バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー/15

マルチプルブレイドターンインフィニティ オブ トラジリィー 15
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 「これは・・・どうなって・・・」
 「おいおいまじかよ・・・」
 「とにかく、メイダに話を訊いてみよう、まったく、クロノス神様の世界とはいえ、これは・・・」
 宙に浮いた数字とそれを指し示す巨大な針、それを見た俺達はそんな会話をしつつも
 まっすぐ南に進んでいく・・・                   SE:驚き
 「ええっ!?マリアイアよりさらに南!?」          BGM:砂漠の港
 俺達はメイダを追い南西に、ここはフォビドンの南西の港、
 砂漠と一体化した砂浜に、十本ほどの石柱が海に向かって伸びている、といった想定だ、
 しかし、俺が面食らったのは海の様子である、聞いた話だと、巨大な数字の上や針のルートの上に島や陸地などなかったようだが、
 なんせあの針だ、秒針が動くたびに大きく海面が揺れるらしい、
 今も俺の前、遠き沖でせわしなく動いて去っていき、ほどなくして戻ってくる・・・
 俺達はメイダを追うために情報収集していたのだが、そうしたら筋肉質で頭にバンダナ巻いた船乗りがそれらしいものを見たという・・・
 だが、俺が予想していたのは南のさらに南に行ったという話だった・・・
 「ということは、裏中央平原・・・」
 と、俺は船乗りさんと話を続ける
 「ま、そういうことだな、どうする?マリアイアまでしかこの船は行かんが?」
 船とは、船乗りさんの後ろに停泊しているでっかい帆船の事だろうか?
 長い半楕円の船体には波をかき分けるための中央線が付き、上には十を数える大小さまざまな白い帆が付いている・・・
 俺は振り返って皆に話しかける
 「みんなは?」
 みんなは俺を見て
 「行けるところまで行こう」と、マユーカ
 「そっからならいける船あるかもしれません」リリサ
 「そうだな、やれることはやった方がいいと思う」アルフィエラスさん
 「ジンガさんは?」
 ジンガさんは左手、皆の後ろの方でなぜか口元に手を当て何か考えている・・・
 「ジンガさん!」                        SE:気付き
 「あ、ああ・・・」
 ようやく気が付いたように俺達の方を向く・・・
 「行くしかないだろう・・・」
 「決まり!」
 俺は船乗りの方に向き直り元気を出し
 「お願いします!」
 「よし来た!」
 そうして、少々得意げに返してきた船乗りの所属する船に俺達は乗り込み、マリアイアに向かう・・・
                   BGM:波と船木の歯ぎしりが続き続ける夜
 そして、夜になり、船の揺れに目が覚める、
 船室はそこそこ広く、一応固い木のベッドの上で寝ていたのだが・・・・
 どうにも船の定期的な揺れが落ち着かないのだ・・・
 ・・・船は眠りづらいな・・・初めて船で夜を迎えたせいかな・・・
 ・・・夜風に当たれば少しは変わるか・・・?
