バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

騎士剣戦隊キシケンジャー/15

騎士剣戦隊キシケンジャー 15
 
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 「さて、課題もひと段落したし、今日はどうするかな!?」『どうする気だジンカイ!』
 今日も農業大学の出入り口で、青空が広がる中で俺は悩む!
 「とりあえず、サトルの剣術修行にでも付き合うか?」『あいつの修業は騎士団のより厳しい気がするがな・・・』
 「そうだよな・・・とりあえず、歩きながら考えるか!」『そうだな!』
 そうして、大学を出て駅までの道路、白がか掛るコンクリートの道を歩いていく中
 「君!一体なんだその恰好は!?一体どこから来たんだね!?」
 「え・・・えっと・・・その・・・」
 ん?既視感のある場面、向こうに警察官・・・以前とは別の細身の警官に呼び止められている一人の鎧の大男・・・
 あれは・・・ブラグダ!?
 『あいつ・・・あんなところで何やってるんだ・・・?』
 「これ、金属製じゃないか!?刃物だったら銃刀法違反だよ君~!とりあえず、署で話を聞こうか」「あ~あ~あ~待った待った待った!!」
 俺は急いでブラグダの腕をつかみ引っ張る!『おい、助けるのか?』
 「とりあえず、みんなには黙っといてくれ・・・」言いつつ俺は警察官に頭を下げる「すいません、こいつこれがお気に入りで、撮影の衣装と小道具だっていうのによく持ち出すんですよ、ほら、とっとと行こう!」
 「あ・・・ああ・・・」
 そうして、どうにかブラグダを引っ張って行く・・・
 幸い、今回も警官はいぶかしげな眼で見つつも追ってくることは無かった・・・
 
 緑の河原でブラグダと二人、川の方を見て座り込み、俺はようやく口を開いた
 「で、あんなとこで何してたんだ、お前・・・」
 「お前達に、話しをしに来た・・・」
 え・・・?
 『敵である、私達にか?』
 「そうだ・・・魔皇帝を倒すために・・・協力させてほしい・・・」
 思わずブラグダの方を見る
 「なにっ!?」『どういうことだ!?』
 いきなりの発言・・・一体どうしてだ!?
 「俺、ずっと悩んでいた、実は、魔皇帝がその魔力により、弟を元気にしてくれた・・・」
 「なんだって!?」『だから・・・今まで従っていたのか!?』
 「グリーン!新しい魔怪人だ!!」 
 なんだって!?
 グリーンリアからのユウキの声に思わず驚く
 俺は急いでブラグダに向かい
 「すまない!」「いいんだ、ここで待っている・・・」「すぐに戻ってくる!!」『待っていろ!!』
 
 俺が遠目に見えるころには、みんながわらわらいる戦闘員たちと戦っていて、辺りには石化した人々がいて、
 そこから離れた所に一人の騎士とも魔怪人ともいえないような奴が見えた、
 確かに兜やブーツ、黒いインナーなどは騎士と言っていいだろう、だが、
 纏う鎧や両腕の伸びたひし形のそれは完璧に新世代魔怪人のそれ、それらのパーツが黄緑に染まっているのだ・・・
 「ずいぶんと退屈だな・・・そうだ・・・!」
 と、その刃の手を、そばにいた石化した親子に振り上げる
 「やめろ!!」
 駆け抜け振り下ろさせる剣を、元に戻ったグリーンリアで防御!!
 「なんだ、お前は・・・?」
 「ジンカイ!こっちはいいからそいつをどうにかしてくれ!」
 ユウキが戦闘員たちの中からこちらに顔を向けつつ言った
 「わかった、ユウキ!」
 他に魔怪人らしい奴もいない・・・それなら、こいつさえ倒せば結界が解けるはずだ!
 「キシケンチェンジ!緑の騎士、キシケングリーン!」
 抜いた剣で上段から切りつける!両手で受け止められ、弾き返される、だが・・・!
 「どうした?この程度か?」
 「いいや!」
 一気に突進し、横より力を込めて叩き伏す!
 「がはっ!」
 うめき怯んだ!?よし、効いてる!
 そいつはよろめきながらこちらに顔を向け
 「バカな、新世代魔怪人にダメージは与えられないのでは!?」
 「俺だってな、日々進化してるんだよ!!」
 「それならば!はっ!」
 両腕を交差から解き放ち、そこに竜巻が現れる!
 それにあえなく巻き込まれ、高く放り上げられた後に背中を打つ様に地面にたたきつけられた、だが、まだまだだ!!
 「グリーン!」「グリーン!」「グリーン!」「グリーンさん!」「グリーン!!」
 急いで立ち上がっている所に五人が駆けつけてくれた、おっし、ここから反撃だ!
 「っち、気が失せちまった、じゃあな」
 しかし、そいつは大きく両腕を外に振るうと、辺りに大きな風を巻き起こし、
 俺達が思わず顔を腕で守っている間に・・・いつの間にか消えてしまっていた、
 だが、結界は解除されてはいない!?
 「あいつを探そう!」「そうだな」「どこ行ったのやら・・・」「みんなで探しましょう」「ああ」
 ユウキの音頭に同調するみんな、だけど・・・俺は皆に向かい
 「済まないがみんな!」
 俺の言葉に皆がこちらの方に向く
 「俺、待たせてる奴がいるんだ、そいつと話してくるから、先に捜索してもらってもいいか?」
 「しゃーねーな」「すぐに戻って来い」「おっし、それじゃ行きますか」「先に行ってますね」「どこから探すべきか・・・」
 「すまない、後で事情は必ず説明するから!!」
 急ぎ俺はブラグダの元へと戻る・・・
 
