到着!魔道都市マジカラ!! ダブモン!!5話/30
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「それで、今後の事なんだけど・・・」
あの大冒険の夜、一夜明け、朝食後、宿屋の部屋にもう一度集まっていた、配置は前にこの部屋で話した時と一緒、俺の正面に四葉とウィルピーが座っている、
チェックアウトは朝食後に荷物をまとめた後だ、もう荷物は全員まとめたし、四葉も荷物持ってきてるし、長居しなければ怒られる心配も怪しまれる心配もあるまい・・・
「誰かが聞き耳立ててるって感じはしないな」
「ですね」
向かい合う場所に座るカンテーラとウィルピーのお墨付きの言葉、
カンテーラの奴、地上に降りた後、すぐに元の姿に戻って気絶したものの、
幸い、ウィルピーが、ある程度街中を動いた後追っ手無しと判断したため、すぐに宿屋に戻ってきたのだ、
一晩明けても目覚めなかったらと不安だったが、少し遅目の時間、動きが鈍いながらもしっかりと起きてきた、
「まず、昨日の事もあるし、早い目にこの街を出た方がいいと思うの」
唐突な四葉の言葉だが・・・
「だよなー、朝食の時に魔族が襲撃かけてきたって話は聞いたけど」「そういやそんなことも」「耳が早いよね・・・」
「だが、俺達の方には誰も訪ねてきてはいない・・・」
「ですね、魔の事を知るという当面の目的は達せられたですし、この街を出るのには私も賛成しますです」
俺、ウィルピーが賛成の意を示す、兎白と鼓動とカンテーラはどうともしがたいが、反対意見で無いのを思うのと話の流れから、俺達と意見は同じだろう、しかし、
「でもさ、また会うことになってる感じのアクリスとか、会うかはわからないけど女魔道士が訪ねて来たら?、どうすんだよ?」
「宿の親父さんに言伝頼みましょ、私達を訪ねてきた人がいたらもうここを発ちました、ってね」
「しょうがねぇか」「だよな」「他に手ないもんね・・・」
だが、俺が聞きたいのはそれだけじゃない・・・
務めて少し軽め真剣に四葉に言葉をかける
「で、裁定の剣はどうすんだよ、あそこにあるのは結局偽物っぽかったわけだが・・・」
「無論、本物を探しに行くのよ!」
やっぱりか・・・
「アグニスってやつの話が本当なら、女神が生んだ人間が全滅するかもしれない代物よ、女神だってさすがに無視できないでしょ、道々で善行していればいずれは女神のおめがねにかなうかもだし、どちらにしろ、最終目標は持っておくべきだわ」
「ま、それに関しては反対しない」「俺も」「僕も」
「なら決まりね」
少し得意気に四葉の口角か上がった、気がした、
だけどな、なんていうか・・・サッカーみたいな決まりだなぁ・・・人間と魔族の戦いって・・・女神か魔王というゴールに裁定の剣というボールを入れた方が勝ち、っていう感じでさ・・・
いや、それよりもだ・・・
「俺としては、あの剣が実在するかどうか、それがどのあたりにあるのかどうか、というほうが気になるんだが・・・」
「その辺りは私達よりウィルピーやカンテーラに訊いた方がいいんじゃない?」
「は?」
「へ?」
目を見開き驚く俺の隣のカンテーラと四葉の隣のウィルピー、
なるほど、確かに、案内屋と鍛冶屋なら、良い意見を持ってるかもしれないしな・・・
「俺達何も知らないぞ?」
「皆さんと同程度の知識しか持ってないです・・・」
「いいから、何か意見出しなさい!!」
「えー」
「うーんそうですね・・・」
四葉の少し怒鳴るような声に力の抜けた呆れ顔から顔を戻しウィルピーは両腕を組みカンテーラは右手を丸め口に当て共に目をつむり考え出す・・・
「一応、裁定の剣は実在すると思いますです・・・」
先に声を上げたのはウィルピーだった、その目を開き両腕を解き、俺達を見る
「伝承とか、古代から戦い続けてるとか、その辺りは調べなきゃわかんないですけど、ほら、私のカードに裁定の剣っぽい表記があったでしょ?」
「確かにあったわ!」
四葉がデッキケースをスカートから取り出して開け、カードの中身を改め、その中の一枚を取り出す、
しばし確認した後、「やっぱり!」そう言って俺達にも見せてきた、
ああ、確かに神を殺す剣とか書いてあるな~
「Wカードのテキスト文は基本的に嘘は書かれないんです、誇張とかはあるかもしれないですけど、でも、皆さんは私のもう一つの姿を見たんですよね?」
「見た」「ちょっと怖い感じだったかな・・・」「気がいいのか悪人なのかよくわからない感じ」
「少なくとも、あんたとは違いまくってたわ」
「それなら、私の種族がその姿を封じられたのがその剣のせいなら、その剣そのものは存在すると思いません?」
「なるほど」「ああ」「確かに」
「筋は通ってるわね・・・」
「実は全く別の事があって、という可能性もあるかもしれないですけど、現状、それを示す手掛かりはないですし、とりあえず、信じていいと思うんです」
ふむ・・・
「じゃ、それを受けて俺の意見も言おうか・・・」
お!今度はカンテーラか・・・
いつの間にか姿勢を戻し、俺達を見ていたカンテーラ、
「今までの情報が事実なら、と仮定するけど、まず、魔族領には裁定の剣は無いと思う」
「どうしてそう思うんだよ?」
「魔族は人間達と違って魔法を使うんだぜ?魔族領は隅々まで調べられてるはずだ、そういう魔法を使ってな」
「確かに、大抵の事は出来そうだな・・・」「そういう感じだったな・・・」「あのアグニスを見る以上、魔法を使う関係上その手の感覚も鋭そうだったしね」
「確かに三人とカンテーラの言う通りだわ」
四葉も、俺達の意見に同意した
「それなら、後は魔族が容易に調べられない人間領ということになる、アグニスの出自が奴の言った通りなら、魔王の手の者が裁定の剣を手に入れてないことは確実だと思う」
「だがさ、未開の地とか」「海の底とか」「マグマに沈んじゃってたりとかだったらどうすんの?」
「そんなとこまで行くの・・・?」
「行くしかないだろ、だが、少なくともそんなところに行っても壊れるような代物なら魔族も捜索をあきらめてるだろうし、少なくとも壊れてたりはしてないと思う」
「そうなのか?」「そうかな?」「そうなの?」
「わかんないわ・・・」
「色々希望的観測が入っているが、向こうには女神と同格の魔王がいるんだろ?そうそう無駄な事はしないと思う、そして、そんな奴が未開の地でも海の底でもマグマの中でもなく、人間領に魔族を送るような指示を飛ばしてるってことは・・・」
「人間領にある、か」
「俺の勘だけどな、もしかしたらこの大陸じゃないかもしれないが・・・」
「だが、もしも無かったら・・・?」
それこそが一番の心配事項、俺達が上げた場所にある可能性だって、0であるわけじゃない、
「そんときゃ意地さ、」が、カンテーラはそれを吹き飛ばすような絶妙な軽さで言い放った、「案内屋の名にかけて、意地でも魔族領に連れてって探させてやる」
「決まりね!」
四葉が少し嬉しそうに声を上げる
「人間領を回って、善行をしつつ裁定の剣を探すわ!そして、どういう経緯をたどってでも、女神に願いを叶えてもらうのよ!!」
大丈夫なのか・・・
俺の不安をよそに四葉は少し大きな声で宣言したのだった・・・
ダブモン五話 到着!魔道都市マジカラ!! おわり
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