マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー 17
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「ん・・・?」 BGM:無音
目が覚めた時、柔らかな雰囲気の部屋の白いベッドに寝かされていた、左手には白いカーテン揺れる扉二枚ほどの大きな窓があり、
周りを見渡すとベッドが横に三つ並び、間に引き出し付きの小さい机が並んでいる、
どうやら、宿屋の一室のようだが・・・?
窓の反対側端に扉がある・・・
とりあえず、 BGM:扉開く
扉より外に出て、 BGM:扉閉める
左手側に見つけた階段を降りる
「おや!目が覚めたのかい!?」
少し高音の初老の女性の声、見て見ると、優しげなおばさんが柔らかな箒を持って木の床を掃除していた、
三角巾を頭につけ上下緑の貫頭衣、革のエプロンを付けている・・・
「あなたの仲間だっていう人が朝に連れ込んできてねぇ、どうやらまぶしい光で気絶したらしいって、そんなに朝日がまぶしかったのかねぇ・・・」
「仲間・・・あ!?その人たちは!?」
「今街の散策に行ってるよぉ!」
散策・・・か・・・
「あの・・・ここはどこですか?」
「ここはガラナテの街の唯一の宿屋だよ!」 BGM:優しき街ガラテナ
ガラナテ・・・
「あ、ベッドを貸していただいてありがとうございます、仲間を探してきますね」
「はいはい、いってらっしゃい」
俺は急いで階段下の正面にある扉より外に出る・・・
そこにあったのは柔らかな朝の陽ざし、
薄オレンジの壁に囲まれた裏路地で、上にはオレンジの屋根が垣間見え、窓が青い光を反射し、左手上奥には建物をつなぐ渡り廊下なども見える・・・
「・・・目・・・覚めた?」
「メイダ!?」
背後から聞こえた声に振り返ると、扉の右横の壁にその背を預けていたのは、メイダだった!
どこか目が小さく卑屈でいたたまれなさそうにしている・・・
「他の皆は?」
「その・・・」メイダの目線がこっちを外したり見たりと挙動が変だが・・・「私をここに預けて街を調べに行ったわ・・・」
「メイダは行かなかったの?」
「あまり・・・行きたくないから・・・」
メイダの顔が俯き、雲っていくのが分かる・・・
「どうして・・・?」
「今に分かるわ・・・」
「今にって・・・」
「まてー!」
「ほらほらー」
そう言っている俺の横を、幼い子供男女二人が追いかけっこして通りすがっていく・・・
俺は改めてメイダを見て
「とにかく行こう、皆がいそうな場所、わかる?」
「・・・わかる、けど・・・動きたくない・・・」
メイダ・・・
「わかった、皆を探してくるね」
俺は駆けだす
「攻めないの?」
「え・・・?」
俺は思わず振り返った、メイダはより一層うつむいたままだ・・・
「こんな、裏切ったり、詳しく話さなかったり、思わせぶりなことばかり言ったりしてるのにさ・・・」
「・・・人間誰しも事情があるから・・・」
「・・・」
「それに、メイダが悪い人間じゃないってことはわかるよ、勘だけど!」
メイダが目をそらす ・・・バカ・・・
何か言ったかな?
「・・・?、それじゃ、皆を迎えに行ってくるよ!」
「・・・太陽が真上に登る前に戻ってきて・・・」
「え?」
メイダは目線を逸らしたまま
「事情・・・説明してあげるから・・・」
「・・・ありがとう!!」
そうして俺は街を走り回る、
ジンガさんはすぐそばの武器屋にいた、剣や盾が壁に掛けられ並び、奥にはげたおっちゃんがいる気のカウンターがある店内で右手の掛けられた剣を右手を感心したように顎に当てて見ながらも、こちらに気が付くと右手を挙げて陽気に方向を変え
「よう、目が覚めたかい!」
「おはよう、ジンガさん!メイダが事情を説明してくれるってさ!」
リリサは十字路中央の噴水広場の噴水の前でライブをしていた イエイ!イエイ!
