すと、そういうわけじゃ」
 は、はぁ・・・
 「で、人間側が男の時は女の腹を自動でふくらませ、ある程度膨らんだところで体内に子供を入れる、人間の女の時は相手の腹を膨らませて本体は胎児の形に膨らんでいく機械を仕込み、胎児を出産後におりを見てすり替えるのじゃ」
 長老はさらりと言ってのけたが、意味は理解できていないにも関わらず背中に冷たいものが一瞬走る、おそらく、ここにいる僕と機械達、カーディンと長老を除いてそうだろう
 「そして、子供を作らせた後はその子供を守らせる形で・・・」
 「嘘だっ!」ナユタさんの悲痛な叫びが響く
 「嘘ではない、その両手に抱えるものが証拠じゃ」
 「嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ・・・うそ・・・だ・・・」
 ナユタさんの目から涙があふれ、両手の胎児に落ちる
 その様子を長老がしっかりと見
 「ずっと、迷っておったんじゃ、人間が誰もいないのだから、このままこの生活を続ける方が平穏なのではないか、とな・・・」
 長老・・・
 「仕込みは完了しておった、当初、わしはこの任務を与えられた時、人間を探して保護するためにあえて受けたのじゃ、わし一体ではこの世界とこの世界の支配者に対峙するようなことは無謀な真似は出来んかったからのう、だが、同じ任務を受けたまわりはわしと同じ考えではなかった、命令を知らずにそう作られたものが大半じゃったから、人間を殺してしまうやもしれん、人間を保護することもおぼつかんと、そう言うわけじゃな、そこで、わしはこの人間を殺すという命令に対抗するプログラムを作り、皆に投与していった・・・」
 「じゃあ、ナユタがあの扉に気付けたのは・・・」
 「わしのプログラムが効いたのじゃろう、本来なら、その胎児が入っている扉は深夜に必要になった時に誰かが無意識に使うものじゃ、無論、そのものは記憶も残らんがな、別の場所の倉庫にはわしたちが大けがをした時用の予備パーツもあるはずじゃ、そして、平穏な生活をしていた時に、、おぬし達が現れた・・・」
 「僕達が?」思わず、右手人差し指を自分に向ける、
 僕と、カーディンが?
 「そう、」長老が、これ以上ないぐらいに重々しく首を縦に振る「やはり、真実から目を背け続けることは許されんのじゃろう、本物の人間が現れた、じゃから、わしは意を決し、ナユタにそれを取りに行かせたというわけじゃ」
 皆の視線がナユタさんに向く、当のナユタさんは顔をうつむかせ
 「ううっ・・・う・・・ううっ・・・」
 泣いている、目から涙を流し、こう見ると、ショックを受けて泣いている人間にしか見えない
 ナユタさん・・・
 ガガガガッ!
 これは、銃撃音!?
 
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