バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

騎士剣戦隊キシケンジャー/3

騎士剣戦隊キシケンジャー 3
 
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 そうこうしているうちに変身が解け、俺達は元の姿に戻る、
 そこにいたのは、俺と同じように、リストバンドに、あるいは服の袖端に、それぞれ剣のアクセサリを着けた戦士たちだった、
 青いジャケットに冷たく辣な雰囲気を纏う青年、
 黄色のジャケットにタイトスカートの快活な雰囲気纏う少女、
 緑のジャケットに植物的な力強さを感じる青年、
 桃色のジャケットにロングスカートかつ長髪の淑女、
 「お前らが変身してたのか、初めまして、俺の名は常道 ユウキ!!」
 青のジャケットの青年が口を開く
 「俺の名はサトル、識学 サトル(シキガク 智瑠)だ」
 黄のジャケットの少女が続く
 「私はマコミ、佐用 マコミ(サヨウ 信美)」
 緑のジャケットの青年が話し出す
 「俺はジンカイ、義加 ジンカイ(ヨシガ 仁戒)だ」
 桃のジャケットの淑女が言葉を紡ぐ
 「わたくしは、ユナ、親切 ユナ(シタシセ 優奈)といいます」
 俺は飛び切りの笑顔でみんなを迎え入れる
 「よろしくな、皆!」
 「いや、俺はこんなことに巻き込まれて迷惑してるんだが・・・」
 心底やる気のない表情だな・・・
 「私も、この剣に言われてきただけだし・・・」
 右袖端の剣を手首を回して振っている
 「いきなり、戦えって言われて・・・」
 戸惑うような言葉・・・
 「わたくしも・・・」
 こちらは表情が力無く不安感が混じっているようだ・・・
 『いや、我々も状況が掴めていないのだ』
 声を上げたのはリストバンドに張り付いているレッドリアだ
 『いきなり見たことも無いような場所に飛ばされてきて困惑している、レッドドラゴンも見失ったし・・・』
 『そうだな』『まったくね』『どうしようか・・・』『色々把握しませんと・・・』
 口々にレッドリアと同じ状況のアクセサリが宝形の周り光らせしゃべる
 「おっし、それなら、まずはゆっくり話せる場所に移動しようぜ、もしかしたら、ここも警察が来るなどしてあわただしくなるかもしれないしな・・・、俺についてこい!!」
 
 「それで、追加の人員をよこせと?」
 ようやく我は手に入れた玉座に深々と腰を落ち着ける、元の王は子供共々、この玉座の間を飾るインテリアになってもらった、
 そこで我が前でひざまずくのは、この私の計画に協力した裏切りの三騎士の一人、ギャルガだ
 「はっ!奴ら、どういうわけだか協力者を伴って抵抗してきまして・・・」
 「それで魔怪人を寄越せだと、虫が良すぎるんじゃねぇかぁ!?」
 「・・・」
 左右の残りの鎧と魔纏う二騎士もギャルガに様々な感情がこもった視線を向ける
 「しかし、ともに派遣されてきた魔怪人を失ってしまってはどうにも・・・」
 「どうなさいますか?」
 左手より頭から濃紫のローブを深々とかぶり右手に水晶玉を携えた占い師、レガが言葉をかけてくる、
 共に魔術を覚えた身だが、私とは方向性が異なる・・・
 「わかった、準備ができ次第、送るとしよう・・・」
 「は、ありがたき幸せ」
 深々と頭を下げるギャルガだが・・・顔を上げ
 「ところで・・・」
 一言多いなこいつは・・・
 「この仕事が終わり次第、私をロードにし、領地を拝領できるという話は・・・」
 媚びるような言葉だ・・・
 「無論、約束は果たす、奴らを捕らえるか破壊し、抵抗の芽を見事摘んだ暁には、お前は見事にロードだ」
 「はい、ありがとうございます!」ギャルガは再度大きく頭を下げた「それでは、この辺で」
 そしてその姿がツイと消え去った・・・
 「よろしかったのですか?」
 レガが心配そうな目で見てくる・・・
 「構わんさ、人を支配するというのはたやすいことではない、頂点から三角型の支配構造を敷く以上、中間管理職は必要だ」
 「くだらねぇ、実にくだらねぇな!!」
 と、残った二騎士の内、ウルフェイが私の前に出てくる、
 「支配だのなんだの、誰かを縛ることは毛嫌いするぜ」
 まぁ、この戦闘狂はそう思うだろうな・・・
 「なぁ、次に魔怪人を送る時は俺も一緒に行っていいだろう!?それに、向こうにいるんだろう、ブルーリアが!!」
 「構わん・・・」
 「おっしゃ~!!はっはっはっ!!」
 意気揚々と玉座の間から出て行くウルフェイ・・・
 「レダ、次元の様子は・・・?」
 レダが占い水晶を両手に持ち見つめだす・・・
 「・・・今のような通信用の魔力や、戦闘員用の魔力のみなら、霞のようなものだから隙間から送れば大したことは無い、しかし、魔怪人の媒介となる一定以上の大きさの魔鉱石や、彼らのような人員となれば・・・」
 「無理か?」
 「次の一回は大丈夫でしょうけど、その先は隙を見てしばらく魔鉱石を送るぐらいしかできなくなるわ・・・」
 まったく・・・次元を利用する術はこれだから厄介なのだ・・・
 「だがいずれ、時は来る、いいえ来させて見せるわ・・・」
 「そして、その時こそ、ふははは・・・」
 「あははは・・・」
 「・・・」
 腹の内より、私は笑いをこらえることができなかった、全ての存在が私にひざまずくその日の事を考えっ・・・!
 
