バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

この争い起きた戦場で ダブモン!!8話/08

この争い起きた戦場で ダブモン!!8話08
 

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 おぉおおおお!!
 周りの兵士たちが感嘆の声を上げる
 「強い、あの齢で・・・」
 「ダブモンと組んであの魔族を・・・」
 「あの美しさと金の髪と青の瞳、もしや、女神様が遣わした戦士様では!?」
 兵士たちが様々な賛辞推論を投げかけてくる
 ええぇ・・・なんか、ややっこしいことに・・・
 「ま、間違ってはいない・・・」だよな」うん」
 「って、」
 後ろの方よりの三バカの声に私は思わず振り返る
 「あんたたち私達が戦ってる間何してたのよ!」
 そこには少しのんきな顔した三バカが
 「見守ってた」「下手に戦いに手を出すわけにもいかないし」「仕方無い仕方無い」
 こいつら・・・
 「まぁ、しょうがないっちゃしょうがないんですけどね、そんな間なかったし・・・」
 ウィルピーまで・・・
 「いざという時は飛びこむつもりだったさ、な」そうね」ああ、まぁ・・・」
 今度はその相棒ども・・・
 「あんたらもこいつらに似て来たんじゃない!!」
 「俺はまだ会って一日と経ってない、似てるっていうなら、元から気質が似てたんだろうな」
 イグリードの反論、だが・・・
 「似て来たんだろうが元から似てようがそんなのどうでもいいわ!というか、誰か、気絶してるこいつどうにかしなさい!!」
 私は思わず人差し指で気絶している魔族を指さす
 と、ここで気が付いたように将軍と呼ばれていた男性が立ち上がり前に出てくる
 「お前ら!浮足立っている暇があったらこの子の言う通りこの魔族を拘束せんか!!誰か結界魔道具を持つものを前線より収集し、この魔族を閉じ込める檻を作れ!!」
 すると、兵士たちが一斉に敬礼し
 はっ!
 その声が協和して響き渡り、辺りがあわただしく動き始める、
 ・・・っていうか、こいつを倒したってことは・・・わりにヤバい状況に片足突っ込んでしまったのでは・・・?
 「あんた達、戦いに巻き込まれないうちにここから離れ「おっと、そうはいかん」
 将軍が剣を向けたと同時に周辺の兵士たちも囲むようにその槍を向けてきた、
 さっきまでとは打って変わったこの連携に思わず左口端が引くつく
 「すまないが、もうしばらくここにいてもらうぞ、できれば、そちらのダブモン方にも、ご同行願いたいのだが?」
 「相棒に何かしたら、許さない・・・」
 「よせよせ、そんなことする人間には見えん・・・」
 冷気を放出しかけるフリィジアに割り込み両腕を組んで納得顔で話し始めるイグリード
 「それに、ここで何かやらかしたら、即座に魔族が攻めてくるだろ、そこまで頭の悪い奴には見えん、」
 ん?イグリード?何か知ってるの・・・?
 イグリードの言葉に将軍はとっさにそちらに目を向ける
 「ずいぶんと、高く買ってもらっているようで何より・・・」
 「まぁな、それに、将軍って呼ばれてただろ、それって、この辺りを統括してこの周辺の壁の管理を任せされてる、ウォールウェスト国の将軍って事だろう?」
 「その通り、我はウォールウェスト国の将軍、バリアス、壁の防衛に出向している際にこのような事態に陥ってな、命からがら脱出して、こうやって指揮を執っておるというわけだ、」
 「どういう感じで防衛してんだよ?防衛基地とか見えないし・・・」
 良星の素朴な疑問、私も気になる・・・
 「壁のそばに基地など置いては、初撃で一気に破壊されてしまう恐れもあるのでな、森の中に村と隣接する防衛基地を置き、いざという時に草原を緩衝地帯兼前線基地兼戦場にして被害を最小限に食い止めつつ反撃に出る、これがここ最近の方針なのだよ」
 「その為に、基本的に草原には誰も住めないようになっている」
 「へ~」
 バリアス将軍の解説とイグリードのフォローに驚いたような声を上げる良星
 「なに、手荒な真似はしない、先ほど言われた通り、魔族が攻めてくるかもしれんし、何より、こちらも傷つきたくはないんでな、」
 「ならなぜ?俺達を捕らえる?」
 「ですね」
 カンテーラの意見にウィルピーが賛同
 「戦いの保険として戦場を見守ってもらうだけだ、もちろんそれ相応のもてなしもさせてもらう、誰か」
 「はっ!」
 兵士の一人が将軍の横で敬礼する
