バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

メインサーバの元、現れしエンジニア/4 カードゲーム小説WカードFu

f:id:OirenW:20170721181016j:plain
 
カードゲームライトノベル Wカードフュージョン17話 メインサーバーの元、現れしエンジニア4
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 「あ・・・」
 降りてきたおっとりとした雰囲気の少女、左半身側が黒で右半身側が白の、瞳とロングストレートヘアーを持ち、今は緑のスリッパに薄青い病院着を着て、左胸に金縁黒で関の字が作られたバッチを付けている
 そう、芽工 映命(めく みつと)さん!
 映命さんがゆっくりとこちらを向き
 「双歩さん!」
 「映命さん!?」
 映命さんが僕に駆け寄り、いきなり両腕を首に回して抱きついてきた!
 「映命さん、どうして、こんなところに・・・」
 「それは、こちらのセリフですわ・・・私に、何も言わないでこんなところまで・・・」
 「う・・・それは・・・」
 言っても言わなくても、僕はここまできた・・・それなら、心配かけない方がいいと思ったんだけど・・・
 「背中から、血まで流して・・・」
 「血・・・?ああ、開いちゃったのか・・・傷口・・・」
 ジョーカーとの戦いの時に受けた傷だろう、開いたのは、レオン君と戦った時に背中を打ったからあの時か?それとも他の時か?大方その辺りだろうが・・・心当たりが多すぎるな・・・
 「もう・・・こんなことしないでください・・・傷つかないで・・・」
 映命さんの両腕に、より強い力がこもる、思わず、僕も抱き返してしまった・・・
 「さて・・・我の前に現れたということは、我の望む答えを持ってきてくれたという事かな?ミエーリ・ミターレスタカーン」
 「何度も言うが、私はあの二人の意見など知らない」
 今度は、僕達のそばでガイキシンとエルドガンが向かい合い、何事かを話し始める
 「まだしらを切るというのか?我の製造理由が無い、などと・・・」
 「そうだ」
 製造理由が・・・無い!?どういう事だろう・・・
 「あの二人が理由なく作ったというのなら、それ以上、あの二人が私に話すことは無いだろう」
 「製造理由が無いということは、生きる理由が無いということ・・・」
 カーディンがかすかに口ずさむ
 「我があの男を追い詰め、問い詰め、殺した時、あろうことか、あの男は、自身が死んだとき、自身の研究データの入ったサーバーをすべて破壊するように仕込んでいた」
 サーバー・・・?まさか、あの見張りが入ってなかった部屋か!?じゃあ、あの部屋のボロボロだったのはガイキシンが・・・
 「メインサーバにアクセスしても情報は出てこなかった・・・」
 「ま、メインサーバは気まぐれだからな、欲しい情報が手に入るとは限らない・・・ましてや、死んだ人間の情報なら・・・」
 そういや、そんな話も聞いたなぁ・・・よく考えると、あれに頼るのは元々危なかったのでは・・・それに、死んだ人間の情報が手に入りづらいっぽいこと言ってんだけど、どういうことだ・・・
 「ようやく、貴様らしい人物がいるとジョーカーから報告を受け、捕らえてみても、我の欲しい情報一つ持っていないとは・・・」
 「そのかわり、技術情報を提供したじゃないか、360度銃で囲まれ脅されてな、そちらの奴らは平気だろうけど・・・」
 なぜかチラリと僕の方を見る、僕だってそんな状況でどうにかできるわけじゃない、僕がどうにか生き残れてきたのはカーディンいてこそである
 それに、技術情報って、僕達の使ってる新システムのことだろうか、レオン君やジョーカーも使ってたし、間違いないと思うんだけど・・・
 「だが・・・もうすでに、貴様を生かす価値などない・・・」
 「お前の製造理由を知ってどうする気だ?人間に翻意するとでもいうのか?」
 「まさか・・・いかなる理由であれ、我が仲間達を放って置くわけが無かろう・・・」