あのボードを変形させ、たくさんの人に楽しそうに音楽を披露している、
「リリサ!」
「あ、ごめ~ん、迎えが来たみたい!また一緒にライブしようね~」 ウェ~イ!
マユーカはその噴水広場の本屋で本を立ち読んでいた、本棚が並ぶ店内で
奥にいる揺れるロッキングチェアに腰かけた白髪と白髭が多くに整えられた老人をしり目に中央通路左手の本棚を見上げ
「見たことないものばっかりだ・・・」
「マユーカ!メイダの方に行こう!」
アルフィエラスさんは教会にいた、左右に長椅子が並び、正面にはクロノス神の像がある、
その像を高くに見つめ、その表情はいつも通りに見えてどこか厳しい雰囲気を持つ
「ここでもクロノス神を祭っているのか?しかし・・・後ろの時計は・・・」
「アルフィエラスさん!メイダが事情を説明してくれるそうです」
アルフィエラスさんがこちらに振り返り口を開く
「ああ、今行く・・・」
が、名残惜しそうにクロノス神の像を上半身だけ振り返り見る
「・・・5か・・・」
そうやって、皆を集め、再度、メイダの所に戻る
「・・・ギリギリか・・・」
俺達が視線に捉えるころにメイダが見上げながらそう厳しくつぶやいていた、
確かに太陽は今まさに真上に来る所だ・・・
と、いきなり空と街を黒い雲が通りすがるように覆っていく・・・
何が・・・!?
「な・・・なんだいこれは!?」
おばさんの顔が、街行く人たちの顔が驚きと苦痛に歪み・・・
黒い雲が晴れた時、空は雷鳴り響く雷雲に覆われ・・・
街は無く・・・そこには・・・さっきまで
生きていた人々の石像があるだけだった・・・ BGM:崩壊の街ガラテナ
な・・・一体どうなって・・・
「これが今のこの世界の現実・・・」
メイダ・・・!?
俺がメイダのいる左手の方を向く中でメイダが目を暗く細め、絶望した目で語りだした・・・
「この世界はこの絶望の時を繰り返しているのそういう幻影を・・・」
「・・・どういうこと・・・?」
「あれは・・・各地で動物たちの異常が見られ始めた時だった・・・」
「それは・・・私達の大陸と同じ・・・」
そうだ、アルフィエラスさんの教会だって・・・あれは半分鍵の仕業だけど・・・
「当時、名のある神官だったダイガは己の部下、それに騎士団長アイレス、特殊部隊のコウの力を借り、この動物たちを沈めていった・・・」
「コウにアイレスだって!?」
五芒星の三人、ということはその部下はロサミとエーラーンか!?
「そして、この事態を鎮めるため鍵を欲した・・・」
「鍵・・・って、あの12の!?」
「当時、王家がカギを渡したことを知った王家の遠縁に当たる我が家は、保管されていた5の鍵を渡した・・・」
「5の鍵だって・・・!?」
あれ?でも5の鍵って魔術学園で受け取った・・・
「でも、それはダイガの罠だった・・・」
「罠・・・!?」
「ダイガは王家がカギを渡すのを渋っていたのを知っていて、私の家が渡したと嘘をつき、その後、私達の家のカギを要求したの・・・」絶望からか俯きすぎ目をつぶっていくメイダ・・・「その時に気づくべきだった・・・」
「なんで・・・?」
引き泣きはじめながら言葉を続けるメイダ
「私はその時、こう言われたの、多少強引な手を使っても、この事態を沈めなければならないと・・・そして・・・」
「そして・・・」
「現れた中央平原のドームの中に入り、ダイガが儀式を行った途端、この現象が始まったの!」
メイダの絹を裂くような悲鳴に近い大声が、街に響き渡ったのだった・・・
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