 変身を解除しつつブラグダと顔を突きあわせ、
 「悪い、魔怪人が」
 「そうか・・・」
 なぜか少し暗くうつむいてる感じだな・・・どうしたんだ?
 そう思う間にも、先程と同じように横に座り直し、ブラグダの方を見つつ話しを進める
 「それでさっきの話の続きだが・・・」
 「ああ」
 『なぜ、魔皇帝の元を離れる?』
 ブラグダはうつむいて川の方を向いて・・・
 「・・・俺は今まで、ずっと迷ってきた、仲間を裏切って、本当に良かったのかと・・・」
 「だがそれは」『弟のため、だったのだろう?』
 「しかし、俺はわからなくなってしまった、裏切ったことが、本当に、あいつのためになっていたのだろうかと・・・」
 ・・・俺には、そんなことわからない、だって、こいつの弟にすら、俺は会ったことが無い・・・
 「だけど、俺は決めた、お前達に協力し、魔皇帝を倒す・・・!」
 「本当にいいのか?弟さんが・・・」
 「ああ、構わない」
 本当に・・・本当に力を貸してくれるのか・・・!
 「おおっし、とりあえず・・・」
 「俺、出来る限り、向こうの戦力をこっちに送らせる、それで、それらの戦力を削ると同時に鍛えて行って、時が来れば」
 「よぅ、兄貴、裏切るつもりかよ?」
 声が聞こえた左手の方を見ると、土手上の道路に、さっき見た魔怪人が!?
 「な!?バダリラ!?」
 バダリラ、それがあいつの名か!?
 「つけられたか!?」
 『気配や姿など無かったぞ!?だが、バダリラだと・・・?』
 ブラグダの声に俺たちは魔怪人の名を知り、
 俺とグリーンリアが警戒する、しかしグリーンリア!?何か知ってるのか!?
 「へっ、」それをあざ笑うかのように一瞬のみ顎を上げ「お前らの気配など目をつぶっててもわかるわ!!」
 そしてブラグダに視線を向け
 「そこの兄貴の気配もな!!」
 兄貴・・・?ブラグダが・・・?
 急いで駆け上がり対峙する俺達、
 「バダリラって・・・」『ああ、ブラグダの弟だ、だが、魔怪人ではなく人間では・・・?』
 「それは・・・」「それはな!」
 ブラグダが言いかけるをの遮り話し出すバダリラ
 「俺は、魔皇帝様から魔鉱石を受け取り、人間と魔怪人の融合体となったのさ!だからもう、病弱で、家や病院からろくに出られなかったあの頃とは違うのさ!!」
 「バダリラ!もういいんだ、王国に帰ろう、それができないなら、どこかでひっそりと暮らそう!!」
 ブラグダの決意の声にバダリラが応えるようにブラグダを見据える
 「なぜだ兄貴!俺はようやく力を手に入れた、騎士として申し分のない力だ!!」
 「力なんてどうだっていいんだ、ただ、お前が生きていてさえくれれば・・・」
 「俺はそうはいかない!ようやく騎士になれたんだ!!あの魔皇帝様の騎士にな!兄貴だって言っていたじゃないか、共に騎士として肩を並べられたらどれほどうれしいかと!!」
 「違う、違うんだ!ようやく気付いたんだ、俺が、心置きなくお前と肩を並べられるようになるためには、まわりにジャステール騎士団のみんなが必要なのだということに!!」
 「やはり・・・やはり、俺の望みをかなえてくれるのは魔皇帝様だけだ!兄貴が裏切るというのなら、俺は・・・容赦なく兄貴を倒す!!」
 バダリラがゆっくりと、右手の刃を胴前よりこちらに突きつけてきた・・・
 「くそ・・・どうしたら・・・」『とりあえず変身して、あいつを無力化してとらえるしか』
 「まて・・・」
 ブラグダ!?ブラグダが俺の前に右手を制し壁とするかのように出してきた・・・?
 「ここは俺がやる、俺が・・・けじめをつける!」
 「ブラグダ・・・!?」『ブラグダ!?』
 「ぬぁああああ!」
 ブラグダが走って行き、その剣を叩きつけていく!
 「へっ!兄貴だからって負けるかよ!はっ!」
 両腕を外側に出しての竜巻攻撃!?だが、ブラグダの勢いは止まらない!?
 「な・・・なにっ!?」
 「俺の突進はそんな事では止まらない!!」
 「こ・・・このぉおおおお!!」
 振り下ろされる大剣、風を纏う速さで叩きつけられる二つの突き、
 その大剣は深々とバダリラの体身体を中まで斬り裂き、二つの突きはブラグダのその胴を貫いていた・・・
 「ブラグダァアアアア!!」『ブラグダァアアア!!』
 すると、不意にブラグダから投げられる緑のクレスト・・・それを思わず受け取る
 「後は・・・頼んだぞ・・・」横目のブラグダが弟の方に視線を戻し・・・
 爆発する二者を、なぜ俺達は止められなかったのか・・・
 