 「どうだ、ここが俺の秘密基地だ!!」
 「すごい、廃ビルの中にこんな場所があるなんて・・・」
 俺が両腕を組んで声を上げる中で、サトルが感嘆の声を上げた、
 外観は廃ビルの二階一室だが、中はソファーなどもあり、無機質だが、そこそこ快適な空間だ
 「実際には廃ビルじゃないんだ、だが、テナントが全く入らなくてな、俺がタダ同然で貸してもらってんだよ、ここなら、誰かに聞かれる心配も無いだろ」
 「確かにそうだな」
 「ゆっくりお話しできるわね」
 「じゃあ、とりあえず、剣たちの名前も聞いておこうか」
 「ですね、持ってる剣たちは名前は訊いたのですが・・・」
 『私の名はレッドリアだ、よろしくな』『ブルーリアだ』『イエローリアよ、よろしくね』『グリーンリアだ』『ピンクリア、よろしく!』
 「全員似た名前な気が・・・」
 『騎士の称号もかねて拝命した名前だからな!!』
 あ、なるほど・・・
 『そうだ、お前達にも称号を着けてやろう、なに、遠慮はいらん、王族より、下級騎士の称号付けは、特に命令ない限り、私に一任されているからな!』『また始まった・・・』『こうなると長いのよね・・・』『変な称号にならなければいいが・・・』『良い名前をお願いします』
 え・・・ええぇ・・・
 「自己紹介が終わったところで、問題はこれからどうするべきか」『そこに行きつく為にも現状分析だ!』
 サトルとブルーリアが話し出した・・・
 『現状、私達が剣の姿をしているのは、おそらく、ソウルクレストの術と石化の力が変な風に作用したからだと考えられる、レッドリア、前の戦闘で使っていたソウルクレストはどこで?』
 「ソウルクレストはソールドってやつから託されたぜ、なんか、幻を見てたみたいでさ・・・試練がどうたら言ってたが・・・」
 『なるほど、となるとあれがあれでそうなって・・・』
 「どういうことだよ・・・?」『その辺りについては私は理解に及ばん・・・』
 「石化・・・」いきなりサトルがブルーリアを顔の前に構え見る「ブルーリア、ということは、お前達の元の体は・・・」『おそらく、ソールドと同様、元の世界で石化してるのだろう』
 『なんだと!?』『それって!?』『どういうことだ!?』『それは!?』
 「身体のある場所さえたどり着ければ、元の姿に戻れる、と?」『おそらくな、私達が剣であるのは、あの魔皇帝のやつから直に石化の魔力を受けた影響に違いない・・・』
 「石化って言えば・・・結界が解けた瞬間にみんなの石化が解けたけど・・・」
 『人間の体には、元来、魔力に対する抵抗力、回復力があります、本来は魔力を送り続けることによってそれらを超える影響を与え続けるのですが・・・』
 今度はピンクリアだ
 『結界やあの魔怪人がマーキングをして魔力を送っているのでしょう、私達の鎧やあなた方が変身した姿は魔力をある程度遮断することができますが、マーキングは防げませんので注意してください』
 なるほど、わかったようなわからんような、とにかく、変身した状態なら結界の中でも動ける、相手の攻撃には注意と、
 「じゃあ、次はあの結界ね、あれは何?、あんなもん作ってどうしようっていうの?」『多分、あの中があいつらの領地ってことなんだと思う・・・』
 マコミとイエローリア
 『あの結界は、中の人の生命力を魔力に変換して維持、拡大する物なんだと思う、石にして逃げられないようにして・・・』
 「維持に必要なら、そうそう簡単には殺さないだろうけど、ってことか・・・」
 「なぁ、警察に言ったほうがいいんじゃ・・・?」『今の話を聞いてなかったのか?』
 ジンカイとグリーンリアが話し出し、ジンカイがグリーンリアを顔の前に構えて見る
 『見た所、お前達の組織は魔力に対する対抗策はないようだが?見ただろう、警察とか呼ばれてる奴らが石化している所を・・・』
 「それは」
 「俺もやめといたほうがいいと思う」
 「サトル?」
 俺達の視線がサトルに集まる
 「警察や自衛隊の装備ではこの状況はどうにもならない、石にされた人々を巻き込むような装備は使えないし、遠距離狙撃も限界がある、だとするならば、魔力に対抗する術を持つ俺達が突入するしかない」
 「・・・確かに・・・そうかもしれない・・・」
 「混乱を避けたり、結界を無闇に拡大しないためにも、出来る限り秘密にしておいたほうがいいだろう」
 「では、これで現状分析は終了ということで、これからどうしましょうか?」
 ユナがそう言って締めたが・・・そういやぁ・・・
 「なぁ、あのレッドドラゴンってやつを探すのはどうだ?」『それだ!私のレッドドラゴン!!』
 レッドリアが騒ぎ出す
 『ここ数ヶ月行方不明になっていたと思ったらこんなところに・・・ああ、寂しい思いをしていただろうになぁ・・・今すぐに迎えに行かねば!!』
 「俺も賛成だ、現状、あの巨大になったやつを撃破するにはあのドラゴンの力を借りるしかなさそうだからな」『ちょっと待て、サトル』
 再度サトルがブルーリアを構え見る
 「なんだ?ブルーリア?」『ひょっとして、レッドドラゴンがいるってことは、私達の守護精もこっちに来ているのではないかな?』
 「え?あんなやつが?」『私の守護精も!?』
 「他にもいるってのか!?」『それは本当か!?』
 「だとすれば、心強い限りですね」『確かに、同時期に連続して行方不明になった事を考えれば、同じようにこっちに来ててもおかしくないか・・・』
 『決まりだな!』
 レッドリアが締めに行く
 『今後は、守護精と仲間のソウルクレストを探すことを第一に活動する、さ、まずは私のレッドドラゴンからだ!はっはっはっはっ~!!』
 
