バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

騎士剣戦隊キシケンジャー/1

騎士剣戦隊キシケンジャー 1
 
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 目の前には圧倒的な兵隊の群れ、城内に進入してきたそいつらは、石となった者達を無視し、私達、騎士団の元に殺到する・・・
 それもただの兵隊ではない、見た目は茶色い人型に白い兜のバイザーと肩当てすらない茶色い鎧を着せ簡易な槍を持たせたようなものだが、中身は魔力の塊だ、斬ったとしてもあとからあとから湧いてくる・・・
 兵士たちはすでに石だ、他の者たちも、
 赤い絨毯の敷かれた玉座の間に続くすでに雷鳴とどろく黒い雲で暗くなった白い石づくりの通路で、生き残った左右の四人の仲間と共に並ぶ私こと赤の騎士、レッドリアは敵達を斬り捨てながら叫んだ
 「くそ!一体いつまで湧いてくるんだ!!」
 「この戦線も限界だぞ!!」
 敵を素早く鋭い剣線で斬り続ける青の騎士が叫んだ
 「いくら斬っても湧いてくるわ・・・」
 身を軽く翻しながら剣を振るう黄の騎士が叫ぶ
 「これじゃあ防ぎきれない」
 盾で多数の敵の攻撃を受け止めなおも返す緑の騎士が言う、
 「このままだと、玉座の間への侵攻を許してしまいます」
 堅実に相手を斬って行く桃の騎士がそうつぶやいた
 「くそ・・・どうすれば・・・」
 「どうにもならんのだよ騎士の諸君」
 兵隊たちが、突如海が割れるが如くに左右に避け、奥より一体の魔人が背後に魔力持つ影たちを連れ歩み現れた、
 魔人は黒い骸骨のような顔、赤い魔玉の瞳を持って、だが、その体はねじり曲がった黒紫の魔力の鎧兜に覆われ、威厳にあふれた歩みを進め、そこに立ち止まった・・・
 「貴様は・・・!?」
 「魔皇帝となりし者、とだけ言っておこうか・・・」
 「魔皇帝だと!?」
 「そう、この国を支配した後、他次元の世界も征服する、全ての世界を支配する者、正しく皇帝、そして、魔皇帝の名こそふさわしいだろう・・・」
 「何を馬鹿な事を!」
 「そうだ、この世界を支配などさせるものか!」
 「私達の国を守り通す!!」
 「俺達は決して砕けることは無い!!」
 「他次元への侵攻も、ここで止めて見せます!!」
 あいつが親玉なら、あれを倒せば止まるかもしれない・・・!
 五人全員の意志が一致したのだろう、私が走り出すと同時に、仲間達も走り出す・・・
 はぁああああ!!
 「愚かだ、実に愚かなり・・・!」
 魔皇帝を名乗りし者が右手を前に出し開く、
 何を・・・?
 そこから黒い霧が吹き出てきた・・・
 あれは・・・あの霧は・・・あれが出て来た時に皆、石に・・・!?
 気が付いたときには遅く、徐々に足が動かなくなっていき、ついに完全に動きを止めた・・・
 見降ろすと、私の足がすでに石になり、それが体を侵食しているではないか・・・!他の騎士たちも・・・
 「そんな!?」
 「皆!?」
 「う・・・動かない・・・!」
 「そんな・・・そんな事って」
 「このままでは・・・」
 「ふはははは!!勝負は私の勝ちのようだな!!それでは、玉座は私がいただくとしよう!!」
 魔人がゆっくり歩き出すのを、俺達は黙って見ていることしかできなかった・・・
  