 「あ~ようやく表に出てこられたなぁ・・・!」
 が、俺達が打ちひしがれ涙を流す中で、爆発が去った時に聞いたのは、バダリラの声と似た、別の声!?
 そこに立っていたのは、ネオやジオとほぼ同じ姿となった、黄緑の・・・魔怪人!?
 「なんせ、人間の意志にず~っと従わなきゃならなかったもんな、あ~つらかった」
 「お前は・・・?」
 「あ?」俺の声に気づいたかのようにそいつは俺達を見下ろす・・・「俺か、俺はバダリラの半身、魔鉱石の部分だよ、あいつが死んだことでようやく表に出てこれたんだ」
 「なん・・・だと・・・」
 確かに遠くにある結界は解かれていない・・・!
 「さぁて、ここからどうすっかな・・・とりあえず、ここの奴らを皆殺しにすっかな、あっははは・・・・」
 その言葉に、右手の握りこぶしに、とてつもない力がこもる・・・
 「・・・行くぞ、グリーンリア・・・」『ああ、私も同意見だ・・・』
 俺達は体を上げ、ゆっくりと魔怪人を見据える
 「あ?なんだその目は・・・!」
 「・・・あいつの残した思いは・・・」『願いは・・・』
 「『俺達が継ぐっ!!キシケンチェンジ!!』」
 緑のエネルギーが体中を駆け巡り、ヘルムとスーツを成す、
 「『さらに、マスターグリーンクレスト!!クレストセット!!』」
 更なる緑のエネルギーが、鎧を、兜を、盾を、剣先を形成・・・!
 「『絆化す緑の騎士!ブラザーキシケングリーン!!』」
 「へっ!お前なんざ、吹き飛ばしてやるよ!そりゃあ!!」
 緑の爆発が後ろで炸裂する中、あいつが刃を外側に出したさっきよりも激しい竜巻、だがその中でも、俺達は動じずに、まっすぐと、魔怪人に向かって行く・・・
 「ば・・・馬鹿な!?さっきよりもずっと魔力を込めたのに!?」
 「『そんな程度で、俺達は吹き飛ばせない!!はっ!』」
 上段よりの一撃が、魔怪人を吹き飛ばす、
 「こ、、これならどうだ!」
 魔怪人が距離を取り、両腕の刃をがむしゃらに動かしてかまいたちを放ってくる、
 が、そんなもの効きはしない!
 ゆっくりと歩いていく・・・!
 「『大地は鎌鼬なんかで削れはしない!!はっ!』」
 横からの剣の一撃が、魔怪人を再度吹き飛ばしだ
 「ば・・・馬鹿な!?俺様の攻撃が一切効かないなんて!?」
 「『とどめだ!マスターナイトスラッシュ!!はぁっ!!』」
 振り下ろされた緑の斬撃が、魔怪人に最後をもたらした・・・
 
