バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー/18

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー 18
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
f:id:OirenW:20201229140236p:plain
 
 俺は暗い空を見上げ、崩壊しきった街を見回し見渡す
 この現象が・・・
 「毎日繰り返されるこれは、翌朝になるとみんなこのことを忘れ、また同じ朝を繰り返す・・・」
 そんな・・・
 「そして、私は言われたの、儀式に失敗したから、こうなってしまった、元に戻す手がかりを得る為に、裏中央平原に行かなければならないと・・・!」
 裏中央平原に・・・?
 俺は思わずメイダの方を見返す、メイダの顔は変わらずにこわばった緊張した表情・・・
 「もしかして、その後、中央大陸に・・・?」
 「そう、あなたたちの世界に行くことになったの・・・」
 ん?
 「えーっと・・・ここって・・・俺達の世界じゃないの!?」
 「おい」
 「兄ちゃん今気づいたの?」
 「さすがに目が覚めたばっかりだったから・・・」
 「そうだろうな・・・」                    SE:驚き
 え!?どういうこと!?ジンガさん!?マユーカ!?リリサ!?アルフィリアさん!?
 思わずみんなの方を向く、皆が少し力を抜いたような訳知り顔だ
 「みんなは気づいてたの!?」
 「武器の形式がいろいろ違ってたな・・・」
 「本が見たことないものばっかりだったし、地図も・・・」マユーカは思い出すように少し眼を逸らす
 「ノリや空気が違ってた」
 「クロノス神の後ろの時計が5だったな、他も5の時計ばかりで12の時計は無かった」
 「ええ・・・他の世界があるだなんて・・・」
 「あの、もういい?」
 「あ、」思わず声の出した方に向き直る「メイダごめん・・・」
 メイダは右拳親指側を口に当て
 「ごほん」
 咳一つで場を整え、右手を戻しながら再度こちらを見返す
 「その後は、みんなそれぞれの方法で鍵を集めていったの・・・」
 「へー・・・」
 「私は九の鍵を見つけた後、大剣が投げつけられたときに裏に張り付けられていたメモでコウが勝ちそうなときは援護して、負けそうなときは二人に加勢してもぐりこめって指示があって、で、その後はみんなが知る通り・・・」
 「でもさ」
 「なに?」
 メイダが俺に注視する
 「なんで俺達の世界で鍵を探していたんだ?それでこの世界が治るってわけでもないんじゃ・・・」
 メイダが微かに首を横に振り
 「ううん、それは違うの、」
 再度俺達を見る
 「時空というのは無数にあってそれぞれが互いに干渉しあっているのよ、裏中央平原の次元ゲートからここに通じたのはこの世界とあなたの世界が極端に近かったから、同時にそれは時間の干渉度合いが強いということなのであって、あなたの世界の時間を通じて私達の世界を正すことができるかもしれないのよ」
 「へ、へぇ・・・」
 理解できるようなできないような話に左口角端が引くついているのが分かる・・・
 よくわかんないけど、俺の世界からメイダの世界を治せるかもしれないってことか・・・
 と、左腕の時計が針をどこかに指して反応してる・・・
 「どうしたの?」
 「ん?」
 メイダの心配そうな言葉に、俺は時計を手に持って針指す方を向き、その先を見る・・・
 「あっちは・・・王城・・・?」
 メイダの言葉に俺は先を見たまま返す
 「王城って・・・」
 「そう、王様の住んでる・・・1の鍵が保管されてた場所・・・」
 何かあるのか・・・?