 などと考え、船室の扉を開けて出て閉め、左手近くにあった階段を上り甲板に向かう、
 と、なぜか、甲板、船の左端の方でジンガさんが両腕と体重を甲板の手すりに乗せ海を見て考え込んでいた・・・
 「どうしたのジンガさん」
 顔だけ左からこちらを向けるジンガさん、その顔は気だるげに力の抜けたものだった・・・
 「・・・なんだ、いたのか・・・」
 いたのかって・・・
 だけど、ジンガさんはすぐに海を見るように戻った、いや、視線はどちらかと言えば上を見ている感じだと気付く・・・
 俺も海より空を見て見る・・・三日月がきれいだ・・・
 「そういえば、ジンガさん」
 「なんだ?」
 「ずーっと考え込んでいるようだけど?」
 「別に・・・」
 「・・・何か心配事がるなら相談に乗るよ?」
 「はっ、知ったような口を、お前も、メイダが心配なんじゃないのか?」
 「心配っていうより・・・」
 「いうより?」
 「よく考えれば、俺、メイダのこと何も知らない」
 「そういえば・・・」
 「出会うまでどうやって生きてきたのか、出身はどこなのかとか、そりゃ、メイダも俺のこと、よくは知らないんだけどさ・・・」
 「そうだな・・・」
 「でも、俺はメイダを信じてる、あんなことする子じゃないって、もちろん、ジンガさんも」
 「・・・」
 「相談事があったら言ってよ!」そう言って俺は振り返って歩き出しつつ、ジンガさんに右手を少し上げ「じゃあね!!」
 そう言って俺は部屋に戻る
 「・・・心配事、ね・・・」
 そんな一言を聞きながら・・・
 そうして、マリアイアに到着する・・・        BGM:漁師村マリアイア
 岩山が見える海岸沿いに藁ぶき土壁という奇妙な家が隙間を開け立ち並ぶ島の村、
 「さて、船を探そう、とりあえず・・・あ、あの地元の漁師さんとか・・・」
 見つけたのは、砂浜上の小さい木船に乗って金属で曲がる所を覆ったキセルなどふかす少しぼろい簡素服で上下をまとめた老人・・・
 「あのすみません・・・」
 「何かな?異国の少年」
 眼だけ鋭く細めてこちらに向ける老人
 なんか、ジンガさんみたいな雰囲気だな・・・
 「ここから、裏中央平原まで行く船はありませんか?」
 「・・・無い、いや、正確にはあった・・・かな・・・」       SE:疑問
 「え?どういうことです?」
 「最近、大烏賊が出てな・・・中央平原周りの海を周回しているのだ・・・」
 「それが・・・まさか、船を襲う、とか?」
 「そういうことだ・・・」
 ううむ・・・
 「さらに、この島を根城にしていてな、悪いうわさもたってしまって、前は裏中央平原に行くルートとしてわりに人もいたのだが、今ではこうだ・・・」
 「ここには数素武具使いがたくさんいます!何とか退治できないでしょうか!!」
 「・・・詳しいことを知りたいなら神社の方に行くといい、あそこの神主さんなら詳しいことを知っているだろう・・・」
 「神社?神主??」                        SE:疑問
 ええっと、聞いたことないんだけど・・・
 「この辺りはクロノス神とは違う神をまつっている」
 後ろから聞こえた声に思わず振り返る
 「え?そうなんですか?アルフィエラスさん?」
 アルフィエラスさんは口を結んだ真面目な顔で俺を見て
 「そうだ、時戒武神スサノオと言ったか?簡単に言うなら神社が教会、神主が神父の役割を果たしている」
 「へぇ・・・」
 思わず目を瞬きしてしまった
 「村の奥の長い石階段の先にある」
 「場所は俺が知ってる、行くぞ」
 え・・・ジンガさん!?
 なんと、口を出したのは意外にもジンガさんだった、その顔には目に力を込めた決意が見れる
 「お前・・・ジンガか!?」
 ジンガさんが老人に目を向け
 「悪いな爺さん、少し待っててくれ、ほら、みんな行くぞ」
 率先して村の方に歩き出す
 俺達も追う中で、俺はジンガさんに問う、
 「ジンガさん、今の人知り合いですか!?」
 「小さい村だからなぁ、村人はみんな知り合いみたいなもんだ」
 「そりゃそうなんでしょうけど・・・やけに詳しいですね・・・まさか、ジンガさんってこの村の出身・・・?」
 「ま、詳しい話は神社に着いてからだなぁ・・・」
 「ジンガ!?」
 と、黒髪を後ろで束ねた少し彩りのあるボロの貫頭衣の女性が声をかけてきた
 「よう、スミカ!」
 ジンガさんが陽気に右手を上げてあいさつする
 スミカと呼ばれた女性の目はまっすぐにジンガさんを捉えている
 「神器を持ち出して行方をくらましたと思ったら・・・」
 「言ったろ、大烏賊を退治してやるってな」
 「でも、あんた一人じゃ・・・」
 「ま、そのための仲間だよ、悪いな、急いでるんだ、あとでゆっくり話してやるさ」
 「あっ・・・」
 ジンガさんはそのまま歩いていく
 慌てて俺達も付いて行き
 「いいの?」
 「やるべきことが終われば、またゆっくり話せるさ・・・」
 階段を上に登ると、奇妙な建物が見えてきた、
 巨大な赤い柵?のようなものの奥に、青い歪曲した焼き物がたくさん並べられ乗った階段で二段上がる小屋・・・?