 が、見つからないもんは見つからない・・・
 俺としては赤といえば消防車なので消防局に行くもダメ、
 郵便局やらスーパーやら街中を出鱈目に歩き回るも見つからない、俺がレッドリアに守護精の事を訊いた際
 『守護精は普段は馬に擬態して私達の側についている』
 と言ってくれたので、青空と緑溢れるの農場に行ってみたが、何も見つからなかった・・・
 『一体、一体・・・どこに行ったのだ、レッドドラゴ~ン!!』
 レッドリアの大声が、のどかな牧場に響き渡って行くのだった・・・
 
 俺は、警察署の前に来ていた、てっきり、巨大なものの目撃情報があるのなら、警察に通報があるのではと、
 しかし、よくよく考えてみれば、そんなものがあったところで教えてもらえるはずもない・・・
 『どうした、サトル?』
 「目撃情報があるんじゃないかと思って・・・」
 『そんな物は、君のスマホとやらで見てみたらどうだ?』
 「確かに、その通りだな・・・」
 警察署の壁に背を預けスマホをいじるも、目撃情報は多いが、忽然と姿を消した、止まりで一行に有力情報が見つからない・・・
 「ダメだな・・・これは・・・」『なら、自分の足で探すしかない・・・』
 致し方無い、体力には自信はあるが・・・ん?この車両、ここだけ妙に青いな・・・
 
 工事現場、広い砂と山の荒野!
 『・・・なんでここに来たの・・・?』
 「あんなにデカいんだから、広い場所にいるんじゃないかとね!」
 『あなたの頭って、レッドリア並みなのかしら?』
 「それってどういう意味よ!?」
 自分の左手首のアクセサリーに怒鳴りつけてる私は傍から見たら相当変な人に違いない・・・
 だが・・・
 黄色い工事車両が土砂を運んだりしてる以外、変なとこなんてどこにも・・・どこにも・・・
 ん?あれ、あのクレーン持ってるキャタピラ、ちょっとサイズ感が違くない?
 
