バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

騎士剣戦隊キシケンジャー/4

騎士剣戦隊キシケンジャー 4
 
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 「ふぅぁあああ~!」
 俺は水色のチェックの薄い掛布団の中から身を起こす、
 まったく、ここ最近は変な事ばかりだ・・・
 水色と青を基調とした部屋で思わず考えてしまった、
 『やぁ、サトル、目を覚ましたか!』
 が、その元凶が右手、部屋端の中ほどにある机の上より声をかけてきたことで、俺の目も完全に冴えてしまった・・・
 今は黒いリストバンドに剣型のアクセサリの様に付いている、ブルーリアというやつだ・・・
 『さて、今日はどうするんだ?守護精かソウルクレスト探しに協力してくれるとありがたいのだが・・・』
 「お前、騎士だって言ってたな・・・」
 『ん?そうだが?私の知恵を借りたいのかな?』
 「・・・少し、顔を貸してもらおうか・・・」
 ・・・そうして、俺は朝食を食べ、青いジャケットを中心としたいつもの服に着替え、布に包んだとあるものを持って人気のない裏路地まで行く・・・
 ビルに囲まれてはいるものの、めったに人のこない裏路地、ここだけ広場のようになっているので、部屋の中で振り回すわけにもいかないこいつを振り回すのにはもってこいなのだ・・・
 そこで布を解いたあるものを右手に握る、
 『それは・・・レイピアかな?私の世界にもある突剣だが、先の方が丸いな、これでは相手を貫けない・・・』
 「いいから、少し俺の突き筋を見てくれ・・・」
 鋼に輝き腕を守る丸いナックルガードの付いた剣を、スマホにタイマーを設定しポケットにしまい込んだ後、俺はひたすらに前に突いた、
 ただひたすら、ひたすら、筋肉が悲鳴を上げるか、スマホに設定したタイマーが鳴るまで・・・
 先に鳴ったのは、タイマーの方だった・・・
 ピピピ、ピピピ、ピピピ・・・
 「どうだ、俺の剣は・・・」
 『ふむ・・・素晴らしい、突きの鋭さだけなら、あれを超えるかもしれないな、場合が場合じゃなかったら、騎士団にスカウトしたいぐらいだ』
 「あれ、とは?」
 『ああ、うちの騎士団一の突剣の使い手だよ、あれは・・・』
 「サトル!またこんなところに!!」
 大きな男の声が響き渡ると共に、通りより大きな筋肉質の男が入ってきた、
 ジャケットに立った黒髪が、力強さを物語っている、
 「タテワキさん」
 その人、タテワキさんが気合のこもった目でこちらを見て両手を握り込む
 「そこまで剣に熱心なら、なぜうちに戻ってこない!知っているんだぞ、毎日ここで剣の練習をしていることを・・・」
 「しかし・・・俺は・・・」
 「何度も言っているだろう、俺を傷つけたことなら、気にしなくていいと!」
 「そ・・・それは・・・」
 キャ~!キャ~!
 悲鳴・・・?
 「なんだ、外が騒がしいな・・・」
 タテワキさんも言いながら通りの方を振り返り覗く
 通りの空に見えるあれは・・・結界!?
 「すみません、タテワキさん、用事を思い出しました、後、ここから逃げてください!」
 「おい!サトル!!」
 通りから出てみんなに連絡しつつ結界の方に走り込んで行くと、その途中で戦闘員を引き連れた奇妙な奴に出くわした、
 鋼の針が全身より突き出ている人型で、その中でも無造作に大量に集まり刃の様に両拳と一体化した大量の針が目を引く・・・
 まさか、魔怪人!?戦闘員も一緒だから間違いなさそうだが、だが、結界の外だぞ!?
 「サトル!」「サトル!」「サトル!」「サトルさん!」
 その次の瞬間にはみんなも後ろに走り駆けつけてきた、
 そんな中でユウキが正面の魔怪人を確認し、
 「こいつが、次の相手なのか?」
 俺も魔怪人の方に顔を向け
 「恐らくな・・・」
 と、行っている中で、魔怪人が戦闘員と共に走り込んできた、
 「行くぞ!」
 『わかった!』
 ブルーリアが元に戻り、それを俺が引き抜く、
 青きエネルギーが全身を纏う!