 「親父~!いるか~!!」
 おやじぃ!?
 思わず俺達の声が唱和し、                     SE:怒り
 小屋の左横から顔中充血した明らかに怒った表情の人が出てきて足音踏み鳴らしこちらに歩いてくる!
 「貴様ぁ!!今までどこに行っていたぁ!!」
 頭の上に黒い帽子、袖の広い緑の衣に下には紫の幅広のズボンを合わせ、
 気の短そうな顔に短いひげを鼻下に生やしたおっさん・・・
 それがジンガさんにまで歩いてきて、立ち止まりつつ感情の赴くままに右人差し指を突き出し
 「神器を持ち出しおってからに!一体どこをほっつき歩いておったぁ!!」
 ジンガさんは両手を体の前に上げておっさんをなだめ
 「はいはい、文句なら後で聞くから、あの大イカは?洞窟の方?」
 おっさんが下からねめつける様にジンガさんを見て
 「そうだが・・・?」
 「なら、ちゃっちゃと言ってくるわ、じゃあな!」
 そうして先導し、小屋の後方奥にある、
 乾いた稲を図太くよったものに雷型の白い紙を等間隔に吊り下げたものが掛かれた洞窟の前まで来る、
 それをジンガさんは見据え
 「ここだ・・・ほら、行くぞ!」
 そう言って、俺達と一緒に入っていく・・・       BGM:水滴落つる洞窟
 「すまないな・・・」
 「いや、別にいいけどさ、なんでジンガさんは旅に?」
 「武者修行だよ、昔から一辺行ってみたいと思ってたんだがな、いかんせん、神社の跡取りだからか許可が出なくてな・・・」
 「そんな感じには見えないけど・・・」
 「一度、大烏賊に村の皆で挑んだんだがな、結局倒せなかった、だから、武者修行に出たんだ、こいつを使いこなせるようになれば今度こそってな・・・」
 「あ・・・」
 「そして、こいつをさらに使いこなせるようになったうえ、前よりも強い仲間に出会えた・・・本当は、一人で倒すつもりだったんだが・・・借りは作りたくない」
 「そんなのいいよ、困ってるんでしょ?だったらお互い様じゃない、貸し借り無しってことで、な、皆!」
 そうして、後ろにいるみんなの方に横から顔を向ける
 「そ・・・そうですよ!」
 戸惑いながらもマユーカが応える
 「水くさ~い!水くさ~い!」
 まるで文句を言う様なリリサ
 「ま、そういうことにしておくか・・・」
 アルフィエラスさんは視線を外し気味に呆れ声
 「は・・・気のいい奴らだ・・・」
 「今日はイカ焼きだ~」
 お~
 俺の号令にジンガさん以外の皆が右拳上げ乗ってくれる
 「・・・俺にも食わせろ・・・」
 「村皆で食えるだけ手に入るよ」
 「だな・・・そろそろだ・・・」
 ジンガさんの声に振り返ると、そこは、海の水のたまった場所、奥には小さな穴が開いており、そこから陽光と海水が侵入している・・・
 と、いきなり海水が跳ね上がり、そこから三角頭が出てくる!    ザバシャ!!
