炎の精霊と火山と謎の剣 ダブモン!!7話/02
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「うへぇ・・・本当に熱い・・・」
「すみません、このような所で・・・」
少し前を歩く女の子の声に僕は慌てて答える
「な、なぁに、慣れりゃどうってことないさ」
地下に下る洞窟を僕達は歩いて行く・・・脇に見える通路の下には熔岩など流れている・・・
汗がすぐ蒸発するほどの熱さで僕と少女の脇を飛ぶのはイグリード、炎の精霊のような姿をしたダブモン、
そして、すぐ前を歩く少し年下の女の子は、ここの巫女、というより案内人かな?
赤い東洋風の前合わせに袴の衣装には大きく白いファイヤパターンがそれぞれ描かれ、手首足首に金の輪などをしており、
髪型は後ろ中程で髪を結んだ黒の髪で、その顔立ちは清楚さとかわいさが入り混じった顔立ち
「熱いな、確かに・・・」
「熱いわね・・・」
「熱い・・・」
「熱いです・・・」
「言うほど熱いか?」
等とさらに後ろの方のみんなの中で涼しい顔をしているのは何と、兎白だ
「見た目ほど熱くない気がするけど」
「んなバカな、冷たっ!」
近づいた良星がいきなりのけぞる・・・
「お前、どうなってんだそれ!?」
「当然でしょ!相棒に暑い思いはさせられないわ!!」
と、そう言いだしたのは、兎白の側を飛ぶフリィジア!?
この前に入ったばっかりのこの氷の精霊は、兎白にぞっこんなのだ・・・
その氷の精霊が目じりを切り上げ口を開く
「こんなところで相棒が熱中症で死んだりしたらどうするのよ!!」
「そこまではいきません、何度も人が入っている場所ですし、道案内に私達もいますし、周辺のダブモンもやさしくしてくれます・・・」
フリィジアの言葉に、女の子、ユネッタが呆れたように言葉を発する
「それでも、熱い思いなんてさせられ・・・」
「アホか、お前、精霊種だろ、この辺り、お前の反対属性の場じゃねぇか、そんなことしてたらお前が死ぬぞ」
「う・・・」
カンテーラのいきなりの言葉に、うめいて怪しく目線をそらすフリィジア・・・
「そうなのか?」心配そうにフリィジアに目を向ける兎白に
「そうなんだよ、この辺りは核属性、火と地属性の強い場所だろ、フリィジアの属性は氷、水と風の属性だ、精霊種っていうのは周囲の自然の影響を強く受けるから、自身の属性に近ければ近いほど強くなるが、逆だと弱くなっちまうんだよ、そう、熔岩にあぶられた氷のようにな」
カンテーラが答えた
「うぅ・・・」
よく見ると、うめくフリィジアの額には汗が少しずつ流れ、体も縮小している気が・・・
「僕も、珍しい精霊種が死んでしまうのはいいとは思いません」
「だな、同種として言うが、あまり無理はしない方がいいぞ」
と、アクリスとイグリードがたしなめる
「フリィジア・・・」
そこで、兎白がフリィジアを真正面から心配そうに見据える
「俺はお前が消えるところなんて見たくないんだ、力は自分を守るために使ってくれ、なに、俺は暑さに強いんだ、みんなが耐えられてるんだから俺も耐えられる」
「うぅ・・・相棒・・・じゃあ・・・」
「ふぅ・・・熱くなってきた・・・」
「確かに、兎白から冷気は感じなくなったな・・・」
そう、襟中に空気を送るように手で襟を動かす兎白とそれに近づく良星の言葉・・・
よかった・・・
そうやって、僕達は先へと進んで行く・・・
あれ・・・?先に・・・
「ねぇ、このルートであってるの?先が熔岩の流れでふさがってるように見えるんだけど?」
「おかしいですね、あそこにあんな熔岩なんて・・・」
「おい!先の方にダブモンがいやがる!!」
・・・とまぁ、そんな感じでなぜ、イグリードやユネッタと一緒にいるかと言えば・・・
「ようやく森を抜けて来たね・・・」
「だな」
「うんうん」
「何のかしらここ・・・」
見渡す限りに広い土地、森の中にこの辺りだけぽっかりと穴が開いたような感じだ、
