バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

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メインサーバの元、現れしエンジニア/20 カードゲーム小説WカードFu

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カードゲームライトノベル Wカードフュージョン17話 メインサーバーの元、現れしエンジニア20
 
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 「エルドガン」
 「ああ、大丈夫だったぜ、城が割れた時は驚いたけどな」
 背後からロボット達が一体一体降りる音を聞きつつ、赤い髪を上でまとめた機敏な感じのする白衣を着た二十代の女性が答える、エルドガン本人である、多分だが、
 「でも、映命さんがいないってことは・・・」
 「きっちり送り届けて置いた、私は確認したいことがあったんでな、こっちの方に残らせてもらってたんだ、だが・・・」
 エルドガンが不意に輪の方を向く、輪の中には、何も写されてはいない、僕達が来た時もそうだったのだが
 「いかんな、途切れないようにしないと・・・」
 ふいと、エルドガンが元の機械の方に戻り、その手で機械のキーボードを丹念に打ち込み始める
 「何してんのさ?」
 「それは・・・」
 「双歩さん!」
 ん?今の声、映命さんの・・・!?
 「映命さん!今どこに!?」
 「ロボットの研究所です!双歩さん!そこにいるんでしょう、双歩さん!!」
 「いるよ、僕はここに!!」
 でも、一体、どこから声が!?方向的には輪っかの方・・・
 「繋がってるのさ・・・」
 思わず、左手、聞こえた声の方を向き、問いかける
 「エルドガン!どういうこと!?」
 「メインサーバが消えて、次元の修復力が次元を直し始めた、私は何とか広げようとしているが、こうやって声が出る程度に穴をあけて置けるのが精一杯だ」
 そうか、次元が・・・よく考えれば、無理矢理穴を開けているんだから、その通りか・・・
 でも・・・
 「映命さん!僕は必ず戻るから、君は病院の方に!」
 「双歩さん!嫌です!双歩さんを置いてだなんて!」
 「大丈夫だよ、すぐに戻るから、だから、映命さんはまず自分の事を」
 「あ~その話なんだけど・・・」
 ん?なんだ?エルドガン・・・
 「とりあえず、双歩、お前のデッキケース、貸せ」
 え・・・?
 「なに?いきなり・・・」
 「いいから持って来い!」
 なんだよもう・・・
 「映命さん、ちょっと待ってて!」
 渋々、エルドガンの方に歩いて近づき、右手でジャケット左内ポケットからデッキケースを取り出す
 「これでいいの?」
 「そうだ、早くよこせ、私ひとりじゃ持たん」
 デッキケースを差し出すと、エルドガンはそれを右手で奪い取るように取り去り、
 左手に持ち替え、右手で前方のふたを上に思い切り上げたと思ったら、そのまま一気に後ろに引き裂く!
 そこには薄っぺらく、斜め四方が光る機械の中ほど、ふち丸く直線的にへこんだ中心部に、黒い種のようなものが入っていた
 「間違いない、こいつだ・・・」
 そのままエルドガンは右手で白衣のポケットの中から、真四角な金属の砂時計のような装置を取り出してきた、ただし、中央部はくびれがあるわけではなく、普通の円柱状になっていて、中に緑の液体が詰まっており、下に先に長方形箱状の端子が付いたケーブルが垂れ下がっている
 それの中央を握った右手親指で下から弾くように開け
 「耐久度その他は問題ないはず、嫌な予感がしたからこいつをこっちに引っ張り込んどいて正解だったな・・・」
 デッキケース持つ左手に持ち替え、デッキケースの黒い種を右手で取り出し、その中に入れ、蓋を閉じる
 そして、その装置をテッキケースと共にコンソールの上部に置き、ケーブルの端子を右手で持って、キーボード右手側の端子に入れ、またもキーボードをカチャカチャと動かし始める
 「一体、何をしたのさ?」
 「そういえば、お前、そもそもデッキケースが何なのか、知ってるか?」
 「デッキケースが何なのか・・・?」
 そういえば、僕はデッキケースがそもそも何のかなんてまるで知らない、カードが排出されて、カードバトルが出来るということぐらいしか、そういえば、それと似た能力を持つものを一つだけ・・・
 「まさかっ!?」
 「そう、デッキケースは元々、メインサーバの、こいつはその眷属のだが、実から出来ているのさ」
 「実からっ!?でも今種が」
 「種がコアになってるってだけで、古い時代からこいつは存在してたんだよ、その時代から作り方を引き継いでいるから、今はある程度機械に置き換わっているとはいえ、実その物を加工して、実身の様々な部分を使うのさ、それにこいつはメインサーバを・・・だが、問題は・・・」
 「問題は・・・?」
 「いや、今は何も言うまい、私ならどうにかできるかもしれない問題だ、さ、開くぞ」
 輪の中に、宇宙の渦のようなものが見え始める、同時に、こちらに飛び込んでくる白と黒の髪をした女の子も
 「映命さ・・・」
 あ・・・れ・・・
 ほっとしたせいかな・・・体から・・・力が・・・
 「双歩さん!」
 細腕に受け止められる感触を肌に感じながら、僕はまぶたを支える力すら失い、意識は闇に落ちて行った・・・

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