 それで、ここからどこに行くべきか・・・?
 両腕組んで考え込む・・・
 『ずいぶんたくさんの人がいるな?』
 「この辺りじゃ一番デカい駅だからな、新幹線も通っている」
 『鉄の箱に人々が乗り降りしているが・・・おお!すごく速くにかっとんでいるな!あれも守護精か!?』
 「いや、電気で動いているんだ」
 『電気?雷のことか?なるほど、雷が動かしているならあの速さも納得だな、まったく見えないのが難点だが・・・』
 「何かいろいろ勘違いしてないか?」
 『うむ!よく言われる!!』
 そんな事でよく騎士が務まるな、ま、皆は近所を探すと思って、少し離れたところを探そうとここに来る俺も似たようなもんかもしれないが、
 ・・・新幹線が停まります、乗車客の方は、黄色い線の内側でお待ちください・・・
 お、新幹線が来るのか、ついでに見て行くか・・・
 
 『あれは・・・』
 歩き回る中でピンクリアが声を発したのは、ちょうど、病院が横に見えた時だった・・・
 そこでは救急車の後ろ上に開き、中から車輪付きの白いストレッチャーに寝転んだ人が、白いヘルメットと水色の繋ぎに身を包んだ救急隊員達に運び出され病院に入っていく所だった・・・
 「ああ、救急車からけが人を運びだして病院に搬送しているんですね・・・」『さっきのスクイードの騒動が原因かしら?』
 「それはわたくしには・・・あら?」
 『ん?どうしたの?』
 「救急車の色味が少し・・・」
  