そこには、わらを三角錐にまとめたような家々があった、
僕の名前は海象 鼓動(かいぞう こどう)
サバンナの草原長袖シャツに長ズボンのジーンズ、腰にボックス型のポケットがたくさんついた膝上までの皮を一対垂れ下げ、後ろに食料調理器具もろもろ入った袋を下げている
「この辺りはソマグータっていう村だ、古いしきたりを守り通してる村、って聞いたことがある」
「へぇ~なんでだよ」
そう案内役に返したのは双運 良星(そううん りょうせい)
黒いバンダナ使い立つ黒髪に黒目、体には赤銅色の袖なしシャツを着て、左肩後ろに羽ばたくような炎翼のブローチを着けており、
下にはジーパンをはいて左右にポケットを大量に垂れ下げたベルトを巻き、腰後ろに僕と同様の袋を背負っている、
「そこまではな、現地の住民に訊けばいいんじゃないか?」
そしてその案内屋でカンテラ持った幽霊みたいなのはカンテーラ
黒い瞳覗かせる濃紺のフードが付いた袖付きマントには、左上に太陽と流れ星の中間のように放射線が広がる楕円を着け、
中は黒いもやのようになっていて、そして、その左手には象徴となっているであろう火の付いた黄色いカンテラを持っている、
「フリィジアはこの辺りのこと知らない?」
こっちは稲走 兎白(いなばしり とはく)、
やせたのっぽな身長で、髪はぼさっとしており、鮫の絵がのった長袖Tシャツに膝上外側にポケットの付いている長ズボンジーンズをはき、
僕と同じ背掛けの袋を持っている
「残念、来たことも聞いたことも無いわ・・・」
そう返すのは、氷でできたような小さな精霊の少女であるフリィジア、両肩に氷の鎧のような意図があり、流線状にクリスタル上の氷は後ろに流れ並び下の液体状の髪の毛を保護している、
「ウィルピーは・・・知ってるわけないか」
そう後ろの方で言いだしたのは四葉さん、金色のツインテールに一応は可憐な容姿、黒スカートに黒タイツ、ヒラヒラのついた一見すると高そうなシャツに首元には黒いリボンを付けていて、左胸に筆記体黒字金ふちで意のじのバッチを着け、茶色の革靴を履いている
「無いに決まってるでしょ、来たことも無いんですから・・・」
その側で返したのはウィルピーだ、黒い目のついて背中に鍛冶用の槌と鋏を背負った細い両腕のついた光の火の玉のような姿をしている、
ん・・・?
あの先が回ったような金髪に覆うような革の黄色のマントは・・・?
あれは・・・アクリス!?なんでこんなところに
「アクリス、こんなところで何やってるんだよ!?」
「あれ!?君達こそ、なんでこんなところに?」
良星が駆けて行って話しかけ、こちらに振り返ったのはアクリス、砂漠の街の方で色々と仲良くなった青い瞳をして優しげな雰囲気を持つ、
マジックブックとかに詳しい、旅をしてる子、なんだけど・・・
「こんなところで会うなんて奇遇だねぇ、色々あって、あの町から割とすぐに出ちゃってさ、君たちのこと心配してたんだよ」
「俺達もそうだけど・・・何やらかしたんだよ?」
「魔術関連で色々とね・・・君達は?」
「こっちもそんな感じ、もう砂漠の街には戻れそうにない・・・」
「そう、それは大変だね・・・」
「それで?こんなところで何してるんだよ?」
「ああ、この辺りに、強い力を持つ剣があるって聞いてね・・・」
「強い力を持つ剣?氷の魔剣なら見つけたけど力を失ってたぞ?」
「氷の魔剣?何の事だい?」
「ああ、知らないならいいんだ・・・」
「僕が言ってるのはもっと別の剣だよ、ああ、ちょうどいい、カンテーラとウィルピーに捜索の協力を頼めないかな?」
「カンテーラと・・・ウィルピーにまで?」
「なんで、ウィルピーにまで・・・」
四葉さんが疑問を呈す
「実はね、その剣は、ウィルピー族が打ったっていう言い伝えがあるんだ・・・」
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