 『名乗りだ!』
 ええい、やんなきゃいけないのか?
 「青の騎士・・・キシケンブルー!!」
 そう言っている間に、戦闘員は変身していく他のみんなに、あの針男は俺の方に向かってきた
 『サトル、お前の剣の冴えを見せてやれ』
 剣の冴え・・・思わず戸惑いながらブルーリアを見つつ
 「あ、ああ・・・」
 生返事を返しながらも、俺は針男と一直線に対峙する、落ち着け、フェンシングと違って相手は二本、それに一撃で勝負が決まるわけじゃない・・・
 向こうがこちらに駆け出し、右手の針を突き出してくる、すかさず内側に避けるともう一本が、
 だが・・・遅い!
 ブルーリアでもう一本をいなしつつ、素早く踏み込みながら突く!
 「ハリー!!」
 相手は吹き飛ばされつつもなんとか持ちこたえた、だが、すかさず走り込むと、今度は左手の針を突き出してきた、
 だが、左右逆手とはいえワンパターン!
 大きく姿勢を下げ、下より打ち上げる様に突く!
 「ハリャアア!!」
 相手は向こうで背中を打ち、立ち上がろうとするが、今だ!
 「とどめだ!」
 「そうはさせるかよ!」
 左手より来る爪が俺の体を捕らえ、鋭い痛みを与えながら弾き飛ばされ
 「ぐはっ!」
 立ち尽くす
 「よう、ブルーリア、ひさしぶりじゃねぇか・・・!」
 青い、狼男・・・?いや、赤い宝玉のような瞳だが目つきの悪い青い鋼の狼の鎧が一体化しているような・・・そんな存在・・・!
 「どうした?ひさしぶりの再開だというのに、何も言ってくれないのか?」
 だが、纏う気配が違う、それに、明らかに俺よりも・・・速い!
 「お前は・・・誰だ・・・?」
 「しらばっくれるな、ウルフェイだよ、お前も随分変わっちまってまぁ・・・」
 『何を勘違いしているウルフェイ、私はこっちだ』
 「ん?今、お前の剣が喋ったような・・・」
 『そうだ、剣が喋ったのだ、私は今、故あって剣の姿をしている』
 「え!?」
 まじまじとブルーリアを見つめるウルフェイ・・・知り合いが剣の姿をしてればそうなるのも無理はないかもしれない・・・
 「じゃあ、お前を握っているのは一体誰だ?」
 『こいつか?こいつはキシケンブルー、私の弟子のようなものだ』
 「勝手に弟子にするな」
 「弟子・・・そうか弟子か・・・!なら、そいつを倒せばお前と戦えるんだなぁ!!」
 ぐ、いつの間にか俺の前に、右爪での引き裂きが俺を襲い、気が付くと回り込まれ左手爪での一撃、そして、真正面からの爪を使ったサマーソルトキック
 「どうしたどうした、この程度か!」
 こ、この・・・!
 相手は一直線に突っ込んでくる、自分の速さに相当自信があるのだろう、だが、
 当てる、当てる、当てる!
 はぁあああ!!
 渾身の一撃を込めた突きは、ウルフェイの左頬をかすめていた
 「いいねぇ、いい突きだ、だが、ためらいが見えるっ!」
 繰り出された右腕の攻撃は俺を倒すのに十分な威力だった、
 しかし、次の瞬間、
 「ソードアンドシールドクレスト回転切り!」
 キシケンレッドの剣が周囲の戦闘員を斬り裂き
 キキヤャアア!!
 ドドドドドガーン!!
 「ナイトソードスラッシュ!」「ナイトソードスラッシュ!」「ナイトソードスラッシュ!」
 三人のナイトソードスラッシュが先にいた戦闘員たちを斬り倒す
 キキヤャアア!!
 ドドドドドガーン!!
