カードゲームライトノベル Wカードフュージョン16 新事実と目的への手がかり13
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「な・・・!」
Vカーディンが突き刺したのは、燐機・荒の右肩上の床だった
燐機・荒が驚き、Vカーディンの方を見る
「勝敗は決したように思うが、ここを通してもらえないだろうか?この門を斬ることも可能だろうが、あまり手間はかけたくない、それとも、とどめを刺されることをお望みかな?」
「くそっ・・・なぜだ、なぜ斬らない?」
「貴殿には私達を通す意志のようなものが見えた、故にこうして斬らずにいたのだが?私の判断は間違っていたか?」
「・・・いや、どいてもらえないだろうか?」
「わかった」
Vカーディンが剣を引き抜きつつ、後ろに下がる、が、その目は燐機・荒、堤機・率、二体を間断無く見つめ、怪しい動きをしないか警戒している、
と、燐機・荒が門にもたれかかる堤機・率に近づき
「ほら、いつまで気絶している、起きろ!」
「うわぁっ!」大声をかけ、起こす、というか、まさか、今の今まで気絶していたのだろうか・・・タイミング的にVカーディンが吹っ飛ばした後辺りから・・・
だが、起こされた堤機・率は空気を読まず(気絶してんだから読めないの方が正しいか・・・)その両手にハンマーを抱え前進、VカーディンとブラックVカーディンに対峙しようとする!
「おまえらぁー!!」
「堤機・率!もういい!!」
「っつ、だが!!」
燐機・荒の言葉に、堤機・率は立ち止まり戸惑う様に燐機・荒の方に振り返る
「もう私達が戦っても意味は無い、こいつらの力はわかった、それとも、今度こそとどめを刺してもらうか?」
「っ・・・ぐっ!!」
堤機・率が言葉に詰まり、門の正面右側に歩いていき、
対して、燐機・荒が反対側に、こちらはゆったりと歩いていく
「ぐはぁ!」
と、今度はブラックVカーディンがいきなり倒れた!
見ると、今だに体中から煙がくすぶっている!
「ブラックカーディン!」
Vカーディンが振り返り、ブラックVカーディンに駆け寄る!同様に、ナユタさんもブラックVカーディンの元に走り込む
「どうやら、俺はここまでのようだ」
「ブラックカーディン!」
「ブラックカーディン!」
さすがに、あの炎を全て浴び切ったのはまずかったのか・・・煙の量は今だに減る様子は無い
「すまない、ナユタ、私はここから戻る、お前は」
「いや、私も一緒に戻る、この先に一緒に行っても私は足手まといだ」
「だが!「少し、いいか?」
と、ナユタさんが僕の方を見て、歩いてくる、一体何だろ?
そして、僕の前に立ち止まり、僕の方をしっかりと見据え
「あのさ・・・?」
「なに?」
「私・・・決めたんだ、こっちの方で、ロボットと人のために、色々、何かしたいんだ!だから・・・その・・・いっし・・・」
「わかった、頑張って」
ナユタさんがハッと気が付いたように僕の方を見る、少し驚いたような、戸惑ったような、悔しいような、あきらめたような、少なくとも、喜んでいる表情ではない
「うん!」首を無理矢理大きく振って「それじゃ、また後で!!」
言葉を発した後、振り返り、ブラックVカーディンの方に走って行く
「いいのか?私はこのていだが、お前は機械で健常だ、どこかで役に立つかも」
「いいんだ、行こう!!」
「・・・わかった」
門の方に向き直るブラックVカーディンの胸部からBカーディンが飛び出し、胸のパトライトを緩いV字にし、胸部から上を180度回し、前部を開き収納、そこからロボットへと変わった後、胸のパトライトをX字に戻しながら、両腕を180度回して両肩と共に上げてパトカーの前部とし、腰も180度回して足を外装ごと思い切り曲げ上げ、パトカーの後部とし、完全に黒いパトカーに戻って着地、
・・・煙が上がったままだが、大丈夫だろうか・・・?
しかし、それにもかかわらず、ナユタさんは助手席側を右手で開けて中に乗り込み、Bカーディンは向こうに向かってUターンし走って行く、ナユタさん、泣いてなかったか・・・?
「双歩」
「行こう!カーディン!!」
カーディンと共に、いや、Vカーディンと共に先へと歩く!
「さぁ、その扉を開けてよ!でもさ、その前に一つ訊いてもいい?」
「なんだ?」
燐機・荒がいぶかしげに、僕に向かって視線を向ける、だが、僕はお構いなしに、
「戦う前にさ、なんであんなこと言ったの?この戦いの意味とか・・・?」
燐機・荒が改めて、僕に向かって真正面にその顔を向ける
「ジョーカーからの報告であったんだよ、人と機械が絆を結び、戦うお前達の事が・・・」
「確かに、そんな報告だったな」
燐機・荒の言葉に、堤機・率が同意する、
「はぁ・・・?」
疑問符と溜め息交じりに思わず返してしまった、
ジョーカーの奴そんな報告を・・・まぁ、あれの目的から言ったらそりゃあ、興味深いかもしれないけど・・・
と、燐機・荒が今度はカーディンの方を見据え
「カーディン、お前は、人を信頼して戦っていたな、人を嫌わず、信頼し・・・」
「当然です」
返答と共に、カーディンがその首を大きく縦に振った
「私が人を信頼しているのは、私を作ってくれたからだけではない、私の事を気遣い、共に生きる仲間だと認めてくれるからです」
「しかし、それはいずれ裏切られるかもしれんぞ?、例えば、その子とか・・・」
「双歩が、人が、私を裏切っても、私は人を裏切りません」
「模範的だな・・・」
それは・・・模範的というよりかは・・・
「カーディンが人を嫌っていないのは、僕だけじゃなく、まわりもカーディンの事信頼して気遣ってくれるからだよ、カーディンが言ってたじゃない、それに、ほら、カーディンってゲーム好きだし」
「ゲーム?電子ゲームの事か?」
「そうだけど?」
「まさか、ロボットが、電子ゲームに興じているのか!?まさか、自分の意志で!!?」
「それが、何か?」
カーディンがさも当たり前という風に答える、ま、僕も初めて見た時は驚いたけど・・・
「ふ、ふは、ふはははは!!」
だが、その答えを聞いた燐機・荒が突如として笑い出す、
な、なに、いきなり笑い出して・・・
「そうかそうか、電子ゲームか・・・」
燐機・荒がひとしきり笑った後、僕達の方を見てくる
「周りも気遣ってくれるのならば、当面は大丈夫だろう、人は変わる、いや、それは私達も同じか、だが、長き平和を実現させるために」
燐機・荒がその左手を門に沿える
「どうしてお前を先に進ませなきゃならんのかは知らないが、下手だけは打つんじゃねぇぞ・・・」
堤機・率が左手にハンマーを持ち変え、その右手を門に押し当てた
「さぁ、行け、中の奴によろしくな・・・」
「行って来い、油断はするなよ・・・」
そして、門番二機により、門が開かれていく・・・
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