バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

Demon'Blacksmith Bustle 魔鍛冶師の喧騒/4

Demon'Blacksmith Bustle 魔鍛冶師の喧騒 4
 
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 扉の間から吹き抜けた熱気に押され汗が吹き出しつつも扉を開き切り先に進み、
 そこにあったのは熱気と前方左手の溶岩の光で赤く染まった岩壁が残った部分を支配する火山だった・・・
 見上げる果てにまで岩が支配しているものかろうじて太陽は見える・・・
 ・・・ちょっと待て、火山・・・?
 外から見た限りこんなもんは無かった、ただの廃城だったはずだ、不気味な魔に満ち溢れてはいたが・・・
 それに太陽も曇り空の向こうだったはずだ・・・空間でもねじ曲がってるのか・・・?
 「あっち~どうなってんだよ・・・」
 すぐ後ろからのリッキーの声、に俺は振り返りもせず
 「どうなってるもこうなってるも火山に着いたようだ・・・」
 「こんなところ長くいられないよ~早く戻ろうぜ?」
 等と言うリッキーをしり目に俺は歩を進める
 「おい!どこ行くんだよ!!」
 「火山は高熱の溶岩が流動しているからな、良い鉱床があったりするんだよ、嫌ならついてこなくてもいいぞ」
 「えぇ~・・・」
 パタタタ
 文句を言いつつ付いてくるリッキー、羽音で分かる
 が、岩壁の影より大きな火トカゲが姿を現した、
 人ほどの大きさもある四足で分厚い甲殻を身にまとった蜥蜴、ファイアリザード
 それが左右の岩壁より計三体ほど・・・
 「げえっ!?」
 それらは俺たちの前に出てきて一斉に炎を吐いてきた!!
 慌てて俺の後ろに隠れるリッキー、
 しかし、俺はそれを盾で軽く防ぐ
 「おおーっ!すげー!!」
 「おいおい、こいつは火鉱石を元にして作ったアクセプトフレイムシールドだぜ?このぐらい楽勝さ」
 そして、火を吐くのに疲れて途切れた瞬間を見計らい、一気に近づいて剣で時計回りに円を描くように一気に三体を斬り裂いた!!
 「おおーっ!さすがっすね!!ただの鉄の剣に見えるのに!!あんな固そうな甲殻を持つ奴らを一閃で・・・」
 俺は間断無くリザードたちを一瞥しつつ
 「おいおい、忘れてねぇか?こいつはこれでも魔鍛冶で作った魔剣なんだぜ?ただの鉄の剣とはわけが違う」
 「ああ!そうでした、すんません!!」
 ったく・・・ん?
 先の方にある曲がった中ほどの鉄パイプに目が留まり、思わず近づいて剣をしまいつつ拾う
 ううむ・・・水道管のパイプに見えるな・・・この城のものだろうか・・・?
 「そんなもんどうするんですか?」
 「・・・こーする」
 俺は鉄パイプの短い方を持ち、長い方を少し遠くの岩壁に向け、精神を集中させ、内部に魔力の玉を二つ生成、俺から見て手前の方を爆発させて、もう一方の魔力の玉を飛ばす!
 魔力の玉は勢いよく飛んで行って岩壁に辺り消滅した
 「おおーっ!一体何なんですかそれ!?」
 「銃の真似事だよ」
 「銃?」
 「構造的には大砲を小型化して引き金という仕掛けを付けたものだ、俺も見たことあるが、いかんせん仕掛け物は苦手でな、火薬の配合も覚えなきゃいけないってんで、面倒に感じて、こうして真似事だけで済ましてんだよ」
 「へぇ・・・外の世界にはそんなもんもあるんですね・・・っていうか、大砲って何ですか?」
 「火薬の力で筒の中にある石や鉄球を飛ばすものだよ、こっちも火薬ものが苦手であまり・・・って、大砲も銃も知らんのか?」
 俺は思わず後ろのリッキーの方を見る、そのまっすぐな目と状況から、嘘をついているとは思わない、
 「はい!」
 ・・・一体いつから時代に取り残されてんだこの城は・・・?
 ぐぎゃぉおおお!!
 上から降ってきた咆哮に、俺たちは即座に上を見上げる・・・
 そこには緑と赤二色の鱗をまだらに配置したようなファイヤドレイクが飛んでいた、
 トカゲの前足を羽根にしたようなあれだ、それも相当にでかい・・・
 「・・・追うぞ・・・」
 「え?あんなの追ってどうすんですか・・・?」
 「ドラゴンやその亜種っていうのは光物が好きなんだよ、ましてやここは鉱床が眠るかもしれない火山、良い鉱床に連れてってくれるかもしれないぞ!」
 「ああ、待ってくださいよ!」
 俺達は下にマグマ流れる左右の岩壁に斜めに上に向かって蛇行する道、
 途切れていた左側を捨て、右側の道を急いで登り始めたのだった・・・
 
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