バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

忍者マウンテンサイクリングレース/10

忍者マウンテンサイクリングレース 10
 
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 10
 
 俺は昼間の競技場に立っていた、観客席には誰もおらず、
 大きなオーバルコース、
 皆が自転車を持ち寄っている・・・
 今日は、純粋な実力勝負・・・忍術・・・無し!!
 正式な手続きで競技場を借り、自転車で10周回る!!
 「今度も俺が勝つぞ」
 転五!?
 その姿は流線型のヘルメットに身体に張り付いたシャツに半ズボン、
 まるで自転車選手のようだが、俺もそんな格好だ!!周りもだ!!
 「いや、今回は小細工無し、己の肉体と自転車のみが勝敗を分ける、必ず勝つ」
 「いいだろう」
 こちらを真っ直ぐに睨む転五の返答
 ピーッ!!
 笛の音・・・集合の合図か・・・
 「絶対負けん」
 「俺がだ」
 俺の台詞を転五が意気良く返し、
 俺達はスタートラインからかなり後ろの方に着いた、
 先の方で勝っても意味が無い、
 後ろから、不利な状況から勝つことに意義がある、
 実戦では別だが・・・
 パンッ!!
 空砲の音と共に全者一斉に漕ぎ出す!
 さすがに量が多く後ろからでは不利だが・・・
 第一コーナー、左に曲がる中で膨らまないように内側に行こうとする参加者が多い中、
 ここが勝負と判断した俺は、外側から一気に抜き去る!!
 が、横を並走してくるのは・・・転五!?
 互いに漕ぐ速度が加速していく、
 一気に2トップになった後は互いにスタミナの事を考え1歩譲ったりしつつも
 距離は必要以上には離さずに先頭集団の先を行く、
 第二コーナーからの直線で1周目を同時に超える、
 第三コーナー、ストレート、第四コーナー、ストレート、
 転五が先に行く、しかし、すぐ後ろを取る
 第五コーナー、ストレート、第六コーナー、ストレート、
 今度は転五がわざと遅らせ俺の後ろに着く、
 しかし、先頭集団の気配も後ろにいる、ここで遅らせるわけにはいかない・・・
 外側にわざと膨らみつつ転五を先に行かせるように仕向ける・・・
 第七コーナー、ストレート、第八コーナー、ストレート、
 第九コーナー、ストレート、第十コーナー、ストレート、
 くそ、後ろにずっといるな・・・
 と、先頭集団の中に飲まれ、周りに別の自転車が・・・
 負けられるか!意気で速度が上がる!!
 第十一コーナー、ストレート、第十二コーナー、ストレート、
 第十三コーナー、ストレート、第十四コーナー、ストレート、
 よし、先頭集団から抜けて来た、
 第十五コーナー、ストレート、第十六コーナー、ストレート、
 転五が横から先に来る・・・ここが勝負どころか!!
 第十七コーナー、ストレート、第十八コーナー、ストレート、
 第十九コーナー、ストレート、第二十コーナー、ストレート、
 うぉおおおお!!
 ゴールラインを一気に切る、
 結果は・・・同時か!?
 さすがに正式な大会ではなくレクリエーションに近い物でもあるので写真判定などは無い、
 コースを外側に外れ、自転車を止める、転五も同様
 疲れた様子で顔を俯かせる転五に向かい
 「転五、レースの結果は・・・?」
 「俺の目からすると同時だった、次は負けん」
 転五の上げた顔のヘルメットの下から鋭い右目が垣間見える
 「それはこちらも同じこと」
 「では次は・・・ニンジャトライアスロンか・・・」
 
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