 「キシャァアアアア!!」
 全体的に体は黄色く、ところどころに青い斑点がある、
 楕円の体の上に三角のヒレが乗り、下の方には大きな両眼に丸い口に八本の足代わりの触手に二本の大きく長い手代わりの触手がある・・・
 俺が先陣を切り走り込む!               SE:エンカウント!!
 すると、腕代わりの触手を上より振り下ろしてきた!     BGM:凡庸ボス2
 盾で受け流すと叩きつけられた地面より衝撃が伝わる!
 ぐ・・・強いな・・・!
 そこで横より触手が来る!            炎よ・・・我が眼前の敵を狙え
 咄嗟に後ろに避け、再度走り行く!      一筋の炎に我が意思を込め燃やせ!
 「敵も味方もすべて熱く!リスナーファイア!!」       ボォオオ・・・!
 「ホーミングフレイム!」             ヒュゥウウ・・・・ボウッ!
 辺りを火の粉が舞い、俺達の力が増す中で、炎が直撃し、イカがひるむ!
「キシャアアァアア!!」
 と、いきなり大横に触手が振り回される、それも全員届く距離!?
 あの触手、ここまで伸びるのか!?
 全員が飛び避ける中で、イカの頭にアルフィエラスさんの矢がぶち当たり、
 「地裂斬!」                           ドガシュ!
 ジンガさんの宙からの振り下ろしが見事に決まる!
 「さすがだな、村人たちと言ったときはこれで大半が吹き飛ばされたというのに・・・」
 だろうね・・・さすがにいきなりの範囲攻撃はきついだろうから・・・
 と、着地している間に、イカの口がせわしなく動き、上の触手が交差したり解除したりを繰り返す、
 「まずい?!来るぞ!!」
 ジンガさんの一喝に続き、いきなり触手を真上に伸ばし、あたりに数素の微振動が走る、
 これは・・・何か来る?!                 スクイードフォール
 いきなり人並みの大きさのイカが降ってきて、着弾!その場で立ち上がり回転して触手を振り回す!
 「ぐっ!?」
 これは・・・数素術!?
 皆が防いでいるが、後ろに弾き飛ばされつつイカはすぐに消える、
 この・・・!
 俺が一気に前に出る!
 って、さっきみたいにまた何か詠唱している!?
 「まだ来るぞ!」                       インクフォール
 今度は墨がさっきのイカみたいに降ってきて、着弾!周りに飛び散る!
 思わず盾を前に出して守るが、横からの墨が・・・!?
 操られたかのように顔に墨が被り・・・
 目が・・・見えない!?
 「目が~!」
 「見えません!?」
 「おい、どうなってるんだ!?」
 「すまない、やられた!!」
 リリサ、マユーカ、ジンガさん、アルフィエラスさんの声が聞こえる・・・
 その間にも横から触手が叩きつけられ弾き飛ばされ、壁に叩きつけられる!?
 くそ・・・だが、相手の方向はわかる・・・あれだけの巨体なら・・・
 「牙走閃!!」                            ザシュ
 確かに手ごたえあり!
 「皆!遠距離攻撃に切り替えて!アルフィエラスさん!目を回復する術あります!?」
 「使ったことないが、やってみよう!」
 とその中で一気に走る足音、この重みがありながらそこそこ速いテンポは・・・
 「ジンガさん!?」
 「悪いな、遠距離技など持っていないもんでね!」
 「皆!ジンガさんに当てないように援護を!牙走閃!!」         ザシュ
 足音から外すように撃ったが、
 どうやら、奥のイカに当たってくれたようだ!             ズドン!
 「ぐっ!?」
 今の音は、イカの触手を振り下ろされたが、ジンガさんが大剣で受け流したという感じか!
 「今ので間合いが見えたぁああ!!」    ザザシュ!、ザザシュ!、ザザシュ!
 剣劇の                     螺旋よ、其が回るは熱のため!
