カードゲームライトノベル Wカードフュージョン14話 メインサーバのありし場所21
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パラパラパラパラ・・・
背中のプロペラ回しながらガラス板で覆われたこの場所を見回る、
とはいえ、見るものといえばカーディンとジョーカーの様子ぐらいだけど・・・
そんな様子のカーディンとジョーカーが右手でチャージゾーンの表側表示のカードを裏に返し
「リチャージ!」
「リチャージ!ムハハ・・・」
何が面白いんだ・・・?
「私は、黒呪術マジックトリックパワードのコストを支払わず、トラッシュに、ただし、この時、ジョーカートリック・黒獣・黒機・罠々の効果で黒呪術マジックトリックパワードをチャージゾーンに裏側表示で置きます」
ぐっ、チャージゾーンに行っちゃったか、
でも、二度も置いて効果のあるやつじゃないし、コストも重いから二度と置かないか、ジョーカートリック・黒獣・黒機・罠々があっても、置かないと思う、
と、下の黒い陣が中心に向かって縮小、ついには
シュポ
っと、煙の様になって消えてしまった、
これなら降りられるか・・・
プロペラを調整し、床に降りる
ふむ、何もないな、よかった・・・
「ではでは、続けて引かせていただきます」
すると、今度はジョーカーが右手を山札の一番上のカードにかけ、
「ドロー!」
引くっ!
「ではこちらもっ!」
次いで、カーディンも右の手を自身の山札の一番上のカードにかけて、
「ドロー!」
引いたっ!
そして、互いに左の手の手札を見、
右手で一枚を引いて互いに1番に裏側で置いて、
続けて、もう一枚引き、今度は自身のチャージゾーンに裏側表示で置いて
「セット!」
「セットです!」
突然、ジョーカーが手札を見せて来た、来るかっ!?
「私はジョーカートリック・黒獣・黒機・攻々々を使わせてもらいますよぉ~、これにより、これから召喚するモンスターの効果を相殺できなくなるうえに、なんと」ジョーカーが右手ではさみを作り二回、二回効果を使える上に戦闘後のカードを封じたりコスト召喚で出たモンスターをこのターン無視したり倒した相手のパワー以下のカードを全滅させたりと特典一杯なのです!!」
「そしてさらに、オープン」
ジョーカーが右手で1番に裏側で置いたカードを表にしてきた!
「オ、オープン!」
カーディンがあわてて自身で1番に裏側で置いたカードを表にする!
「ジョーカー獣士 ラパード・アートルムディザルグ」
「バトルマシンズ サンダースパイクダンプ」
ううむ、この場合、来る方向は・・・
プロペラ回しつつ思い切り前に跳ぶ!
そして、後ろの方に少しずつ振り返りながら着地する、
そこの僕のいた場所にいたのは、黒いゴムスーツをまとった黒い大きな豹、
顔以外の全身をゴムスーツで覆い、右目がアメジストような紫色の鉱瞳となっている、
やっぱり来たな、ジョーカー獣士 ラパード・アートルムディザルグ、ラパード!
でも、気配も何も感じなかったぞ、足音も聞こえなかったし、以前にこいつが奇襲してくるところを見ていたし、ジョーカーがカードを提示してきたからよかったものの、
そうでないなら僕の骨か後ろのプロペラを何本か持って行かれてたかもしれない、
が、そんな思いとは裏腹に、ラパードが跳びかかってくる!
どうする、後ろのプロペラぶつけるか?やっぱりこいつには効かないか・・・
飛ぶにしても遅すぎる、が、それしかない!
急いで後方上に・・・ん?
なんか、右手にいつの間にかでっかく黄色いダンプカーの荷台を盾の様に握ってら、でっかいと言っても僕の腕と比べてであるため、実際の物よりかはかなり小さいが・・・
なるほど・・・
こいつを、ラパードの前に出して、
ラパードが荷台盾に噛みついてきた!
そのまま宙に飛んで、
ラパードもつられて宙に浮き、
そこから一気に降下!ラパードを背中から叩き付ける!!
ドガァ!
見事にラパードが床に打ち付けられる!
だが、高さが足りなかったか、すぐに右半身側に転がり、後ろに跳躍して僕から離れ、警戒して僕の方を見る、
ううむ、用心されてるなぁ、でも、この状況なら何とかなるかも・・・
と、前方のガラスの向こう側にいるカーディンが、右手でチャージゾーンから三枚のカードを前に出す、
チラリと後ろの方を見ると、ジョーカーの方も右手でチャージゾーンのカードを四枚前に出してきていた
「それでいいな?」
「構いません」
互いに前に出したカードを表にしていく
「私はバトルマシンズ サンダースパイクダンプのコストにバトルマシンズ カーディン カーモード、バトルマシンズ カーディン ロボモード、マシングラシスオードを指定!」
「では私は、ジョーカー獣士 ラパード・アートルムディザルグのコストに、ジョーカー獣士 パペット・アートルムディザルグ、ジョーカートリック・黒獣・黒機・一旦返し、逃走防止のマジック檻、黒呪術マジックトリックパワードを指定します」
この感じ・・・例によって例により、互いにコスト召喚は無しか、にしても、逃走防止のマジック檻ねぇ前はあれに苦しめられたけど、今回は出してくるのか・・・?
とラパードの左右上に、黒い陣の、さっきの煙だろうか、
それがもやっと地面に叩きつけられ、ラパードの影がその姿を現したっ!?