 いやぁ、下見を兼ねた山登りはやっぱりサイコーだなぁ!!
 それに青々とした天晴な青空!!
 俺の名前は常道 ユウキ(ツネミチ 勇騎)赤いジャケットに黄シャツと黒のリストバンドにジーンズのナイスガイだ!なんてな!!
 この辺りの森は禿木が多いが、その分周りを見渡せて、気分も晴れ晴れと・・・ん?
 道を大きく横に外れた所に剣が刺さってら、何だありゃ?
 なんかの撮影か?にしては見回してもカメラも何も見えやしねぇ、
 あ!もしかしたら落し物かもしれねぇな・・・仕方無い、ふもとまで持って帰って、警察に届けてやるかぁ・・・
 思わず近づいてみる俺である、いやいや、刺さった剣を抜く機会なんて、二度とないかもしれねぇしな!
 中央に少し大きめの赤い宝玉がきっちりはめ込まれた端が平たい左右対称の中央が少々へこみ歪曲した黄色い鍔に、刃先中程が少し膨らんだ両刃の剣、妙に小奇麗な剣だが、やっぱりなんかの小道具か・・・
 右手に持ち、思わず引っこ抜いて掲げてみる、
 「でりゃー!」
 『でりゃーとはなんだでりゃーとは!!』
 いきなり頭上から、というより、剣から声が聞こえた!
 「うわっ!!」
 思わず一瞬驚くものの、剣をまじまじと見てしまう、
 にしても、よくできた小道具だなぁ・・・
 『貴様、一体何者だ・・・』
 喋るたびに宝玉の周辺が光る、
 「何者かって言われても・・・お前こそ何者なんだ?っていうか、どこから喋ってるんだ・・・あ!剣の落とし主さんか!?」
 『剣とはなんだ剣とは!我は騎士だ!赤の騎士、レッドリア!!ジャステール騎士団の筆頭騎士だ、名前ぐらいは聞いたことがあるだろう!!』
 「ジャステール騎士団・・・あ、そういう設定!」
 『貴様、ふざけているのか!大体我は剣ではない、騎士だ!見よ、この赤の鎧を!!』
 「鎧なんてどこにも着てないぞ、っていうか、通信機の向こう側で自慢されても困るんだけど・・・」
 『通信機?何を言っているんだ、それに、鎧を着てないとは・・・』
 「その剣、そっちによこしてもらおうか・・・」
 「ん?誰だ・・・?」
 向かってきたのは、たくさんの兵士を引き連れた一人の戦士だ、
 頭には鋼のバイザーのみにすら見える兜をかぶっているが、身体は体や頭の端々までを覆う黒い全身インナーに毛皮をいくつもまとったような野生的な風貌、右手には細身の剣を携えている、
 周りの兵士たちも、白いバイザーに軽装の鎧の身で他は全身タイツのような衣装、一応槍で武装しているものの、その出で立ちは妙に軽い・・・
 「なんなんだよお前達は?」
 「俺、俺達か・・・そうだな・・・」その男は考えるように少し視線をそらしながらも再びを俺を見据え「その剣の落とし主だと言ったらどうする?」
 「あ、落とし主さんでしたか、はいどうぞ」
 落とし主だと言ったので、その剣を両手で横に持って出す
 「あ、これはこれはご丁寧に」
 『バッカモ~ン!!』
 うおっ!また剣から声が・・・
 『こいつらは我の落とし主などでは無い!騎士団の裏切者のギャルガだ!!』
 「裏切もの・・・?」
 思わず少し怪訝な目でギャルガとかいうのを見てしまう俺
 「けっ、あとちょっとだったのに・・・」
 『貴様・・・一体何をたくらんでいる!?我らの王国を壊滅させ、その後に何を・・・我をこんな体にしたのも、貴様の仕業か!?』
 「んなもん知るかよ、俺はただ、お前らの回収を命じられただけだ」
 『回収だと・・・だが、貴様らに奪われるわけにはいかん、おいお前!』
 思わず剣を見つめる
 「え・・・俺?」
 『戦えるか?』
 「いや、でも人に剣を向けるのは・・・大体俺、剣道もフェンシングもやったことないし・・・」
 『そんなこと言ってる場合か』
 「やれ」キキヤャアア!!
 と、兵士たちが向かってきた
 『ちぃい、致し方ない!』
 と剣が勝手に動いて大上段より兵士の一体を斬る!
 「あ!」
 だが、兵士は破れた部分より黒い霧が飛び出してきて破けた風船のようになって落ち、それも次第に黒い霧と共に消えた
 「あれ?」
 『こいつらは人ではない、魔力を中に詰めた風船のようなものだ、斬っても何の問題も無い』
 「そういうことなら・・・おっし、いっちょ人助けと思って、やってみっか!」
 『それならば存分に力を貸そう、それ!』
 すると、剣にボロボロの黒い剣の鞘が・・・
 「これは・・・?」
 「それから我を思い切り引き抜け!」
 言われた通り、左手に鞘をもち、思い切り引き抜く!
 すると、全身を熱き炎のようなエネルギーが包み込んでいき、赤い全身スーツとなす、
 鞘は黄色いV字を並べたような物となり、ところどころに鎧の意図を持つ白や銀のラインの入った赤いスーツ、
 ブーツや手袋も白色で完備し、
 頭はドラゴンを模しているもののその変化量は小さく、目の部分は少しギザギザの黒いバイザーサングラスのようになったメットとなっている、
 『さぁ、我ができるのはここまでだ、存分に暴れてこい!』
 「おっし!」
