ハーフビースト:ハーフヒューマン:ヒーローズ 3
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3
「ここ、登れるか?」
「登れるけど・・・?」
たどり着いたのは高いレンガの壁、明らかに道路が下敷きにされており、
緊急的に作られたことを物語っている、
「ついて来い」
マスターが右手で確実に壁を掴み両足で壁を蹴り上へと登っていく、
それを同じように爪で掴み壁蹴り追いかける俺、
「でもいいのかよ?この先は」「構わん、必要事項だ」俺の言葉を切る勢いで返答する店長
俺達は登り切り、先を見る、そこには少し離れた場所に壁と窓が陽光を白く反射するビル立ち並ぶビル街があった、
「あそこだ」
と、店長が左奥側のビルに向かって跳ぶ!
「あ、待って!」
壁上から追うために跳躍し着地し走る、マスターが止まって向いた左側のビルの入り口、両の柱に支えられた入口屋根の上の看板には・・・市議会!?
制服の警察官が何人も見張っている、
そして、警官たちは警戒するように素早く俺達の方を向いて人壁を作りつつ叫ぶ
「止まれ!」
「半獣人は自治区から出てくるな!!」
出てくるなって言われてもな・・・
と、マスターが携帯を取り出し操作、警官たちに突きつける、
すると、携帯から見知らぬ男の声が出てくる
「半獣人が自警団だと、ふざけるな!!」
「半獣人が自警団など許さない!!」
「警官がいない理由?し、知らんな!!」
一体・・・
店長の警官たちを見る目つきが少し細まり険しくなる・・・?
「これはこの街の市長への電話だ!」
警官たちが顔見合わせざわつく・・・
「だが、この街の市長は半獣人が治安を安定させることすら拒絶した!!ゆえに我らは直接抗議に来たのだ!!」
あぁ、なるほど・・・
だからと言って長居はしていられない、半獣人と普通の人間が接触すると、人間側が半獣人化する恐れがあるのだ・・・
「市長を出せ!!」
「構わん!射殺しろ!!」
店長の大声に警察官たちが拳銃を向けてくる!
トリガーを引いて撃ってきた!?
だけど、甘い!
「よっ」
何とか避け
「むん!」
マスターは右腕を振り回して弾いた!!
「圧風衝」
さらに、マスターが返し振り回す右腕から風圧波!
警察官たちが吹き飛ばされ背より入口屋根の柱やビルの壁に叩きつけられる
「相変わらずすげぇなぁ・・・」
「これぐらいは出来ねば話にならん・・・」
俺達は奥へと進む、
空調の効いた爽やかな風が包み込む、
「どこだー!市長!!」
「どこだー!!」
内部の白い壁と青いカーペットのビルを歩き回り、木のドアを開けたりして確認していく、
と、その中でスーツ姿の黒髪濃いひげの男性を見つけ
「市長はどこだ」
と問いただせば
「今は議会にいるのではないか?あちらです」
そう人差し指で左側、おそらく廊下奥を指され
「そうか、すまんな、ありがとう」
その方向に歩いてしばらく、
付き当たりにあった両開きの扉を開け、
そこでは、部屋の中央でこちらに土下座している白髪の男性がいた
「申し訳ありませんでした」
あ、あの電話の声だ!
店長が威圧的に見る
「どうやら、状況はわかっているようだな?」
「はい、私が悪うございました・・・」
周りの多段扇状に広がる机には逃げる間が無かったのか、多数のスーツを着た男性と女性がいたので、すぐそばのその一人に訊く
「なんか、反省してるみたいだけど、何があったんだ?」
一人は俺の方をこともなげに見て
「誰かが大統領に連絡したらしくてなぁ、大統領から責任取れって言われたらしい」
なるほど・・・
「では、自警団の件は?」
店長の威圧的な交渉は続いている
「もちろん、設立してもらって構いません」
土下座もまた続いている
「警察や各公的機関との連携は?」
「こちらで、要点をまとめ、後で議論の場を用意します・・・その代わり・・・」
「その代わり?」
おびえるように顔やら両肩を震わせながら市長が店長を見上げる、
スーツは黒く立派で首に巻くは蝶が飛びまくる高そうなデザインの赤ネクタイなれどその顔は頭頂部にしか髪が残っていない白髪がほとんどの髪に痩せた顔のひ弱なおじいちゃんである
「私の声が入ったデータを・・・その・・・」
「わかった」
と、マスターが携帯を見て操作し
「半獣人が自警団だと、ふざけるな!!」
「半獣人が自警団など許さない!!」
「警官がいない理由?し、知らんな!!」
あ・・・
一通り流した後再度市長を見て
「後で大統領府やこちらの議会にコピーして送っておく」
見上げる市長の口が震えている
「そ・・・そんなぁ・・・」
「おや?そういう風にしてほしいから言いかけたのではなかったのか?そもそも・・・」
お・・・
「ただ自警団を設立したいからその許可が欲しいと言っただけなのにここまでの罵詈雑言、半獣人に対して何か差別的な感情を抱いているのでは?我々は人間だ、努力する権利も、平和を構築する権利もある、それを罵詈雑言で阻害しようなど、人権も民主主義もないがしろにしているのではないか?」
右口端がヒク付いている
「うぐぐ・・・おっしゃる通りで・・・」
「では我々はこれで、連絡先は・・・」
マスターが店の電話番号を告げ、振り返り、俺もついで振り返り、俺達は去っていったのだった・・・
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