ウルフォス 3
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「おっし!」
フライトシミュレーターで今までより好成績を叩きだす!
そして、俺はスコアの画面を見ながら横に立つ人に声を出す
「どうですか!鷲ヶ崎さん!!」
「ま、ちょっとずつ操縦技術が上がっているのは認めてやろう、だが、まだまだだ、実際の飛行ではシミュレーターでは予期せぬ出来事がたくさん起こるからな、このままでは一人での飛行は認められない、さぁどけ、次は俺の番だ、本物の飛行ってやつを見せてやるぜ」
ううう・・・まだ駄目か・・・ウルフォスに変身する以上人には見られたくないし、一人で戦闘機に乗れた方がいいんだけどなぁ・・・
そう思いつつおとなしく退き・・・
ビーッ!ビーッ!
「異常事態発生、ミーティングルームに集合してください!」
「なんだよ今からいいところだったつーのによ」
「行きましょう!」
ミーティングルームに移動したところ、ほかのみんながすでにいた
「何があったんですか?」
「森林伐採業者が持ってきた木片から地球外遺伝子が検出された」
「先生!?」
そこには何か用事があったのか、すでに先生がいた
「見慣れない木があったために皮を削って調査したところ、検出されたそうだ、直ちに現地に飛び、調査を行ってくれ」
了解!
皆の声が唱和した・・・
「この辺りのはずだが・・・」
豹賀さんが歩きながらあたりを見回す、
すでに辺りは細い針葉樹の森山の中、
「どこまで歩けばいいんだ・・・」
「こんな森の中、楽勝でしょう」
「同じような木ばっかり視界に入って嫌になる、雲の方がまだ見分けがつく」
鷲ヶ埼さんが愚痴る
「そういうもんですかね・・・でも、木々にも個性がありますよ、例えばこの木とか・・・」
と、一本の木に手をかけ・・・
ギギギ・・・
うおっ!?
木が倒れ、俺も一気に前のめりに倒れる!
木は倒れた衝撃で塵と化し、
「腐りかけで脆くて脆くてすぐに倒れます、とかか?」
「何を言ってるんですか鷲ヶ埼さん!」
丹頂池さんがそう言って、すぐに来て助け起こしてくれた・・・
「大丈夫ですか?」
「ありがとうございます、ん?」
立ち上がったところで折れた木の根元の部分が目に入った・・・
「どうした?」
「これ、株の部分が空洞になってる・・・?」
そう、すっぽり取るように真ん中の部分が無いのだ、
ただ、切ったというより、中身を生成中であると言った方が正しいか、内部に外皮から身を詰めていっているというか・・・
よく見ると外皮も幾重にも渦を巻くようなものになっている・・・
「なるほど、これが話にあった木ですね・・・」
「確かに、こんな木は地球上で見たことが無い、どうしてこんな木が・・・?」
覗き込む豹賀さんの意見に鷲ヶ埼さんが同意する、そして、鷲ヶ埼さんの疑問に精いっぱい頭を回して俺は答える
「木が生えたばかりのものを好む植物の天敵のようなものがいたとすれば、先に外見だけ大人にする、という理屈も成り立ちますが・・・」
「なるほど・・・」
「それに、中に重さのあるものを詰めれば、この材木で詐欺などもできます、だが、こんな空洞があれば、普通の材木よりくさりやすく、脆い・・・」
「ふむ・・・下手に触れると折れてしまうし、木も見分けがつきずらい、確かにこんな木があっては危険だな・・・」
「ですね、生態系への影響の懸念もありますし、根っこ事引っこ抜いて塵もできる限り回収、研究対象にする以外は焼却処分にしましょう」
「じゃ、手間かかりそうだし、とっととやるか・・・」
「それに、この森の全体調査も」
はぁっ!?
鷲ヶ埼さん、豹賀さん、丹頂池さんの声が森に響く
「待て、これ一本じゃないのか!?」
鷲ヶ埼さんの方を向き僕は反論する
「植物ですよ?怪獣のように大きく目立つわけじゃないし、他にもあるかもしれないと考えるのが自然でしょう?」
「自然て・・・」
「でも、さすがにこの森を調査全部するのは骨ですね、全てとは言わないまでも、何か大雑把にでも・・・そうだ!!」
・・・
「こちら鷲ヶ埼、新しく搭載されたレーダーは順調だ、北に10M」
「了解」
セスウィングに乗った鷲ヶ崎さんに案内され指定された場所に行くと、そこには確かに目的の木があった
「それじゃ、倒さないように慎重にな、また塵集めは嫌だからな」
了解!!
隊長に言われ、俺と豹賀さん、丹頂池さんは返事をして、急いでスコップで掘りにかかる
「にしても、すごいな、よくあんなこと思いついたな・・・」
「中身が空洞なら、音波を飛ばせば、通常の木とは違う反応が返ってくるんじゃないかと思いまして・・・」
「なるほどね、ま、成長しきった木に効くかどうかはわからないが・・・」
「そこはもう、人をたくさん雇っての人海戦術しかないですよ、あのレーダーで大雑把にやりつつ、後は地道にやっていくしかありません」
「そうね・・・それしかないわね・・・」
「そこ!口を動かす暇があったら手を動かす!!」
辺りの土を掘りながらの隊長の檄に、俺たちは声をそろえて答える
了解!!
