バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

マシーナリーオブアイドル/23

マシーナリーオブアイドル 23
 
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 23
 
 「あっ!いた!!」
 周りがビルで囲まれた真昼間の駅前の街中、
 たくさんの人がいる中で、大きな鍔を持つ帽子にサングラスの恋條知華に近づく
 「ああ、あなた達・・・」
 私と白い機械人形に憑依したうらみの二人で・・・
 黒いスーツ風の上着とスカートにブラウンシャツを合わせ、茶色のバッグを持っている、
 「よく来れましたね」
 「執行猶予という奴よ、おかげで仕事も全部中止だけど、にしても・・・」
 と、うらみの質問に返しつつ当のうらみの方を見る、
 もっとも、今は長い黒髪のウィッグに帽子とコートという不信感満点の格好だが・・・
 「その恰好はどうにかならないの?」
 すこし苦笑いのような戸惑いの表情と声の知華
 「この格好じゃないとバレルでしょ、ね、灼未智!」
 うらみがこちらを見てくるのに私は同調の返事を知華さんに出しながら
 「そうですよ!」
 うらみと顔を見合わせ
 「ねー!」
 と声を合わせる
 「ふむ・・・まぁいいわ、立ち話もあれだから、こっちに来なさい、おごってあげるわ」
 「わーい!」
 「わーい!」
 と、私達は街行く恋條知華に付いて歩いて行き、
 駅前、ビル一階の喫茶店のテラス席に入り、白く、ツタが巻かれた造形の机と椅子の席に座り、メニューを見る
 「ご注文は?」
 黒い上着とズボンに白シャツのウェイトレスが注文を取りに来る
 「勝手に選びなさい、あまり高いのはダメよ」
 「私、レモンティー!」
 「じゃあチョコレートケーキ!」
 ウェイトレスに注文するうらみの声に私も注文する、
 そこで恋條知華もメニューkらウェイトレスに目線を変え
 「じゃ私はアイスコーヒーとイチゴクリームタルトで」
 「かしこまりました」
 頭を下げてウェイトレスが立ち去って行く、
 そこで来る少しの時間、皆が皆周りを見つつ黙っていた、話し出すタイミングをうかがっているのだろう、
 もっとも、それは注文が運び込まれるまで続く・・・
 「お待たせしました」
 チョコレートスポンジとチョコレートクリームが重なり、一番上に少しきらびやかなチョコレートの飾り菓子が乗ったケーキ、
 半球に持ち手の白いティーカップに入ったレモンの薄切りが浮かんでいる紅茶、
 タルト生地の中にストロベリークリームが詰まり、上にイチゴの薄切りが敷詰められそこにイチゴジャムがイチゴ全体にかかったタルト、
 透明なグラスにコーヒーと透明な氷がたっぷりと入れられストローの刺さったコーヒー、
 それぞれにフォークやスプーン、ミルクや角砂糖が付いている
 と、恋條知華があ私達を見据え
 「さて、食べながらでいいから聞いてちょうだい」
 そして、語り出した・・・
 「あれはあなた達よりも年下のころ、私は突然妊娠した」
 は・・・
 「あの・・・妊娠って、その・・・父親は・・・?」
 私は戸惑い質問する
 「わからないわ、そういう行為をした覚えもないし、関りのある周りの男性全ての遺伝子を調査したけど、結局、誰が犯人かはわからずじまい」
 「で、その時生まれた娘が・・・」
 「あなた達ってわけ・・・」
 え・・・?えええっ!?
 私のもう一つの人格からの言葉と恋條知華からの私は思わず驚き
 と、恋條知華が素早く私の口に右手を当て、
 まっすぐに私を見て
 「大声を出さない」
 「あ・・・はい・・・」
 恋條知華が元の姿勢に戻る
 「もっとも、そのあと私は荒れてね、結果、あなた達をあなた達の両親からの申し出で預けることになったわけ」
 そうなんだ・・・
 恋條知華は何かを思い出すように目を逸らす
 「その時は清々したわよ、幼かったからね、その後、紆余曲折会って、私はアイドルになった、で、その後、あなた達がアイドルになって、私の前に現れて・・・」
 「そっか、私があなたの娘だとバレたらそれだけでスキャンダルに・・・」
 「だから、私はあなたをアイドルから追い出そうとした、負けちゃったけどね」
 「・・・あの・・・私もできる限り隠します・・・何もかも協力します、だから・・・あきらめないでください」
 「あきらめない・・・?」
 恋條知華が目線を逸らしながらも私の方を見る
 「アイドルがあなたの居場所なら、私もあなたにいて欲しい、だから、一緒に方法を探しましょう、えっと・・・お母さん・・・」
 「お母さん・・・か・・・」
 「そうだなぁ、お袋!」
 こら、うらみ!そんなっ乱暴な言葉遣いしない!
 が、そんな言葉遣いにもお母さんは全く気にすることも無く穏やかな笑みを私達に浮かべ
 「まったく・・・こんなにいい子に育ててくれて、あの人たちに感謝しないとね・・・」
 そして、恋條知華は私達に片手ずつを乗せ、真っ直ぐに私達を見る
 「これからよろしくね、私の・・・娘たち・・・」
 うん!
 はい!
 
マシーナリーオブアイドル 終わり
 
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