バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

騎士剣戦隊キシケンジャー/14

騎士剣戦隊キシケンジャー 14
 
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 「けっ・・・とうとうウルフェイもいなくなっちまったか・・・」
 「ギャルガ・・・さみしいか・・・?」
 「んなわけねぇだろうが!!」
 ブラグダの言い様に、俺は思わず拳を柱に叩きつけた!
 「むしろせいせいしたぐらいだぜ、うるさい奴が四人もいなくなってくれたことでよう!!」
 「・・・」
 「・・・そういや、魔鉱石が一つ余ってたな・・・」
 俺はそれを取りに歩き出した・・・後ろのブラグダは何も言わなかった・・・
 
 「あれって結界!?」『どうやらそうみたいねぇ・・・』
 今日も今日とて休日を利用してのウォーキング兼ソウルクレスト探し、
 ユウキは最近忙しくてどっか行ってるかサトルの剣修業に付き合ってばっかだし、サトル辺りは剣の修業で付き合う気無いし、ジンカイは課題がどうのこうで言ってるし、ユナも最近勉強にかかりきりだし、シルバーダも今日は八百屋のバイトだとか言っている
 ええい!みんなソウルクレストと守護精探しはしないのか!!
 それに、イエローリア達の王国に乗り込む方法も一向に見当が付かないし!シルバーリアも色々調べてくれてるみたいだけど
 慣れない世界で同じていいかわからない感じっぽいし、私達にしてみれば魔術?次元を超える方法?どうすりゃいいのよそんなもん!って話だし・・・
 『仕方無いでしょ、二人も幹部級倒れて気ぃ抜けてんのよ』とは、先程不満愚痴った時のイエローリアの言葉だ!
 だが、結界が出た以上、みんな集まらざるを得ないだろう・・・
 そんなこんなで連絡しながら結界に突入!
 「見つけた!ギャルガ!!」『と、あれは・・・?』
 コンクリの橋の上でギャルガの側にいたのは、緑色の魚鱗を体中に張り付けた・・・半漁人みたいな魔怪人か!
 たらこ唇で各所にヒレなんか生えてて見るからに凶悪そうな目つきしてる!それを三つ又の槍なんかを持ってる!
 などと考えている間にも、ギャルガが私を見つけ、左人差し指を突きつけつつ
 「あ・・・!?キシケンイエロー?お前一人か」
 「じきにみんな来るわよ!」
 「待たせたな!!」
 よし、みんなが来た!
 キシケンチェンジ!!皆が変身し、ギャルガと魔怪人と対峙する!
 「さらに行くぞ、ブルー!」
 「わかっている、レッド!」
 「そうはさせるかよ、マーマオアンネス!」
 「オアンネー!!」
 半魚人、マーマオアンネスが槍を地面に突き刺すと、私達の足元が槍先の絨毯の様になり、痛みが走り・・・あれ・・・体が痺れる・・・!?
 「なんだ・・・これ・・・」「身体が・・・痺れて・・・」「うまく・・・動かせない!」「どうすりゃ・・・いいんだ・・・」「うぅ・・・」「く・・・くそっ!」
 「はーっはっはっはっ!どうだ、マーマオアンネスの麻痺ショック攻撃は!このままなぶり殺しにしてやる!!」
 いー加減にしなさいよっ!!
 『ミラーデブリ&リフレクショットクレスト!!』
 キュイィイイ・・・
 ん?なんだ今の、鳥の鳴き声・・・?
 すると、一匹の鷹が飛んできて、ギャルガに襲い掛かった!
 「あ!?なんだこいつ・・・がはっ!」
 鷹の爪攻撃に吹っ飛ばされるギャルガ!今だ!
 私は一気にマーマオアンネスに銃撃!マーマオアンネスがひるむと、痺れも取れた、同時に鷹もどこかに飛んで行く・・・
 「げっ!?このぉ!!」
 そこでギャルガが感情的に蛇腹剣を鷹に伸ばし巻きつきかけさせるものの、鷹は己の足の爪で弾き落とし、遠くに消えてしまった・・・
 「っち!」
 さすがにこれ以上はまずいと判断したのか、ギャルガは蛇腹剣で地面をえぐり身を隠す一撃を繰り出し・・・魔怪人もろとも消え去ったのだった、
 逃げられた!?
 思わずギャルガ達がいたところまで駆け寄り周りを見回す私たち
 「いない、どこ行った?!」「多分、まだそんなに遠くに行っていないはず・・・」「だな」「手分けして探しましょう」「じゃあ俺は」
 「ねぇちょっと!」
 私の発した言葉に、皆が私に振り向く
 そんなこんなしてる間にも気が抜けたのか変身が解けた
 「どうしたんだ、マコミ?」
 声を掛けてきたユウキに私は自分の勘を伝える
 「私、あの鷹を追ってみたいと思うの?」
 「あの鷹を?」疑問口調からユウキは感心したように口端など上げ「確かに、勇敢な鷹だったな!!」『うむ!自分の身も顧みず、悪に戦いを挑んでいた!!』
 「だから、なんか気になるんだよね」「いいぞ」
 サトル・・・?
 「ギャルガ達は俺達で探す、お前はあの鷹を追ってくれ」「ああ!任せとけ!」「よろしくお願いします!」「それじゃあみんな、俺は向こうを探す!!」
 
