白い霧の中で・・・ ダブモン!!15話26
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「な・・・何とかなったか・・・?」
いつの間にか全て元に戻った白い空間で、俺達は黒い少年の影と対峙していた・・・
なんだ?俺を見てる・・・?
黒い影が胸の前で何か丸いものを抱くようにすると、そこに小さい光が生まれ、
その光を影が両手で押し出すと、俺の方にきて胸に当たり消える・・・
・・・?なんだこれ・・・
そして、全てが白に包まれていく・・・
・・・
はっ!?
気が付くと、目の前には青い空、小高い緑の丘、
俺は木に背を預け眠っていたようだ・・・
「気が付きましたか・・・?」
覗き込んできたのは見知った顔の金髪ウェーブの美人・・・
白い衣服に、背中には白い羽が生えている・・・
って、女神!?
思わず飛び除ける俺!
「ううん?」
「どうしたのお・・・?」
「おいおい、なんだ?」「ふぁ~あ・・・」「どうしたぁ・・・」
左右下より兎白と鼓動、それにカンテーラ、フリィジア、イグリードの声が聞こえてきて、俺は思わず周りを見渡す、
よく見てみるとここも見知った場所・・・そう、女神の聖域だ!!
「どうやら大丈夫なようですね・・・」
目前の女神が朗らかな笑顔を送っている・・・
「ここは・・・?」
「一体どこだよ・・・?」
「聖域・・・か・・・?」
「聖域・・・ですって!?」
「おいおい・・・まさか、女神様の聖域か?」
「あらあら、みんな起きてきたみたいですね」
と、女神様が俺たち全員を見るように笑顔を向ける
「あれ?」「女神様・・・?」
「・・・」「めっ、女神様!?」「一体どうなって・・・」
と、女神を見る中で後ろで様々な反応の声が聞こえ
「どうやら、目が覚めたようですね」
「目が覚めた・・・?」
女神の言葉からすれば、今までのは夢・・・なのか?
「荒療治が功を奏してなにより・・・」
笑顔のまま言葉をつづける女神、
荒療治?何やらかしたんだこの女・・・
「それでは、皆さんを元の場所に戻しましょう・・・」
そう言って女神が右手を外側に振るうと、俺とカンテーラが泡のようなものに包まれ
「一体どうなって・・・」
周りを見ると、兎白とフリィジア、鼓動とイグリードも似たような感じに包まれ、下や周りを驚き見開いた眼で見ていた・・・
「それじゃ、元の場所に送りますよ、それでは・・・」
そして、泡が浮き、俺達は空の向こうに飛んでった、振り返ると、いつの間にか高い山の上に立つ神殿が見えていた・・
・・・
「良星!みんな!!」
降り立ったのは三つの大きなベットのある教皇庁の一つの部屋、そこでは、四葉とウィルピーとレファンと見知らぬ二足歩行の亀がいて
「よかった・・・」
涙ぐむ四葉が俺達を迎えたのだった・・・
「まったくもう・・・」
・・・そうして・・・しばらくのち、俺達は教皇庁を後にする・・・
レファンが見送りに来てくれていた、
奥に聖都が見える道の真ん中、レファンは緊張が解け切っていない少しこわばった顔だ
「おそらく、アグニスはすでにいくつか先を進んでいると思います」
「本当にいいのかよ、俺達にあいつを追わせて・・・」
「ええ、もっとも、すでに教皇庁はいくつもの追跡隊を派遣していますがね・・・」
「俺達はおまけってことか?」「だな」「その方が気楽でいいよ」
「・・・そうだ、これを渡しておきましょう・・・」
レファンが出してきたのは呪文が書かれたような金色の三つのリングがXYZ軸に組み合わさって球体を演出し、
中央に緑の球体が付いているネックレス?
「これ、あのリビエーラの魔道具・・・?」
四葉の戸惑う声が聞こえると、レファンは四葉が見えるであろう俺の右肩の方に目を向け、
「ええ、魔力を込め直しました」
「教皇庁っていうのは魔道具が御法度じゃないか?」
左隣で立つカンテーラが問うとレファンがそちらの方を向いて
「ええ、ですが今は緊急時ですからね・・・」
言いつつも俺に顔を向き直し差し出すの思わず受け取る
「その魔道具は三つのリングがそれぞれ見た目、音、気配に対応し、起動すると他者から持ち主とその仲間を魔族だと周りから誤認させるようになります」
「それは俺と?」「俺と」「僕と」
「私か・・・」
「ええ、起動時に傍にいれば大丈夫です、対象になりますので、ダブモン達は魔族領に居ても問題ないでしょう」
「了解」「了解」「了解」
「了解でっす!」
ダブモン達がそれぞれの調子で答え、
「それでは皆さん・・・」
と、唐突にレファンが腰を九〇度曲げてまで頭を下げてきた!?
「お願いします、どうかアグニスを・・・止めてくれませんか?」
・・・
「当たり前だろ?」「そうだぜ!」「僕達、旅をした仲間だもんね!!」
「ま、しょうがないわね」
「致し方なし・・・」「大丈夫よ」「どうにかして見せるぜ!」
「ええ」
「・・・ありがとうございます・・・」
「じゃあな」「行ってくる」「それじゃ」
「じゃあね」
「・・・」「行ってくるわね」「そんじゃな」
「ですです」
そう言って、俺達は右手を挙げ、ダブモン達はそれぞれの相棒に付き、振り返って歩いていったのだった・・・
・・・この世界の人類の滅亡を止めるために!!
ダブモン!!十五話 白い霧の中で・・・ おわり
次回に続く!!
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