 そんな感じの背後より、他のみんなが戦闘員たちを撃破爆破する音が聞こえ、
 「大丈夫か!」「大丈夫!?」「大丈夫かー!!」「大丈夫ですか!?」
 駆け寄ってくる・・・
 「ちっ、興がそがれたぜ、まぁいい、次は領地の中で待ってるからな、そりゃ!!」
 ウルフェイの爪が地面をえぐってほこりを起こし、ほこりが消えた次の瞬間には、ウルフェイは魔怪人ともども姿が消えていた・・・
 ・・・俺は、何とか立ち上がる、まわりに気配はすでにない・・・
 皆もそう感じたのだろう、変身が解かれ、俺の所に集まる・・・
 『ブルーリア、あいつは・・・』『間違いない、ウルフェイだ』『だけど、あの姿は?』『狼を模した鎧は好んで着ていたが・・・』『普通の人間だったはず・・・』
 『サトル、どうする?』
 ブルーリアの言いたいことはわかる、今のままだと、足りない・・・
 「・・・少し、修業してくる・・・」
 そう言って俺は振り返り、皆を置いてとある場所に向かって歩き出す
 「おい、サトル!」
 「サトル!」
 「サトル!!」
 「サトルさん!!」
 そんなみんなの声を背後に聞きつつ
 『何かあったら、すぐに連絡をくれ!!』
 ブルーリアの言葉を後に乗せ、俺はある場所へと足を運んで行く・・・
 『サトル、何か修業の心当たりでも?だが、ためらいが見えるとか言ってたな、どういうことだ?まさか、あのタテワキとかを怪我させたからか?』
 「・・・半分当たりで半分外れだ・・・」
 『何・・・?』
 「・・・半年ほど前、俺は試合でタテワキさんと当たった、俺は、タテワキさんとの模擬試合で連敗続きで、どうしても勝ちたく・・・」
 『特訓したと?』
 「ああ、スポーツトレーナーに無理を言って専属になって様々なアドバイスをもらい、何度もイメージトレーニングを繰り返し、そして、勝った」
 『それはよかった・・・』
 「だが、あの試合は・・・今までで体感したことが無いほどに不思議な試合だった・・・」
 『どう?』
 「勝利への執念、勝ちたい勝ちたい勝ちたいで考えが埋まっているはずなのに、頭は冷静で、相手の攻撃を全て体が勝手に避け、勝手に攻撃を当てていた、そう、先程のウルフェイの様に・・・」
 『ほほう・・・』
 「だが、それがいけなかった、攻撃を胸に一気に打ち込んでいまい、ガードを貫き、タテワキさんに出血までさせてしまった、タテワキさんはああ言っているが、俺はまた、ああなってしまうのが怖い・・・」
 『それじゃあ、この間の戦いは、もしかして、手加減していたのかい?』
 「そうかもしれない・・・本気を出して、また、何かを傷付けてしまいそうに・・・」
 『それはそれは・・・』
 「タテワキさんがああ言っている以上、遠慮するのはタテワキさんに対して失礼だろう、だが、自分のこの気持ちだけは、どうにも抑えられそうに、着いた」
 右手にある、前方に歪曲したベランダが付いたような白い爽やかなビル、
 その一階上正面には、スルドキフェンシングスクールと、アルファベットで白く一文字一文字造形されていた・・・
 『ここは・・・?』
 「俺の通っていた、フェンシング道場だ、俺はここで、選手兼、コーチをしていたんだ・・・情けない話だ、あの時、フェンシングをやめると誓ったはずが、毎日毎日突きの練習をして、あげく、ここに戻ってきたんだからな・・・」
 
 ビーッ!
 おお~すげ~タテワキさんが瞬殺だ~!
 そのフェンシングスーツとフェンシングマスクに身を包んだタテワキさんが近づ目の前で立ち止まる・・・
 「強くなったな、鍛錬の成果か?道場にも顔を出さないのに、まさかここまで・・・」
 「いえ・・・」
 フェンシングスーツ姿でタテワキさんと話し合う、
 俺を追い詰める状況を再現すれば、もしかしたら、あの試合の状態の手掛かりになるかと思ったのだが・・・
 タテワキさんがこれでは、この道場では・・・
 「・・・少し、この格好で精神統一をさせてくれませんか?、出来れば、邪魔にならない場所で・・・」
 「ああ、仮眠室を貸してあげよう、他の皆にはしばらく近づかないよう、私から言っておくよ」
 「すみません、ありがとうございます・・・」
 
 畳敷きの部屋の中で、俺はフェンシング用の仮面を横に置き、正座をし、精神を統一する、
 どうすればいい、どうすれば俺はあれを・・・
 「それは、無我の境地ってやつかもしれないね・・・」
 「誰だ!?」
 気が付くと、俺は直立した状態で暗い空間で足元に重く白い煙の流れる空間にいた、
 まさか、ユウキの言っていた、試練の空間か!?
