騎士剣戦隊キシケンジャー 8
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「んもう!結局誰も何もわからなかったし、ソウルクレストも無かったじゃない!」『仕方無いでしょ、紋章だけ見せられても・・・』
みんなで歩く中でマコミの意見にイエローリアが反論する、そんな中でユナがマコミの方を見て
「とりあえず、ソウルクレストがもうないってわかっただけでよかったんじゃないでしょうか?」『私達じゃ認めてくれないって事かもしれないけど、普通五人いれば誰か当たるわよね・・・』
「また、手掛かりなしに逆戻りか・・・」『そう言うな、サトル』
「いや、でも、この緑は気持ちいいぞ!!」『確かにその通りだ!』
「皆がいても何もわからないとなると・・・」『ユウキ、また・・・』
「ようやく見つけたぞ!」
紋章のあった丘より下る帰り道、緑溢れる、向こうが上向いたような場所で、
森から出てきたのは一人の重厚な騎士・・・
「ブラグダ・・・」『ブラグダ・・・』
ジンカイ達のつぶやき・・・だが、それに呼応するようにブラグダが出てきた場所を少しだけ見て
「おい、出てきていいぞ・・・」
なんだ・・・?あれは・・・
ブラグダの出てきた場所よりゆっくり歩き出てきたのは、赤黒いねじり曲がった棘が筋肉質な人型を成し、左右の胸にそれぞれ赤と青の玉が埋め込まれ、後ろにコウモリの羽が付いて尾の生えたまるで悪魔のような姿・・・
魔怪人か?だが、その感じる波動のような力がけた違いだ・・・!
「いけ、グラップデーモン」
「グラップ!」
一人で向かってきた!
「皆変身だ!」
キシケンチェンジ!
剣を引き抜き、一気に前進、
が、グラップデーモンが一気に間合いを詰めて来て、
「この!」
剣を叩きつけるも、何もせずに堂々と受け切り・・・
「なっ!?」
その間に、他の四人も囲んで横から斬りつけるが!!
「グラップゥウ!!」
爆発を伴う跳躍アッパーに皆が吹き飛ばされ、
うわーーーっ!
思わず倒れこむも、あわてて立ち上がり、横並びに距離を取りつつ順番に斬りつけて行く、が、まったく効いていない!?
慌てて間合いを取るも、そこで向こうが跳躍、右足を前に出してまるで駒の様に俺達の周りを飛び回り、俺達にダメージを与え、
俺達が倒れこむ中で元の場所に背を向けて着地する、
くそ・・・
「皆、クレストだ!」
クレストをセットして立ち向かうも、俺は左拳にシールドを破壊されつつ一気に突破右拳を叩きつけられ攻撃され、
ブルーは攻撃の瞬間剣を掴まれ一気に腹に拳を何度も叩きつけられ反撃を喰らい、
イエローは銃撃をものともせずに突進され体当たり、
グリーンは真正面より城壁を投げ込まれ、
ピンクは両拳の連続攻撃で近づく間もなくそこからの右ストレートで弾き飛ばされ結果、背中を床に叩きつけられ、傷の回復で体力をかなり消耗してとうとう傷の回復も無くなり、俺たちはなんとか立ち上がり剣を前に出し力なく構えるもも相手に圧倒的に有利な状態で硬直状態に陥った、
これじゃあ、勝てねぇ・・・一か八か・・・
ファイブクレストスラッシュ!!
全員で発射するも、次の瞬間、向こうが腰だめに構え、発射した気の塊に球体ごと押し返され、気の塊が俺達にぶつかり爆発!!、俺達はとうとう動けないぐらいに消耗し、前後に倒れ伏してしまった・・・
「く・・・くそ・・・」
「このままでは・・・」
「何か・・・手は・・・」
「ぐ・・・ぐぅうう・・・」
「うぅ・・・」
あいつが、グラップデーモンがゆっくりと向かってくる・・・
「待て・・・」
すると、かっとぶ飛行機が上空を通り過ぎ、上から降って現れた青年が、俺達の前で着地、グラップデーモンに立ちはだかった
銀色のジャケットにジーパンをはいた、軽い筋肉質かつ、黒髪を立てた一見すると快活そうだが何処か影のある青年・・・
『シルバーダ!?』
いきなり名を呼んだレッドリアに俺たちの注目が集まる
「何!?レッドリア、知り合いか!?」
『ああ、私達と同じ、ジャステール騎士団の騎士だ!』
「俺は騎士じゃない・・・」
え・・・?
その一言に今度はシルバーだに視線が集中し・・・
「俺は・・・影だ」
え・・・?