 「ええい、くそ、なんなんだよあの鷹は!!」
 キシケンジャーから離れ、結界より少し離れた川沿いに移動したところで思わず感情的に拳を振り下ろす
 「なんで石化しねぇんだよ!!」
 「オ、オアンネー!」
 「え?」
 マーマオアンネスの方を向く間にも、マーマオアンネスの言いたいことをなんとなく理解し
 「くそっ!そりゃ人間以外じゃいくつか対象外れてる奴らもいるがな!」
 俺の国にも鷹匠とかいう鳥使いの奴らはいた、その為、結界の対象には鷹も入っているはずなのだが・・・
 「鷹・・・鷹・・・そういえば・・・あいつら、ソウルクレストを使って強くなってたんだよな・・・だったら、俺も・・・ふははは・・・!」
 思わず笑い声がこぼれた・・・
 
 『鷹で思い出したんだけどさー』「何?イエローリア?」
 鷹が飛んで行ったほうに向かって歩いて行く、ビル街の方なのだが、そっちに巣があるとも思えない・・・
 『昔さ、ソウルクレストの技術が出回り始めた時に、この技術を動物たちに使ったらどうなるのかって実験をやったらしいんだけどさ』
 「そのソウルクレストて、付けるのに多大な苦痛を伴うとか言ってなかったっけ?」
 『ま、今はもう動物実験なんてやってないけどね、で、当然凄まじい苦痛でほとんどは耐えられなかったわけ、でも、唯一一匹の鷹が生き残ったらしいの』
 「へーそれは・・・」
 『他の鳥類や鷹ではだめで、唯一その鷹だけが生き残った、で、その鷹はその強靭な肉体や精神をたたえ騎士の称号をもらったの』
 おおー
 「そりゃすごい」
 『戦場でも大活躍だったらしいわ、でも、最後の最後、誰にも死に際にソウルクレストを託さずに消えたの』
 「・・・なんで・・・?」
 『わからない、私達はその鷹じゃないから、いろいろ言われているわ、術が不完全だったんじゃないかとか、実験で内心恨んでいたからとか、人とは違う感性で何かを見据えていたんじゃないか、とかね、でも、もしかしたら、その残留思念だけが今だに残り続けて・・・』
 「力を託すべき相手を探しているかもしれない、か・・・あ!」
 電信柱の上のさっきの鷹が!?
 『どうすんのよこれ、』「登るっ!」『はい!?』
 電柱に付いた足場を手で握り足を乗せ登って行き・・・鷹に右手を伸ばす!
 「もうちょっと・・・」『ちょっと!手を離さないで、危ない!』
 持っているもう一方の手が滑る!?
 「う・・・うわっ!」『しょ、しょうが無いわね!はぁああ!!』
 イエローリアが力を込めてくれたせいか、左手が再び電信柱に・・・
 「た・・・助かった・・・」『このおバカ!私がいなかったらどうする気よ!』
 「ご・・・ごめんなさい・・・」
 気が付くと、鷹はまたどこかに飛んで行ってしまっていた・・・
 