 目の前に、一人の騎士が立っていた、兜の上に糸の太い白い羽のようなものが付いた派手で青い帽子をかぶり、その盾には白い蝶に蜂が重なったような紋章があしらわれている
 それが気取るように両手両腕を広げ
 「初めまして、私の名前はフラサン、君たちの探すソウルクレストの騎士の一人だ」
 「どうして、俺の前に?」
 「この私の力を使い、王国を救ってくれるものを探していてね、それでこの道場に来たのだが、」呆れたように首を左右に振る「私の眼鏡にかなうものがいなくてね、」さらにそれが右手を気取り出しながら俺を見据え「ブルーリアが付いていたので、君なら、と、そう思ったわけさ、もっとも、私の剣技を扱い切れるとは思えないがね?」
 「それじゃあ、試練をこなせば、力を貸してくれるのか?」
 右手で帽子の前を気取るように上げる
 「その前に、君の素質に対して、私の推論を述べておこう、少し、盗み聞きさせてもらったがね、おそらく、君は無我の境地に達しかけていたんだ、私の知っているものとは、少し違うがね・・・」
 「無我の境地?」
 それが右手を大きく外側に回しつつ話す
 「何も考えなくとも相手の動きに反応して避け防ぎ、相手に的確に攻撃できる、そんな状態さ」
 「確かに、俺が陥ったのは状態と共通点があるが・・・」
 「タテワキとの戦いではその戦う前の執念で、ウルフェイの時は戦わなければならないという強迫観念で、だが、君のそれにはある欠点がある」
 「それは?」
 今度は右人差し指を上げながら顔の前に持ってきて
 「一つは、無我の境地は本来、何も考えない状態を指すのだが、君は一つのことに集中しすぎた時に起きるようだ、これはまぁ、欠点とも利点とも言いづらいだろう、問題はもう一つの方だ」
 「もう一つ?」
 ここにきてようやく右手を下げる
 「恐らく、戦いの経験が足りていないせいだろうね、君は相当数同じ相手と戦わないと、効果的に攻撃と防御ができないようだ」
 「どうして、そう・・・」
 「タテワキとウルフェイとの試合の違いだよ、タテワキの場合、幾度も戦ったおかげでデータが足りていたせいか、以前に勝ち相当時間の経ったさっきの戦いも勝ちに持ちこめた、だが、初めて戦ったウルフェイは、何とかかすり傷を負わせたのみ」
 「・・・確かに・・・」
 「命懸けの戦いとは、二度以上同じ相手と戦う事の方が珍しい、このままではだめだ、せめて、さっきの状態を引き出せなければね・・・」
 「・・・出来ませんか・・・?」
 今度は疑問符を表現するように右手を開いて胴に押し当て
 「私が?」すぐに右手を降ろす「ま、手伝うことぐらいは出来るだろう、これでも、王国一の突剣使いを自負している身、君を何度か追い詰めることぐらいはできるかもしれない・・・だが、ウルフェイのやつは、君がそれを使いこなしても勝てるかどうかは怪しい、それでもやるかい?」
 「・・・お願いします!!」
 俺は大きく頭を下げた、
 「・・・いいだろう、それじゃ、試練の内容はこうしよう・・・君がその力を使いこなせるようになったら、合格だ、私のクレストを渡そう、さぁ、ぼやぼやしている暇はないぞ、てやぁっ!!」
 突き出されたフラサンの突剣を合図に、俺達の試練は始まった・・・
 ・・・幾度もの剣の音が響き合う、何度も追いつめられ、俺はその度にいつの間にか体が動いて極限状況から脱していた、そして、ついにその時は訪れた・・・
 ガシン!