 音が聞こえる・・・  空気も大地もあだなすものもすべて巻き込み焼き焦がせ!!
 「地裂斬!」                           ドガシュ!
 「地裂罰列斬!!」  ザザシュ!ガシュガシュガシュガシュザザシュザザシュッ!
 「敵も味方もすべて熱く!リスナーファイア!!」       ボォオオ・・・!
 「フレイムスパイラル!!」            ボォオォオオオオ・・・!!
 辺りを熱気が包み込む・・・
 そういえば、さっきからイカの攻撃が来ない・・・そうか、ジンガさんの必死の攻撃に押されてこっちまで気が行ってないんだな・・・
 「ぐっ!」
 しかし、ここでジンガさんのひるむ声が、イカの触手の攻撃を喰らったか!?
 「待たせたな!ヒールサイクロン!!」
 アルフィエラスさんがボウガンを大振りしながら癒しの弾を打ちまくる!
 ボウガンと弾で出来た癒しの雨と嵐が俺達の体から目の墨と視力の痛みを飛ばしていく、
 反面、体力の回復はあまりないようだ、癒しの力を体調不良の原因を飛ばすことに特化しているせいだろう
 「おっしゃあ!目が見えるようになったぜ!狙いを定め、今放つ!数素開放!!」
 お、来た!
 「空に舞い、」                        グォオオオ!!
 ジンガさんが声と共に一気に振り上げた剣に風が付きまとい辺りを斬り裂く!
 「地は砕け、」                       ドガァアアア!!
 イカを巻き込みつつ一気に振り下ろされた剣により大地が砕け、
 「海は割れ、」                    ザッ!ズシャアアア!!
 イカに剣を突き刺しまっすぐに衝撃波を出しつつ一気に剣を振り上げその勢いで大跳躍!!
 「世界を斬る!」                  ズバァァァァアアアア!!
 イカの後ろにまで行き勢いで一気に振り下ろし、イカを三枚下ろし!そして、イカを突き抜け立ち尽くし、大剣で空を振るう
 「これぞ、空地海世斬!!」                 SE:戦闘勝利!
 ズドォオオオオン・・・                       リザルト
 イカが前のめりに倒れ、皆がそれを見守る・・・         2300EXP
 「・・・終わった・・・」                   レベルアップ!
 ジンガさんが感慨深く言っている中で            仮1500ゴールド
 「じゃ、解体しようか」                 烏賊肉を入手しました
 ジンガさんがいきなり振り返り目と口を大きく開いた慌て顔
 「ちょっと!?この状況でそう言うの!?」
 「だって、長老が海鮮物は肉より鮮度と扱いが大事って言ってたし、これ持って帰らないと村人たち納得しないでしょ?」
 「そりゃそうだけども!!」
 と、俺はジンガさんに近づき右手で右肩に手を当て、
 「がんばったじゃん、ジンガさん、お疲れ様」
 「・・・へっ、言うようになりやがって・・・」
 そうして、イカを解体し、俺達は村に戻る、      BGM:漁師村マリアイア
 眼を見開いた驚き顔で出迎えたのは神主さん、いや、ジンガさんの親父さんって言った方がいいか?