 ん?街中を歩いていると、遠くから煙が・・・
 『どうした、ユウキ?』
 「あれは・・・火事か!?」
 コンクリートで舗装された道を走り急いでそこまで近づいてみると、木造の家が燃えている・・・!
 「やっぱり火事だ、消防署に通報を・・・」
 が、そこに消防車が到着する、すでに誰かが通報していたに違いない・・・
 そこから銀の衣類に身をまとった消防団が降りてくる
 「おい!消防車、少し火に近づけすぎじゃねぇのか!?」
 「すみません、ブレーキが効かなくって・・・」
 「まぁいい、今は消火優先だ!!」
 消防団の人達がホースより水を発射し、火を消していく・・・
 『あれが、この世界の消防団か・・・』
 「お前達の世界にもあるのか?」
 『そうだ、どこの世界でも変わらんな、消防団の仕事は火を消すものだ』
 「確かに、そうだなぁ・・・」
 「グヘッヘッヘッ、その火を消してもらっちゃ、困るんだなぁ!!」
 そこに現れたのは・・・なんだあれ、赤と黒を混ぜたような炎を模して固形化させた人型・・・?
 そいつに消防団の一人が振り返り、感情的に
 「なんだお前は!?これは君が放火したのか!?」
 「その通り、俺はアブルーズ、火が強ければ強いほど魔力を増すからなぁ!」
 消防団員の質問に答えるあいつ・・・今、魔力と言ったな、まさか・・・
 「どうしてこんなことをしたのか知らないが、警察に言って、捕まえてもらうぞ、いや、現行犯で捕縛して、後で警察に引き渡す・・・」
 「おっと、俺にそんなことは出来ないぜ?結界、解放!!」
 と、アブルーズの周りから、結界が発生して広がって行き、人々を巻き込み、石にしていく・・・無論、消防団の人達もだ・・・
 『まずいぞ、ユウキ!』
 「わかってる!」
 レッドリアが元の剣の姿に戻り、俺は剣を抜き変身を・・・
 『おい!ユウキ!!ごにょごにょごにょ・・・』
 と、剣を抜く直前にレッドリアが話しかけてきた、思わずレッドリアの方を見る
 「え?本気か?」
 『当たり前だ、騎士の名乗りは誉れ高い儀式だ、存分に行うがいい!!』
 仕方が無い・・・
 もう一度・・・構え直し・・・
 思い切り剣を抜き、赤きエネルギーが身体を包み込み、剣を引き竜のように構え、宣言する!
 ゴォオオ!
 「赤の騎士・・・キシケンレッド!!」
 炎の音が響く中で、俺の宣言が決まる・・・!
 ゴォオオオン!!
 「キシケンレッド・・・?ああ、お前がギャルガ様の言っていた奴らか!」
 アブルーズがあざける感じで確認してくるのを俺は威勢良く返す
 「その通りだ、あいつは今どこにいる?」
 「知らねぇよ、俺は一人で領地広げて来いって言われただけだ、だが、お前を倒せば、俺は褒美に、もっと魔力を上げてもらえるかもしれねぇ、そうなったら、辺り一面火の海にできるぜ!!」
 「そんなこと、させるものか!」
 「行け、お前達!!」
 すると、どこからかわいてきた戦闘員たちが来る、だが!
 レッドリアと共に斬りかかり、一体二体目と計二撃叩きつけ倒し、
 そのまま乱戦、しかし、少しずつ倒して爆破していき、数も少なかったことも手伝って、ほどなく全滅させた、
 きちんと指揮が無いなら、どうにかはなるようだ・・・
 「さぁ、次はお前だ!」
 アブルーズに思い切り剣で斬りかかる、が、
 ゴォオオ!
 あっつ!
 あいつが口から吐いてきた炎に、思わず下がり足止めを喰らう・・・
 「ぐっ!」
 『ソードアンドシールドクレストだ!』
 「わかってる!」
 クレストセット!
 『ソードアンドシールド!!』
 現れた透明な盾が、炎より身を守ってくれる、だが、炎の勢いが強すぎて前へ進めない・・・
 「レッドリア、どうする?」
 『とりあえず、皆に連絡だ、剣に通信機能が備わっている、皆、魔怪人が現れた!』
 「わかった」『了解』「すぐそっちに向かうわ」『負けないでよ』「急いで向かう」『向かうぞ』「耐えてくださいね」『怪我とかしないでね』
 「で、この先は・・・?」『さぁな、仲間が来るまでひきつけるしか・・・』
 仕方が無い、我慢比べなら得意だぜ・・・ん?
 さっき来た消防車、はしご車って言うのか、あれ、前面の下の方のバンパーに炎が吸い込まれている気が・・・
 いや、おかしいぞ、消防団員が石化したってのに、水を放水し続けて、ついには消火しちまった・・・!?
 「あれ、魔力が・・・」
 『チャンスだ、キシケンレッド!!炎が消えて、奴の炎が弱まった!』
 「おっしゃあ!」
 盾を出したまま、一気に近づき
 「ちょ、ちょっと待って!?」
 『ソードアンドシールド!!』
 「はあっ!!」
 巨大な透明な剣を出し、一気に叩きつけ、そこから
 「ナイトソードスラッシュ!!はぁっ!!」
 赤き剣劇の衝撃波がアブルーズを捕らえ、爆発、消滅させた・・・が、
 結界ごと爆発が収束していき、アブルーズが巨大化して行く!?
 「どうなってるんだ!?」
 『ギャルガの奴がどこかから見ていたに違いない・・・』
 「なるほど・・・」
 同時に、消防団員たちの石化も解ける
 「あ、あれ、俺達は・・・?お、おぉおおおお!!」
 が、アブルーズの姿を見た途端、一目散に逃げて行く・・・よし、こっちの方が俺達には好都合だ!
 『どうするんだ、私の守護精、レッドドラゴンもいまだに見つかっていないというのに・・・』
 「いや、レッドドラゴンなら、多分もうここにいる・・・」
 そして、俺は、さっきより、変な動きをしまくっていたはしご車に近づき、レッドリアを付ける、
 「お前だろう、レッドドラゴンて、火を消して、俺達の戦いをそれとなくサポートしてくれたんだよな?」
 『何・・・?はっ!そういえば、レッドドラゴンは火の守護精、時々焚き火などを食っていたな!』