 フラサンの胴鎧に俺の突剣の先が当たる・・・
 「見事だ、ある程度力の加減も出来るようだな・・・」
 「ありがとうございます」
 二度目思う存分に頭を下げ、礼を表す、
 「何、お前さんが努力していれば、いずれ辿り着けた領域だよ、だが、今後は力におぼれないようにな、さ、約束通りこれを渡そう、バタフライ&サンダービークレストだ、蝶の様に舞い、蜂の様に刺す、それが私の性分でね」
 渡されたものを剣持たぬ左手に受け取る、それはフラサンの盾に斜めに突剣が刺さったようなクレストだった、
 「ありがとうございます、後・・・」
 言いながら、俺はフラサンに頭を上げる
 「ん?何だい?」
 「ソウルクレストについて教えてほしいのですが・・・これは一体何ですか?」
 ・・・
 ・・・
 ・・・はっ!・・・
 気が付くと、仮眠室の時計が・・・10分ほど進んでいた、あんなに訓練したはずなのに・・・
 どうやら、夢の中のような出来事であるため、時間が進むのも遅く感じるらしい、
 『サトル、その左手に持つものは・・・』
 確かに、いつの間にか、バタフライ&サンダービークレストが握られていた・・・
 「フラサンから託された、」
 そう事情を説明しながら、改めてブルーリアを見る
 「行くぞ、ウルフェイを倒しに」
 『あいつから・・・?なるほど・・・』
 「それと、頼みがある」
 『なんだ?』
 「ウルフェイの戦闘データについて、知っていることを出来る限り教えてほしい」
 
 いた!
 「待ちかねたぞ」
 白い広場の中、ウルフェイが俺の方にゆっくりと俺達の方に歩いてくる・・・
 「行くぞ、身体が固まる前に変身だ」
 ユウキの音頭に俺達は応える
 「ああ!」
 「うん!」
 「おお!」
 「ええ!」
 そして、一斉に剣を引き、エネルギーが体にまとう中で俺達は宣言する!!
 「赤の騎士!キシケンレッド!!」引き竜のポーズで決めるレッド!
 「青の騎士!キシケンブルー!!」剣を縦に持ち決める俺!
 「黄の騎士!キシケンイエロー!!」剣持つ右手と共に両腕を鳥の様に大きく広げ決めるイエロー!
 「緑の騎士!キシケングリーン!!」腰を落とし、大きく剣を振り下ろして決めるグリーン!
 「桃の騎士!キシケンピンク!!」剣と左手を横にし竜巻のようなポーズを決めるピンク
 我ら!騎士の剣と魂を継ぎしもの!
 騎士剣戦隊!!キシケンジャー!!
 後ろで大きな爆発!!
 『決まった!演出用の剣に仕込んだ術も決まった!!』
 レッドリアが感動した風な声を出す・・・
 が、ウルフォスは馬鹿にするように見下し
 「下らねぇ、実に下らねぇなぁおい!!こんなこと考えんのは、レッドリア、てめぇだろう、大方その爆発も、別の理由でこっちに来る前から仕込んでいた物だろう・・・」
 『うるさい!時に騎士には、ハッタリも必要なのだ!戦闘狂の貴様にはわからんだろうがな!!』
 「へん、一生分かりたくないね!!やれ!!」
 キキヤャアア!!
 「ハリー!!」
 首を少しこちら側に振りながらのやれの指示に、戦闘員と魔怪人が走り出しこちらに向かってくる、
 「ウルフェイは、任せたぞ、キシケンブルー!!」
 「あ、ああ!」
 ユウキの声に答え、俺は走る
 「そうだ、そうこなくっちゃな!!」
 レッドが魔怪人を、他が戦闘員を引き受ける中で、俺はウルフェイと対峙する、
 今までにない速度で駆けてくるウルフェイ、だが・・・見える!!
 ガキン!
 右爪の振り下ろしを寸前で剣で防いだ!
 「なにぃ!?」
 「ワンパターンなんだよ!」
 そのまま押し斬る!
 「ぐはっ!ま、まぐれだ!これなら!!」
 一気に俺の周りを回り出す・・・このパターンは・・・
 1・・・2・・・違う・・・3・・・4・・・ここだっ!!