 「ねぇ、メイダ、この世界にも俺達の世界にあったドームってあるの?」
 「あるわ、儀式もそこでやったの」
 「なら、ドームは開いてる?」
 「いいえ・・・」
 「ドームの開け方は知ってる?」
 「・・・残念ながら・・・」
 「なら、行ってみよう・・・」           SE:ワールドマップへ移動
                           BGM:ワールドマップ2
 俺達は予感めいたものを感じ、先へと進む、壊れた大きな時計の針と数字を見てゆく中で幾度も昼夜を重ね、
 たどり着いた先、                SE:ワールドマップから移動
 色の抜けたような真っ白で壊れている都、         BGM:崩壊の星王都
 壊れたレンガ造りの四角い大小さまざまな建物が縦横に張られた大通りに並んでおり、中央の星型の像の星型大噴水を挟んだ先の奥には壮大な神殿・・・
 神殿は二等辺三角形の屋根に左右に一本ずつ柱が付いているもので、かなり大きい・・・
 「あれ・・・?城は・・・ここが王都でいいんだよね?」
 「あの一番奥のが城だよ、向こうとは建築様式が違うみたい・・・」
 「本によればこっちの城は神殿から分岐したもので神殿を模すことで神への忠誠を誓いかつ、戦闘に対して余裕を持っていることを知らしめる意味があるみたいですね」
 「向こうより信仰心があるんだろう、向こうだと教会はめったにないがこっちは各町に教会があるし・・・」
 まぁ、俺の村にも教会は無かったけれども・・・
 マユーカとアルフィエラスさんの話に少しあきれの感情を感じつつも先に進む・・・
 「ここが、玉座だよ・・・」
 メイダを先頭に大通りを渡り階段を上り、空いた半カプセル状の金属の観音開き大扉の向こう側、そこにいたのは、大きな玉座に座る長い二段ローブに王冠を着けた厳格な雰囲気を持つ老人、端が回る髭など生やしている・・・
 そして、何より目を引いたのは、玉座の後ろにあるもの、
 色を失わず、霧のような薄赤い光を写す物・・・丸い本体に金の針棒が周りに外側に伸びるように様々な長さで配置されているもの・・・5つの数字を周囲に配置、そして、頂点に針棒でVを頂くもの・・・
 「時計だ・・・」
 「そうだけど・・・ただの時計・・・と思ってたけど・・・世界がこんなに変になってる中で、全く変わってないってことは・・・」
 「でも、止まってる・・・」               SE:神秘的な発光音
 しかし、俺の時計は視界の端で青い光を放つ、
 俺は思わずそれを見る、そうか・・・今ここで光るってことは・・・
 「俺の時計は、これを求めていたんだ・・・」
 俺は玉座後ろの時計を見据え、前に進み、玉座の前で左腕の時計を盾を出すように赤の時計に出すと、腕の時計から青い光が赤の時計に放射され・・・赤い時計は
 その時刻示す針を動き出させた・・・         カチッ、カチッ、カチッ、
 ・・・時を取り戻したんだ・・・!
 「直った・・・!」
 メイダが嬉しそうな声を出す中で、玉座の後ろまで行って両手を伸ばすが思いとどまる・・・
 きっと、自分が今までした来たことを悔いて、手に取るべきではないと考えたんだろう・・・
 でも・・・あれは・・・この世界の人間こそ手にするべきだ・・・
 俺はメイダの左横まで行って、メイダを見る
 「メイダ」
 「え?」
 俺の呼びかけに、驚き顔を向けるメイダ
 「何?」
 「あの時計はこの世界の者こそ手にするべきだと思うんだ」
 メイダが震えながら首を縦に振る
 「う・・・うん・・・」
 メイダが改めて時計を見て近づき、両手を伸ばして時計をその手に取ると、赤い光を放ち時計の外周の棒が回転していき、星の形を象る・・・
 「これ・・・選ばれたのかな・・・?」
 右手で裏の取っ手を持つメイダ・・・
 同時にメイダの衣類の桃色の部分が深紅に染まっていく・・・
 すると、俺の時計から青い光が、メイダの時計から赤い光が放たれ、外に向かって伸びていく・・・!
 皆が思わずそちらを見る
 「メイダ、あっちは・・・?」
 「間違いない、中央平原・・・!」
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――