カードゲームライトノベル Wカードフュージョン14話 メインサーバのありし場所11
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「で?こっからどうしようか?」
走り出したはいいものの、どこに行けばいいのかがわからない、
いや、行くべき場所はわかってるんだ、問題はその場所とそこに行くための道筋がわからないだけで、
こんなことなら、ジャルーソか長老あたりに訊いておくべきだったか・・・?
うう、どうしようか、この城、相当に広いぞ・・・
例えば、今いるこの場所が二階相当だとする、僕達の入った鉄球は、城の外の地面すれすれに当たったわけではないから、三階であったとしても一階ではないだろう、
それにこの高さだ、もっと上の階層があるに違いない、
僕達の探すメインサーバ、おそらくは巨大なものだろうと推測するが、
小さいハードディスクとかだったら嫌だなぁ・・・
「ねぇ、カーディン、センサーとかでさ、何か分かること、無い?」
「ふむ、少し待っていろ・・・」
カーディンがそう言って黙り込む、何かを調べているんだろうが・・・
チラリと内側の方を見る、定期的にドアが並んでおり、この廊下は微妙に運転席側に向かって湾曲している、
恐らく、外壁に沿って円を描くように作られているのだろう、環状高速道路だろうか?だとしたら城の中は碁盤状か?
というか、いざって時はこの無数のドアを全て開けて回る羽目になるのか?それはすこぶるめんどくさいが・・・
「わかったぞ、双歩!」
お!何かカーディンが察知したみたいだ!!
「どうやら、この城の中央に大きな熱源反応があるようだ!!」
「熱源反応?」
「そこにエネルギーが集中、もしくは発生させている何かがあるという事だろう」
エネルギーが集中か発生ねぇ、もしかしたら、この城の発電施設でもあるのかもしれない、
それなら、メインサーバじゃなくても外に展開している電磁バリアを止める手助けぐらいにはなるかもしれないが・・・、脱出時の手助けぐらいにしかならないだろうけど・・・
他に行く場所もないし、ここは・・・
「それじゃあ、カーディン、そこに行きながら情報を収集していくって感じでどう?」
「それでいいと思うぞ」
「よし行こう!・・・とはいうものの、ルートはわかんないんだよね・・・」
「それは仕方あるまい、地道に探していくしかない」
だよねぇ・・・
「ううむ、仕方ないか・・・で、中央って言ってたけど何階かはわかるの?」
「少なくとも上ではないな、高さから言うと一階の地上付近だろう」
「ふむ・・・」
一階にその熱源反応の原因を置いてあるか設置している、そんな感じだろうか?
「このまま走っててもらち開かないし、どれか扉を開けてみる?」
そういえば、さっき先に走ってった兵士にも結局追いついてないしなぁ
「そうだな、ならこれがいいか・・・」
カーディンが止まって右手に曲がり、一番近くにあったドアに近づいていって、補助アームを伸ばし、ドアの蔦の模様の一部を持ってドアを押して開く、
よく見ると蔦の模様のいくつかの裏が深い溝になっていて、そこを持って開けられるようになっているようだ、
ドアノブで扉のデザインを極力歪めないための仕掛けなのだろう
と、そんな事よりも今はドアの向こう側だ!
ドアの向こうを見ると、そこは、今までの道路の広さを持って直角二股に分かれた道が存在していた、
ただし、角度が些かずれていて、直角と言っても少し左正面に道と、右の方、かなり深い角度側にもう一つの道が存在しているように見える、
これは、どちらかといえば左右に分かれた、ではなく、
少し左の方に傾いた前と前の方に少し向いた右、と言った方が正しいだろう
「双歩、どうする?」
「ええっと・・・前の方、かな?とにかく、中央に向かおう」
「了解だ」
言って、カーディンは前へと進みだす、と、
バタン!!
後ろから大きな音がした、
見てみると、扉が完全に閉まっており、補助アームを戻しているのも見える、おそらく、ドアを閉めた時の音だろう、
にしても・・・
カーディンが進む中で、前と左右直角に分かれる道に遭遇し、道の途中いくつもの壁に同じような扉が付いている、
といっても、扉の位置は定期的であり、かと言って一定では無く、右の壁に付いていると思ったら左前の壁についていることも、右後ろの壁についていることもあるのだが・・・
これは・・・
「まるで、ビル街みたいな・・・」
思わずつぶやいた、
そうだ、これ、碁盤の目状のビル街の一階部分の天井全てを繋ぐように蓋を付けたような、そんな構造だ・・・
一つ一つの部屋はそれこそ大きめのビルの一階部分と同じぐらいに大きく、それ一つ一つに入口が付いている、そんな感じ、
もしかしたら、入口の配置にも規則性があるのかもしれないが・・・
「ビル街みたい?だとするなら、内部に上下に行くための階段があるかもしれない」
確かに、カーディンの言う通り、内部に入ったら上階か下階に通じる階段とかがあるかもしれない、
しかし、無闇に入って階段が無かったらそれこそ骨折り損だ、
「まずは、もう少し熱源に近づいてから調べない?調べてなかったとしたらそれこそしょーもないし」
「わかった、ならその方針で行こう」
「うん、とりあえず真っ直ぐに・・・」
そのまままっすぐに進んでいく、
が、来たるは同じ風景ばかり、さすがに違いの一つでも、っていうか、誰もいないし、一体どうして・・・?
ん?なんか前方に、両の壁と一緒に道路をふさぐように大きな扉が見えてきた!?
「双歩、この扉は・・・?」
今までの扉とは違う、デザインは一緒だが、黒い金属の重厚な作りとなっており大きい、何よりも置かれている場所が場所だ、まるで道路を封鎖する門、先に何かあるのかと考えてしまう
「どうするんだ?」
ふうむ・・・
今までと違い、この先に何かある気がする、ただ、僕達が求めている物かどうか、回り道して行ってしまった方がいい気もするし・・・
いいや、とりあえず見るだけ見て、中に何も無かったら即閉めて引き返せばいい、
「カーディン、とりあえず開けてみよう」
「了解だ」
カーディンが補助アームを展開し、先ほどと同じように飾りの裏を持って、押す、
ガチャ!
が、押しても少し扉を振動させ大きな音を出しただけだった
「ふむ、どうやら引く方の扉であったようだ」
まぁ、僕もやるけどさ・・・
カーディンが今度は補助アームで扉を引きつつ後退し
「ムハハハハ!!」
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