バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

Demon'Blacksmith Bustle 魔鍛冶師の喧騒/3

Demon'Blacksmith Bustle 魔鍛冶師の喧騒 3
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 俺達は通路を伝っていき、唐突に右手に観音開きの鉄製の大扉がある、左手側に広がる部屋にたどり着いた、
 柱と窓枠が一体化したような壁がこちらに昏い太陽の光を届けている・・・
 だが、問題は扉の前に大きな牛頭がいることだ・・・
 筋骨隆々ながら下半身の大きなジーパンをはいており、片手に両側に刃の付いた大斧を担いでいる、
 ぶっちゃけると、ミノタウロスってやつだ・・・
 「あいつだよあいつ、この先からお宝の気配がするんだけどさ、いっつも通せんぼしてんだよ・・・」
 お宝ね・・・
 俺は律儀にもミノタウロスの正面まで歩き、
 「おい」
 「ああん!?」
 ミノタウロスが俺を見下ろす
 「なんかようか!?」
 「そこを通してほしいんだが?」
 「まさか、その肩にいる蝙蝠の言うことでも真に受けたか?」
 リッキーがミノタウロスににらまれ急いで俺の後ろに隠れる
 「そいつはうそつきだ、いろいろ言ってこの先に行こうとする」
 「一度も先に行かせてくれなかったじゃねぇかよ!」
 牛頭が俺ごと後ろのリッキーをその視線で射貫く
 「当たり前だ、俺はこの扉の門番だ・・・残念ながらこの先は宝物庫なんかじゃねぇよ、行くだけ無駄だ」
 「へぇ・・・どこに通じてるか言わないところを見ると、行ってもらいたくない場所ではあるようだ・・・」
 「別にそういうわけじゃねぇ、だが、言ったところで信じてもらえないと思うからな」
 ほう・・・信じてもらえない、ねぇ・・・
 「もしも力ずく・・・なんて言ったら?」
 「そういえば腹が減ってるんだよなぁ・・・」
 威圧的に見降ろしていた瞳に鋭さが宿る、無論、俺もそれに反応して剣を取る、
 「逃げないてめぇが悪いんだぜ?」
 「通さないお前が悪い・・・」
 いきなりの大斧の大振り!
 ガィン!
 咄嗟に剣を前に出し防ぐ!って、盾があるんだからこっちで防げばよかったな
 しかし、向こうの怪力はすさまじく、俺は徐々に押される、
 あえなく後ろに飛んで避け、斧が床に突き刺さる!
 「おいおい、城を壊す気か?」
 「知り合いに言って直させるさぁ!!」
 今度は大横降り、後方に一回転飛びで避け、着地際そこに左拳が飛んで来る!
 ガン!
 盾で防ぐも、ぶつかった振動で体が痺れる・・・だが!
 「おらよっ!」
 剣を拳に突き立てる!
 「ぐおぉお!」
 思わず右手で怪我を抑えるミノタウロス
 「そこだ!」
 一気に跳躍、ミノタウロスの頭を真っ二つにしようと剣を振りかざす!
 も、刃が頭に入ったところでミノタウロスが両手を振るって俺を弾き飛ばした!
 何とか着地するも、向こうは頭頂部より粘着質の赤い血液が垂れ流ってるぜ・・・
 「もう許さねぇ!!」
 ミノタウロスの目じりが怒りでか吊り上がり、大斧を振り上げる
 何を・・・?
 疑問に思う間もなく振り下ろされたそれは地面に叩きつけられ床を大いに揺るがし俺の足を取る
 しまっ・・・
 そう思った次の瞬間には今度はミノタウロスが跳躍し俺の向かって大斧を全体重乗せ振り下ろしているところだった!
 咄嗟に盾を出しこれを防ぐ!
 が、重い!
 俺がそう感じるだけでなく盾が斬られ始めているのも感じる・・・!
 咄嗟に前に斜め下に盾を傾けミノタウロスを落とす!
 しかし、着地したミノタウロスは余裕綽々と俺に斧持たぬ手の人差し指など向け
 「ははは・・・!もうその盾は使い物にならんぞ!見ろ、大きく傷が行っている!次はその剣を砕いてやる!!」
 あらら・・・確かに皮一枚で繋がっていると言っても過言ではないほど大きな傷が行っているなぁ・・・
