御前教会の真実 ダブモン!!2話/23
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「ぐすっ、ぐすっ・・・うぅ・・・ブリント・・・」
愛しき人の声を聴き、目を覚ます、とはいっても、瞼は重くて動かず、体も口も動かない、
ここはどこだ・・・背中の少し硬めの感触からいってベットの上か・・・?
心の臓が弱っていくのを感じる・・・この命、もう長くは・・・
「そんな、病気だなんて・・・旅をしたのがたたったのね・・・」
違う、これは奴の・・・あの蜂型ダブモンの毒だ・・・
だが、口も開かず体も動かない、これを伝える手段は無い・・・
それに、アントイワンの症状を鑑みれば、まわりがそう勘違いするのも無理からぬこと、
アントイワンはどうなったのだ・・・人間とダブモンでは他の動植物と同様、毒への耐性が異なると聞くが・・・
「ブリント・・・私達・・・これから・・・」
ああ・・・マリアナ・・・愛しのマリアナ・・・
すまない、私は先にいくことになるだろう、せめて、君だけでも新しい人生で幸せに・・・
「そうだ・・・!」
マリアナの気配が離れ、何かをガサゴソと探す音がして、左手に金属の輪を持たされる感触がする
これは、指輪か・・・
そして、そこにマリアナの薬指が通る感触がして、今度は私の左手薬指に指輪が・・・
マリアナ・・・やめてくれ・・・それは・・・
「さぁ、女神様に永遠の愛を誓いましょう・・・」
目の前がさらに暗くなり、唇に何かが当たる感触がする・・・
「・・・そんな・・・涙が、ブリント、あなたは・・・」
二筋と零れ落ちてくる涙の感触がする、二筋は私の、降ってくるのはおそらく、マリアナの・・・
「別れたくない、もっと一緒に居たい、女神様・・・救って・・・」
それは私も同じだ、知れば女神は救うだろう、あのお方はそういうお方だ、天寿を全うしない限り、あのお方は救うだろう、だからこそ、我々は関わってはならないのだ、すがってはならないのだ・・・
マリアナすまない、時間のようだ、心の臓が止まって、意識が消えていく・・・
最後にせめて、君の事を思い浮かべながら・・・私は、振り切ってほしいから、あえてこの言葉を贈ろう、
さようなら
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