 剣、レッドリアを振り回し、突き出される槍を避けつつ一体目を斬りつける、魔力によるものか爆発、
 続けてきた槍を蹴りで上げさせ急接近、すれ違いざまに二体目を斬り伏せる、またも爆発
 「あの爆発は・・・」
 『気にするな、単なる自爆だ、最初の奴は不意打ちだったからああなっただけだろう』
 なるほど、最後っ屁に自爆してるわけか・・・
 「ええい、何をやっている!相手は一人だ、陣形を組め!」
 と、兵士たちが壁の様に二直線に並び、一気に槍を突き出してきた、一体を突破しても後方の兵士から攻撃されるという陣である、
 こいつはちょっと厄介だな・・・
 「どうする・・・?」
 『陣形を組まれたなら対応できないように横から・・・だが、回り込ませてくれるか・・・?』
 「ならここは一旦引いて・・・」
 「お困りのようだな・・・」
 な・・・!?
 気が付くと、床を白い煙が覆う黒い空間にいた・・・
 すると、目の前に、銀色の騎士が浮かび上がる、
 少し先鋭的な鎧、青と白の屋根のような四角を交互に配置した下の尖った典型的な盾を持つ騎士・・・
 「私が力を貸してやろう、本来なら試練でも受けてもらって素質を見極めさせてもらうところだが、今は非常事態のようなのでな、それ」
 すると、放り投げて来たものは、その騎士の盾に斜めに剣が刺さったような小型の紋章・・・?
 思わず剣持たぬ左手に受け取り
 「こいつは・・・?」
 「使い方は彼から聞くといい、それでは」
 と、またも気が付くと兵士たちが陣形を組んでいる場面に戻ってきた、
 何だったんだ・・・だが、左手にはたしかに先ほどの紋章が・・・
 『それはソウルクレスト!?それにその形は、ソールドのものか!?』
 「ソールド?知り合いか?」
 『能書きはいいそれよりもそれを・・・』
 「相手はモタモタしているぞ、全軍、陣形を崩さないように突撃!!」
 キキヤャアア!!
 兵士たちが奇声を上げ、槍を前にして突進してくる・・・!
 『おい!クレストの裏にある出っ張りを、鍔の横にある部分に刺すんだ!』
 鍔の横・・・?あ、これか!
 ちょうど、今まで振り回していた方の反対側にあった、前後からは左右対称にしか見えなかったが、こんなの有ったのか
 で、ここにクレスト裏中央にある出っ張りに入れる、と、でも、こっちが手前側だと邪魔そうだから反対にしてから、装着!!
 『ソード、アンド、シールド!!』
 いきなりレッドリアが叫び、クレストから目の前に透明な巨大な盾が!?
 それは兵士たちの槍をものの見事に弾き返した!
 キキヤャアア!!
 『今だ!』
 体勢を崩した兵士たちに斬りかかり、たちどころに五体ほどを斬り伏せる、
 残った兵士が警戒し、距離を取り始める
 「ええい、何をやっておるか!!」
 と、あのギャルガとかいうやつが近づいてきて剣を振りかぶる
 「もう一度だ」
 『わかっている、ソード、アンド、シールド!!』
 透明の盾が、ギャルガを弾き飛ばした
 「ぐわっ!だがな・・・!」
 と、ギャルガが左腰だめに剣を構え、その刃に紫色の魔力が充填されていき
 「はっ!」
 その剣閃により、盾はいともたやすく砕けちった、だが・・・たぶんこいつの力はこんなもんじゃない!!
 「ソード、アンド、シールド!!」
 剣を掲げると、今度は刃より、大きく透明な両刃が形成される
 「なにっ!?」
 「はっ!」
 それを一気に振り下ろす!!
 「ぐわぁああ!!」
 そのエネルギーによってギャルガが吹き飛んだ、
 『盾によっての防御と剣によっての攻撃を確実に強化する、堅実で地道なソールドらしいクレストだ、さぁ、とどめだ!』
 「わかった!」
 一気に近づき、その剣を振り抜く
 「ま、待て、私は人間だぞ、斬ってもいいのか!?」
 「なに!?」
 ギャルガの寸前で剣が止まる
 『ええい、なにを・・・』
 「今だやれ!ケルベイン!!」
 その瞬間、横入りしてきた何者かに吹き飛ばされる
 「ぐはぁ!!」
 背中を打ちつけたものの、あまり痛くはない、スーツのおかげか?あわてて立ち上がり様子を見ると、
 そこにいたのは、舌を垂らした犬のような顔をした怪人が・・・?
 両肩にもご丁寧に凶悪な犬の面ぶら下げて、まるでケルベロスだ・・・!
 「後は任せたぞ!」
 ギャルガがその間にも逃げ出す、
 「待て!」
 しかし、ケルベインと兵隊たちが壁となり、俺達を足止めした・・・
 「あいつは・・・?」
 『安心しろ、あれも兵隊たちと同じだ、』確かに、人の脈動を感じない、『だが、兵士たちよりも強い力を感じる、致し方ない、一気に行くぞ、エネルギーを剣に込めろ・・・!解き放て、ナイトソードスラッシュ!!』
 刃が赤く光り、それを大きく振るう「はっ!!」と、赤い衝撃波が出た、ギャルガを狙ったつもりだったが、その間にいたケルベインが兵隊達ごと喰らい、
 一気に魔力の大爆発を起こした・・・
 
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