 神主さんはジンガさんを見据え
 「お前、その大量のイカ肉とげそは!?」
 「親父、やったぜ」
 「おお・・・今夜は祭りじゃ、イカ祭りじゃ!!」
 声と大きく開いた目と口端に喜びの感情がにじみ出ている
 「おいおい、俺達にそんな時間は・・・裏中央平原にまで一刻も早くいかなきゃならん」
 ジンガさんの意見に神主さんは冷静に
 「どうせ今日はもう裏中央平原に行く船なんぞ出んじゃろ、なんなら確認しに行ってみぃ」
 イカをその場で親父さんに預け、定期船乗り場に行くと、なんだかんだで準備がいるので、今すぐは無理という話だった、
 しかし、
 「ああ、定期船は無理じゃ、船に荷物の積み込みなどがあるし、もう遅い、礼をしたいが、最低でも一日待ってくれ、明日の朝には出せる、しかし、本当に大イカを倒したのか?」
 「おうよ!何なら、親父のとこに行って確認してくるといい!」
 「そうかそうか、それは・・・」
 定期船のおじいさんの安堵と喜びの顔が浮かんだ・・・   BGM:焼きイカ祭り
 その日、神社で丸い木材を交互に組んで囲んで作った台にイカの肉とげそを木の棒に差して焼いた祭りが催されていた・・・
 周りで村人が踊り狂い、余らんばかりのイカを喰らい持ち込まれたお酒を飲んでいた、
 俺達は周りに配置された丸太に思い思いに座っていた
 「両目はわしがおはらいして神社に保存しておこう」
 「そうじゃな、それがいいじゃろう」
 「また観光業が復活するぞ!」
 「元から研究者しか来ないばいな!」
 そんな会話が聞こえる中で、神社の前にはジンガさんが座っていた、
 今回の主役なのでしょうがないが、その横にスミカさんが来る
 「横、いいか?」
 「ああ、座れ」
 そうして、スミカさんが座る
 「まさか、本当に倒してしまうとはな、それも仲間と、あんなにごうじょっぱりだったお前が・・・」
 「貸しがあるのを返したいんだとさ」
 「はは・・・そう来るか・・・」
 「そうだ、聞いてくれ」
 「なんだ?」
 「帰ってきたら・・・嫁さんになってくれないか?」
 「ええ!?」
 スミカさんが目見開いて驚きジンガさんを見る
 ジンガさんはただただ平常心を保って炎を見ているように見える
 「遠くに行って、痛いほどわかった、今の内に捕まえとかなきゃ、いつか遠くに行っちまうんじゃないかってな」
 「義理堅い男だったくせにそんなことまで言うように・・・」
 「少しぐらい・・・我が侭言いたくなったのさ・・・」
 ジンガさんとスミカさんが空を見る
 「それに、我が侭ついでにもう一つ」
 「どっかに行くんかい?そういう言い方だったじゃけ」
 「後で親父にも話さなきゃならん、こいつをもう少し借りなきゃいけない・・・」
 そう言って、ジンガさんは背中の大剣を体の前に持ってきて左手で刃を支え、見つめる
 「なに、すぐに帰ってくる、借りは・・・返さなきゃならん、すぐに帰ってこれないなら・・・顔ぐらい出すさ」
 スミカさんがジンガサンを見つめてる、寂しいかどうかは俺からはよくわからない
 「良いぜよ、あの針と数字に関係あるんじゃろ」
 ジンガさんは少し驚いたように目を少し見開き速くスミカさんを見返す、
 上を見ると、長い秒針が動き、数字が空に浮かんでいた・・・
 「わかるのか?」
 「空を見た時見つめていたけね」
 「はっ!あんな邪魔なもんが浮かんでたら誰でも目に付くわ!」
 が、ジンガさんの表情には、不思議と自信があふれていた
 「すまんな、もう少しだけ・・・」
 「いいよう・・・」
 ジンガさんにスミカさんが寄り添う・・・
 ・・・俺も空を見て思う・・・
 ・・・メイダ、今そっちにいくから・・・
 そして、翌朝・・・                 BGM:ワールドマップ1
 桟橋伸びる港の前でみんなに向かって号令をかける
 「さ、みんな行こう!」
 「おう!」ジンガさんの迷いの吹っ切れたような声
 「うん!」マユーカの首を少し縦に振りながらの元気な声
 「行こう!」リリサの冒険への興味津々な声
 「しょうがない」斜に構えたアルフィエラスさんの斜めにこちらを見つつの平常心な声
 船に乗り、裏中央平原に向かう!!        SE:ワールドマップから移動
                           BGM:ワールドマップ1
 
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