オリジネイト番外 オリジネイト・ヘッドリオ 21
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第21話 末路
「まだだ・・・!」
兵士がうつむいたままの弱い足取りながら歩き近づいてくる・・・!
「もうやめろ・・・」
「まだだぁああああ!!」
叫びこっちに駆け向かって来る!
「が・・・」
ドサ・・・
兵士が倒れ、鎧を始めとした魔力で出来た部分が崩れ去る・・・
残ったのは上左腹や下右腹、左の胸や右側頭部などをを中心に体の大部分がえぐれた兵士の残骸、
・・・もう生きてはいない・・・
これだから体の大幅改造は嫌なのだ、
ここまで改造されていると魔力で作られた部分と生身の部分が共生関係になってしまい、
魔力が切れた瞬間に生身の部分にもダメージが行ってしまうのだ、
しかし、ここまでとは・・・
私は・・・振り返り下の階段へと向かい、階段を降りていく・・・
・・・
そして、その先で・・・
なんだこれ・・・
大きな空洞の中にあったのは、地面の下まで続く巨大な魔石・・・
見た目は色々な色が混ざった物、膨大な魔力ゆえかうすぼんやりと光を放っている、
何か色々な魔力を感じるが、一番大きいのがこの魔石・・・
そうか、この魔石は・・・
「おや、ここは立ち入り禁止ですよ?」
遠く横から話しかけてきたのは黒蝶ネクタイに一対の縦ヒラヒラの付いた高そうな白シャツに黒上下スーツを纏い眼鏡をかけた老紳士、
しかし、その後ろにあるものを私は見逃さなかった、
額に色々な色の魔石を備えた様々な動物の形の少し抱えるくらいから手のひらサイズまでの彫像・・・
あれは、私の彫像達!
私は老紳士を見据え直し、
「そういうあんたは誰なんだ?立ち入り禁止のこの場所にいる・・・」
「申し遅れました、私はこの街の領主です、以後、お見知りおきを・・・」
と、領主と名乗った男性は私を見ながら腰を少し下げる、
領主か・・・ちょっと小細工しておくか・・・
私は右手に力を籠める・・・
「何をしてるんですか?」
男性はこちらの顔を見ながら声をかけてきた
おっと、感づかれたか?
私は気を逸らすためにも会話を行う
「色々とな?で?領主様がこんなとこで何してんだよ?」
「ああ、その説明のためにはこの場所の説明から始めないといけませんね・・・」
朗らかな笑顔で返して来る領主
こしても、この場所は・・・、大きな魔石のあるこの場所は・・・?
「この場所はこの街の岩を浮かせている中心部の魔石の一部が露出している場所でね、ここで研究員達に魔石の魔力が無くならないように研究させているんですよ、私はそれの進捗を見に来ているだけです・・・」
「それにしてはおかしいな」
「何がですか?」
領主の目が疑念でか細まる・・・
「魔力の流れが街の軍事施設に向かっている、魔力を使って何をしようとしているか知らないが、街を浮かせ続けたいならやめておいたほうがいいんじゃないか?」
「ほう・・・」
領主がこちらを目細く鋭く見据えてくるが、すぐに朗らかな元の調子に戻った、
「それに、属性を混ぜ過ぎだ、魔石に色んな属性が混ざっている、そこの彫刻もそうだ、宙に浮かすなら風属性や重力を操る地属性が適当、何なら、彫像を引き取って、魔力を抜いてやってもいいぞ、あんたがそれ以外を考えていないのであればな・・・」
「・・・それらは全て論拠の無い」
しぶといな・・・
「そうだ、論拠は俺の感覚でしかない、だが、 」
仕方がない、この先のブレている魔力の塊にかける!!
俺はそこに向かって歩み始める!
「待ちなさい!ここは立ち入り禁止だと言ったはずですよ!!」
だが、荷物のあった角の先には・・・
左右で奥に等間隔に並ぶ透明な縦筒の中で一本一体それぞれ魔力の光を纏い浮く、幾つもの怪人達!
と白衣を着た研究員達!!
私は大声で叫ぶ!
「これは!街を騒がしていた怪人達!!膨大な魔力が必要なため、ここでしか作れなかったんだな!!」
研究員たちが俺の方、いや、俺の背後にいた領主の方を見る!
「りょ、領主様!バレました、どうしましょう!!」
「・・・慌てる必要はありません・・・」
領主が穏やかに言った、
ようやく、本性を現したか・・・
「・・・そこにいる愚かな目撃者を消せば済む話です・・・」
私が領主の方に振り返る間にも、目を鋭く細めた領主が右手の手袋を左手ではずし、右手の甲をこちらに向け顔左まで上げ見せる・・・
なんだあれは・・・?手の甲の中心に、銀色の台座付きの鍵穴・・・?
そして、左手にスーツの胸裏ポケットからか取り出した銀の鍵を持ち、鍵穴に差し込み回す・・・
すると、膨大な魔力が領主に流れ込んでいく!?
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