 それに将軍は真正面から向き合い
 「テントを一つ立ててやれ、まだ予備の材料があったはずだ、それと飯の用意も、食料が無いなら森の基地から持ってきても構わん、私の名を出せばすぐに持ってきてくれるだろう」
 「大変です!将軍!!」
 ん?戦場の方から兵士が一人駆けてきた・・・?
 その兵士は将軍の前で立ち止まると敬礼し
 「魔族たちが一斉に引いて行きます!!」
 「なんだと!?」
 将軍の目が少し驚きで見開かれるものの、すぐに表情は戻り、髭をしごいたりしながら思案にふける、
 「いや、向こうの方にも懸命な指揮官がいたという事か、あの火力からするとこいつが一番の戦力である可能性が高い、それを失ったのだから引いても致し方なし、か・・・」
 ・・・一体、どうなっちゃうんだろう・・・
 そうして、私達は白いテントの中にいた、
 素材か、はたまた移動か、戦場で着いたかした細かい泥で、太陽の光が茶色に濁っている、
 家形のテントには左右にござのような物が引かれ中央に木のテーブルと椅子がある、
 もっとも、来るときに見えたのだが、ほとんどの他のテントは寝床代わりか一面に長方形のござが途切れ途切れに引かれているのみだったが・・・
 放りこまれたのは九名、
 私の名前は蜜羽 四葉(みつば よつば)、
 ひらひらのついた白シャツに首元にワンポイントの黒リボン、黒スカートに黒タイツ、茶の革靴を履き、左胸に黒字金縁筆記体で意の字の書かれたバッチを着けている、
 で、こっちにいるのがウィルピー、
 炎の様に揺らめきたつ炎の玉に黒い両目、白い両手が生え、背中に火事用の槌と鋏を持っている
 向こうにいるのが双運 良星(そううん りょうせい)、
 黒いバンダナで立てた黒髪、黒い瞳、赤道色の袖なしシャツに左肩後ろに変な炎の翼の飾り、
 ジーパンにカバンみたいな大きなポケットをいくつも盾にぶら下げたベルトを通していて、腰掛けの袋を持つ
 そのそばにいるのはカンテーラ、
 黒いもやを包む濃紺の袖付きフードつきのマント、左手に黄色のカンテラ
黒の両瞳のみをのぞかせ、
 フードの左上には少しの楕円に彗星と太陽の中間を表すようにまっすぐにいくつもの細い線を放射状に付いたものがある、
 で、その横の少し身長高めなのが稲走 兎白(いなばしり とはく)、
 ぼさりとした髪のやせ型で、波と飛び出す鮫の絵が描かれた長袖のTシャツにポケットのたくさんついた青いジーパンを着用し、背腰に袋をかけている、
 でそのそばに極力近寄ろうとしている氷の小精霊がフリィジア、
 両肩に氷の鎧のような意図、髪は液体状にくねり、頭の上には流線状にクリスタルのような形の氷が並んでいる
 でその反対にいる少し太めなのが海象 鼓動 (かいぞう こどう)、
 黒い短めの髪に橙と緑のサバンナのような柄の長袖のシャツに長ズボンのジーンズを着け、横腰に袋をかけている
 で、そいつにアドバイスしてる感じの小型の炎の精霊がイグリード、
 こわもての顔に燃え立つ炎の髪の毛そして、灼熱の肉体・・・
 そして、それらと距離を置き、口に手を当て何か考えているのがアクリス、
 優しげそうな、内外さまざまに回る金の髪に白い肌、青い瞳、
 黄色を基調とした長袖の上衣服に、長ズボン、白地のショルダーバックをかけ、
 腰に革のベルトをまいて革の靴を履いており、
 青いマントを羽織っている・・・
 そのアクリスがずっと目線をそらして何かを考え込んでいるのが気にかかるが・・・
 そうだ、
 「ねぇ、みんな?ちょっと考えたことがあるんだけど・・・」
 「ん?」「なんだ?」「なあに?」
 「私がいなくても、どうにかなったんじゃないかしら、例えば、周りを囲んで弓矢で射抜くとか・・・」
 「一対多の戦闘で一番怖いのは自分の意識外から攻撃されることだ、」
 カンテーラが横を見つつさも関心なさそうに答えてくる
 「受ける受けないの選択肢すら与えられないんだからな、あいつは一人で来た、たとえどんなに強力や特異な能力を持っていても、戦い方を知らない奴は戦場では凡愚にならざるを得ないのさ、」
 ふむ・・・
 「だから、お前達が対応しなくてもどうにかはなっただろう、しかし、そこまでの被害を出さずに済んだのは、間違いなくお前達の功績だ」
 「そっか・・・」
 「お食事をお持ちしました!そして、食事が終わり次第、将軍のテントまでご案内しろとのことです!!」
 不意の、兵士の声が響く・・・
 
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