 振り返りざまに一閃を加えると、ウルフェイが突っ込んできていた、無論、そのまま斬り飛ばす!ウルフェイは大きく後ろに倒れ込みながら
 「ぐはぁ~ば、ばかな!!」
 「お前のことは、ブルーリアから教えてもらった」あの攻撃から大体2秒後か5秒後か10秒後に突っ込んでくる癖もな
 ウルフェイは下からこちらをにらみつける
 「ぐ・・・おのれ・・・!」
 「さぁ、少なくとも、その鎧は砕き、無力化させてもらう!」
 近づき、ブルーリアから教えてもらった通り、胴部の鎧の継ぎ目を狙う、ここを斬れば、鎧の鉄板が変に垂れ、動きを阻害するはずだ、
 思い切りブルーリアで下に突く!
 ガキン!
 しかし、立てた音は無情にも鉄の音・・・!?
 『馬鹿な、こいつ、鎧の継ぎ目が無い!?』
 そこでウルフェイが思い切り蹴りを振るい、俺達を弾き飛ばした!
 「ぐはっ!」
 キシケンブルー!!
 ブルーリア!!
 仲間たちの声を聴きながらも、
 後ろに倒れつつも再び立ち上がり再度対峙する俺とウルフェイ
 ウルフェイが俺達を見据え付ける
 首をこちらに微小に振りながら「驚いたか?」そのまま見据え「俺はな、魔皇帝とやらと取引して、」右腕を空前に出しつつ「この魔鋼の肉体を手に入れたのよ、ブルーリア、お前と戦い、勝つためにな!!」思い切り右拳を握る!「だが、今回は俺は引いておこう、鍛え直す必要性も出てきたようだし、しんがりはよろしくな、ハリリトン、あばよ!!」
 「待てっ!」
 が、ウルフェイが後ろに向いて走り去る間にも、ハリリトンと呼ばれた魔怪人と戦闘員が集まり壁となる、
 その間にもウルフェイは視界の向こうに消え去ってしまった・・・
 「ぐ・・・だが、あの魔怪人まで逃がすわけにはいかない!!」
 『使うのか?』
 「ああ、出来ればウルフェイを追いたいからな、一分一秒が惜しい、クレストを使う!!」
 クレストをユウキがやっていたのと同じように、剣にセット!
 『バタフライ&サンダービークレスト!!』
 一気に近づき、それをハリリトンが右針をカウンター気味に突き出してくる、
 それは左手に蝶の様に舞い避ける、戦闘員が動きが止まった瞬間に槍を突き出すが、それを元の場所に戻る様に舞い避ける!
 さらに槍を舞い避け舞い避け、舞い避け、壁の様になっているので一周は無理だが、それでも左右に大きく往復して避け続けた、
 戦闘員もハリリトンが首を傾げ隙を晒す、そこだ!!
 『バタフライ&サンダービークレスト!!』
 ハリリトンに一気に剣を突き刺し、電気の一撃をお見舞い、感電!
 「ハリリリリリリリリ!!」
 動きが止まる、今だ!!一旦みんなの元に戻り、
 ナイトソードスラッシュ!!
 全員の色とりどりの剣撃がハリリトン達を襲い、爆発、消滅させる、
 しかし、結界がハリリトンに収束、巨大化して行く、
 やっぱりこうなるか、ウルフェイも見失ったし、ここは・・・
 「ブルーサーペント!!」
 「レッドドラゴン!!」
 「イエローキマイラ!!」
 「グリーンベヒモス!!」
 「ピンクフェニックス!!」
 5体の守護精を呼び寄せ合体、
 完成、キシケンオー!!
 「一気に決着をつけるぞ!」
 剣を抜き、急いで近づく、が、ハリリトンが全身から針を射出して攻撃してきた!
 そのダメージに思わず後退!
