バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

Demon'Blacksmith Bustle 魔鍛冶師の喧騒/8

Demon'Blacksmith Bustle 魔鍛冶師の喧騒 8
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 海から飛び出し、桟橋の前に降り立ったのは・・・
 巨大な白いイカだ!
 八本の触手足に両足代わりの二本の長い触手、それに長い体の上には大きな三角状のヒレがのっかっている・・・
 っち、桟橋を完全にふさいでやがる・・・
 等と観察している間にも、黄色がかった瞳が俺達を見据える
 「貴様ら!この島で何をしていた!!」
 「お前こそ、いったい何者だ?この島をどうした!!」
 「わしか?わしはクラーケン!この島の支配を任されている!!」
 「この島の支配!?誰に!?」
 リッキーの声に律儀にも胸を張るように反り
 「無論あの方・・・城の主よ!!」
 「この島の住人はどうなった!?」
 「はん!魔をまき散らした時に朽ちてしまったのだろう、その後、奇麗になったこの島を、わしが管理しておるというわけだ!!」
 「りょーかいりょーかい、じゃ、俺たちは城に戻るんでね、そこを通してくれ!」
 と、クラーケンはやはり律儀にも右触手を突き着けてきて
 「そうはいかん!ここに来たということはドレイクを倒したということ、あの方のへの反逆者を生かしておくわけにはいかん!!」
 っち、やっぱりな・・・
 いきなり右触手を叩き込んでくるクラーケン、
 俺はあえなく側転で避けつつ触手に剣を叩き込む!
 ブニョ!
 が、気の抜けた音を出して弾き返された!?
 「ふははは!その程度か!!」
 マジかよ!?
 クラーケンの口から来たる墨吐きを盾で防御!
 盾から墨を避けた放たれた炎がクラーケンに向かうも、クラーケンについた火はすぐに鎮火した・・・
 「はははは!この程度の火力でわしを焼こうなど笑止!!」
 とするとこいつも・・・
 銃を向けて水弾を放ち当てるも、効いている様子はない・・・
 「その程度の水圧でわしを倒そうなどおこがましい!」
 だよなぁ・・・
 なら、こいつか・・・
 最後の杖を用いて、魔法を叩き込む!!
 小規模の爆発が、クラーケンを襲うも
 口を上げて笑うように拡縮し
 「ははは・・・!!貴様は魔法使いか!?この程度の魔法などで我を倒そうなどとは!!」
 ・・・絶対焼きイカにしてくれる・・・
 俺はそのまま触手の連打振り回しで攻め押され、盾で防ぎつつもゆっくりと後ろに下がっていく・・・
 「それそれどうした!!」
 交互に振り回してくる触手鞭のそれを盾で防ぎつつ、散発的に魔法でクラーケンに爆発を喰らわせながら下がっていく・・・
 「ははは・・・!もう反撃の手が無いか!!」
 バキッ!
 クラーケンが笑う中で、杖の中ほどよりひびが入る、
 ・・・来た・・・
 俺は一気に反転し距離を詰める!
 突如の行動に対応できないクラーケン!
 「フン!先ほどの剣でも突き刺そうというのか!!」
 が、俺は突き刺したのは杖だ、
 「そんなもので」
 「全て燃やし尽くす・・・」
 そこに火透石を置き、
 「ちともったいないがな・・・」
 思い切り槌を振り下ろす!!
 現れたのは炎の獅子、キメラフレイム!!
 吠えるその頭と体と足は獅子なれど、炎の毛皮と鬣に首から竜の頭と山羊の頭が生え、その尾は蛇となっている・・・
 「な・・・!?」
 クラーケンが驚く中でそれはクラーケンを両前足で抑えながら大仰しく食らいつき、クラーケンごとあたりに爆発を引き起こし、炎を振りまいていく!!
 「ぐわーーーーーー!!」
 先に焼きイカ堪能とはな、グルメな奴だ!!
 等と感心してる間も俺は右手で杖に槌を打ち付けていく、
 炎のエネルギーが杖全体に広がり、朱へと染まっていく・・・
