カードゲームライトノベル Wカードフュージョン10話 疾走、荒野の向こう10
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「よし、このまま一気に一位だ~!」
「おおっ!」
左右の木々が一気に後ろに過ぎ去って行く、この森が何処まで続くかわからないけど、このペースで行けば次の車もすぐに見つかる、って、前の方に右手から左手に流れる川がっ!?
「カーディン、あの川、障害物!?」
「しかし、コースはあの川に続いてるぞ?」
げげっ、本当だ、コースが川の中に入って行ってる、
おまけに対岸側は高めの段差で上には道路が無く、森が広がるばかり、
そうこう言ってる間にカーディンが川に突入する!
「うわわわわ・・・」
ザバシャーーン!!
・・・
お?ちょっと心配だったが、どうやら、川はあまり深くは無かったようだ、水たまりに毛が生えた程度の深さしかない、
水底の状態が悪くて走れないんじゃないかとも思ったがそんなことも無くきちんと整備されている、
下流側の方に鉄柵があり、どう考えてもそちら側が順路ではないため、上流である右手の方にしか行けないのがつらいところだが・・・
カーディンもそれをわかっているのか、走りながら右前輪の方に曲がって行く、
後ろのウルフもけなげである、水でびしゃびしゃになりながらもカーディンを押してくれているのだ、
そして、問題はその水、ラメや銀紙のかけらでも入っているかのように光を反射している、
つまり、疑惑が確信に変わったわけではないとはいえ、休憩所で手に入れた水がここでは普通である可能性が強まったのである、うへー
「そこの貴様っ!」
ん?誰の声だ?
突如、前方から聞こえたのは凛と張りつめたとげとげしい声、
思わず前を見ると、そこにはレトロなイエロータクシーが走っていた、
後ろに申し訳程度のウィングの造形がなされ、上の松状の白いランプにTAXIと書いてあるそんな車、
が、問題はその前部に付いている槍を抱いた鋼の上半身のみの女神像、瞳を閉じた凛々しい顔立ちに水色の長い直髪、羽の付いた兜や丸みを帯びた鎧、すぐ切れているが腰から下に長そうなローブを付けていて人に見えるようにかきっちり彩色されているのだが、デカい、巨大というほどではないが車前部の半分は占有している、
まぁ、船なんかでも女神像を付けたりする人はいるし、車でもそういうデザインする人はいるだろうバランス考えろとか彩色やめろとは思うが・・・と、いきなりその女神像の口が動いて
「まさか、乱入者がここまで来るとはな!」
言葉が紡がれまなこが開かれ動いてこっちに向いてきた!抱いていた槍を右手に持ちかえながら振り返り、その槍を突きつけてくる!!
「よし、私が相手をしてやろう!」
・・・
う・・・動いた、喋ったぁっ!?
え、ええ~、古今東西、魚やら犬やら蜘蛛やらを下半身に持つ女性は知ってるが、車を下半身に持つのは見たことが無い、探せばどこかにいるかもしれないけど・・・
ん?あれ、追いつき始めていた前の女神車との距離が縮まらなくなった?ということはカーディンの動きが少し遅くな・・・
嫌な予感がして振り返ってみると、後ろのカニカルウルフが水に流されていっている所だった、
「メカニカルウルフッ!?」
僕が叫ぶ暇も無く、カニカルウルフは次第に透明になって行き、そして、消えた、
同時に、デッキケースにカードが集められてシャッフルされつつデッキケースの右側に再度設置される、
ううむ、やはり、先に進むためにはこれしかない、という事かっ!
よし、それじゃ行くぞ!
右手で山札から一つ、二つ、三つ、四つ、五つとカードを計五枚引き左手に移して手札に、
さらに、チャージゾーンに向かい「リチャージ!」
「さぁ、かかってこい!」
向こうが威勢よくセリフ吐いてるに山札の一番上のカードを右手で引き「ドロー!」
「来ないならこっちから行くぞ!」
ええい、まだ準備中だってば!
ええっと、今の手札はバトルマシンズ ウェストオーセブン、マシンスパークグリリアス、マシンクールウインド、バトルマシンズ 補助アーム、機原砂風・砂原の鉄片、そして、今引いた、機蜘蛛 ロウカセンガン
機蜘蛛 ロウカセンガンの方がコストは高いけど、ここは、こっち!
右手で左手の手札から一枚カードを引いて1番に裏側で置き、
続けて、残ったカードを全てチャージゾーンに裏側で置いて、
「セット!」
「それなら、行かせてもらう!」
1番に裏側で置いたカードを表に!