 あ、あそこ!
 大きなビルの横の塀の上・・・高さは私の身長より少し高い程度・・・位置的には何の危険も無い・・・
 そこでさっきの鷹が機敏に左右を見たりしている・・・
 「よーし・・・」『慎重にね・・・』
 ゆっくりとゆっくりと・・・少しずつ歩いて近づいていく・・・
 ガキン!
 が、寄り来た鋼の剣先の一撃が、鷹を驚かせ、飛び立たせた、
 「おっし~ぃ、もうちょっとだったんだけどな~」
 鋼の剣先が戻っていく場所、
 そこにいたのは・・・
 「あ~っ!ギャルガ!?」魔怪人を伴ったギャルガ!?
 「あ~っ!キシケンイエロー!?」
 互いに右人差し指を指して驚く・・・
 「なんであんたがあの鷹追ってんのよ!」
 「決まってんだろ!俺もクレスト使ってパワーアップするんだよ!」
 『あいつも鷹の話知ってたのね・・・』
 「負けないわよ!」
 「俺もだあ!」
 こうして、私達の鷹の追っかけっこが始まった・・・
 「オ、オアンネー!?」
 魔怪人が追いかける中で走る・・・
 その中で・・・
 「あ、マコミ、どうしたんだ!?」
 ユウキのいる側を通りかかって巻き込み、
 「あ、おい!!」
 「あの鷹は・・・あ、おい!!」
 しばらく行ってサトルのいる側を通りかかって巻き込み・・・
 「ん、あれ?マコミとギャルガ?それにみんなも!」
 またしばらく走ってジンカイを巻き込み、
 「あ、マコミさん、あの鷹は・・・」
 今度はユナを巻き込み・・・
 「あ・・・」
 シルバーダも・・・と、こんな感じで全員巻き込み・・・
 いつの間にか・・・工場の跡地の工場内に潜り込んでいた・・・
 鷹は横倒しで空になった燃料缶に留まっている・・・
 「へっへっへっ・・・とうとう捕まえられるぜ・・・!」
 「とう!」
 「へごっ!」
 調子に乗ってるギャルガを後ろから両足ドロップキックで打ち倒す!
 倒れたまま顔だけ上げるギャルガ
 「いってーな!何すんだよ!」
 「あんたに渡すわけないでしょ、っていうか、あんたあの鷹、剣で叩き切ろうとしてたじゃない!!その蛇腹剣の剣幅でじゃ橋の上で弾かれたみたいに捕まえられそうにないから!!」
 「それの何処が悪いってんだ!」
 「鷹を傷つけていいわけないでしょ!私はあくまで傷つけずに捕まえるの!」『望まない実験で傷つけられて、残した残留思念もなお傷つけられて、そりゃ嫌よね・・・』
 「ええい、らちが明かねぇ!」ギャルガの目線が魔怪人の方に向く!「マーマオアンネス!槍で麻痺させろ!!」
 「オアンネー!」
 させるかぁああああ!!
 今度は片足飛び蹴りで槍の地面突き刺しを阻止した!
 「オ、オアンネー!?」
 「逃げろ!」
 着地しつつこの状況で私は鷹に言い募る
 「あんたのことは、こいつらをどうにかしてから捕まえてやる!傷はつけないけど、虫取り網の一つでも持って行くから覚悟しな!!」
 と、鷹がいきなり大鳴きして飛翔、私の手の甲に乗り、そこから黄色いクレストと化した!?
 「げっ!?それは・・・」
 『あらあら・・・』
 「あんた・・・あたしと戦いたいって言うの?、ま、あんたも騎士なら、理不尽とは戦いたいって思うよね・・・なら、一緒に理不尽に立ち向かいましょう!!」
 鷹が大きく鳴いた声が聞こえた気がした・・・
 そして皆を見回す
 「さ、みんな行くわよ!」
 「あ、ああ・・・」「お、おう・・・」「何が何やらわからないんだが・・・」「と、とりあえず行きましょう・・・」「・・・仕方無い・・・」
 キシケンチェンジ!!
 「さらに!」
 「『マスターイエロークレスト!!』」
 黄色のエネルギーが私の体をまとい、新たな鎧と盾と伸刃と化す!大きく翼を広げたポーズから剣を前に出し構える!
 「翼持つ黄の騎士!ウィングキシケンイエロー!!」
 「ええい、ここじゃ多人数相手に蛇腹剣を満足に振るえん!マーマオアンネス!槍を地面刺して牽制しろ!俺はその間に外に出る!」
 「待て!」
 「ここは俺に任せろ!みんな俺の側に」「私は先に行くわ!」「ああ、任せた!」『ソードアンドシールドクレスト!!』
 私が跳躍して一気にギャルガを追う間に、他の皆も跳躍、レッドが足元に出現させた盾により見事に槍を防いでいた・・・
 「げぇっ!?あの槍を超えてきた!?」
 ギャルガを追って工場の外に、
 「この!これなら!!」
 出してきたのは戦闘員の壁、もちろん、黒い奴も交じっておりその向こうにマーマオアンネスも逃げ込んできた!
 私たちの後ろにみんなも駆けつける気配がし
 「おい、どうすんだよ!」「左右は工場跡・・・」「どうやって先に進むんだ?」「どうしましょう」「・・・うーむ・・・」
 「逃がすわけないでしょう!」
 思い切り大跳躍し、そこから滑空し、ギャルガ、魔怪人、戦闘員たちがあわてて見上げる中で、翼持つ様に悠々と私はギャルガに向かって飛ぶ!
 「バカな!?飛んだだと!?」
 『実際には高い跳躍とほんの少しの滑空が出来るだけなんだけどね・・・』
 ギャルガが驚いている間にギャルガと魔怪人の間に割って入って着地し剣撃を二発浴びせかけて弾く、「がはっ!」でも今はこっちが先!
 方向転換してマーマオアンネスを叩き斬り、そのまま追撃!
 「オアンネー!?」
 カウンターの槍の突き一撃を宙に飛んで避けつつマーマオアンネスの裏に回り込み、一気に剣で弾いてギャルガと一まとめに!
 「え?俺も!?」
 「『マスターナイトスラッシュ!!はっ!』」
 「オアンネー!?」「ぐはぁあああ!!」
 斬撃が二体を襲い、マーマオアンネスは爆発消滅、ギャルガもさすがに片腕をもう片方で抑えているほどのダメージ・・・
 イエロー!
 そこにみんなも合流してきた! 
 私は思わずそちらを向いて一言
 「遅い!」「お前が早いんだよ」「まったく、すさまじい怒号の攻めだった・・・」「凄かったぞ!」「素晴らしかったです」「あそこまでの攻めはなかなか見ないな!」
 「追い詰めたつもりか、だが、俺にはこれがあるんだ!」
 ギャルガが両手を突き、マーマオアンネスを巨大化
 「やれ!マーマオアンネス!!」
 「オアンネー!!」
 マーマオアンネスがその槍を私達にじかに突き出してきた!?
 何とか転がり避けるも、その槍からの衝撃により建物が崩壊、その砂ぼこりにギャルガの姿が見えなくなる・・・
 「どこ行った!?」
 『気配からすると、建物の中を移動しているようね、でも・・・』
 見た所建物は崩れ、そう簡単には追えない感じになってしまっている・・・
 追えないか・・・
 「仕方が無い・・・みんな」
 「キシャアアア!!」
 あの空飛んでくるのは・・・ヴォルケーノドラゴン!?
 「頼んだぞ、マコミ!」
 「任された!イエローキマイラ!!」
 イエローキマイラが人型となるヴォルケーノドラゴンの胸部に入り合体、黄色い目を持つ新たな存在に!
 「『完成!キマイラスキシケンオー!!』」
 そうして、マーマオアンネスと対峙する、
 突き出してくる槍を剣で横に弾き、下がりつつの二撃目も弾いてそのまま前進
 「オアンネー!」
 やけになったのか地面に槍を突き刺してくる、だが、それを大跳躍回避!
 一気に大上段から斬り裂いて相手を下がらせる!
 「オアンネー!?」
 「さぁ、とどめよ・・・!」
 「『キマイラナイツキングスラッシュ!!』」
 獅子の顔を伴う斬撃が、見事にマーマオアンネスを斬り裂き、倒したのだった・・・
 