一本根元から掘り出した後、材木屋に頼んで基地にまで運ぶ約束をし・・・
「ん?辺りとは反応の違う木があるぞ!?」
鷲ヶ埼さんの通信、まさか・・・
周りを見回しつつ俺の意見を言う
「もしかして、成木かもしれません・・・」
「なら、先にそこをやっておこうか、種を飛ばされてはかなわん・・・」
「ですね!位置は・・・」
指定された場所は、森の奥の方、それも、あたりの木が枯れつくし倒れつくした場所だった・・・
その中に一本だけ丸々と太った木があったのだ・・・
「なるほど・・・」
「これは・・・」
「全部駆除したほうがいいわね・・・」
「文句を言っていても始まらん!まずはあの成木だ!!」
了解!!
とはいうものの、スコップ持って近づくだけだ、
せめてあの木で駆除のための研究が進めば、ここの木たちも浮かばれるだろうか・・・?
成木に近づき、適当に少し離れてスコップを地面に
ガン!
何か弾かれるような音がして、スコップが跳ね返った!?
岩にでも当たった!?でも、当たった感覚は太い木の根のような・・・
ゴゴゴ・・・
地響き・・・?
「何かまずいぞ!退避~!!」
隊長の一声に、俺たちは思い思いに思わず下がる!!
ドゴォオオオオ!!
土煙と共に地下より怪獣が現れる!?
背中に先ほどの太った木を生やし、体は四足で横に広いトカゲのような顔と尾で幅広の口と目を持ち平べったいが全て茶色の木の根が絡まってできているようだ・・・
あんなもんまで・・・
「何だあれは!?隊長、攻撃許可を!」
「街まで行くと被害が甚大だな、攻撃を許可する、山火事に気を付けろよ!」
鷲ヶ埼さんの通信に隊長が許可を出した!
「了解!レーザー照射!!」
戦闘機よりレーザーが照射、が、効いている様子が無く、そう思った次の瞬間には、木から枝が矢のように射出されるように幅広の丸太のような枝が射出され、セスウィングにぶつかっていた!?
「ぐっ!制御不能!!」
なるほど、空洞の木にはあんな使い方が・・・って、感心してる場合じゃない!
急いで森の木の裏にまで移動し、
頼んだぞ・・・
ウルフォスピラーを掲げる!
「ウルフォス!!」
気が付いた時には、大きな狼人の姿になっていた・・・
まったく、安易に呼び出さないでほしいものだな・・・だが、今回は手を貸してやろう・・・
怪獣、モクウドーと対峙する、
と、いきなり木を向け丸太を発射してきた!
それを爪で斬り裂きつつ突進!爪でモクウドーの体を斬り裂くが、その際飛び散った木片がこっちに飛んでくる!?
思わず後ろに避け跳ぶ、
なるほど、遠距離は丸太、近距離は木片てわけね、それなら・・・
「ワォオオオオオ!!」
馬鹿の一つ覚えの咆哮・・・ではない!!
モクウドーが前進するもはじき返される、
そう、この咆哮は、音によって結界のように相手を閉じ込める効果を持つ、
もっとも、そんなに強いものじゃない、せいぜい、木片をはじき返す程度だ、
このまま・・・
一気にエネルギーを吸い込み
「ワォォォオオオオオオオオ!!」
光線をぶつけ、モクウドーを爆散させる、しかし、その炎が広がり・・・
いや、どうにかできるけどな・・・
「ワォオオオオオ!!」
特殊な音波をぶつけ、一気に消火しきった・・・
・・・
「というわけで、まずは森を一通りチェックして、その後は、一年かけて、レーダーを当てたりして新しく生えてないか調べてください、へたをすればまた怪獣が出てきかねないですので・・・」
「はい」
「ありがとうございます」
森林伐採業者に言って、僕たちは基地に帰るため歩き出す・・・
「にしても、大変なんだな、外来種駆除って」
セスウィングは墜落したものの無事だった鷲ヶ埼が歩きながら愚痴った
「わかってて入ったんじゃないんですか?」
「いや、上からの命令で・・・」
「じゃ、今度の座学でみっちり仕込んでもらいましょう、幸い、鷲ヶ埼さんの怪我も大したことなさそうですし」
「ばっか、一応俺は帰ったら病院で検査なんだよ、あ、痛い、いたたた」
「え?」
俺は思わず鷲ヶ埼の方に振り返り、姿勢を下げる鷲ヶ埼さんの方に近寄り俺も体をかがめ
「大丈夫ですか?!」
が、痛がってた鷲ヶ埼さんはすぐに元の状態に戻り
「大丈夫だよ、見てろよ、座学もちゃっちゃとクリアして、お前より学者適正あるってとこ見せてやるからな!」
思わず俺は笑ってしまいつつ体を伸ばし
「楽しみにしてます!」
あははは・・・
任務終了の安心感からか皆が笑いあう
「まったく、若いもんは・・・」
先行く隊長の一言
来月号のヒーロームーバ!もすごいぞ!
付録にはウルフォス立体お面、ウルフォス立体ピラーが付属!
これで君もウルフォスに変身だ!
新番組騎士剣戦隊キシケンジャー特集も要チェック!!
ヒーロームーバは毎月2日に発売!!
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