「オープン!バトルマシンズ ウェストオーセブン!」
「行け!水精妖槍子 ディーネ・トライヤー!」
「な、下から違和感が!?」
突如、カーディンがスピードを落とし後ろに下がる、
「どうしたの!?カーディン?」
「わからない、だがいきなり違和感が・・・」
すると、突如、このまま走っていたらカーディンがいたであろう場所から青い流体金属が染み出し上に膨らむように人型となって行き、女槍士の形を取った、
長く後ろで結ばれた髪、右手に持つは三つ又のトライデントであり、両足に鱗生え揃えて、肩パッドを着け、頭左右に魚ヒレ付きのサークレットを付けた
全裸に近い美女の金属像になっている、
どうやら、こいつが下にいたせいでカーディンが違和感を感じたようだ、
と、今度は右手後ろから薄銀の新幹線がその美女像、ディーネに向かって突進、ディーネが思い切り後ろに跳んで一回転などしつつかわす、
すると、新幹線の前部のすぐ後ろから後部が下に向かって回りながらその反動で新幹線が上に跳び、
続けて、下に回した新幹線の中部後ろから後部が左右に分かれて両足となりつつ、上に上げていたつま先を前に伸ばすようにして黒いつま先が現れ先に伸びて、
今度は前部のすぐ後ろの部分から右側中ほどが外側に飛び出して右腕となりつつ、反対側が今度は新幹線の装甲ごと飛び出しその装甲をプレートのように付けた左腕となり、
そこで胸部となった前部の上の方から伏せていた頭部を前から上に飛び出させるように上げた!
それは、顔が白い鋼で構成され、その瞳は銀の機瞳となっていて、その頭には、薄銀色の鋭い角度なヘルメットをかぶっている、
と、さらに、今度は左足の中ほどが飛び出して、そこからスナイパーライフルが上に飛び出し出現、
そのスナイパーライフルを左手に取って引き抜くとその手で飛び出してきた部分を押して仕舞い、
そのまま足を下に向けて着地した!
スバシャアアアン!
そして、スナイパーライフルを両手でディーネに構え向ける!
さて、とりあえずはコスト、えっと、こいつがいいかな・・・
右手でバトルマシンズ ウェストオーセブンのコストとして一枚表に!
表にしたのは、機蜘蛛 ロウカセンガン!
さて、向こうがコストにしたのは・・・?
水精妖槍子 下がりの防ぎ、水精妖槍子 フィナ・ツバン、水精妖槍子 水性中陣
ぐっ、どれも発動・召喚・設置できるカード・・・こっちは発動できるカード一枚だから差し引き二枚か・・・
すると、いきなりウェストが両手の銃を左手前の水面に向け、銃のトリガーを引く!
ズバシャン!
銃弾が着弾すると、そこにいきなり人魚が飛び出した!
いや、人魚型の金属像か!
それは、体の表面を青い液体金属で覆い、右手に二股の槍を持ち、見事な魚の下半身を持ち、上で結ばれたボリュームのある髪と上半身に腰より上のみのワンピース型の水着のような衣類を着た、ディーネよりも幼めの人魚姫、
あれは・・・水精妖槍子 フィナ・ツバンだろうか?ということは、コストの二枚は・・・?
水精妖槍子 上がらせませんに水精妖槍子 水和中約?と、今度はそのフィナ・ツバン、フィナがいきなり両手の槍を水中から振り上げて水を叩き上げ、ウェストにひっかぶせた!
あの水の打ち上げ、下から上に振り上げる動作、画面には水精妖槍子 下がりの防ぎと出てるな、水精妖槍子 上がらせませんも発動出来たけど、水精妖槍子 下がりの防ぎと二者択一の状況だったし、どうやら、水精妖槍子 下がりの防ぎを選んだようだ、よし、これで向こうが発動・召喚したカードが出そろった!
よし、まずはこいつを発動だ!右手でチャージゾーンのカードを一枚表に!
「バトルマシンズ 補助アームの効果を発動!「機」「マシン」のいずれかの言葉を持つ効果文に100プラス!」
すると、ウェストがスナイパーライフルであの車の方にきっちり狙いを定めて行く、
が、向こうに特に動きは無い、よし、予想通り、相殺は無し、でいいな、お~し、ここからだ!
右手でさらにこいつを表に!
「僕はマシンクールウインドの効果を発動!」
突如、僕達の後ろから吹雪が吹き荒れる!
が、フィナが再び水を思い切り打ち上げ、吹雪がその水に当たって氷壁化、
そのままフィナが右手下から尻尾で氷壁を撃ち飛ばし、氷壁がこちらに向かって来る!
そこにウェストが銃弾を一発撃ち込むと、氷壁はきれいに粉々に砕け散った!
ううむ、防がれるのは予想済み、こっちならどうだ!
右手で続けて表に!
「僕はマシンスパークグリリアスを発動!」
向こうは・・・動き無し、こっちの様子をうかがっているだけ、
強いて言うならウェストが向こうにむかってスナイパーライフルできっちり狙いを定めているぐらいか、よし、これなら、
「行くよ!マシンスパークグリリアスの効果にバトルマシンズ 補助アームの効果を合わせてパワー下げを三回、計、水精妖槍子 ディーネ・トライヤーのパワーを1200下げる!コストにはマシンクールウインドと機原砂風・砂原の鉄片を指定し、機原砂風・砂原の鉄片を1番に設置!」
よし、ここでこいつだ!