 そういう手掛かりになりそうな大切な事は先に言ってくれ・・・
 と、一瞬、消防車のフロントランプが光る、
 「ほら、お前の主のレッドリアも一緒だ、わかるだろ、声、忘れちまったか?」
 『レッドドラゴン!私だ、今はこんな姿をしているがレッドリアだ、ずっと寂しかったんだろう、こんな姿に擬態してまで・・・』
 「ギュオォオオオン!!」
 と、消防車の外側が翼となって開くように変形、巨大化、大きな赤いドラゴンがその姿を現した!
 『レッドドラゴン!』
 応えるように頭を上げ大きく吠える!!
 「ギュオォオオオン!!」
 「へ、今度の相手はそいつか!」
 アブルーズがこちらをにらみつけてくる・・・!
 『行くぞ、レッドドラゴンの上に!』
 「わかった!」
 レッドドラゴンが望むかのような気流の中での跳躍によりひとっとびでレッドドラゴンの上に飛び乗る
 「はぁっ!」
 アブルーズが先制で火炎を放射してくるが、レッドドラゴンは炙られても涼しい顔
 「ちぃい、火の力を持つやつに、生半可な炎は効かないか、それなら・・・!」
 すると、両手を突き出しての二射同時炎!
 だが、レッドドラゴンはすかさずに消防車に変形、そのまま水を梯子から発射し、両方をかき消した、
 「ああ!ずるいぞずるいぞ!」右手人指し指でこちらを差して「炎と水を両方使えるなんて!!」
 指摘するアブルーズだが、それにも構わずレッドドラゴンは前進、ドラゴンに戻り
 「ギュオォオオオン!!」
 右爪での斬り裂き攻撃から、尻尾での回転追撃を決め、アブルーズを横倒しにする
 「グベハッ!!」
 周りに地響き立てながらも、すぐに立ち上がり直すアブルーズ、
 「ええい、これならどうだ!!はぁあああ!!」
 胸の前に合わせた両掌の間より、巨大な火球が!?
 「はぁっ!」
 これをもろに喰らい、その衝撃により今度はこちらが後ろに横倒される!
 「ぐはっ!」『がはっ!』「ギュオォオオオン!!」
 ズドォ~ン!!
 地面に大きく振動が走る!!
 「へっへっへっ、どうだ、結界を回収したおかげでこっちの魔力は上がってるんだよ~ん!さぁ、とどめだ!」
 またもあの火球を作り出すアブルーズ、くそ、このままじゃ・・・
 「行け、ブルーサーペント!」
 「キシャアアア!」
 いきなり来た雷が、アブルーズをひるませる!
 「ぐはっ!」
 「今度はこっちよ、イエローキマイラ!」
 通りすがるような黄色い鋼風獅子が、アブルーズを追撃!
 「ではぁ!」
 「走りぬけろ、グリーンベヒモス!!」
 大きな両角を蓄えた牛にも似た獣がアブルーズをかするように一撃!
 「がびはっ!」
 「ピンクフェニックス、お願いします!」
 今度は桃色の鳥がすれ違いざまに翼を叩きつけた!
 「でぐはっ!」
 アブルーズが向こうに倒れ伏す、
 『同じことを何度も言わせる気か、情けないぞ、レッドリア!』
 「それに、ユウキ、お前もだ!」
 俺達の左右に、巨大な鋼の精達が揃う、
 パトカーを三つ折りから解放したような青い体を持つ足無き竜
 ショベルカーの外装とキャタピラを羽として背右側にクレーンを持つ黄色き雄獅子、
 新幹線の短めの胴体に狂暴な四肢と顔を持つ緑の四肢獣、
 羽裏側が救急車を開いたようになっている桃色の鳥、
 その上には変身したみんなが乗っていた
 「お前達、遅いじゃないか!」
 「一人で大丈夫そうだったんでな」
 「心配かけさせないでよ」
 「どうにかできたと思ったんだが」
 「怪我とかしてませんか?」
 「お、おまえらぁああ!!」
 アブルーズが立ち上がってくる・・・
 『よし、皆、守護精合体だ!!』『おう!』『任せて!』『いつでもいいぞ!』『行きましょう!!』
 守護精合体!!
 五人の声が合わさった時、顔が胸に来るようにドラゴンが胴体に、顔が右肩に来るようにサーペントが右腕に、顔が左肩に来るようにキマイラが左腕に、顔が右つま先に来るようにベヒモスが右足に、顔が左つま先に来るようにフェニックスが左足に、それぞれ変形、合体し、
 ドラゴンの上に青い宝石の目を持つ鋼の人の顔が前より立ち上がり、背より上に飛びだした上から降ってきた王冠を模した中央が金、まわりが赤で構成された兜をかぶる
 そして、いつの間にか俺達は内部にあるであろう、暗い空間に転送され、と、目の前に剣を差すのか石の台座がそれぞれにあるが、そんな中で皆が周りを思い思いに見渡す
 「すげ~」「どうなってるんだ?」「不思議な事もあるもんねぇ・・・」「あ、あぁ・・・すごい・・・な・・・」「こんなこともあるんですね・・・」
 「そこに私達を突き刺せ、そして、こう叫ぶのだ、ごにょごにょ」
 「よし!」
 剣を突き刺し、俺達は叫ぶ、
 完成!キシケンオー!!
 左手で剣を支えながら右手を開き思い切り前に出すのポーズをとる間にも、目の前の画面にうつるアブルーズが
 「けっ!合体したって同じことだ!!」
 そう言って、さっきの火球を生み出し、放り投げてきた!!
 しかし、真正面から受けても、まったくダメージが無い
 「な、なにぃ!?」
 そこにすかさず近づき、
 「サーペントアタック!」
 伸びる竜の首をパンチ代わりにぶち当て
 「キマイラクラッシュ!!」
 今度はショベルクレーンで一撃!
 「ベヒモスキック!!」
 重い足で一撃!
 「フェニックスラウンド!!」
 軽やかな回し蹴り!!
 『今だ!とどめを刺せ!!』
 背中の四角く白い鞘より剣を抜き出すと、俺達も台座より剣を取り出し、大きく振り上げながら叫ぶ!!
 キシケンオー、キングスラッシュ!!
 思いっ切り振り抜くと、剣より白い斬撃が飛び出し、アブルーズにぶち当たり、爆発!!
 爆破力を上へと逃がしながら、アブルーズは消滅するなか、振り返って決めポーズを取りつつ、剣を背に戻す・・・
 
