札使いどもが夢の跡 ダブモン!!28話15
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「いやいや、ダブモンの気配を追ってきてみたら、君達にこっちでも会うとはね」
「そういや、あんたは森でカードバトルした・・・?」
以前四葉山の真下辺りでカードバトルをした男だ、だが、どうしてここに!?
「まさか君達もこっちに戻っていたとはね、しかもダブモン付き、それも、君達ならカンテーラもいるんだろう?」
「何の用だ?」
カンテーラが不意に声を出す、
男は俺に視線を向けたまま
「ん?その子と同じところから聞こえたということは、憑依かな?まぁいいや、聴いてくれ」
「それよりも、あんたがここにいるってことは、ダブモン達の世界に行けるってことか?」
「まぁ、それも含めて聴いてくれ、おっと、隣いいかい?」
カンテーラの言葉にそう言って通路側の鼓動の隣に無理矢理座り込み、両肘を机に置き、両手をまとめ顎を支えつつ俺達を見据え顔に力入れた真面目な表情で口を開く
「まず、僕は気が付いたらこっちにいたんだ、アグニスに協力して、女神を討伐してるところでね」
女神を討伐!?
全員が驚いたが、アグニスは裁定の剣を持っていた、不可能ではない・・・
「それって、魔王を倒した時と同時期・・・?」
俺の漏らした言葉に男の視線が俺の方に向く
「ん?待ってくれ、魔王というのは・・・?」
「俺達が魔王を倒した、カードバトルで・・・」
兎白の真面目な返しに兎白を見て
「カードバトルで・・・?そんなこと・・・」
疑問を返し、
「外来の人間とダブモンが手を組めば出来るって・・・」
鼓動のたどたどしい説明に鼓動を見て
「外来の人間とダブモンが手を組む!?なるほど、女神が外の世界の人間を呼んでたのはそのためか!よく事情を伝えてなかったのは情報の流出を避けるためだな!!」
とまぁ、勢いよく勝手に決めつける
「で、そっちは?」
俺の訊き返しに男は気が付き俺を見返す
「おっと、そうだった、僕はね、女神の所にアグニスと乗り込んでいたんだ、女神は返したはずの子供達をクリスタルに取り込んでいてね、なぜか当時の姿のままだったけど・・・」
当時の姿のまま!?クリスタル!?それはもしや、あいつを封じていたのと同じ・・・
「でも、そんな彼らもすでにこっちに返されたと思うけどね・・・」
「そういや、それなら僕達の言ってることはどう受け取られてるんだろうね?」
鼓動の疑問に男は鼓動の方に向き
「夢や睡眠の研究のために誘拐されたってことにしている・・・」
答える
「夢?」
「特殊な睡眠なら成長が止まっていても不思議じゃないし、そういう研究なら夢がつながっていても不思議じゃない、ま、不審がられないために僕が適当吹いたんだが・・・」
おいおい・・・
「人間、信じたいものにどうしても傾いてしまうものさ、証拠がないなら、ね・・・」
はぁ・・・
鼓動の質問に一通り答え俺が呆れている間にも男は俺達全体に向き直る
「話を戻すけど、僕達は女神と戦い、追い詰めていたはずだった、だが、急に女神が時間切れねとか言って去っていってしまったんだよ、それから少したってからかな、僕がこっちへと戻っていたのは・・・」
間違い無い
「魔王を倒した直後、女神が現れて魔王を喰らった、そして、そこで俺達は戻されたんだ・・・」
律儀に俺の方を向く男、
「魔王を喰らった?何のために?」
「さぁ・・・カンテーラたちは?」
「わかるわけねぇだろ」
「同感」
「同じく」
「です」
「誰もわからない・・・か・・・」
確かに、なんで女神はあんなことを・・・?向こうに戻ったらわかるのか・・・?
「とにかく、ここからが本題だ、カンテーラ達?向こうの世界の気配がある場所とかはわかる?」
向こうの世界の気配?そんな場所あるのか・・・?
「もしかして、あそこか・・・?」
あるのか!?
「再度見に行った時にお前らが転送された山の山頂が有ったろ?あそこだ、ただ、こっちの世界に来て日が浅かったから、てっきり似た気配だと思ったんだ」
「まじか!?」
「気のせいかもしれないけどな・・・」
「どうしてそこだけ・・・」
兎白の疑問ももっともだ
「普通は一人一人向こうに行ってんだよな?」
カンテーラの質問に男は俺の方を見る
「ああ、僕の知る限りは・・・」
確かに、四葉も一人で向こうへ・・・
「俺達の時は一気に三人行った、その影響かもしれない・・・」
そういう可能性もあるのか・・・
「次の土曜、深夜がいいな、にそこに集まれる?」
「たぶん」
「大丈夫だと思うけど」
「僕も」
「私もいいわよ」
男の提案に俺達は答える
「よし、じゃあそこで、と、スマホ持ってる?赤外線通信、わかる?」
言いながら男はスマホを取り出し、俺の方も慌てて連絡用のスマホを取り出す、
「メアド、送っといたから、後で場所の詳細とか送ってね、僕は行くよ、それじゃあね」
言って、嵐のように男は去っていった・・・
確かに赤外線着信の通知が出たが・・・
まぁ、これは後でいいとして・・・
俺は再度周りを見回し、
「どうすんだ?」
「とりあえず、注文しましょうよ、話したいこともいっぱいあるし」
「俺も賛成」
「僕も」
四葉の提案に兎白と鼓動が同意する、
無論、俺も反対は無い
「俺もそれでいいぜ」
「じゃ、いいわね、メニューは・・・」
こうして、俺達はこっちに来てからの個人的な話に花を咲かせたのだった・・・
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