バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

失踪、失意、絶望、/6 カードゲーム小説WカードFu

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カードゲームライトノベル Wカードフュージョン9話 失踪、失意、絶望、6
 
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 「疲れた・・・」
 目の前には青空の下で緑色の葉っぱを付けた木々の森が左右に広がる山奥の公道があり、そこを僕はえっちらおっちらと歩いているのだ、
 新しいゲーム機を買いたいから小遣いとお年玉を前借りしたい、
 そう言って、頭下げてまで両親からお金を万単位で借り入れた後、父さんのパソコンで調べ上げたルートを使い、
 朝早くから前に新調したショルダーバックを肩にひっかけ、特急と電車をひたすら乗り継ぎ数時間かけたどり着いた片田舎の駅から降りた後、歩いてここまで来た、
 帰りの電車賃ぐらいはあるはずだ、多分・・・
 平日の昼間、学校はサボり、両親には嘘をついた、はっきり言って褒められた行動ではないだろう・・・
 でも、この先に・・・
 そうやって、一時間ほどだろうか、はっきり言って歩くのが嫌になってきた頃、登り坂道を超えた先、それは見えてきた、
 四角形で白いその建物は、四階建てなのか、四つほど、階ごとに窓が横一列に並び、下の方にガラスの両開きのドアがある、というだけで、その外観は極めて簡素である、
 左の方にいくつものトラックが止められそうな大き目の駐車場がある辺り、左の方に荷物の搬出入口でもあるのだろうか、
 一見すると山奥にひっそりと立てられたどこかの会社の本社か工場、といったところだ、会社の前にたくさんの警官隊が配備されていることを除けば
 そう、防弾チョッキに、首から下全身を覆う青く分厚いインナー、頭には透明な顔ガードを付けた白いヘルメットをかぶり、恐らく特殊強化プラスチック製の盾を持った屈強な警官たちと、見慣れた白黒色の上にパトライトを付けたパトカーが、その建物を取り囲んでいる、
 どうやら、待ち合わせ場所はここで間違いないようだ・・・
 目の前の坂道を急いで降り、建物の前まで向かって行く、警官隊が近づいてき
 「こらっ!!この先は立ち入り禁止だ!」
 いきなり右手の方から目前に警官隊の人が立ちはだかった!
 その顔は少し年季が行っているものの、衰えているのではなく、義理堅そうと表現したほうがいい顔立ちだ、
 装備はさっき見たものと同じものだが、近くに来た分よく見える、盾や防弾チョッキには大きく白でPOLICEと書かれ、左腰に警棒をさしているな、どこかに銃も隠し持っているに違いない
 「どうしたんですか?」
 今度は左手側から別の警官隊の人が来た、年齢は少し若く、顔が縦に長く、少し歯が出ていたりする
 「いや、地元の子供だと思うんだがな、なぜかこんなとこに」
 「いいから、轟さんとカーディンを出してください」
 「轟・・・あいつか・・・?」
 「それにカーディンて・・・」
 「双歩くん!?」
 「ああ!轟さん!!」
 警官隊の向こう側から、普通の警察官の格好をした青年が、両手で警官隊掻き分け駆けてくる、
 左右にジャギーのかかった髪型のイケメンフェイス、そう、轟さんだ
 「双歩くん、どうして、こんなとこに?」
 「私が呼びました!プログレス、チェーンジ!!」
 左手の方にあるパトカーのヘッドライトが光って声を発したと同時に、パトカーから警官隊が離れて行く、
 そして、警官隊が十分に離れたところで、パトカーの前部が開いて間から顔が出つつ額に付けたパトライトと羽のエンブレムがきらりと光り
 後部を上に曲げていた足を思い切り伸ばすようにして外装ごと伸ばして地に叩き付け、その反動で宙に飛びながら腰が180度回転、
 開いた前部外側から上げた両腕を下げるように両腕を下げつつ、両腕が180度回転してタイヤの部分を外側に出し、
 胸のX字のパトライトの下二つが内側に回って収納され、胸のパトライトが緩いV字となり、赤く光りつつピーポーパーポーと鳴りながら着地して、こちらの方を向く
