バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

暗黒騎士フラウリア(17)/20

暗黒騎士フラウリア(17) 20
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
f:id:OirenW:20211216202120p:plain


 
第20話 光の騎士
 
 「そこ!石の回収!まだ全部じゃないの!?」
 「そんなこと言ったって町中の小石全部なんて無理ですよう!!」
 訓練所のお手伝いの子が少し涙をためた目で悲鳴を上げる、頭の後ろ左右で髪を結んだかわいらしい子である、
 が、今はそんなことはどうでもいい、
 私はスタリア、スタリア・リザーバー、魔石の研究者だ、
 戦いに出ている可愛い後輩のためにも、帰る場所であるこの町を守らなければ・・・
 四角い訓練所の中央に積み立てられていく小石達・・・
 私はどうにかしてこの魔石を無力化できないかと考えるが何も思いつかない、
 もう一度石を探しに出るべきか・・・
 戦闘要員が前線で戦っているため、私達非戦闘員がただの石に偽装した魔石を探さなければならないのだ
 ドゴン!!
 なんだ!?魔石が爆発したのか!?
 爆発音に驚き思わず街を囲う塀の方に走る!!
 塀の上に出ると焦げ臭いにおいに気が付く、
 塀の上が兵士ごと一部が吹き飛んでいて、黒焦げになっている
 ・・・魔族の誰かが爆発魔法でも放ったか・・・?
 「ふははは!!どうだ、この都市もすべてこうはしたくあるまい、今すぐに降伏しろ!!」
 見ると、敵軍前線中央にいる下半身が竜巻の緑の悪魔がそう言って笑っている・・・
 こちら側の兵士は防戦気味、さすがに来るゴブリンやオークは倒しているが・・・
 爆発されると怖いか・・・
 「まったく、卑怯な手を使うね・・・」
 そう言いながら白い鎧で黒髪の青年が前に出ていく・・・
 襲って来るゴブリンを光速の剣筋で斬り裂く、
 ・・・剣の速度が速い!いくつも向かい来ても人外の速度で幾度も剣を振るい瞬く間に斬り裂く・・・
 あれは・・・確か、シュークとかいう騎士!?
 さすがに突出したのか、緑の悪魔の目に留まる!
 緑の悪魔の右口端が楽しそうに上がる
 「おいおい、街を爆破されたくないのかい?」
 「大丈夫ですよ、仲間がどうにかしてくれます」
 戦場に置いて異様な穏やかな笑みで言い放つ・・・
 「まあいいさ、なら、試してみれば、っつ!」
 光速の剣筋が緑の悪魔にほんの少しの傷を付ける、
 だが、ただそれだけで緑の悪魔の集中力が途切れ、魔力を魔石に送る前に魔力のコントロールも途切れたようだ・・・
 緑の悪魔が驚きを隠すように顔をこわばらせシュークを見据える・・・
 「・・・何をした・・・?」
 「この剣、とある魔法がかかってるんですよ」
 シュークは穏やかな顔のまま
 「どんな魔法だ?」
 「前に思いついたんだけどね、騎士としてどうなのかと思って使わなかった魔法なんだけど」
 「早くしろ、どんな魔法だ?」
 「せっかちだねぇ、まぁ要は、光の力で相手の痛覚神経を灼く魔法、効果はただとにかく痛いだけだ」
 緑の悪魔がまたも 顔をこわばらせる
 「な・・・!?先ほどの強烈な痛みは・・・」
 「そういう事、というわけで、君が心の底から降参するまで痛みで彩らせてもらうよ」
 緑の悪魔が襲い掛かるも、光速の掠り剣が襲う!
 「がぁああああ!!」
 相当痛いのだろう、今度は我慢無く悲鳴を上げる
 「だが、空を飛べば・・・」
 緑の悪魔が空に飛ぶ
 「撃てーっ!!」
 勇壮な声が上がるとともに、飛んだ緑の悪魔に対して矢の雨が降り注ぐ!
 「ちぃい!風よ壁となり我を守れ!ウィンドウォール!!」
 緑の悪魔を風が包み、矢を防ぐが、矢継ぎ早の矢が緑の悪魔を押しとめる!
 緑の悪魔が悔しそうに奥歯を噛む
 「クソ!これでは精神を集中できない!!」
 それを見上げるシュークが両目端を上げる真面目な表情で厳格に口を開く
 「君は忘れているようだね、君は僕だけと戦っているわけじゃない、これは軍対軍の戦いなんだ!!」
 シュークの見上げたままの言葉に見降ろす緑の悪魔の右口端が不気味に笑みの形に上がる・・・
 「そうだな、貴様は俺とだけ戦っているわけではない・・・」
 ・・・やはり、あれを倒しただけではダメだ・・・
 フラウリア、あなた達だけが頼りよ・・・
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――