『いや、正式に認められた騎士だからなお前は・・・』
「違う、俺は・・・影だ・・・」
少し思い切り首を横に一度降って返すシルバーダ、
ええっと・・・・
「グラップーーー!」
そこにグラップデーモンが走り込んできた、が、右手に持っていた剣で一回、続けざまに二回と斬る!鋭い、銀光のきらめきが、俺達の剣術よりも明らかに鋭いことを物語っている・・・
「グラップゥウウ!?」
グラップデーモンが怯んだ!?
「一気に行くぞ」
剣を左手首甲に持ってくると、そこに銀の剣先から五つの流線型が扇状に合わさったような盾が出現、その裏に剣を差し込み
「はっ!」
そこから剣を引き抜くと、俺達のスーツを銀色に染め、軽度に鎧を当てた姿に変化した!
「さぁ、行くぞ」
一気に駆け抜け、グラップデーモンの拳を盾で受け止めつつ一閃、カウンターの爆発を伴うアッパーも身を引いて避けながら爆発はもろともせず、
回転蹴りも盾一枚で独楽のように削られながらも防ぎきって盾を振るって弾き、グラップデーモンが着地する中で、クレストを取り出した
「ブリザードガストアンドフリーズリターンクレスト」
剣に装着しつつ一気に一度目の剣閃グラップデーモンの足元を氷漬けに、
二度目の剣を放とうとするもグラップデーモンがあわてて両手からさっきの気弾を放ちぶつかり、一瞬の拮抗の後に
「はぁっ!!」
押し切って相手を凍結させ爆発、消滅させた・・・
「さぁ、次はお前だ、ブラグダ」
ブラグダに剣を向けるシルバーダ・・・
が、ブラグダはその剣を地上に叩きつけて塵芥を巻き上げ・・・消え去った時、そこにはブラグダはいなくなっていたのだった・・・
「逃げたか・・・」
変身を解くシルバーダ、おなじく変身を解きながら何とか立ち上がり駆け寄る俺達
「凄かったぜ!」
「さすがに、正式な騎士は違う」
「あいつ、敵わなかったのに簡単に倒しちゃった」
「すごい剣げきだったな!」
「ありがとうございました!」
ユナが律儀に頭を下げる中、シルバーだはこちらに振り返り、目を少し細めたいぶかし気な視線を送り
「・・・誰だお前らは?」
あ、自己紹介がまだだったな!
「それに、レッドリアの声が聞こえたような気がしたのだが・・・」
『私はここだ、シルバーダ!』
いきなりレッドリアが等身大の剣に戻る!
『ひさしぶりだな!!』
シルバーダが一瞬剣に目を行かせつつも戸惑うようにあたりを見回し。
「・・・今、剣からレッドリアさんの声が聞こえた気が・・・」
『バカモン!気のせいでは無くて実際に聞こえているのだ!!』
レッドリアの一喝に、弾かれたようにレッドリアを見て信じられないといった顔を近づけレッドリアを首を少し上下に動かしてまで見るシルバーダ、
「レッドリアさん!?ええっと、どういう状況なんだ・・・?」
『色々あって、剣の姿になっているのだ!!』
「なんですって!?」
大きな声で驚き返すシルバーダ
『ともかく、なんで行方不明になっていたお前がここにいるのだ?』
行方不明!?
俺達五人の一斉の言葉・・・
「それは・・・」
なぜか気まずそうに少し視線を逸らすシルバーダ・・・
しかし、こんな会話、ここでしてていいのだろうか・・・?
俺はレッドリアとシルバーダに向かって思いついたことを提案する
「いや、ここにいると他の人達の迷惑になるし、誰かに話を聞かれるかもしれない、とりあえず、俺達の基地に行って、そこで話をしないか?」
シルバーダは見定めるように俺の方を見て・・・
「・・・いいだろう、ここで突っ立てるよりは安全そうだ・・・」
「そんなわけで俺の名前はシルバーダ、こっちでは摩理野 銀次(スリノギンジ)と名乗っている」
「よろしくな、銀次、」
「よろしく」
「よろしくね」
「よろしく!」
「よろしくお願いします」
「それで、訊きたいんだけど・・・結局騎士なの?違うの?」
基地の中でマコミがシルバーダに問いただす、が、シルバーダはマコミに向かって少し後ろ暗そうに
「違う・・・俺は・・・影だ・・・」
『いやいや、騎士よ騎士、内定調査部に所属しているだけのね』
「内定調査部?」
疑問符がついてそうな少し歪ませた顔でイエローリアに問いかけるマコミ
『つまり、色々な事を調べたり、不穏な場所に潜入したりして、色々な事を調べてくる、スパイみたいなところさ』ブルーリアが説明してくれた
そこでマコミはそのまま
「ああ・・・だからこんなに性格歪んじゃったんだ!」『マコミ、言い過ぎ』
「あはは・・・」
苦笑いでマコミがごまかす中で、シルバーダは少し顔を俯むかせ・・・
「そう、だから俺は騎士ではなく・・・影だ・・・」
『何度も言ってるだろうが、お前は、国から正式な認定を受けた騎士だっつーに!!』
『ま、レッドリアからしてみたら、そう言い張りたくなる気持ちもわかるけどね・・・』
「どういうことだよ、ピンクリア」
ピンクリアの発言に俺はピンクリアに向かい問い返す
『簡単に説明すると、シルバーダを内定調査部に推薦したの、レッドリアなのよ』
え!?