 だが、ピンチこそ大きなチャンスだというしな!!
 「ほう、なぜ笑っている?」
 「すぐにわかるさ、すぐに・・・な・・・」
 「は!迷宮に閉じ込め永遠の謎にしてくれるわ!!」
 大斧が三度振り下ろされる!
 俺はそれをすんでで皮一枚避け、ミノタウロスに向かって跳躍!
 「無駄だ!」
 向かい来るミノタウロスの拳を盾で防ぐ!
 「無駄だと言っている!今度こそ盾ごと砕いてくれる!!」
 俺はその間にも剣をしまって、爺さんところでもらった赤い石、火鉱石をミノタウロスの拳の上に乗せ、槌を取り出し持つ
 「は!そんな槌でどうしようと・・・」
 火鉱石に向かって槌を振り下ろす!
 「ぐわぁああああ!!」
 火鉱石から発生した炎に、ミノタウロスが悲鳴を漏らす!
 そこに現れたのは、炎で出来た鳥・・・フェニックスだ!もちろん、俺が召喚したもので、火鉱石にこんな炎を出す力はない!!
 「フェニックス、頼んだぜ!そいつの動きを止めておいてくれ!!」
 フェニックスがミノタウロスの周りを飛び回って動きを止めて、続けて部屋の中を飛び回り炎をまき散らす!
 「うどわわわ・・・」
 「リッキー、俺のそばを離れるな!丸焦げになっても知らんぞ!!」
 その間にも、俺は盾とミノタウロスと火鉱石に槌を叩きつけ、一体化させていく
 「うぉおおお!!」
 が、その間にもミノタウロスの気合の声が響く、こいつ・・・炎に耐えてやがる!!
 幾度も懸命に槌を振り下ろすが、とうとう炎とフェニックスは消え、部屋は元の装丁を取り戻し、俺は着地する、
 ミノタウロスの左手は黒焦げながらも動くし、ミノタウロスの目はしっかりと俺を見据えている・・・
 「どうした?この程度か?」
 「・・・」
 「この程度か、ならば死ね!!」
 大斧が振り下ろされ、俺はそれを盾で受ける、口端を上げて笑いながら!
 大斧と盾が拮抗する
 「なぜそんなに笑っていられる?」
 「この盾を見ろよ?」
 「ぬ・・・?」
 中央に赤い宝石、楕円のそれには上下左右に金色の円の装飾があり、
 下両端より炎が吹き上がるような意図が彫金されたものがつけられている、
 「確かに良い盾なようだな、だが、それがどうした!」
 向かい来る大斧を俺は力づくで弾き返す!
 「ほう、盾が変わっただけでここまで・・・」
 「そうだな、今の一撃で勝負は決まったぜ?」
 「何?」
 「よく見ろよ、あんたの斧を・・・」
 「斧を・・・?」
 ミノタウロスが斧を見ると、そこには刃先に宿った炎が一気に根元まで向かっているところだった・・・
 「な!?これは!?」
 「そう、俺の盾が生んだ炎さ」
 「それがどうした、こんな炎・・・」
 そう言ったミノタウロスの指に炎が燃え移った瞬間、ミノタウロスの体の内部に炎が入り込み、
 一気に全身から炎を吹き出し発火する!!
 「ぐわぁああ!こ、これは!?」
 「そう・・・あんたの体を素材にしたことで、この盾はあんたの構造を覚えたのさ」
 「な・・・!?」
 ミノタウロスの目が驚きで見開かれる!
 「で、そこから炎を生み出して、覚えていた通りにあんたの弱いところから一気に燃やし尽くしたってわけ」
 「そ・・・そんな馬鹿なことが!?」
 「あるのさ、魔鍛冶で素材にした相手には、特攻効果が付くからな、相手の体を覚えて斬り裂きやすくしたり、今みたいに弱い場所を責めたりな・・・」
 「ぐ・・・がぁあああ!!」
 そうして断末魔を上げ、ミノタウロスは炭と化し、倒れて砕け散った・・・
 「おっし、んじゃ先に・・・お!」
 ミノタウロスの死体の中から、水色の玉を見つける、
 ・・・こいつは・・・ま、もらっておくか!
 拾い上げ、腰元にしまい込む
 「それじゃ、改めて・・・行くぞリッキー!」
 「お~!!」
 そうして、俺は両手を使い扉を開ける、
 「あっつ!!」
 
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