 そうして、キメラフレイムが消え、これで終わりかと思いきや・・・
 「お・・・おのれ・・・」
 っち、生きてやがった・・・
 噛み後周囲が黒く焦げたクラーケンが目を細め、こちらを見る
 「このような屈辱・・・一旦海に戻って」
 「戻れるのか?この状況で」
 「なに!?」
 クラーケンが周りを見渡すと、あたりは森火事、戻ってきた道なども燃え上がり、クラーケンの体躯ではどうあっても火にあぶられてしまう
 「ば・・・馬鹿な・・・貴様これを狙って・・・」
 「今のダメージを喰らってるあんたじゃさぞかしつらかろう・・・」
 「だ・・・だが、」
 言いながらやる気でか目が細そまる・・・
 「無理にでも押し通れば・・・」
 「おっと、その前に決めさせてもらうぜ!」
 俺は杖を取り出し、一心不乱に念じる、
 朱に染まったその杖は先端と中ほどと後端に金色のリングが巻かれ、
 先端には火透石があしらわれている、
 その杖から先ほどと同じように魔力をクラーケンに送り
 その瞬間、クラーケンが一気に燃え上がる!
 「ぐわぁあああああああ!!」
 もっと、もっとだ・・・この森の火力、全て貰っていく・・・
 キメラフレイムの残した炎を全てクラーケンに集めさらに燃やしていく!!
 「がぁああああ!!お・・・おのれ!!」
 その右触手を何とか伸ばしてきた・・・
 「貴様も・・・み・・・ち・・・づ・・・れ・・・」
 が、俺に届く前にそれは、黒い炭となって崩れ落ちた・・・
 「全く・・・てこずらせてくれやがるぜ、おかげで焼きイカ喰い損ねちまったじゃねぇか・・・」
 残ったのは、燃え焦げた森と、全て炭塵と化し落ちたクラーケン・・・
 「だ、だいじょうぶでしたか?」
 「リッキー」
 ったく、今までどこに隠れてやがった・・・
 「ああ・・・魔力がスッカラカンだ、いったん爺さんのところに戻って休ませてもらおう、だが、その前に・・・」
 と、俺は踵を返し森の中央に向かって歩き出す
 「どこ行くんです?」
 「ちょいとな・・・」
 そうして、島の中央辺りに到達したころ、それを発見した、
 柱が四つ付いた台座・・・そう、火山で見つけた祭壇と同じものだ、
 大方、森の木々に隠れて見つからなかったに違いない、クラーケンがドレイクのことを話していたのでまさかと思ったのだが・・・
 そこに映し出されたのは・・・少女?
 褐色の日焼けした肌に黒い髪を後ろで二つ結びにした貫頭衣のスカートを着たかわいらしい少女だ・・・
 しかし、何より目についたのは、その左上頭につけた髪飾り・・・
 なんと、俺が見つけた地鉱石の髪飾りを付けているのだ・・・
 「助けてください・・・王子様を助けて・・・!」
 んなこと言われても・・・
 「私の髪飾りをあげるから、私お金ないから、これぐらいしかあげられないけど・・・」
 「とにかく、髪飾りだけ先払いでもらっておくよ、王子さまってのを見つけたら、その時に助けてやる、じゃあな!」
 そう言って俺は後にする
 「いいんですか?あんなこと言って・・・」
 「いいんだよ、どうせもう当人は死んでる、この髪飾りは利用価値がありそうだからな、こいつだけもらっておく」
 「はぁ・・・」
 ま、しゃあなしだから、城探索のついでにそれとなく王子様の所在は調べておくか、
 もっとも、もう死んでると思うがね、俺は・・・
 
 「・・・王子様!」
 「カナ!」
 出会ったのは秘密のバカンスでだった、一般人に偽装したたくさんの護衛に守られながらも、僕たちはこの島で家族だんらんを過ごした、
 その中で仲良くなったのがこのカナって娘だ、
 かわいらしい笑顔に、頭につけた葉っぱと玉の髪飾りが印象的な・・・
 「もう一度、この島に遊びに来てくれる!!」
 「うん!絶対、もう一度遊びに来る!!」
 「約束だよ!!」
 小指同士を結び、そのまま約束する僕たち・・・
 
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