バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

ハーフビースト:ハーフヒューマン/7

ハーフビースト:ハーフヒューマン 7
 
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 教えられた地下闘技場に来ていた・・・
 一見すると単なるコンクリートのビル、だが、階段奥のコンクリートの床壁に囲まれた暗い場所にあるエレベーターで地下1階に行き、その先、切れかけた蛍光灯が上に付いた廊下の三叉路、左右前に別れた通路、前側を進んだ先にある三角コーンの間、
 三角コーンの間のスタッフオンリーの張り紙が張られた黄色と黒の紐、をまたいでその先を歩いて行くと、唐突に広い場所に出る、古いレンガで囲まれた中央程下方に行く正八角形の大きな部屋、
 中央には煉瓦の台とその上の有刺鉄線・・・じゃないなあれ、鉄じゃなくメッキしたゴムの匂いだ、狼の鼻だからわかるけど、
 おそらく、迫力を出すための偽有刺鉄線なのだろう・・・
 で、大きく円柱形が作られ、その周りには段々の椅子兼通路のレンガが積み上げられており、
 そこに人々が集まり、偽有刺鉄線の中にいる長い左半ズボンのみを纏った半ジャッカルと半蛙の戦いを見守っていた・・・
 そこでは、普通は近づかないはずの普通の人間(それもかなり身なりがいい、黒いスーツだの、黒いドレスだの・・・)
 もいた・・・
 おそらく、ここでしか見られない戦いを見に来たのだろう、
 実際、半蛙の舌が半ジャッカルの右足に巻き付き、その舌を縮める勢いで半蛙が右拳を叩きつけていくも、
 半ジャッカルが何とか左に避け、反撃に噛みつきかかる、
 といった地球上では他に見られない戦いが繰り広げられている、
 「闘技場に入り浸ってるやつらがいる・・・か・・・」
 気が付かぬうちにいつの間にか独りごちていた、
 そこいらに訊いて回るか・・・?
 それっぽい奴・・・ここは・・・
 そこいらを見回すと、最上段に青い腕章に青い帽子をかぶった半人半獣が広く等間隔で配置されている・・・
 ここのスタッフか・・・?よし!
 その中で痩せた・・・人側が痩せ、半身がカミキリムシの様な奴に近づく・・・
 「なぁ、ちょっと訊きたいんだけど・・・?」
 こちらを見降ろすようにな目をして口を開く
 「何か御用ですか?」
 「この辺りでさ、世界征服をするとか言ってるやつらいない?付きまとわれて迷惑してんだよ・・・」
 そんな視線などどうでもよく質問する俺
 「ほう・・・?」
 何故か俺の方をじとっぽく見据える男、
 なんだ?俺が何かしたか?あんなこと訊くから気を悪くしたのか・・・?
 「緑のつなぎの半狼、薄い色の髪の成年男性・・・」
 ん?何を小さな声で・・・
 「いいだろう、知っていることを教えよう、その代わり・・・」
 「その代わり・・・?」
 いきなりの小さな声をやめての会話に俺は一抹の不安を覚える・・・
 ・・・
 「さぁ、お待たせいたしました!!期待の新人!!警察に腕に覚えのある半獣3体をぶち込んだ男!!真斗・・・狼居!!」
 わーーーーっ!
 なんでこんなことになっているんだ・・・?
 俺は気が付くと、偽有刺鉄線の中に立っていた・・・
 「対するは半カミキリムシ、変幻自在の男、我らがエンターティンメイント、ロンホビードビードレ!!」
 わーーーーっ!
 そして、ナレーションがどこかから大声で聞こえる中でさっき話していた男と対峙していた・・・
 おまけに、男の格好はさっきと違い、人間側の体型を隠すような膨らんだズボンに和を意識した和装に黒い網タイツ、口元と、額から上を隠した紫の頭巾に鉄の額当て、
 即ち・・・
 「ロンホビード得意の忍者スタイルだーーーーっ!!」
 わーーーーっ!
 ニンジャだ・・・
 忍者はこんなところに・・・と、突っ込むのも野暮だな・・・
 「では行くぞ!!」
 と、宙に跳躍し、偽有刺鉄線に四肢で捕まると、その両足で走る!!
 なんと!?
 さらに、虫顎をこちらに向け跳躍!
 ぐ・・・
 後ろに跳び避けるも、ロンホビードは着地後にまた跳び、偽有刺鉄線に掴まって、立ち、また走る!
 ・・・偽の有刺鉄線とはいえ豪快なことをするなぁ・・・
 とはいえこれが繰り返されるとらちがあかない、咆哮で動きを止めて・・・いや、頭巾かぶってるし虫の耳に効くかもわからない・・・
 もっと確実な手・・・おし!
 俺は座り込み、狼側の爪で思い切り地面を掴む、
 「ここだ!」
 向こうが虫顎で飛び込み噛み込んでくる!
 人側の左手でその虫顎に少し傷つきながらもつかんだ!
 「なんと!?」
 ロンホビードが目を見開き驚く
 その間に右爪を放しつつ右足でその腹を思い切り蹴り上げる!
 「ぐはぁ!!」
 「狼爪地掴蹴」
 ・・これが俺のカウンター・・・
 右手の爪で地面を芯から掴むことにより相手の攻撃の衝撃に耐え、相手に近い状態で全力の蹴りを上に向け叩きつける・・・
 そこから左手を離して宙に浮かばせたロンホビードに跳躍突進しつつ狼と人の爪で交差させ斬り裂く!!
 「人爪交狼爪」
 その一撃でロンホビードの体が思い切り飛ぶ!!
 ガシャン!!
 そのままロンホビードの体が背より偽の有刺鉄線に叩きつけられる!!
 ・・・微妙に音が違う、やはり偽物・・・
 ・・・
 俺はロンホビードと共にロンホビードと話していた元の場所に戻ってきていた・・・ロンホビードは元の格好だ・・・
 ロンホビードは俺から目をそらし反省するようにその目を伏せ口を開く
 「ううむ、ここまでとは・・・」
 「で、約束だが・・・」
 俺はそのまま声をかける、
 ロンホビードはばつが悪そうに俺から目を逸らしたまま宙を見る
 「わかっている、だが、私は奴らが人を集めているという事しか知らない、ただ、その頭首が実際に相当の武力の持ち主かもしれない・・・」
 相当の武力の持ち主・・・か、そうじゃないとあのチンピラたちが従いそうにないな・・・
 ロンホビードは未だ目を逸らしたまま話を続ける、
 「もっと、情報を集めることを約束しよう、連絡先は?」
 仕方無いか・・・
 俺はロンホビードに電話番号を教え、連絡先を交換し、今日の所は引くことにした・・・
 帰りにラズの所によるか、調子悪そうだったけど大丈夫かな・・・?
 
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