右手を前に出し、大きく宣言!
「バトルマシンズ ウェストオーセブンの効果発動・・・」
が、僕が宣言した瞬間、ディーネがウェストに向かって跳ぶ!画面にディーネのカードが!?くそっ、やっぱり相殺を狙ってきたか!
ディーネはそのまま空中で地上の水をいくつも渦状に吸い上げ吸収し、ウェストと同等の大きさとなりながらその右手の槍を両手に持ち替え突き出す!
ウェストが左手側に避けつつも銃で殴り掛かるがバシャっと音を立てて少し水が飛び散ったのみ、
そのままディーネが右手の槍で大きく薙ぎ払いウェストが後ろに跳んでかわす、ものの、その右腕に槍がかすり、
ギャリ!
という音と共にウェストの右腕に傷が付く!
大半が水だからってこちらの攻撃がきかず、液体なのに向こうの攻撃が通るとは、理不尽である、おそらく、槍の部分に液体金属を集めて強化しているのだろうが・・・
ん、ということは、あの体は液体金属を極限まで薄めて膜でも張って維持しているのだろうか?
もっとも、さっき攻撃を加えられた様子を見る限り、一撃与えた程度じゃ、すぐに再生してしまうんだろうが・・・
ええい、今度も右手を前に出し、宣言!
「今度は2番の機原砂風・砂原の鉄片の発動前効果を発動!同時に、効果自体も発動!!」
と、向こうの方から鉄のかけらが風に乗って飛んできてそのままディーネの体内に入り込み、
何かにぶつかるようにして動きを変えた後、ディーネの体の中心を通り過ぎ、ディーネの体の外に出て行く、
すると、ディーネがあわててその鉄の破片を右手の槍で叩き落とした!
なるほど、あそこか!
「ウェスト!見てたよね、あそこを狙っ、とと!」
いけないいけない、危うく大声を出すところだった・・・
「ウェスト!見てただろう!あそこを狙ってくれ!」
慌ててカーディンがフォローを入れてくれた、「ありがと、カーディン」
「いいってことさ」
ううむ、でも、向こうに気付かれてないといいけどな・・・
ま、やっちゃったもんはしょうがないか、カーディンも助け舟出してくれたし、ここはくよくよせずに・・・ようし、右手を前に出し、少し声を小さめに、宣言!
「僕はもう一度バトルマシンズ ウェストオーセブンの効果を発動!」
バトルマシンズ 補助アームの力を含めマシンスパークグリリアスで1200、バトルマシンズ ウェストオーセブンで600、そして、機原砂風・砂原の鉄片の残してくれたパワー-800と効果が通れば手札に戻さざるを得なかったために起こさせてくれた相殺と今の鉄片の動きの手がかりで、行けるはず!
ウェストがその銃をディーネに向けて放つも、ディーネはすぐに右手側に動き回避、銃弾はディーネの体を貫通したのみ、
そこにディーネが槍で突いてくる!
ウェストは少し左足側に動いて避けつつその槍を右手で持ってディーネの動きを封じ、そこで左手で銃の銃身を持ってディーネを薙ぎ払う!
ガン!
ディーネの体内で音がした!そこにすかさずウェストが右足で回し蹴りを入れてディーネを吹っ飛ばす!
思わず尻もちをつくディーネ、そこにウェストが銃を向け、撃つ!
あわてて槍で銃弾を弾くディーネ、といきなりウェストが左足側に跳び、何かを拾って僕達の正面に戻ってディーネに投げる!
あれは、さっきの鉄の欠片か!
鉄片はまっすぐにディーネの方に向かって行き、ディーネはあわてて鉄片を叩き落とした、
そこ間髪入れずウェストが銃を発射!ディーネは槍を振るおうとするも間に合わず、体内に銃が貫通!
そのままバシャっと水に戻り、
ドカンと爆発!
さらに、ディーネを貫いた銃弾が戦乙女車をかすり、戦乙女車が盛大に回りだす!
「きゃあああああ!」
それを慌てて受け止めるフィナ、
その間にウェストが左足の中段を左手で押して飛び出させ、そこにスナイパーライフルを仕舞って左手で閉じつつ、頭を前に伏せながら両腕が両肩ごと内側に戻り胸部が上の方に行きながら前に倒れ、つま先を上に上げるように中にしょい込みつつ両足が左右一体となり前に倒れ完全に新幹線に戻り後ろに転回、
カーディンの後ろに行ったあと、こっちを向きカーディンを後ろから押し一気に川を駆け昇って行く!!
「次は負けないっ!」
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