カードゲームライトノベル Wカードフュージョン8話 戦獅の咆哮4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「今日来てもらってのはね、ここの機械たちを守ってもらおうと思ってね」
ここの機械たちを?
一見するとわけのわからない機械ばかりだけど、そんなに守らなきゃいけない物なのだろうか?
「見ただけじゃどこが重要なんだって思うと思ってね、今、あなた達が不思議そうな顔しているように、ね、わけのわからない機械群だと思うけれども、私の作る機械は機能のために形を大きく変えるものも多いのよ」
「だから、一応見せておこう、と?」
「そういうこと」
轟さんの言葉にエルドガンが首を大きく縦に振った、
確かに、僕としては、ここにある機械を優先して守ろうとはとても思えないけど、
と、轟さんがいきなり火の付いた鉄箱の方を向き、その鉄箱に顔を近づけ見つめ、右手を口元などに当てて何か考え
「じゃあ、これも何か重要な機械なのか?」
「ええ、この上に置けばお肉が焼けるわ」
エルドガンが放った言葉に意識が理解するのを拒否し、その反動かバランスを崩してしまった
ドガンッ!!
う・・・わ・・・
「ま、古い時代に作った日用品で、ストーブ代わりになるから持ち込んだだけなんだけどね」
「じゃあ、これは重要な機械ではないと?」
「もちろん、色々応用が利いて別の機械を作る時にも役に立つから、そういう意味では重要な存在でしょうけどね」
ううう・・・
尻餅をついた状態・・・頭打たなくてよかった・・・からなんとか立ち上がり、内心あきれ返りつつエルドガンの方を見、
「つまり、この中には重要じゃない物と重要な物が混ざり合ってると」
「そういうことになるわね」
「じゃあ、どれが重要でどれが重要じゃないか教えてよ・・・」
「嫌」
おい
「冗談よ、そんなににらまないの、それはおいおい教えるわ、今度時間が空いたときにね」
「いつだよそれ、っていうか!!」
「待った」
エルドガンがその右手人差し指で僕の口をふさぎ、僕の方に顔を寄せてきた
「あなたの言いたいことはわかる、でもね、私にとってはここの機械たちの方が大事なの、いい、さっき言ったように、この中にはこの世界を救うためのものもあるわ、それに、あの子の装置摘出はもう少し先、今は専業医者に任せましょう」
「ぐっ・・・」
諭すように言われ、思わず押し黙ってしまった・・・
「それじゃあ、僕の件はどうなりましたか!!」
なぜかいきなり轟さんが嬉々としてエルドガンに話しかける、
轟さん、何かエルドガンに頼んでたの?
「ああ、そっちね、ああ、うん、進んでる進んでる」
極めて粗雑な答えだが、本当にちゃんと進んでるんだろうか?
というか、轟さんとエルドガンの態度の差が気になる・・・なに頼んだろ、轟さん、
「轟さん、なに頼んだの?」
「ふっふっふっ・・・秘密だ!!」
自信たっぷりの含み笑いと共に放たれた一言に、僕の左口角が引くつくのを感じた
「ま、時が来ればいずれわかる」
バチバチバチバチ!!
いきなり轟いた電撃音が耳を貫く!
何だいきなり、一体どこから・・・
音が聞こえた右前の方を見ると、鉄枠の中に水晶が浮いている機械に電撃が走っている!
が、よく見ると電撃が走っている以外に、微妙に水晶が左前の方に動いて止まっているのがわかるが・・・
「あら、これは・・・」
エルドガンがその機械の方を見て何かを見知ったようにつぶやく、
一体なんだ、エルドガン!?
「何かが向こう側から現れたようね」
向こう側からって、まさか・・・
「もしかして、この機械ってリュッケン達の穴が発生した時に探知する装置!?」
「ええ、そうよ」
エルドガンが機械を見たままどこか億劫そうに返してきた
なるほど、こいつが博士がエルドガンから預かってた・・・って今はそれどころじゃない!
「ねぇ!!その機械が反応したってことは、どこかにリュッケン達の誰かが現れたってこと!?」
「そういうことになるわねぇ・・・」
「誰が出現したか、わかる!?」
「これはそういうことはわからないのよ、わかるのは、どの場所に現れたかくらいね」
「じゃあ、場所は!?」
「場所は、あら、大変、病院の辺りかしら、士道病院の」
な、あそこには確か映命さんが
「轟巡査、応答を、轟巡査!」
「はい、こちら轟巡査」
右後ろの方から聞こえた声に、当人以外の僕を含めた視線が集まる、
その振り返った先では、轟さんが黒い無線機を右手に持ち、口元に当てて誰かと会話している所だった、
「白い大きなライオンが士道病院の前に突如現れたと通報があった、轟巡査の担当する案件と関連がある可能性が非常に高い、今すぐ現場に向かってほしい」
「わかりました、早急に現場に向かいます」
ブツッ!!
轟さんの黒い無線機から通信を切る音が響き、轟さんが左肩の方に無線機を戻す
っていうか、白い大きなライオンって言ってたよね、それって、
「轟さん!!白い大きなライオンって、まさか・・・」
「まぁ、多分そうだろうねぇ、僕も君と同じ意見だと思うよ」
「双歩、私も同意見だ」
カーディンも同意見か・・・
「獅子堂レオンとレオリング・メタル、だったかしら」
「知ってるの!?」
放たれた言葉はエルドガンのもの、今度はエルドガンに向かい、エルドガン以外の全員の視線が集中する
「噂に聞いただけよ、単騎で千を屠り、二機で万を屠るという」
正直吹きすぎじゃあ、とも思ったが、前回の戦いの記憶がよみがえり、考えを改める、
いや、それよりも気になるのは、
「エルドガン、そんな噂、どこで聞いたの?僕達の前で、レオン君達はそんな噂になるようなこと言ってないし、そんな噂の元になりそうなこともしていない、そんな噂を聞いたことあるなんて、あんた一体・・・」
「それよりも、行かなきゃならないんじゃないの?」
ぐっ、そうだった
「私の話は今度時間が空いたときにでもゆっくりしてあげるわ」
・・・仕方がない、でも、それよりもしておくべきことがある、
レオン君に勝つために、すべきこと!
「カーディン!轟さん!」
「なんだ、双歩?」
「なんだい?」
「お願いがあります!!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――