『・・・当時は、シルバーダも見習いの身で、早く一人前の騎士になりたいって言っててな、才能もありそうだったし、内定調査部も人不足だっていうんで、推薦してやったんだ』
『ま、才能に関しては、誰も文句はないわね』
「どういうこと?イエローリア?」
『入ってひと月足らずで、大きな犯罪組織三つの尻尾を掴んで、組織の壊滅に大きく貢献したの、おかげで、周辺の犯罪率が激減したわ』
「へーそりゃすごい」
見かけによらず適材適所で生きてるんだなぁ・・・
『まぁ、その話はいい・・・シルバーダ、お前はなぜこっち側にいるんだ?行方不明になっていたはずでは?』レッドリアが話し出す
「実は・・・王国が襲われるという情報を掴み、急いで帰還するところだった・・・」
え!?
~回想~
あれは霧立ち込める不気味な森を走り込んでいた時だった、目の前を顔なじみの騎士が立ちふさがったのだ・・・
「ギャルガ・・・ウルフェイ・・・ブラグダ・・・なぜここに・・・?」
左右に広がる三人・・・
「いくら逃げ足の速いお前でも、俺達三人もいれば、足止めぐらいは出来るだろ」「そうだな」「うん・・・」
「なるほど、裏切りの騎士とはお前らのことだったのか」
「その通り、俺達も今回の情報を漏らさせるわけにはいかなくてね、情報伝達を阻む結界まで張ってお前を足止めしてるってわけさ・・・」
「なに・・・だが、足止め・・・とは?うっ」
突如、足元の地面が無くなったかのような浮遊感を覚え、いや、実際に無くなり落ちて行った・・・
「うわぁああああ!!」
「じゃあな、あばよ」
俺が最後に見たのは、穴を覗き込むギャルガの姿、そして、地面に背中をしたたかに打ち付け、周りを見渡せば・・・
「ここは・・・どこだ~~~~~~っ!?」
見知らぬ土地に迷い込んでいた・・・
~回想終わり~
「無論、穴はとうにふさがっていた・・・」
『そんなことが・・・』『道理で見つからないわけだ』『大丈夫だったの?』『つらかったろうに』『それから、ずっとこちらでさまよっていたのですか?』
「そうだ、」シルバーダが不意に顔を上げ俺たちに向かい「王国はどうなったんだ!?レッドリアさん達がそんな目に合っているということは・・・」
『実は・・・』
事情を話し終えた時、銀次は突如、土下座して額を地面にこすり付けた!!
「済まない!俺がふがいないばかりに、王国を壊滅させてしまった!!」
俺は思わず見下ろしながらフォローする
「お前が悪いわけじゃないだろ・・・」
『そうだ、お前が悪いわけじゃない』『別に悪いことは何もしてないだろう』『そうそう元気出しなさい』『今は落ち込んでいる暇はない』『元気を出してください』
「しかし、守護精の探索の任務も果たせず、大切な情報も伝えられず・・・」
「だから・・・」
『守護精の探索の任務だと?』
「そう、俺は行方不明となった守護精の探索の任務を国よりおっていた、その過程において、王国襲撃の情報を掴んだんだ!!」
『なぜだ?守護精の探索の任務と王国の襲撃と、一体何の関係がある?』
「実は・・・守護精が次々と行方不明になったのは、あいつらが王国を襲撃するため、王国の戦力を削ぐためにやっていたことなんだ!」
『なに!?』『なんだと!?』『なんですって!?』『なぁにぃ!?』『そうなのですか!?』
「ああ、だから俺は、この情報を伝えるために帰る途中、あいつらに・・・」
うわ~、きゃ~!!
悲鳴!?
外に出ると、結界が見えた、そして、その下の広場にて、そいつはいた、
グラップデーモン!?