 そんなカーディンの方を轟さんが見上げる
 「カーディン・・・なんで?」
 カーディンは、右腕を外側に伸ばした後、額に向かって改めて伸ばして敬礼し
 「はっ!戦力は多いほうがいいと思いまして!!」
 「戦力って、双歩くんは民間じ」
 「いいではないか轟君」
 カーディンの向こう側から前の方に、青いつなぎに白い白衣を着た柔和な老人が出てきた、
 今度は、さすわし博士だ
 「別にいても問題あるわけで無し」
 「ですがっ!!」
 「そんなこと言うならわしも民間人じゃぞ」博士がすいっと目を細めて轟さんを見る
 「そ・・・それは、博士が・・・ええいっ!!」
 轟が歯を食いしばり悔しそうな顔をして僕の方を唐突に向く
 「僕は責任取れないからね!!」
 大声で放たれた言葉に、僕は、とりあえず、轟さんには許可を得られたと悟った
 「おぅおぅその意気じゃ!」
 博士がちゃちゃを入れてくるが、問題はここの・・・
 「私は構わないぞ」
 向こうの方から一人の警官が歩いてくる、と同時に、その警官に道を開けるように警官隊が左右に分かれた、
 この中で一番年上だろう、その髪はすでに白く、顔には深いしわが刻まれていて、体には防弾チョッキを着ているものの、その下は轟さんと同じく普通の警官服で、左腰に黒い警棒を備えている、
 しかし、一際異様なのはその眼光、
 何物をも許さないという正義感が老齢の吟じと合わさり周りにとんでもない威圧を放っている
 「しょ、署長!しかし・・・」
 「戦力は一人でも多いほうがいい、そうだろう、轟」
 威圧する眼光そのままに放たれた言葉に、轟さんの言葉がつまる
 「は、はぁ・・・」そのまま、ため息を吐くように納得した
 「あの・・・」
 「ん?何かね?」署長の返事に轟さんが空気を読んだのか少し左に体を傾けた
 「あなたが、署長?カーディンを作ったり、ノワールの事件の時に待機命令を出した?」
 「こら、双歩くん」轟さんが止めようとするも署長さんが右手で遮り制止した
 「ああ、あれは私ではないんだ、前任者がやったことなんだよ」
 「前任者・・・?」
 「逮捕され、今は牢屋の中だろうね」
 何やらかした、前署長・・・
 「双歩くん!」轟さんがはっきりとしたひそひそ声を発して僕の左耳元に近づく
 「この人は、元捜査一課の鬼警部って言われた人で・・・」
 「元捜査一課!?じゃ、深沙さんの事件の捜査も!?」
 「え・・・それは「その通りだ」
 署長がはっきりとした声を発し、僕の方を見据える
 「何を言っても言い訳にしか聞こえないだろうが、あの時は、警察官がらみの事件だからと警察庁から人が来て私達が関わる間もなく全て取り仕切っていった、その時は本当に何が何やらわからなかったうえ、有家 深沙が逮捕された時にははっきり言って後悔したよ、」と、署長が轟さんの方に視線を向け「だが、彼がうちの署に入ってきて目が覚めた、それで、仕事の合間を縫って捜査資料の提供などをしていたのだ」
 と、今度は轟さんが背を伸ばし、署長さんに向かって右手を額に当て敬礼する
 「感謝しております!!」
 「何、気にしなくていい、単なる罪滅ぼしだ、せめて、ブラックスフィア事件の嫌疑はぬぐえぬが、夫と夫一家殺しの罪は拭ってやろうじゃないか」
 「はっ!!」
 轟さんがもっと背筋をピンと伸ばす
 「さて、双歩くんだったね?」
 「は、はいっ!!」思わず大声を上げてしまった
 「ふむ・・・」
 署長さんが僕の方をじろじろ見てくる、ううむ、なんかこそばゆいなぁ・・・
 「双歩くん」
 「は、はいっ!!」
 「いざという時は逃げたまえよ、今回の件ははっきり言って誰かをかばっている暇はないだろう、前代未聞の大捜査だからな」
 「は、はぁ・・・」
 まぁ、前に病院でカーディンが話してくれた内容からすれば、確かに前代未聞だろうなぁ・・・
 「それでは、私は指揮に戻る、双歩くんは轟君とカーディンの言うことを良く聞くように、左の搬入出口が君たちの持ち場だ、すぐにつくように」
 「はいっ!!」「はいっ!!」
 思わず、轟さんと一緒に大声で返してしまった・・・
 
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