バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

暗黒騎士フラウリア(17)/16

暗黒騎士フラウリア(17) 16
 
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第16話 石の真実
 
 「ただいま戻りました!!」
 先に戻ってきていた団長が背を向けながら上半身をよじりこちらに顔を向ける
 「遅いぞって、何で魔石研究所のやつを連れて来てるんだ?」
 そう、私は訓練所まで先輩を連れて来ていたのだ
 「それに、お前の背負ってる斧・・・カイザーアックスじゃないか!?」
 ええっ!?
 団長の先の他の暗黒騎士団の人達が一気に引くも、さらにその先に集まっていた他の兵士たちは引いたり他の人達のリアクションに呆然と突っ立ったりしている・・・
 「光と闇の属性を持つ・・・」
 唐突にジャンドさんが引いたまま語り出した
 「人類が作り出せる現段階での最高の武具の一つその内のバトルアックス・・・」
 続けてクーベルさんが目を見開き上下の歯を噛み合わせた驚きの表情のまま話した
 「斧マニア垂涎の品、持つ物は軍団一つと同じだけの戦力となる・・・」
 ロシェさんも引いたままそう言って
 「・・・だと思った・・・」
 右後ろから白衣の先輩の呆れた声が聞こえる・・・
 「そんなにすごい斧ならお父様が弟が使えばいいのに・・・」
 「娘想い、姉想いと言ったところかしらね・・・」
 誰ともなく行った私の言葉に右後ろの先輩が答えた
 そこに団長が冷静な表情のまま口を開く
 「ともかく、その斧はとりあえずお前が持っとけ、見たところ、お前の体格に合わせて設計されたもののようだしな・・・」
 「あ・・・はい・・・」
 「あと、使い方もマスターしとけよ、魔石付きの武器は普通の武器とは違う」
 「魔石関連の話は後で私がレクチャーするわ、それよりも団長?聞いてほしい話があるの」
 団長の目線が先輩に向く、
 って、先輩に魔石付きの武器のレクチャーなんてできるんでしょうか?
 「なんだ?魔石研究所の人間が?今は緊急事態だ、それに対応するために指示を飛ばさにゃならん、下手をすればお前たち一般人も避難してもらわにゃ」
 「その指示が大きく変わるかもしれないと言ったら?」
 今、先輩はまじめに目力もち団長を見据えているに違いない
 「ん?どういうことだ?」
 「この石・・・」
 と、先輩が団長に近づき右手に持った私の渡した石を差し出す、
 一見何の変哲もないただの石だ・・・
 団長が石を見る
 「その石がどうした?そんなもん、そこいらへんに落ちて」
 「この石が、実は魔石で、村を壊滅させた原因、と言ったら?」
 「何?!」
 一瞬驚きに目を見開いた隊長が石を注意深く見る・・・
 「とてもそんな風には見えんが・・・?」
 「ちょっと訓練場借りるわよ、後は・・・ちょっと待っててね・・・」
 言って、先輩は訓練場を出て行き、すぐに戻ってくる
 「友人から金属ヤスリを借りてきたわ」
 先輩はそう言って、石を持って訓練場の中央に行く・・・
 そして、兵士たちが興味深そうに付いて行き、
 中央に座る先輩を見る
 「別に見ててもいいけど、死んでも責任取れないわよ」
 しかし、兵士たちは笑ったりなどしてる、
 あんな石に何ができるのか、とでも言いたげだ・・・
 「まぁいいわ・・・」
 呆れながら先輩が石の表面をヤスリで削っていき・・・
 ・・・魔力を強く感じる・・・
 ある程度削ったところで先輩は立ち上がり隊長に石を見せに行く
 「これは・・・」
 隊長の表情が変わる右目の端が緊張で上がるほど・・・
 周りの反応は明らかに警戒したり素知らぬ顔で平然としたりと様々・・・
 魔力を感じられるか感じられないかで明らかに反応が異なっている・・・
 削られた石の部分には鈍色の宝石のような魔石がのぞき、
 そこから大量の魔力が漏れているのだ・・・
 おそらく、表面のコーティングは石に偽装するのみならず、魔力を隠ぺいするためのものだったのだろう・・・
 隊長が先輩に見据えられたまま石を見て変わらぬ緊張の面持ちで口を開く
 「なるほど、この魔石が爆発するというわけか・・・」
 「そうよ、それもいつの間にか大量に設置されて」
 ジュドドドド!!!
 な・・・何!?爆音!?訓練場の外の方から・・・
 「人間どもに次ぐ!今すぐに降参するんだ!!」
 誰の声・・・!?
 と、そこで訓練場の扉が開き、一人の全身中庸な鉄装備の槍兵士が入り込んで来る!!
 「大変だ!魔族が動き始めた!!連動するように爆発が!!」
 「二手に分かれて一方は爆発音の調査!もう一方は塀に行って魔族の様子を見ろ!!」
 
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