それに、ブラグダ!?
「どういうことだ!?倒したはずのグラップデーモンがなぜここにいる!?」
「いつの間にか、復活してた」
俺の言葉にブラグダが答える
復活してたって・・・あ!
「あいつ、胸の赤い玉が無くなってないか?」『そうか、あの玉がコアの部分で、二つあるから一度復活したのか!?』
「なら、話しは早いぜ!」
「いや・・・お前らは黙って見ていろ!」
俺の言葉をぶった切ってシルバーダが不意に前に出る、戸惑う俺たち
「え・・・」
「は・・・」
「いや・・・」
「なんでだ・・・」
「ですが・・・」
「王国を滅ぼした贖罪・・・俺が一人で片づける!!」
アクセサリー化していた剣が剣と盾に戻り、シルバーダが引き抜いた!
そして、スーツと鎧をまといつつ、一気に走り込む!
「行け!」
今度はブラグダが戦闘員を指揮し、突進させてくる!
「そんな雑兵に意味はない!ブリザードガストアンドフリーズリターンクレスト!!」
剣閃により巻き起こされたブリザードに、戦闘員たちは氷漬けとなり、
「はっ!」
二撃目で粉々となり散って行った、
そのまま一気にグラップデーモンに立ち向かい、反撃の間も無い連続攻撃により、グラップデーモンを追い詰める!
「はっ!はっ!はっ!はっ!」
最後の大縦斬りが決まり、
「はーっ、でやっぁ!!」
グラップデーモンがたたらを踏む!
「行くぞ、クレストセット、ブリザードガストアンドフリーズリターンクレスト!!」
吹雪の一撃目でグラップデーモンの足元が凍り、二撃目を放つ
「ぬん!」
が、その二撃目が突如横入りしてきたブラグダの大剣に防がれた!?
「何!?」
「単独で向かって来るとは、この俺がいるのを忘れてないか?」
そこからのブラグダのシルバーダの剣をはじきつつの大上段切りを、シルバーダは盾で防ぐも押し切られる、
「ぐはっ!、だが、お前の大剣は動きが遅い」
「確かに、私の大剣は動きが遅いが・・・グラップデーモン!」
「グラップーーー!」
グラップデーモンがその隙をカバーするように入り込み、横からシルバーダを殴り飛ばす!
「ぐはっ!」
そこにブラグダの大剣が振り上げられ叩き下ろされた
「がはっ!」
ええい、見てられないぜ!!
キシケンチェンジ!!
一気にシルバーダに近づいていく、が、右手でシルバーダは俺達を制し
「言っただろう、これは俺の贖罪だ」
『バカモノォ!!』レッドリア!?
『贖罪だというのなら、そんなに責任を感じているのなら、なぜ1%でも勝てる確率の高い戦法を取らん!』
「!?」
『そんなものはただの自己満足だ』
「そうだぜ、シルバーダ!!」
俺の声にシルバーダが前を警戒しながら横よりこちらに顔を向かせる
「お前、ユウキとか言ってたな・・・」
「そこまで自分を追い込むことなんてないだろう?今までも、王国のために働いて来たんじゃないのか?なら、これからもそうしていけばいい、それだけの話だろ?」
「・・・確かに・・・そうだ、なら、ブラグダを頼めるか?」
「任せろ!」
「ああ!」
「おう!」
「やってやるさ!」
「任せてください!」
5人全員でブラグダに向かい、
「ちぃい!」
横殴りしてきた大剣を下がって避けつつ、対峙する、だが・・・これで・・・
「はぁあああ!!」
シルバーダがグラップデーモンに向かって行く、それを阻止しようと動くブラグダだが
させない!
俺達が間に合入り動きを封じる
「う、ううむ・・・」
今だ!
「はぁああ!」
「グラップーーー!」
グラップデーモンの拳を避けつつ剣の一撃、そこから内側に入り込んでのアッパーを突きで弾き飛ばしつ潰し、回転独楽蹴りを盾を使うまでも無く一気に横切りで中断させ、両拳に気を溜めての発射を盾で防ぎつつ、剣で弾き返してぶち当てた、
クレストを使うまでも無い、すでに完璧に見切っている・・・
「シルバーソードスラッシュ・・・はっ!!」
発射された銀の剣の衝撃波が、今度こそ、グラップデーモンを打ち倒し、爆発させたのだった・・・
・・・結界が収縮していく・・・
グラップデーモンが巨大化、
「こいつら、こんなこともできるのか・・・?」
シルバーダが唖然とグラップデーモンを見上げる中、
ブラグダは瞬時にグラップデーモンを見上げ、グラップデーモンが右足を振り降ろして巻き上げた砂ぼこりに乗じて姿を消した・・・
くそ、また逃げられた、いや、こっちが先か・・・
「よし、それじゃあ、守護精を」
「いや、今度こそ俺に任せてもらおう」
「シルバーダ?」
シルバーダは言葉と同時に、いつの間にか俺たちの方に顔を向けていた
「ここに来るまでに行方不明になっていた俺の守護精含めて守護精を三体発見した、王国に帰るため、協力してもらっている、さ、見るがいい、」
そして空を見上げ
「まずはシルバーキュウビ!!」
って、向こうから飛んでくるのはシルバーダが現れた時に見たジョット戦闘機!?