 夕日を見る中で、私は今日の疑問点をイエローリアにぶつけていた
 「結局、なんであの鷹はいきなり私にクレスト渡したのかね?やっぱり、ギャルガに立ち向かいたかったのかしら?」
 『いやー、あの状況なら私でもクレスト渡してたわよ、多分・・・』
 思わず手首のイエローリアを上げ見る
 「あんたもギャルガにそんな恨みあったの?」
 『そういうわけじゃないけど・・・ま、今日はかっこよかった、ってことで』
 「んーなんか知らないけど・・・ありがと」
 マコミ!
 背後から聞こえた声に思わず振り返る
 「お!みんな!!」
 皆が駆け寄ってきていた
 「大活躍だったじゃないか!」「ああ」「凄かったぞ!」「かっこよかったっですよ」「ああ、騎士団でも早々に見ないぞ、あれは・・・」
 「ん~なんか知らないけど・・・今日は褒められて気分いいし、なんか、映画でも見に行くか!!」
 皆が右拳上げ一斉に声を上げる
 お~
 「あ、割り勘だからな!」「わかってますよ」『何観るの~』『なんだろうね~』「どこの映画館行くんだ?」「まったく、」「だが、付き合うんだろ」「たまには、いい・・・」
 
 「くそう!」
 俺は命からがら逃げてきて、壁に拳を叩きつける、
 「・・・あいつら、確実に強くなってやがる・・・」瓦礫のおかげで逃げられたが、このままだと、俺の命も危うい
 そこをブラグダが冷静に見据えてきた
 「ギャルガ、少し落ち着く」
 「これが落ち着いていられるか!」
 「おやおや、やはり、俺が来たのは正解だったようだな」
 ん?誰だ!?
 向こうから歩いてくるのは黄緑の植物のつるをイメージしたかのような複雑細身なデザインの鎧に身を包んでいるような・・・
 「お・・・お前は!?」
 ん?なんで一緒に見たブラグダが動揺してんだ・・・?
 俺の疑問をよそに、ブラグダは、石で殴られたかのように、その場で固まり、新しく来たやつを凝視するのだった・・・
 
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