 「ちょっと!あんな攻撃使ってなかったじゃない!!」『多分、魔力を収束させた影響で新しく使えるようになったんだわ・・・』
 キシケンイエローの愚痴と解説
 その間にも針二撃目でさらに後退、三撃目は剣である程度弾くもそれでも・・・
 「ちょっと!あんなにさらさら避けられるならどうにかしなさいよ!!」
 こっちに流れ弾が・・・
 「無茶言うな、全方位同時攻撃なんて避けられるわけないだろう!!」
 「そうだ!擬態のビークルでなら、ダメージは少ないかもしれません!!」
 確かに、ユナの言う通りかもしれない、生身よりもダメージは少ないかも、だが・・・
 「それだと、パワーが足りないかもしれない、せめて、ビークルで合体出来れば」
 ジンカイの言う通『できるぞ』
 え・・・!?レッドリアの一言に俺達五人の戸惑いの声が一斉にハモり、レッドリアに視線が集まる
 『出来るぞ、擬態状態での合体だろ?』
 ・・・
 そんなことは先に言え!!
 黙り状態からの五人の続けてのハモり・・・ああ・・・
 「ともかくやるぞ!!」
 ユウキの一言により、一旦分離、ビークルになり再度同じように合体!!
 正面を見ながら右手を開き後半後ろ部分で右手を大きく前に出し叫ぶ
 完成!キシケンオービークル!!
 胴体を消防車が、右手をパトカーが、左手をクレーン車が、右足を緑の新幹線が、左足を救急車が構成する、
 頭は消防官の銀の膜なしの赤いヘルメットをかぶったような鋼の顔だ
 「ハリーーーーー!!」
 再度の針攻撃だが、あまり痛くはない、それに・・・
 「はしごを借りるぞ!」ユウキに一言いいながら、
 背中のはしご車を右手で銃代わりに持ち、水を弾丸として発射!
 当たった部分からハリリトンの体全体が吹き飛ぶ!
 「ハりー!」
 さらに追撃の銃弾!吹き飛ばす!!
 「ハりー!」
 向こうに吹き飛ばし立ち上がる間に一気に近づき、キシケンオーを戻し、一気に剣を振りかぶる!
 キシケンオー、キングスラッシュ!!
 至近距離からの斬撃に、ハリリトンの身体は魔力の爆発を起こし消滅した・・・
 
 『よかったな、フェンシングに復帰するのだろう?』
 戦いが終わり、草の生えた川の土手で空を見ていると、ブルーリアが話しかけてきた
 「ああ、そう考えてる」
 「なんだよ、よくわからないがめでたいじゃないか!!」
 ユ、ユウキ!?
 後ろを振り返ると、ユウキをはじめとした皆が温かい目で俺を見ていた
 「そうよ、よかったじゃない!」
 「何かあったら、いつでも相談してくれ!」
 「私達でよければ、いつでも、相談に乗りますよ」
 みんなまで・・・
 「そうだ、俺達仲間じゃないか!!」
 ユウキの一言、だが・・・
 「仲間と認めたつもりはない」
 「お、じゃあ、なんだ?」
 「まだ、仲間じゃない、お前達の実力を、すべて見切ったわけじゃないからな」
 「おお、素直じゃねぇなぁ!!」
 「素直に認めちゃいなさいよ!」
 「そうだそうだ!!」
 「まったくです!!」
 そんなことを言いつつも、皆、頬が緩んでいた、きっと、一番緩んでいたのは、俺に違いない・・・
 
 「おやおや、威勢よく出かけて行った割には、随分お早く戻ってきたようで」
 「なんだ、ギャルガか・・・」
 日も暮れ人のいない立体駐車場と呼ばれるところの高層階端で、狼鎧がギャルガ向こうの街の明かりを返す中で、俺はまたこいつに因縁付けられていた
 「人のことを散々こき下ろした癖に、簡単に負けてきて」
 「負けてはいない」
 「ほう・・・」
 「だが、鍛え直す必要性はある・・・」
 そして、俺は、振り返りここから出るように歩き出した・・・
 「どこに行くんです?」
 顔を横にして、横目でギャルがを見ながら俺は答える
 「修行だよ、今度こそ、勝つためにな・・・」
 そして、再び正面を向き、歩き出す・・・
 そうだ、俺は止まらない・・・ブルーリア、いや、キシケンジャーと、キシケンブルーに勝つまでは!!
 
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