魔石物語 12
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12 果実石1
「果実石をくれ!」
店の中を徘徊して何かを探していた男性が何かを発見したように店主に声をかけて来ていた、
店主は満面の笑みを男性に向け
「はいどうもー、資格か許可状を提示してね!」
今日のお客は濃い顔をした男性で、上が膨らんだ白い帽子に白い洋服、
どこからどう見てもコックさんだ・・・
コックさんは右手をポケットに突っ込み何やら文字を書かれた白い板を取り出しこちらに見せる
「ほれ、魔力入り食材調理許可資格!」
店主は笑顔のままそれを見て
「はいどうも~」
言いながら振り返り棚から取り出したのは上にヘタのような物が付いた丸い石・・・
それを振り返り直してコックの方を見て
「ほれ、代金!!」
コックが右手に持つ白い板を突っ込んだポケットからついでとばかりに出した銀貨を左手で取りつつ引き換えに右手に持ったその石を渡す、
でも、さっき果実石って言ったよな、あの石を食べるのか・・・?
コックが去った後に、私は思わず尋ねていく、
「あの・・・?」
「なに?」
店主が優し気にカウンター横にいたこちらを見る
「果実石って言いましたよね、さっきの石・・・どんなもんなんですか?」
店主はこともなげというか良くも悪くない感じで
「ああ、とある低木が自分の魔力で自身の果実を石にしたものなのよ」
石に・・・?
私は石にする理由がわからず思わず戸惑う
「え・・・?それに何の意味が・・・」
「それじゃあ、果実石について話しましょうか、それにまつわる逸話と一緒にね・・・」
良くも悪くない感じで店主は話し始めた・・・
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