 理由・・・!
 「製造理由なんて・・・」
 「双歩さん・・・?」
 おもわず、映命さんから離れ、ガイキシンの方を見据える
 「製造理由なんてそんなもの、人間だって理由があって作られたばかりじゃ無い!」
 「だが、人間は、本能が生きる意味を教えてくれるだろう」
 「本能に教えられることが、個人の人生の目的になるわけ無いじゃない!!そんなものは種の保存のためにあるに過ぎない!!それが目的であっても、きっかけでしかない!!本当の人生の目的は、自分で見つけるしかないんだ!!そして、きっかけは、本能でなくても構わない!!」
 「双歩の言う通りだ!作られた理由は数あるきっかけの一つに過ぎない!」
 「そうだな・・・生きる理由は結局、自分で見つけるしかない、ならば、我もその域に到達して見せよう、生まれた理由無き域に、我が新たなる思考と共に、到達して見せよう・・・っ!!ぞ!!」
 一瞬の戸惑いの後、新たに決意の輝きが増す
 「双歩さん、そこまで・・・また、離されてしまいましたね、でも、すぐに追いつきます!」
 「・・・」
 ガイキシンがこちらを黙って見据える
 僕は、決意を込め、もう一度、問いかける・・・!
 「ガイキシン!どうするの!?僕たちの願いは一つだ!」
 「我の願いも変わらん!貴様の言う通り、仲間たちの安寧を願うことが我の願いだ!!」
 「でも、それは!?」
 「我の考えは変わらん!その未来が欲しいなら、我と戦って、勝ち取って見よ!!」
 「どうやら、議論は平行線、だな・・・」
 エルドガンが僕達の方に振り返り、走ってくる
 「私達は退避する、出来れば、元の場所まで・・・」
 元の場所までって・・・まさか、門!?思わずエルドガンの方を見据え
 「退避って・・・大丈夫!?戻れる!?」
 「ここは私の家みたいなもんだ、あいつらに見つからない方法ならいくらでもある、この時のためにいくつか発明品も作ってきたしな・・・」
 「時間は?」
 「大体、三時間ってとこか、それだけあれば門の所まで戻れるだろ、映命、借りてくぞ」
 「お願いします」
 「あ・・・」
 戸惑うような声が後ろの方から聞こえた、振り返ると、映命さんが眉を下に曲げた不安そうな表情をして僕を見ている、おそらく、心配しているのだろう、多分、僕を・・・
 思わず、映命さんの方に近づき、両手を握り、互いに合わせる
 「ごめんね、あともう少しだから、これが終わったら、すぐに帰るよ・・・」
 「双歩さん・・・」
 映命さんが僕をまっすぐに見据えている、その両目に、涙まで溜めながら・・・
 「大丈夫、すぐに戻るよ!」
 笑顔ではなく、自信に満ちた表情を、見せるっ!!
 「双歩さん・・・」
 「さ、とっとと行くぞ」
 僕が両手を離すと、映命さんの左手をエルドガンが取り、向こうに駆け出していく
 「で、ですが・・・」
 「馬鹿っ!足手まといになりたいのか!!」
 エルドガンの一喝とにらみに、映命さんの動きが止まる
 「お前がここから離れれば、勝てる確率が上がる、離れなければ下がる、ただそれだけの事だ」
 「・・・わ、わかりました・・・双歩さんに迷惑はかけられません・・・」
 映命さんがエルドガンに連れられ走って行く、と、僕の方に不意に顔を向け
 「絶対、生きて帰ってきてくださいね!」
 「わかってる!!」
 そして、僕達の視界の外まで、走り去って行った・・・
 さて・・・
 「三時間・・・か・・・、一段落したら、一旦確認に門まで走り込んでもいいしね・・・」
 さっきの見切りには、アリスの受け売りも、レオン君やナユタさんを見て受けた部分も大分に入ってるけど・・・
 にしても・・・
次へ
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
oirenw.hatenablog.com

oirenw.hatenablog.com

oirenw.hatenablog.com

oirenw.hatenablog.com