「とぅ!」
その上にシルバーダがサーフボードのように上に乗り、
すれ違いざまの衝撃波でグラップデーモンにダメージ、
さらに、翼がそれぞれ尾となる様に開き、胴部より足が展開し、コックピットが下に回転するように後ろから狐の顔が出てくる
「行くぞ、シルバーキュウビ!」
「コーン!!」
確かに、尾にジェットエンジンなどついているが、キュウビの狐だ・・・あの戦闘機、守護精だったのか!?
そのエンジンで一気に突進して尾ですれ違いざまに斬り裂き、さらにジェットエンジンの火でグラップデーモンを一気に焼き焦がす!
「グラッパ~!?」
「まだだ、グラッシュイエティ、ソンゴクウ!!」
そこに向かい来たのは・・・鋼の体の・・・イエティとソンゴクウか!?イエティはゴリラに近い体型でソンゴクウは鋼の筋斗雲にまで乗ってやがる
「合体!!」
イエティが後ろに背負った両足を下に出して両腕を身体に展開させて鎧とし、
ソンゴクウが雲で下半身を包むように変形して下に雲が八方向に開いて拳を出して左腕となり、
キュウビはジェットエンジンと足を仕舞って顔を肩に、尾を盾にするように変形して尾の下から拳を出し右腕に
それらが合体し、上から口をマスクガードで閉じた頭に兜をかぶった頭が現れ、スマートで影纏う印象の騎士のロボットとなる!
「完成、シャドーナイツ!!」
さらに、キュウビの尾とソンゴクウの如意棒が合体して上下刃剣となり、素早く近づきながら一気に斬り裂く!
「シャドースラッシュ!!」
「グラッパ~!?」
ズゴーン!!
グラップデーモンが大きな音を立てて爆発、だが、まだ復活巨大化した?!
「グラッパー!?」
その気配を察知したのかシャドーナイツは振り返ってグラップデーモンを見据え
「巨大化しても二度目が来るのか?なら、これだ!」
今度は九尾が飛行機に、イエティの両腕の側が反転してトラックの前部と変わりながらトラックに、ソンゴクウの体を幾つものつがいで反転した筋斗雲がつつんでいき長い球状が基礎の潜水艦となる!
さらにそれが合体、胸にトラックの頭が来て、潜水艦の部分前先が腕先に、飛行機はコクピット部分が肩となり
今度は先程とは真逆の胴が重厚な印象のロボとなる!
「完成、シャドーナイツビークル!!」
両腕を向け、飛行機のミサイルと潜水艦の魚雷型ミサイルを一斉射撃!
「シャドーマシンガンミサイル!!」
ドドドドド・・・
「グラッパ~!?」
そのまま、動く暇すら与えず、グラップデーモンを倒してしまった・・・
守護精たちが去る中で、降りてきたシルバーダに俺達は声を掛けた
「シルバーダ!すごかったじゃないか!」
「これぐらい、大したことは無い」
「じゃあ、これからも一緒によろしくな!」
そう言って、俺は思い切り右手を差し出す!
「いや・・・」
「え?」
思いもかけない言葉に俺は慟哭する
「・・・影と騎士は一緒にいるべきじゃない、俺は・・・お前らとは戦えない・・・」
シルバーダが夕日の中で、俺達の前から去って行った・・・
「シルバーダ!シルバーダァ!」
「・・・すまない、負けてしまった・・・」
「謝る相手は俺じゃなくて魔皇帝様じゃねぇの?」
俺は負けておめおめと返ってきたブラグダをあざ笑う、
にしても・・・だ、いきなりシルバーダのご登場とはね・・・いくら強化された魔鉱石があるからって、これじゃこころもとねぇなぁ・・・
「お・・・?」
そこに置かれた強化された魔鉱石が目を引いた・・・
「それは・・・」
不安そうに声を出すブラグダに対し、俺は
「安心しろよ、俺は手持ちにある分を使うだけだからさ」
「・・・」
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