なっ、これは・・・
「ムハハハハ!ラパードの効果ですよ!もちろん、そちらは相殺できません、」
つっ!これとやりあえってのか・・・?
が、そんなことを考えている間にも、三体のラパードがこちらに向かってきた!
とりあえず、空中に退避!!
ラパード達が跳びかかってくるものの、何とか空中に回避することに成功する、
ふう、とりあえずこれで安全かな、
下の方でラパードズがこっちに向かって吠えてきてるが、カーディンにはきちんと戦術を考えてもらって、
て、ラパードの一体の背中を借りて別のラパードがこっちの方に跳んで来た!
でも、一体分程度じゃ届かない、
等と考えている間にも、また別のラパードがラパード二体の背中を下から順番に借りてこっちの方に跳んできた!これは・・・来る!
うっどわっ!!
慌てて左手側に飛び、ラパードが伸ばしてきていた右前足の爪から逃れる、
ぐぅ、まさかこんな手を使って来るとは、まだ壁蹴りとか他の方法も残ってるし、これは早めに・・・
「双歩!」
カーディンがチャージゾーンから一枚のカードを表にしてきた!
「私はバトルマシンズフルブーストの効果を発動!パワー1200上げる!」
ジョーカーの方に動きは、無い、カーディンがさらに一枚のカードをチャージゾーンから表にした!!
体に力がみなぎる、心なしか背中のプロペラの風量も増してる感じがするし、これなら!
一気にラパードの集団に突撃する!
さぁ、どうする、避けるか?噛みついてくるか?
と、二体が左右に散ってこちらを見、一体がこちらに向かって来る!
やっぱり、そう来るよね、ならっ!
思い切り、荷台を前に出し、ラパードにぶつかって行く!
ドガァ!
そして、ラパードを貼り付かせたままそのまま壁までぶつかる!
ドガォン!
盛大に衝撃音が響き渡りそのラパードを挟み込む!
よし、このまま押し潰し・・・って、そうもいかないよな!
慌てて上に飛ぶと、僕のいた場所をラパードの一体が噛みついていた、
危ない危ない、あいつら、気配もくそも無いんだもん・・・
でも・・・
上昇中の僕に向かい別のラパードが前方の壁に三角蹴りして向かって来る!
壁に近づいたらこう来るのは予想済み、後は・・・
上に上がる中で垂れ下がる右手の荷台盾を、肘を入れるようにして腕に張り付ける盾の様に持ち直し、
向かってくるラパードに向かい、いきなり上昇を停止!
これには向かってきていたラパードも右前足を振り上げるタイミングを見失い、
そこに思い切り右手の荷台を叩き込む!!
ドグォ!!
右頬に思い切り荷台を叩きつけられたラパードが下に落ちて行き、
下にいた二体を巻き込み、動きを止める、ここだ!
プロペラを動かして落下速度を調節しつつ、一気に三ラパードの元に飛ぶ!
「私も力を貸すぞ、双歩!」
カーディン!?
「私は、バトルマシンズ サンダースパイクダンプの効果を発動!」
荷台に電撃が宿る!
よし、このまま一気に!
右拳を荷台盾ごと振り上げ、思い切りラパード達に叩き付ける!
辺りに電撃が走り、ラパード達が爆発、消滅した!!
ふぅ、どうにかな
突如、背中からプロペラが折れる音が聞こえた、
急いで後ろに向きながら真上に跳躍しつつ、向かってきたやつの頭に右手をかけ、
っつ!痛みが!爪が、プロペラが折れた時、背中にかすったか!!
苦痛で顔がゆがむのを抑えつつ前方に跳び込む、
そして、着地後、後ろに振り返る、
そこに四肢を大地に踏みしめ立っていたのは、ラパード!まだ残っていたのか!!
見てみると、向こうも電撃で焦げ焦げだ、結構痛手をこうむっているに違いない、
状況は互角、この一撃で決まる、
互いに見据え合い、距離を測る、
ザッ!
僕の足音のみが周りに響き渡った、
どう来る?上、右、左、いいや・・・
ラパードが正面から向かってきた!やはり、正面!
どうする、背中のがこれでは上には逃げられない、後ろや左右に跳んでも追って来るだろう、なら、
まだ右拳の荷台に電撃は残ってる、
それならば、それにかける!
思い切り足を踏みしめ、走り出す!
「双歩!プロペラだ!」
プロペラ・・・あ!!
直後、プロペラが大きく回り、残った羽から吹雪がラパードに向かって放射され、ラパードの足が凍りつきながら止まる!!
今だ!!
「行けぇええええ!!」
荷台がラパードに届く、そう思った瞬間、ラパードが直後、口を大きく開け、思い切り右の拳の荷台に噛みついた!?
ラパードの噛みついた部分から、周囲に大放電が起きる!
数瞬程、その放電は続いて、
その放電が収まったころ、僕の背中のプロペラと荷台、そして、荷台盾に噛みついてたラパードが爆発、消滅した・・・
呆然と、僕は立ち尽くしていた、あまりの展開に驚いた、というのが大きいか、
いや、今はそれよりもやることがある、
くるりと後ろの、ジョーカーの方を向き、そして、両足を踏みしめ、警戒する
「さて、そろそろ、私の出番かもしれませんねぇ・・・」
当のジョーカーは、左手の手札をさらさらと振りながら、何かを思案していたが・・・
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