月夜と私の過去と光の城 ダブモン!!4話06
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マンションやビルの立ち並ぶ裏大通りの一角、周りと居並ぶ、古びた小さめのビルの前に私は両親とともに立っていた、
ビルを見上げ、私は思わず声を出す
「ここなの?」
「そうだよ」
「そうよ」
両親の若干不安が混じった声、そのままガラスの自動ドアを通り中に入って行く、
中には左手にカウンターとスーツポニテの受付のおねぇさん
両親とともにそこに行き、
「どういったご用件でしょうか?」
頭上から丁寧な声がする・・・
「うちの娘をアイドルにするという話で、名前は四葉です」
「承知しました」
おねぇさんが右手を上げると、そこには電話の受話器が握られていて、それを耳に押し当てながら左手でカウンター裏の何かを押す動作をし、
「はい・・・はい・・・承知いたしました」
二言三言話すと、さらっと右手を元の場所に戻し、私の両親に向き直る
「それでは、二階の応接室にどうぞ、エレベーターから出たら右手の方にしばらく行ったところにあります」
左手で奥にあったエレベーターに案内され、私達はそれに乗りこみ、二階を目指す、あの受付のおねぇさんが言った通り、エレベーターを出て右手にしばらく歩いた先、左手側に、
応接室と書かれた金のプレートのついた木の扉があった、
父親が扉を開け、私と母もそれに続く、
中にあったのは、紺色のじゅうたんに左前の部屋中央の十字のガラスで仕切られた、四組の一対の革ソファとその間に置かれたガラス板鉄柱足のテーブル、
「お待ちしておりました」
軽快かつ真面目にかけられた声は、左の奥の方から
奥左側の左右に分かれた一対ソファの奥の方の前で立ってこちらに頭を下げ始めていたのは、前にスカウトに来た男の人だった、その人が頭を上げ、力が籠ったと人のよさそうな笑みで
「それでは、具体的に話を始めましょう!!」
私達はその前の長ソファに座り、スカウトマンも奥に座って
両親の間にいた私の左手の方で、テーブルの上に置かれた書類をはさみ、お父さんとスカウトマンが話し合いを始める、
・・・一時間ぐらいだったと思う・・・
私がほとんど理解できない話が終わり、父とスカウトマンが立ち上がり、両手で握手を交わす
「それでは、契約成立ということで、レッスンや仕事の話は、追って・・・」
「娘をよろしくお願いします」
そこで母が立ち上がったので、私もあわてて立ち上がる
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
母と共に、わけもわからず頭を下げる、
そして、私達は元の扉より外に出て行く、
エレベータに戻る間、信頼できる人間だと思ったのか、父の表情は少し誇らしげで、母の表情は私のこれからが不安だったのか、少し暗めだった、
そんなこんなでエレベーターの前まで来て、両親が開いた扉を見て左右に退いた、
そこで私は、エレベーターから出て来たばかりの女性とぶつかってしまう・・・
「ちょっと!?大丈夫!!」
尻餅をついた私に、心配げに大声を上げたその女性、茶色いベレット帽に茶色いコートを羽織り、
中には白い毛糸のベストに白いワイシャツと青チェックのミニボックススカードを合わせている、
何よりも、その長い黒髪に目の大きな、可憐な容姿・・・
「風鳥 歌語理・・・本物っ!?」
「え、えぇ・・・そうだけど・・・」
目の前に現れた突如現れた私の憧れ人は、若干戸惑った表情をしていた、
「あ・・・あの私ファンなんです!!」
「ファ・・・ファン・・・?」
その時の私は興奮状態で、何を言い出すかわからない状態だった・・・
「実は、この子、ここの事務所からデビューすることになりまして」
父親がすかさずフォローしてくれた、歌語理さんが思わすそちらを見る
「ああ、あらそうなの、」そこから、私の方に顔向きを戻してゆく「それじゃ後輩になるのね、名前は?」
「蜜羽 四葉!!」
「そう、四葉ちゃん、これからよろしくね」
私に微笑みかけてくれた、まるで天使の笑顔のよう・・・
私の右手を取って立ち上がらせてくれたくれたりもしたし!
「それじゃ、私は用事があるのでこれで」
そう言って、あの人は私が来た道を進んで行く、ついでに、後ろにいたスーツ姿の男の人もこちらに一礼しつつついて去って行く、
・・・こうして、私はアイドルとしてデビューすることになる、しかし、現実は甘くなく・・・
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