 「おお!これがキシケンオーか!!」
 キシケンオーから降り、俺達はキシケンオーを見上げている、
 正しく鋼と五色五精の騎士王、そんな感じだな、
 だが、その時間も長くは続かず、キシケンオーは分離し、守護精達がどこかへと去っていってしまった・・・
 『ああっ・・・レッドドラゴン・・・』『呼べばまた来るだろう・・・』『そうそう、こっちに来てるってわかったんだから・・・』『そうだな』『向こうにいた時もそうでしたでしょう』
 「そうだったのか・・・」
 そして、俺達はキシケンオーが去った後でも、きれいな夕日をもうしばらく見続けるのだった・・・
 
 「けっ、アブルーズのやつ、自分一人でも大丈夫だからとか言っても失敗しちゃがって、ああ、これだから魔鉱石から作られる奴は、せっかく巨大化までさせてやったのに」
 「おい」
 「げぇっ!?ウルフェイ!?」
 暗くなり行く隙間なき四角四面の石のみで構成され床に四角く白い線がいくつも書かれところどころに鉄の車が止まっている広く高く、左右前後吹き抜けの場所の端隅にいた俺の前に現れたのは、青い鋼の狼を模した鎧と一体化したウルフェイだ、端々がねじ曲がり、赤い瞳と相成りそれはそれは恐ろしい風貌を成している
 「こんなところに何しにきやがった!俺一人で十分だろう!!」
 「魔鉱石を三つも使って何の成果もあげられていない奴が何を言う」
 そう言った次の瞬間、ウルフェイがその右手で俺の首根っこを掴んで背後の石柱に叩きつけてきた!
 「ぐへぇ!」
 せなかから走る痛みに思わず苦悶する俺・・・
 「今から訊くことに正直に答えろ、ブルーリアは見つかったか?」
 顔近づけてくんな、怖い!
 「見つかった見つかった、多分あの青い奴だ、声からして間違いない!!」
 もっとも、あの声は剣から出てたような気が、というか、レッドリアも剣になってたんだから間違いないだろうな、ソウルクレストじゃなく剣になるとは・・・まったく一筋縄じゃいかないぜ・・・
 「そうかそうか、見つかっていたか・・・」いきなり放され、床に尻もちつく俺!
 ドサッ!
 俺の顔も見飽きたのか、向こうを向くウルフェイ
 「待っていろよブルーリア、ふは、ふは、ふはは、ふはははは、あはははははは・・・」
 戦闘狂狼の狂った笑い声は、夜空にいつまでもこだましていたのだった・・・
 
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