バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

魔石物語/15

魔石物語 15
 
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15 蒸気石1
 
 「蒸気石を寄越せ!」
 出入り口から出てきた男が早々にカウンターの店主に近づきつつ力入った顔で怒鳴るように言った
 が、そんな男にも店主は何も怯みもせず笑顔を浮かべ
 「はいどうも、資格とサインと拇印と住所と人相書きが必要ですがよろしいですか?」
 「構わん、ほら、資格証だ」
 怒鳴り声の頭の禿げあがった男が右手でズボンのポケットから文字の書かれた茶色の紙、おそらく資格証を出てこちらに見せる、
 店主は笑顔のまま紙を見て
 「はいどうも~」右手の私の方に顔を向け、不意に笑顔を切ってよくも悪くもない調子の顔で「マジュちゃん、絵とか描ける?」
 「え?描けますけど・・・?」
 いきなりの問いにいつの間にか返答していた・・・
 「じゃ、お願いしていいかな?私はあんまりうまくないのよ、その間に倉庫から持ってくるから・・・」
 そう言って店主はカウンターの下から取り出した紙を鉛筆と共に男を見て渡し
 「それじゃ、この書類に必要事項を書いてください」
 「わかった」
 男の返事を受けた店主はカウンターからこちら側に離れつつカウンターのメモ帳から紙をそばにある鉛筆と共に取り、私に渡して来る、
 渡された紙と絵筆で、私はカウンターで紙に必要事項を書く男の顔を描く、
 オフショルダーの白シャツに青く丈夫そうなズボン、顔は頑固そうな中年で禿げ頭に鉢巻を巻いていて一か所曲がる直線的な口髭を一対生やしている・・・・
 運よく店主が戻ってくる前に書き上げられたので、戻ってきた店主に人相書きを出す、
 その後カウンターに戻った店主は持っていた手に収まり切らないぐらいの木箱のふたを開けて男に中身を確認させる、
 中には大量の布で衝撃を入れないようにした青い石が入っていた
 店主は笑顔を見せ
 「はい、箱もだからそこそこ取るわよ」
 「構わない、ほら書いたぞ」
 店主は木箱をカウンターに置き男から受け取った必要事項が書かれた紙をしっかりと見て見直して確認し
 「はい確かに」
 そう言葉を発し再度笑顔を浮かべ直すと木箱を取って男に渡す
 男は石を箱ごと受け取り振り返って歩いて出入口より去っていった・・・
 と、私は店主の右手よりふと浮かんだ疑問を口に出す
 「そういえば、蒸気石って資格がいるんですか?蒸気を出すだけなのに・・・?」
 店主は出入り口を見たまま笑顔を解除しつつ口を開く
 「蒸気石、大きな衝撃を与えると爆発して辺りに濃い蒸気をまき散らす、このため、犯罪によく使われる魔石の代表格であり、他には衝撃を与えると煙を噴出する噴煙石などがあるわ、そのため、軽い効果であるにもかかわらず危険物の取扱を受けて、箱や布の防護を必要とするの、例えば・・・」
 
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