 「まだだぁ~!!」
 くっ、結界の魔力を引き寄せて吸収して巨大化した!?
 「仕方が無い、みんなに連絡を・・・ってあれは・・・」
 「『ヴォルケーノドラゴン!?』」
 「キシャアアア!!」
 空から飛んでくるのは、赤黒をベースとした火山を意図した竜!
 「まさか・・・力を貸してくれるのか?」
 『ならば行くしかあるまい、グリーンベヒモス!!』
 現れた猛獣に飛び乗り、さらに、ヴォルケーノドラゴンの胸が開いて人型となる中で、
 グリーンベヒモスが顔が胸部となる様に跳びこみ、収納、合体、緑色の目の頭部が現れ、
 キシケンオーと同様に内部で剣を差しこみセリフと共に右手を前に出す
 「『完成!ベヒモスキシケンオー!!』」
 「けっ!お前なんぞ、この俺の風で吹き飛ばしてやる!!」
 両腕を動かしてのいくつもの竜巻、それが一体となり俺を襲う、が、一気に剣で斬り裂いた!
 「なに!?」
 「『お前の風は・・・弱い!』」
 「なら、これでどうだぁあああ!!」
 魔怪人が己に風を纏わせ、高速移動、ベヒモスキシケンオーにその両手の刃を幾度も幾度も位置を変えながら突き刺していく、
 しかし・・・そんなものはまったく効かない!
 目を閉じ、ただただ神経を研ぎ澄まし、その瞬間を待つ・・・
 「ぜぇ・・・ぜぇ・・・どうだ、これなら・・・」
 「『そこだっ!』」
 前方で意気の上がっていた魔怪人の方に足を踏み込みながら一気に切り裂く!
 「ぐへぁっ!?」
 その一撃に魔怪人が吹っ飛ぶ!今だ!
 「『ベヒモスナイツキングスラッシュ!!』」
 ベヒモスが突進するかのような衝撃波に、魔怪人は貫かれ、爆発、消滅・・・ん!?あれは!?
 思わずベヒモスキシケンオーから飛び出し、爆発で飛び出したその存在を思わず抱きかかえる・・・
 『こいつは・・・バダリラ!?』
 
 「よろしくお願いします」
 そう言って俺は医者に頭を下げ、彼が寝ている病室、そして、病院の外へと出て行く、外に出ると仲間が駆け寄るとともに先頭にいたユウキが
 「クレストでの治療も限界までやったが、どうだったんだ?」
 「血まみれで、大けがして、意識不明の重体だけど、助かる可能性はあるそうだ」
 「そうか・・・」
 そう言ってユウキは黙り込み
 「しかし、本当にそのバダリラとかいうやつだったのか?」『僕達、顔は見たことないからね』確かに、サトルとブルーリアの言う通りかもしれないが・・・
 『私の知る限りでは間違いなくバダリラだった、身体的にも、ひ弱であること以外は通常の人間と変わらないらしい・・・』
 「でも助けちゃってよかったの・・・?」『魔皇帝に忠誠を誓ってるんでしょ?』マコミとイエローリア言う通り、その可能性はある、だが・・・
 「もしかしたら、また問題を起こすかもしれない、でも、その時は・・・」
 「今度は私達もいます」『そうよ~それに、今はただの人間でしょ?』ユナとピンクリアの微笑みがかった優しい言葉
 「そうだ、みんながいる」
 『そうだ、俺達にはみんながいる・・・』
 「しかし、どうして巨大化した魔怪人から?」シルバーダの言う通り、これは俺も気になるところだ、だが・・・
 「はっきり言ってどうしてだかは俺達もわからない、だが、」『ブラグダが・・・ブラグダの剣によって魔怪人が表に出てきて、あいつを魔鉱石から解き放ったのは事実だ』
 「もしかしたら、あいつが、魔鉱石だけを攻撃するかのように振るっていたのかもしれない、どうしてそうしたのか、いや、もしかしたら、魔鉱石から解き放って、最後くらい、あいつを人間に、自身の弟に、魔皇帝の手から取り戻したかったのかもしれない・・・」
 『まぁ、ロマンチックな推測にすぎないがな、魔鉱石の力が弱まり、あいつをなおすのに手いっぱいになったりしたのか、これも、今となっては推測か・・・』
 「ともかく、あいつが元気になることを今は祈ろう!もしかしたら、こっちのほうでなら、あいつも病気がちが克服するかもしれないしな!」
 「ああ!」『うむ!』「ああ」『うん!』「そうね!」『ええ!』「はい」『そうね』「ああ!!」
 
 「けっ、あ~あ、とうとう俺一人か・・・」
 さびしくなった真夜中の高層駐車場で、俺は一人・・・ごちた・・・
 
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